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【またまた人造人間バンビーナ】

異世界はスラヴィアの片田舎に不思議な領地がありました。
その領地に住む領民は、今だかつて誰一人として食べられた事もスラヴィアン化された事も無いと言うのです。
領地に有る小高い丘に屋敷が一軒。
そこに住むと言う領主が変わり者で、領民達にキチ○イ博士と言われておりまして、博士には一人娘がおりました。
娘の名はバンビーナ。
死体を切り貼りして作られたゾンビタイプのスラヴィアン。
まるで地球の物語にあるフランケンシュタインの怪物じみた彼女ですが、その心はとても優しく容姿は可愛らしいノームの少女。
体中の縫合痕が玉に傷の少女型スラヴィアン「人造人間バンビーナ」は、今日も明るく元気に暮らすのです。


【またまた人造人間バンビーナ】


「バンビーナ! こいつの命が惜しくば大人しくしろ!」
「くっ、外道め!」
今日も今日とて野良貴族に狙われるバンビーナ。
ですが今度は領民を人質に取られ迂闊に手が出せません。バンビーナ大ピンチ!
「くくく、情報通りらしいな。お前本当にこんな餌どもの事が大切らしい」
「領民は一緒に暮らす家族みたいな存在です! そんな考え間違ってます!」
「黙れバカめ!」
龍人のスラヴィアンが短刀を投げバンビーナの肩に刺さりました。白い服にどす黒い赤い液体が染み渡ってゆきます。
「ここは死者の国スラヴィアだ! 吸血姫サミュラ様の力を分与された俺たち死者が偉いんだ! 生者は死者の為その命を捧げるのが正しいんだ! 弱肉強食の掟なのだ! 分かったか!」
「それはそうかもしれない……でも」
「とにかく死ね! バンビーナーーー!」
龍人のスラヴィアン、マガカゼが言いました。スラヴィアの歪んだ現実――死者が生者を支配する国。それがこの国を作った始祖の不死者サミュラの定めた絶対的ルール。
バンビーナもそれは分かっていました。この国に住む以上それがこの国の常識なのですから。ですが心のそこで何か納得できない所があるのです。しかしそれはスラヴィアンとして許されない疑問でした。
思い悩むバンビーナ。その彼女に振り下ろされる刀。人質と心の動揺で完全に反応が遅れたバンビーナは哀れ、このまま真っ二つとなってしまうのか?

 ズ バ ン !

「へ? ――わっ、うわっ!? うわぁーーー!! 俺の腕がぁあああ!」
「止めるある外道! 遠心分裂爆熱棍!」
しかし次の瞬間、真っ二つになっていたのはマガカゼの刀を持った腕でした。いえ、それは真っ二つと言う程綺麗ではありません。引き裂かれたような傷です。
「ぎゃああああああああ!」
続いて響き渡るマガカゼの断末魔の叫び声。龍族独特の硬い鱗に覆われたマガカゼの体は、突然現れたその人物の棍棒により一瞬の内に血肉の花と化したのです。
「さ、もう大丈夫あるよ」
「ありがとうございます。ありがとうございます」
「礼ならいらないあるね。おかげで目的の人と逢えたよ」
その人物はボロボロのマントを目深に被り救出した人質を助け起こしています。その様子をバンビーナは呆然と眺めています。
野良貴族、そして奇襲だったとは言えあまりに見事な手際だった為面食らっていたバンビーナですが、自分達はその人に助けられたのだと言う事実を今更認識し、慌てて感謝の意を述べるのです。
「あの、ありがとうございました。私あのままじゃやられていました」
「別に良いあるよ。あの外道はサミュラ様の法に反していたある。だから倒しただけよ」
マントのフードから覗く瞳が優しげに語りかけます。大延訛りのきつい言葉。二人を助けた謎の人物は、日が落ちた事を確認してからフードを取って顔を見せました。
「一つ、生者を無闇に殺生するべからず。生者の命を貰う時は感謝の心を忘れないね。スラヴィアン大原則の一つよ」
フードの下から現れた顔は大延国の獣人、狐人の顔でした。そして勿論この人物もアンデッド=スラヴィアンになります。
金の柄の棍棒を武器に戦うスラヴィアンの狐人女性は、バンビーナにこう問いかけるのです。
「ところで、あなたがバンビーナで間違いないあるか?」
「え? えぇ、そうですけど」
「よかたよ! 実は私、あなたを訪ねてきたの心ね」
「???」
急に抱きついてきた恐らく年上の狐人スラヴィアンの人に、再び困惑するバンビーナなのでした。


