鉄巨人。
クルスベルグの歴史の闇。
魂を燃料にして駆動する技術文明の狂気の産物。
かつて「帝国」がレジスタンスを駆逐するために建造した数多の鉄巨人も
今はその「動力」も失われ、ときおり朽ち果てた残骸が坑道から発見されるだけであった。
しかし、未だ活動を停止していない一体の鉄巨人が、『
セダル・ヌダの炉』の地下深くで眠り続けていた。
ある日「それ」は、いや「彼」は、神の声を聴いた。
神は仰せられた。
「我の形に似せて『人』を造ろう。そして、海の魚、空の鳥、地を這う全てのものを支配させよう。」
神はこのように『人』を御自身の形に創造された。
神はまた、このように仰せられた。
「生めよ。殖やせよ。地に満ちよ。そして地を従えよ。海の魚、空の鳥、地を這う全てのものを支配せよ。」
次いで、神は仰せられた。
「見よ。私は全地上に在って、空の全ての鳥、地を這う全てのもので、命の息のあるものをあなたに与えた。それがあなたの食物となる。」
すると、そのようになった。
神の声をきっかけに、「最後の鉄巨人」が目覚めた。
数百年ぶりに陽光の下で見渡した地上は、神の言葉どおり、空を飛び、地を這い、命の息のある「食物」に満ち溢れていた。
鉄巨人は歓喜の歌を歌いながら、神が彼に与えたもうた世界を歩き始めた。
◇◇◇
巨大な満月。
今宵は「饗宴」の夜。
スラヴィア最大の円形闘技場。
貴賓席に瓜二つの美少女がふたり。傍らに一羽の鴉。
「…とまあ、こんな話を考えたんだがどうかな。ネタはあっちの世界のベストセラーから拝借した。」
「クルスベルグの鉄巨人と我々スラヴィアンは因縁浅からぬ間柄ですし、お話としては面白いと思いますが
くれぐれも『饗宴』の余興で実際にやってみようなどとお考えになりませんように。」
「……その発想は無かった。ナイスアイデア。採用、それ採用。」
「私は、止・め・て・く・だ・さ・い、と申し上げたのですが。」
「ははっ僕の最大の理解者である君らしくもない。言われて止める僕と思うかい?」
「ふぅ…こんなことで『死神殺し』を使うことになるとは思いませんでした。」
「使ったら君もタダじゃ済まないよ、アレ。」
「相討ちに持ち込むくらいはできます。」
「いや~ほんと男前だなぁ、君ってひとは。」
「茶・化・さ・な・い・で・く・だ・さ・い。」
ふたりの少女の言葉の鍔迫り合いが続く。
鴉はやれやれといった顔で首を振っている。
スラヴィアは相変わらず平和だったが、世界の危機は割とすぐそこまで迫っていた。
end
●あとがき
定時スレとwikiの独自項目から思いついた小ネタです。
モルテ様なら本当にやりそうで怖い。
- 神の作った鉄巨人があったとしたらそれは人なのか巨大な何かなのか興味がわきますね -- (名無しさん) 2013-03-31 18:49:00
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最終更新:2013年08月08日 00:58