アットウィキロゴ

【まみむめもっさん・スラヴィアンなんなん】

「これはモルテ様、サミュラ様。この様な場所にわざわざ足をお運び頂き恐悦至極に御座います」
シノギだ匂いだとはしゃぐモルテらの後ろに座すサミュラに対し凛として流水の如き滑らかな一礼。 
アデーレ=パルファンドゥール女伯爵。漆黒のスーツは無駄のない体のラインを浮き彫りにしている。
「今年の大ゲート祭、一際大きな催し物を開くスラヴィアは各領地の協力がなければ成り立ちませんでした。
アデーレ伯の領よりの出店、大いに賑わって嬉しく思います」
優しげな言葉ながらもサミュラ自身より発せられるカリスマ、神力により繋がれたる盟約が自然とアデーレに再度の礼を垂れさせた。

 スラヴィアの住人にして一度人生の終わりを経て、神力により生まれる生無き屍人“スラヴィアン”
 大ゲート開通当時の地球側の見解では所謂“ゾンビ”や“吸血鬼”“グール”などとされていたスラヴィアンであったが
 異世界交流が進むにつれ、その不可思議ながらも解明不能な存在が明らかになっていく
 スラヴィアの神“モルテ”もしくは、モルテより力を分け与えられスラヴィアを統べる亜神“サミュラ”から神力を与えられた者がスラヴィアンへと変異する
 特徴的なのは、与えられた神力を他者に分与することでスラヴィアンが新たなスラヴィアンを生み出すことも可能ということである
 亡骸であれ生者であれ、モルテを起因とする神力はその者の生を終わらせスラヴィアンへと生まれ変えるのである
 従ってスラヴィアンは生命活動自体が停止しており、血を流し体温を持つスラヴィアンがいたとしてもそれは神力が肉体をそう動かしているだけの“演技”であるとも言える
 何故その様な種族を生み出し国として在り続けるのか。その真意真相は誰にも分からない

「このラケルの毛で作られた枕、触り心地もふわふわで良い夢が見れそうですよ」
「ありがとう御座います。ラケルは私の領地で最も ──
「サミュラ様、ラケル布団も最高ですよ!テンピュールも真っ青なんだから」
「ユイ!サミュラ様の御前なのですからもう少し御淑やかに ──
サミュラとアデーレの間に割って入る優衣がラケル商品の描かれたカタログを開いて見せる。
「良いのですよアデーレ伯。それが貴女の在り続けるために必要なことなのですから」
サミュラの微笑みは異世界の陽の光の下では灰燼と帰すスラヴィアンにとっての太陽であった。
「枕!布団!これはデカいシノギのにお ──
「モルテ?余りはしゃぎ過ぎるとほっぺつねっちゃいますよ?」
「もっ、もんっ!?」

 異世界にて太陽神ラーの力そのものである陽光に当たると消滅してしまうという最大の弱点はあるものの
 朽ちず老いもせず、その気になれば眠ることすら必要とせず、体がどれだけ損失しようとも神力のある限り再生する
 何と恐ろしくも強力な種族であろうかと言われたスラヴィアンであるが、その存在は酷く脆く危ういものである
 スラヴィアンは例え神力を持っていたとしても存在する目的、欲求や意欲を失えばたちどころに消滅してしまう
 そしてそれらは生者よりも強く、はっきりと強固に自覚せねばならない
 目的の達成、人生の充実は彼等にとっての存在の終着駅でもあるのだ

「そう言えばアデーレは黒鎧とゲルダを倒して大会出場権をゲットしたんだっけ?やるじゃない(ニコォ」
「はい。領の更なる躍進のために此度の大会出場は願ってもない機会でしたので」
「一緒に頑張ったんだよねー!何度も何度も斬られたけど私のkissであっという間に復活するんだから」
黒服に赤いドレスがひっつき絡みつく。傍から見れば過剰なスキンシップと思われても仕方の無いくらいに。
「しかし倒したと言っても黒鎧卿の試合放棄によるものですので」
「あー、うん僕もモルテ心眼で見てたヨ。スラヴィア地下迷宮内でも危険地帯“溶鉱ロード”、あそこを饗宴場所に承諾した黒鎧はもうほぼ負け確定だったね。
饗宴途中で汗だくになったゲルダに興奮リミットブレイクで快楽椅子モード全開でどっかいっちゃうんだもんよ。
黒鎧も戦いが生き甲斐じゃなくてエロに生きる唯のスケベオヤジじゃないかって思っちゃったヨ。って実際そうなのかも知れないけどサ。ウェヒヒ」
思わず思い出し笑いするモルテ。
「ところでアデーレ伯、優衣嬢、その服装は? もうすぐ試合ではありませんでしたか?でも良くお似合いですよ、二人とも」
「恐悦至極で御座います。この服装は、その相手である姉妹より試合形式の提案がありまして…」
「ダンスや踊りで勝負しようってことになったんです!」
「もるもる。ダンスも踊りも一緒じゃない?」
「てへぺろ!」
漆黒のスーツのアデーレが男性役を、真紅のドレスの優衣が女性役でダンスに挑むようである。
「昨日の晩も一生懸命練習したもんね。頑張ろうね、アデーレ!」
「練習と言っても結局ユイは感性で踊るのが一番という結論で、私がそれに合わせることになったのですが… どう?緊張はしてない?」
「全っ然。ケンタウロス舞踊、相手にとって不足なし!一緒に踊るの楽しみなんだから」

ここはスラヴィア。ともすれば生者よりも生を謳歌する屍人の国。
その歓喜は大ゲート祭の大バトル大会を直前にして最高潮へと達しつつあった。


  • 賑やかで楽しそうなのに陽の下には出られないんですよね -- (名無しさん) 2015-06-19 02:46:00
  • 大きな弱点はあるけど種族バランスで見たらチートもいいとこなスラヴィアン…だけど根源がモルテにあると不安定感がぬぐえない -- (名無しさん) 2016-04-03 13:23:14
名前:
コメント:

すべてのコメントを見る

タグ:

j
+ タグ編集
  • タグ:
  • j
最終更新:2015年06月17日 04:14