「えぇーーーーー!? ここに住まわせてくれ、ですかー!?」
バンビーナを訪ねて来たと言う狐人スラヴィアンのツィレンは、キ○ガイ博士ことヴィクター博士の館で驚くべき目的で尋ねてきたのでした。
それはヴィクター領に自分を置いてくれと言うお願いです。
「ふむ、事情は分かった。しかしそうおいそれとは……」
「私傷心的心。今、住所不定無職。救済求むある!」
何でも饗宴に負けたツィレンは命こそ助かったものの領地を追われ、野良貴族となって親切な領地があると言う噂を頼りにここまで来たと言う事でした。
「博士、ツィレンさん可哀想です」
「う~~~む……しかし」
「博士」
「老師」
「う~~~む」
普通、ヴィクター達のような下級貴族が自分達以外にスラヴィアンを領内に置くと言う事はありません。何故なら狭い領内で摂取できる生命力は少ないからです。
ですがヴィクター領の場合違います。バンビーナは生命力の吸収を必要としません。それなのに何を悩むのかと言うと、皆さんご存知の通りここがスラヴィア内で唯一の「領民が家畜でない領地」だからなのです。
「もしどうしても言うなら体も差し出すある。でもキスはダメよ」
「仕方あるまい。ここに置こう」
「博士!」
最近キ○ガイ博士と言うよりただのス○ベジジイと化している博士にバンビーナが突っ込みを加えた。
「いたたた! 止せバンビーナこれは純粋に人助けの為であってだなぁ――」
「フフフっ、ありがとうございますある。誠心誠意尽くすあるよ」
そんな二人の様子を眺めツィレンはにこやかに笑ったのでした。


「料理作たある。熱い内に食べるよろし」
「わぁーーー! すごいご馳走!」
「こりゃ美味そうじゃわい」
次の日、ヴィクター家の食卓には目の覚めるような豪勢な食事が並びました。大延国に伝わる料理の数々です。
「故郷の大延国料理あるよ。素人料理だけど、頑張って作たね」
「素人なんてとんでもない。私より百倍上手いですよ~」
「大延国は世界でも屈指の食文化と聞く。料理のレベルが段違いなのじゃろう」
スラヴィアは多民族国家なので領によって様々な料理が存在しますが、ヴィクター領には今まで大延料理はありませんでした。
だから町の食堂でも見た事がないような美味しそうな料理の数々を前に、ヴィクターもバンビーナも大喜びです。
「さ、みんなで食べるよ。大延の料理大勢で食べるのが醍醐味ね」
(ピクシィが居たら喜んだだろうなぁ……)
バンビーナの脳裏にふと、幼い少女の笑顔が浮かびました。バンビーナの為に次女になってくれたノームの少女です。
饗宴に巻き込んでしまった。守れなかった。可哀想な妹みたいな女の子……。
『いただきます』
ヴィクターとツィレンの笑顔の陰でバンビーナは少しだけ悲しい表情を漏らしたのでした。


