死都カビセラ・ポノミレスの南部、五領の一角を占める[傀儡侯女]レシエ・バーバルディアの治めるアトラ地方は
スラヴィアでも有数の穀倉地帯として知られている。
またこの地域は一年に二度、地球の暦の三月に相当する石月と9月に相当する戦月にその色彩を大きく変える。
石月の頃にはパラと呼ばれる種は油に花弁は薬や染料そして化粧品の原料となる紅花によく似た植物が鮮やかな紅い花弁を咲かせて一帯は鮮やかな真紅に染まり、戦月の頃にはリリムと呼ばれるスラヴィアの主食である穀物の、たっぷりと実った銀の麦穂が風に吹かれてまるで銀色の海原のごとく揺れる光景を見ることが出来るだろう。
そんな見渡す限りの耕作地の合間を縫うようにして広がる街、それがレシエ・バーバルディア傀儡侯女領の領都トリファである。
トリファの主産業はアトラ地方で栽培収穫されたパラの加工であり、パラの花弁から採れる鮮やかな紅い染料によって染められるトリファ染めはスラヴィア内外に多くの需要を持ち、またパラの種房を圧搾して得るパラ油は食用・薬用・美容にと幅広い用途に用いることのできる万能油と呼ばれてこれもまた需要の高いものであり、一年を通してそうした加工を行うトリファの街はパラの香りで溢れている。
トリファはスラヴィア建国以前からあるスラフ戦役の戦禍を免れた数少ない街だが、今のようなパラの加工を主産業として発展することとなったのは、スラヴィア建国後のこと、この地をレシエ・バーバルディア侯女が統治するようになってからである。
それまでのトリファはアトラ地方の中心的な街ではあったものの、目立った産業や産品のない場所だった。
レシエはそれまでリリムの栽培といくつかの農産品だけを栽培するだけだったこの地の土質がパラを栽培するのに適していること、そしてリリムとパラを交互に栽培することで病害を抑え収量が増すことを発見すると、この地でのパラとリリムの二毛作を推奨して定着させていった。
そしてトリファにはアトラ地方で収穫されたパラの集積加工拠点としての整備を行い、現在ではトリファの街はパラを用いた様々な産品の製造拠点として繁栄している。
トリファの街を観光するのであれば香り高いパラ油をふんだんに使ったトリファ鍋をはじめとした名物料理や、色鮮やかで職人の技巧をこらしたトリファ染め、そして肌の若返りや育毛に最適と言われるパラの美容油などの産品を目と味覚そして肌で楽しんでみるのも良いだろう。
- 領主柄が出てて風景が目に浮かぶ。毎回切り口が違うので読むのが楽しいシリーズだ。万能ごま油みたいなイメージだパラ -- (名無しさん) 2014-09-11 23:21:03
- しっかり地盤があって発展しているのがよく分かる。ふと思うのが発展の先に何を見ているのかレシエ -- (名無しさん) 2014-09-20 01:05:30
最終更新:2014年09月10日 01:50