「フハハハー!その身肉と血を我に弾け捧げ悦ばせるのだー」
御大層な文句の後に蜜柑を頬張り、むっちゃむっちゃごっくん。
「もうちょっと行儀良く食べることはできないの? 汁が炬燵布団に飛び散ると中々落ちませんのよ?」
大人しめの吹雪の中にこじんまり佇むかまくらの中、炬燵にだらしなく蹲り怠惰を謳歌する
モルテ。
その対面にありて丁寧に蜜柑の皮を剥くサミュラ。 房の白いのは残す派。
二人ともどてらを着用である。
「騒ぐために言い訳が必要なんで滑稽だと思わないかい? それも故人聖人の悲劇を持ち出すなんてね。
僕は面白いからアリだと思うけどー」
「皆が皆そういう訳でも無いでしょう?」
「!そうだ!亡骸の一片でも見つけて魂の在り処を追いかけてみようかな。
異世界で屍徒として生まれ変わらせて感想を聞いてみよう。ハハハっ」
「モルテ?こちら側には干渉しないという約束があるでしょう?
ゲートで飛ばされたのならまだしも、こちらの世界の魂をどうこうするだなんて ──
ゆらゆらとゆらゆらと小金の髪が揺れる。
「もっ、もんっ!」
びくんと直立した拍子で蜜柑を喉に詰まらせ悶絶。
「と、ところでサミュラ、何でこのケーキは生臭いんだ?」
「あら、それはお客様のためのものですよ?」
モルテが気が付かぬ間に左右にペンギン達が潜り込んでいる。
小魚を練り込んで基地から貰ったレーションと乾燥野菜で作られたケーキである。
蝋燭の代わりに小魚の頭がにょきにょきと突き立っているのは…
スラヴィア風なのだろうか。
「しっかしあの小生意気な鳥もこっちじゃ言葉のコも喋れないなんてねー」
騒がしくケーキを頬張るペンギンを思いっきり見下し見下ろし勝ち誇った腕組をするモルテ。
「言葉なくとも理解する気持ちがあれば通じ合えるものですよ?
モルテはちっとも他者を理解しようとしませんものね」
「僕は面白ければなんだってイインダヨー」
そうこう話していると、一羽のペンギンがサミュラの膝の上に座り、モルテへと短い翼を突き出し上下する。
「コイツっ、誰の膝に乗っかってるんだ!」
「あら、どうしたの? うん?成る程成る程」
「何が成る程なんだい?」
こほんと一つ大仰に咳を立てるサミュラが、そっと目を閉じる。
『こいつは腐ったニートの臭いがするぜぇ~。根っこの底からニートが詰まってやがるぜぇ~』
それっぽい声色で放った台詞にモルテが顔を真っ赤にする。
「もっ!もんっ! 誰がニートだって?!」
「あら?ニートでは無いのですね? では来年から早速、神としての責務を全うしましょうね」
「もっももももんっっ! こうなったら今年いっぱいダラダラしてやる!」
ふんむと寝そべり携帯テレビのチャンネルを回すモルテを優しく眺めるサミュラ。