「フハハハハッ! バンビーナ! このクラーケンヴェイル様の十本槍の餌食にしてくれよう!」
「そうはいかないある! 遠心分裂爆熱棍!」
「ぐわぁぁあーーー! こんな奴がいるなんて聞いてないぞー!」
それからと言うものツィレンは家事全般をこなし饗宴にまで出てくれました。ツィレンは強く弱い中級貴族では相手にならない程でした。とても野良貴族に落ちるようには思えません。
「ありがとうございますツィレンさん」
「何のこれしきある。居候の当然的務めあるよ。――うっ」
しかし――。
「ツィレンさん!?」
「大丈夫、少し空腹なだけよ。大丈夫ある」
ガクリと膝をついたツィレンからは弱弱しい精気しか感じられません。
スラヴィア貴族が闘う時、大量の生命力を消耗します。本来それは饗宴に勝てば相手から神力が自分に取り込まれ回復するものです。回復する筈なのですが……。
「ツィレンはお前と違って普通のスラヴィアンじゃからな。生者の生命力を貰わねば滅ぶ運命なのじゃ」
「そんな。でもそれじゃ……」
ヴィクター博士はその原則をバンビーナに教えていませんでした。何故ならそれはバンビーナ出生に関わる重大な秘密に繋がるからです。とてもとても残酷な秘密へと。
(倒したのはツィレンの筈じゃのに……やはりモルテの呪いは解かれておらぬようじゃな)
ツィレンの様子を見てヴィクター博士は考えます。今まで禁じてきた事を許すしかない、と。
「少しだけ、少しだけ貰えれば良いある」
「ツィレンさん!」
立ち上がれないツィレンに駆け寄り肩を貸すバンビーナ。
「私、生者的生命力所望。しかし少し、少しずつ分けてもらえば充分よ。だから……」
「少し……少しなら、領民の人達は死なないで済むんですか?」
バンビーナがヴィクター博士の方を縋るような瞳で見ます。ツィレンを救いたい。でも領民が死ぬのは絶対に嫌だ。バンビーナが考えるのはいつも人の事ばかりです。
「大丈夫。私、信じて欲しいある。バンビーナ、老師……」
ツィレンにもここで死ねない理由があります。だから願うのです。助けて下さいと。心の底から。
「わかった、夜が明けたら領民に訊いてみよう。それでもし分けてくれる者がおれば、生命力吸収を許す」
「博士っ!」
バンビーナが博士に抱きついて喜びました。まだ領民達が助けてくれると決まった訳でもないのに。
それでもバンビーナは嬉しかったのです。また良い人が死なずに済むかもしれないのですから。
「謝謝老師。謝謝バンビーナ。謝謝。」
「……」
翌朝、バンビーナの必死の訴えとツィレンが饗宴で領を守った事が領民達に認められ、ツィレンは生命力を分けてもらえる事になった。
それから三日に一度、領の若い衆が持ち回りでツィレンに生命力を分け与えると言う決まりも。
(生者の生命力を貰わねば滅ぶ運命なのじゃ)
(生者の命を貰う時は感謝の心を忘れないね)
「博士、頑張ってればちゃんと良い事もあるんですね。私……私、本当に嬉しいです」
バンビーナはますます、領のみんなの事が好きになったのでした。


「ここは本当に良い領地あるね」
ある夜、館の2階テラスで月明かりに照らされながら二人はヴィクター領を眺めていました。
「こんな流れ者の私の為にみんな……私、とても感動したよ」
「私も感動しちゃいました」
夜の帳が下り町はすっかり静けさに支配されていました。月と星と、所々疎らに灯る家々の明りが二人が守る領地を照らしています。
「私、ここに来て良かたね。老師とバンビーナに出会えて、本当に良かたよ。謝謝バンビーナ」
「あ、あははは……私は何も……」
夜風に吹かれバンビーナのザンバラ髪が揺れます。ツィレンの言葉に照れるバンビーナの純朴な笑顔に、ふと領地を終われた時の事を思い出します。
(これでお前の領民は全て我の物じゃ! 我が糧となる事、光栄に思え)
(くっ、みんな……ごめんある……)
(フフフ、お前を殺し神力を全て奪ってやっても良いが、それでは面白くない。どれ、一つチャンスをやろうではないか)
(チャンス? そうすれば、領民のみんな助けてくれるか?)
(あぁ、助けてやろう。その代わり……)
バンビーナが領民を大切に思う心。それはツィレンが領地を、領民を思う心と同じ筈です。だから心が痛むのです。こんな良い娘の心を裏切ることになる事が。
「もう私達も寝るある。私達は夕方には起きなきゃいけないあるから」
「うん。おやすみなさいツィレンさん」
「おやすみ、バンビーナ。また明日ね」
ツィレンは感情を殺して言いました。これ以上会話していたら、決心が鈍ってしまいそうだったから。


