「先輩!もう6時半ですよ!うちは遠いんですから、そろそろ朝食食べてください!」
―――母様の声じゃない。雷砂?
ぼんやりとした頭の中に彼女の顔が一瞬浮かび、再びもやが広がっていく……もう少し寝よう。今日くらいは。
「セ、ン、パ、いっ……」
「きゃんっ!」
耳の縁をざらりとしたものが通る。反射的に顔中が熱くなる!またこの子はこんなことして!
「雷砂!貴方っ!」
「先輩!『大空パイロットの誓い第3条』は!」
「……『大空パイロットは勉学・両親をおろそかにしない』です」
「よろしい!じゃあ学校行くからシャワー浴びて、着替えて、朝食いただきましょっ!さ、早くっ!」
「ちょっと!いいじゃない!今日くらいは!」
「だ~め、ですっ!」
私は押し込められるように浴室へ入る。
私は朝が弱い。テニス部キャプテンになってからは朝練のために早起きするようにはなったけれど、それまでには一回も朝練に行ったことはなかった。それくらい弱い。
だから、雷砂の部屋に泊まる日は大抵こんな感じ。今日だっていつもとかわらない。
ぼんやりとした頭の中に彼女の顔が一瞬浮かび、再びもやが広がっていく……もう少し寝よう。今日くらいは。
「セ、ン、パ、いっ……」
「きゃんっ!」
耳の縁をざらりとしたものが通る。反射的に顔中が熱くなる!またこの子はこんなことして!
「雷砂!貴方っ!」
「先輩!『大空パイロットの誓い第3条』は!」
「……『大空パイロットは勉学・両親をおろそかにしない』です」
「よろしい!じゃあ学校行くからシャワー浴びて、着替えて、朝食いただきましょっ!さ、早くっ!」
「ちょっと!いいじゃない!今日くらいは!」
「だ~め、ですっ!」
私は押し込められるように浴室へ入る。
私は朝が弱い。テニス部キャプテンになってからは朝練のために早起きするようにはなったけれど、それまでには一回も朝練に行ったことはなかった。それくらい弱い。
だから、雷砂の部屋に泊まる日は大抵こんな感じ。今日だっていつもとかわらない。
シャワーを捻ると最初から心地よい温度のお湯が私に降り注ぐ。身体全体が覚醒していくのがわかる。
これで雷砂の焼いたトーストと目玉焼きを食べれば、雷砂が主導権を握る時間は終わりだ。そこからは私の時間。じゃれつく雷砂を学校まで引っ張っていって、教室でお別れして、また一日が始まる。
「―――お別れして、また一日が始まる、か」
呟きはシャワーの音にかき消されて彼女には聞こえないだろう。そのことに満足してシャワーを止める。
昨日の私からは考えられない言葉だ。昨日の"お別れ"は、次の日が始まらないお別れだった。
「『飛龍の槍』、壊しちゃったな……」
「いいじゃないですか。先輩が生きているなら」
「聞いてたの?良くない趣味よ。でも、そうね……貴方にそう言ってもらえると救われるわ」
ドア越しに彼女が恥ずかしがっているのを感じる。たまにはこんなのもいいな。
「雷砂、大好きよ」
昨日のことへの反撃と、お礼をこめて。
「ずっと、親友でいようね」
「……はい、グレース先輩」
これで雷砂の焼いたトーストと目玉焼きを食べれば、雷砂が主導権を握る時間は終わりだ。そこからは私の時間。じゃれつく雷砂を学校まで引っ張っていって、教室でお別れして、また一日が始まる。
「―――お別れして、また一日が始まる、か」
呟きはシャワーの音にかき消されて彼女には聞こえないだろう。そのことに満足してシャワーを止める。
昨日の私からは考えられない言葉だ。昨日の"お別れ"は、次の日が始まらないお別れだった。
「『飛龍の槍』、壊しちゃったな……」
「いいじゃないですか。先輩が生きているなら」
「聞いてたの?良くない趣味よ。でも、そうね……貴方にそう言ってもらえると救われるわ」
ドア越しに彼女が恥ずかしがっているのを感じる。たまにはこんなのもいいな。
「雷砂、大好きよ」
昨日のことへの反撃と、お礼をこめて。
「ずっと、親友でいようね」
「……はい、グレース先輩」
―――彼女がいるから乗り越えられた。
だから、今日はみんなに話そう。私と私の自慢の大親友との、世界で一番の友情物語を!
だから、今日はみんなに話そう。私と私の自慢の大親友との、世界で一番の友情物語を!