【ペッテンプラヘ最南端岬】

 2017年 12月 10日 2スレ目より dice1d43=8 (8) スレでの異世界ダイスのSSSを膨らませてみました。

 【 ペッテンプラヘ最南端岬 】
新天地オルニトが在る大陸の南端、およそ主要国に住む大半の人々にとっての想像の外、辺境も辺境の地。
だがしかし、その様な地に辿り着いた者がいたのである。
海賊国家ドニー・ドニーが『力』による存在表明から脱却し、異世界の海を握ることで更に大きくなった大航海時代に広大未明な青い世界へと漕ぎ出した中の
『小き大きな魂』(ジョマンジ)”と呼ばれた小さなオーガが率いるペッテンプラヘ海賊団である。
あえて危険に飛び込む彼の指示に従う団員も皆無謀を勇気で塗り潰す者達であり、その航海法も独特であった。
元来世話好きな性質の水精霊は海を進むものに様々な『信号』を送るのである。
時化や嵐、凶暴な海洋生物に近づく船乗りに向けて囁き波を立たせ風雨でもって進路を変えるように促すのである。
凡そ水に精通した者であれば素早くその信号を察知し、遠回りをすることになっても安全を確保するのである。
だが、ペッテンプラヘ海賊団は全くその逆を征くのである。
信号に飛び込み、面と向かう危機を突破し進むのである。
勿論それが可能なのは特異な海洋危機に特化し経験を積んだ団員達の能力と団結力、何よりも自分達が未開の向こう側にある『発見』を掴もうとする強い心の成せる技であった。
目指す地が遠く危険な領域だと理解しているジョマンジは信号を逆手に取ることで最短距離の航路に乗り大陸最南端へと辿り着いたのである。
人智の及ばぬ危険で溢れる大陸の中でも比較的安全な地に着いたのは、そんな彼らだからこそ引き寄せた幸運なのかも知れない。
甲羅を背負うペンギンの様な鱗人の住まう山と森の地。陽の高さではなく“『無邪気な精』(マワ=ヒリ)”と彼らが呼ぶ精霊群による目まぐるしい気候変動で寒暖から乾雨などが訪れるのである。
山の岩肌は堅牢強固であるが、それを崩せば稀少とされる金属鉱石などが眠る鉱脈が現れる。
その気になれば現地人を動かしてそれらを独占することも可能であったが、ジョマンジはこの先に起こるであろう交易を重視して物産取引を持ちかけノウハウを伝授したのである。
外洋からやってくる品々に対して彼らは採掘したアダマント鉱石や銀水晶、独特な味わいを持つ袋豆ウルーカを用意するようになった。
大いなる勇気と友好の証として団が辿り着いた岬は『ペッテンプラヘ最南端岬』と称されることとなったのである。
その後、ペッテンプラヘ海賊団は数十倍の日数をかけて安全な航路を模索しながらドニー・ドニーへと帰還したのである。
日程はとても長いものになるが、その稀少物産を得るために南端交易を行う団は今も少ないながら絶えることはない。

余談であるが、『夢にて天より地を臨んだ』と言い張る風変りなオーガ『コロバヌヴィジン提督』が世界海洋球体説を実証するために南端岬より更に南方へと大船団を率い出航したが
未だ彼らが異世界のどの港にやってきた目撃例も海で彼らの旗を見かけた話も無い。

  • 辺境がどこもかしこも危険ってわけじゃなくてもいいよね。行くまでが大変だけどな! -- (名無しさん) 2017-12-13 20:47:17
  • 異世界の中での異世界交流みたいな雰囲気がある。行こうと思えば行って帰れて交易路も開設できるって異世界開拓はまだまだ広がりそう -- (名無しさん) 2017-12-18 19:24:22
  • 転んブスの反対だから転ばぬ美人なんだよね -- (名無しさん) 2017-12-19 01:16:03
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最終更新:2017年12月13日 02:33
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