「ここある。ここに王冠党ルーンファクトリーの遺産、老師ヴィクターの作た精霊兵器の秘密あるよ」
「良くやったツィレン。これでシャッハトルテ侯は、お前の領地を返して下さるだろう」
「領地……みんな……」
夜明け前、ツィレンはヴィクターの館にある地下隠し金庫の前に来ていました。そこには見た事のないスラヴィアン達が大勢います。
ツィレンはここ数週間、仕事をしながら館の中を探っていました。
全ては奪われた領を取り戻す為、上級貴族シャッハトルテに王冠党ルーンファクトリー出身のヴィクターだけが持つ精霊兵器の設計図を渡す為。
ヴィクター博士が隠す禁忌の技術を盗み出す為でした。ところが――。
「っ!? ない!? ないある!」
金庫を開けてみると昨日まであった筈のものが無くなっているのです。ヴィクターがここに入り設計図を使って戻した事は彼女も事前に確認していました。それなのに無いのです。
「どう言う事だ! 説明しろツィレン!」
「わ、分からないっ。確かに昨日までここに――」
「そこにはもう、精霊兵器の設計図はないですよ」
焦るツィレンと十人のスラヴィアン達の背後から声が聞こえました。一同が驚いて振り返ってみると、そこには小柄な男女二人の姿が。
「バンビーナ! それに老師ヴィクター!」
「すまんなツィレン。お主の動きには気付いておった」
「ツィレンさん。この人達は誰ですか? どうして……領地を返すってどう言う事ですか?」
「それは……」
動揺して一歩引くツィレン。ですが十人のスラヴィアンは逆に居直ったように博士とバンビーナに詰め寄ります。
「えぇい! まどろっこしい! 設計図がないならバンビーナ、お前を倒して現物を貰うまでだ!」
「死ねっ! バンビーナーーーっ!!」
十人が一斉に飛び掛ります。その手にはナイフやカタールや様々な武器が握られています。殺気もむき出しに襲い来るスラヴィアン達に対して、バンビーナと博士は冷静に言いました。
「博士っ!」
「うむ、リミッター解除っ!」
バンビーナの右手首の皮膚が破れ中から4本の放熱シャフトのようなものが飛び出します。バンビーナの戦闘形態に発動する精霊兵器です。
「アンデッド~~~~~コレダーーー!!」
『ぎゃぁーーーーーーー!!』
暗い地下室を照らす青白い雷光。大気に絶縁破壊を起こし放電される高電圧の電気です。十人は一瞬にして雷撃により心臓に焦げ穴を空けらてしまいました。
「雑兵とは言えアンデッド十体を一瞬で……流石バンビーナあるね。でも――隠し腕『双龍』開放! 躍字的棍棒『舞踏蒼焔棍』ダブル!」
その光景を見てツィレンは瞳に青い炎を宿し奥の手を見せるのです。それは中級貴族・蒼焔のツィレンが相手を手加減できない相手と認めた証。
四本の腕を巧みに操り、躍字を彫り込んだ特別製の二本の棍で自身の必殺技『遠心分裂爆熱棍』をくり出しました。
「バンビーナ! 私は自分の領民達を守りたい! 超・遠心分裂爆熱棍!」
「止めてツィレンさん! アンデッドエーーーンド!」
炎の棍による目にも止まらぬ連続突きに、バンビーナは出力を最大にした必殺技『アンデッドエンド』で応戦します。
『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!』
力と技のぶつかり合いに頑丈な地下室の壁が悲鳴を上げます。そしてその衝撃は館全体を震わせるのです。
「ぬおぉぉお! 何と言う力と技のぶつかり合いじゃ! 屋敷が壊れる!」
双方互角の戦い。決着はつかないかと思われたこの勝負でしたが、意外な形でその幕は下ろされる事になるのでした。


「時間になっても報告が来ないぞ! 任務は失敗だ!」
「あの館に残っているのはツィレンだけ。構わん、奴ごと吹っ飛ばせ!」
東の空が明るくなり始めた頃、館の東に位置する丘陵に待機していた別働隊が動きました。
地球の技術から再現したカタパルトやバリスタと言った攻城兵器の数々を携えて、スラヴィアンの弱点である太陽が昇ると同時にヴィクター博士の屋敷を破壊、バンビーナを葬る為です。
「撃て撃て撃てーーー!!」
次々と打ち込まれる石や火矢の雨霰に屋敷は一たまりもありません。瞬く間に燃え、破壊し尽くされ瓦礫の山と化してゆきました。
「やったか……?」
朝日に照らされる中、遮光マントを纏ったスラヴィアン達が瓦礫の後を探しに来ます。目的はバンビーナの死体です。
設計図の奪取に失敗した場合、屋敷ごと攻撃し死んだバンビーナから実装された精霊兵器を回収する事が別働隊に与えられた命令なのです。そんな中彼らが何か発見したようです。
「これはツィレンの死体か。けっ、役立たずめ」
それはツィレンの上半身でした。下半身は瓦礫に潰され、残った上半身も今や朝日を受けて消滅しようとしています。部下でも役立たずはボロ雑巾のように使い捨てる……それが彼等のやり方でした。

 ガ ラ ッ … …

「げぇ!? まだ生きてる!」
一人がツィレンを放り捨てた時、付近の瓦礫をどけて満身創痍のバンビーナが姿を現しました。屋敷が崩れた時、見捨てられたと悟ったツィレンが咄嗟にヴィクターとバンビーナを金庫に押した為助かったのです。
「酷いよ……この娘はただ守りたかっただけなのに……」
無事だったバンビーナを見て暗殺スラヴィアン達はすかさず彼女を囲うように集まります。満身創痍のバンビーナの止めを刺すつもりなのでしょう。ですが……。
「絶対に許さない! アンデッドコレダーーー!」
バンビーナは最後の残りのルーン回路を使い、怒りのアンデッドコレダーで全員を葬ったのでした。


「むががーーー!」
「えぇい大人しくせい! すぐに済むわい!」
だいぶ小さくなってしまった屋敷、と言うより掘っ立て小屋の中で大きな机に押さえつけられ口の中にドリルを突っ込まれている子供がいます。
「もんがーーー!!」
その子の口に薬液が入れられ容赦なく施術が進められていくのです。

 キ ュ

「さ、これで虫歯の治療は終わりじゃ。薬が固まるまで一刻ほど強く噛むでないぞ」
「ありがとうございます。キt ヴィクター博士」
「報酬はお主の脱ぎたてパンティーじゃ! ほれ脱げさぁ脱げどんと脱げー!」
今日も今日とて怪しい?歯の治療を終えたヴィクター博士が、その子の母親に紛いじゃない正真正銘セクハラを言っています。
「いやー!お金じゃないんですか~!?」「そんなのよりこれよこさんかーーーい」と言ってスカートを引っ張る博士にバンビーナが鉄拳制裁です。

 ゴツン!

頭にこぶを作って博士が訴えます。
「何故じゃ! 正当なる報酬じゃろがい!」
「こ~~~のキ○ガイ博士! 相手はお子さんのいる人妻なんですよ!」
「昼下がり団地妻美熟母最高じゃー!」
「このヘ○タイ!」
「親に向かって何たる言いよう! わしゃお前をそんな子に育てた覚えはないぞい!」
「キ○ガイはいいんだ……」
いつものやり取りを見て患者の子供はけらけら笑い母親は顔を引きつらせるばかりです。そんな時、掘っ立て小屋の奥の方から聞き覚えのある声が聞こえてきました。
「二人とももう止めるある。患者さんには帰ってもらうあるよ」
「ツィレンさん」
手際よく報酬を受け取り患者の親子を帰したツィレンは、机に並べた大延料理を示して言いました。
「それより自慢の大延国料理作たある。熱い内に食うよろし」
ヴィクター博士に治してもらったツィレンは、恩返しにヴィクター博士に仕える事を誓ったのです。
「ありがとうツィレンさん。これからも宜しくね」
「謝謝っ。こちらこそ宜しくある」
再建中の屋敷を背後に、新しい仲間を加えたヴィクター家は今日も明るく生きてゆくのでした。


   ― 終わり ―

  • くらえー!グワワー!めでたしめでたしの繰り返しじゃないのが面白い。人生経験の壁を乗り越えていくバンビーナはどこに向かうのか博士の意図は何なのか気になります -- (名無しさん) 2015-01-21 16:25:07
  • また悲しい別れが…と思ったら仲間が一人増えたよかった。クルスベルグ由来の設定入ってきたどうなる -- (名無しさん) 2015-01-21 19:05:04
  • ええ子やなバンビーナ。この語り口調好きだわ。博士なんか道化を演じてるっぽい? -- (名無しさん) 2015-01-22 19:05:29
  • 連作の中での山谷のつけかたが上手いな。クルスベルグや異世界風科学パワーがどうなるのか楽しみだ -- (名無しさん) 2015-01-23 20:49:09
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最終更新:2015年01月21日 01:00