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飛龍の槍・本編05

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匿名ユーザー

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ディスプレイ一面が白い光に覆われる。
自分が生きていると信じて、狙撃を避けるため機体を左右に振る。
捕獲ネットに押し付けられた機体が左右への動くのにあわせて、圧力のかかったコクピットがギシギシと鳴っている、と感じる。
「生きて、いるのかしら……」
さよなら、の言葉とともに置いてきた自分の命に未練はないと思っていたが、
しかしその酷い言葉をぶつけられながら私を救いに来てくれた親友には、一言だけでも面と向かってお礼を言いたいと思った。
すると、急に命がおしくなってきた。

視界に広がっていた白い光の闇が晴れて、月明かりの下で廃倉庫から爆炎があがっている映像が表示される。
1回目の、廃倉庫へ命中した連携攻撃は飛龍の槍にも命中していたのだろう。
自爆した飛龍の槍は跡形もなく破壊され、その後ろの絶衝機も腕の3本が失われていた。

生きていることに安堵しながらも辺りの状況を調べる。
噛みついている大漁犬2匹が動かないのに気づいてバルカンでカメラ周りを蜂の巣にして、
落下しつつあるザバーのハッチを開き、グライダーを背負いつつ
「大空、聞こえて?グライダーで飛び出すから拾って頂戴」
と、通信を入れる。
了解、という言葉を耳に入れながらコクピットから出る。
ザバーの右肩にのぼって携帯用のヒート・ナイフでネットを切り、グライダーを開いて飛び出す。
夜空の風が頬に冷たい。
「来たわね……」
派手にミサイルやビームを乱射する大空からガイドビーコンが出て、グライダーがコクピットへ誘導される。
「おかえり~」
中に入ると4人が笑顔で出迎えてくれる。
大空の中は暖房で暖かかった。
「さっき確認したら絶衝機の改造型が倒せそうだったわ。」
「グレース、それはちょっとそっけないアルよ……」
妹姫が残念そうにする。レイナもだ。

「でもチャンスですわ。嬢華で素早く決着をつけましょう」
命がその場を仕切ると、みんなの目に火がともる。そしてレイナが叫ぶ!
「そうね!みんな、いくわよ!グレース、パスワード入力!」
「了解。J、O、K、E、R。パスワード入力、完了」
「モビルトレースシステム、レディ」
「フライトシステム、スタンバイ完了です」
「弾幕、全弾発射しますわ」
「よぉーしっ、嬢華、発動!」
声とともにミサイルと装甲が弾け飛び、中から女性のシルエットが現れる。
翼が展開され、バイザーが下りる。
「行くわよ、みんなっ!」
レイナのかけ声とともに大空の機体が夜空を駆ける。一瞬のうちに廃倉庫が大きくなる。
「はあッ!!」
妹姫の気合いが大空へとトレースされる。
絶衝機を収容しようとする食客を正拳で破壊し、青龍刀の一閃を右方に避わす。
「必殺!」
「「見学割!」」
絶衝機が頭から縦に二つに別れる。
「これで、敵も撤退しそうアルな」
「そうね、こちらも退きましょうか」

レイナが応じるので、私は通信機を手にとる。
「鳴砂先輩、ありがとうございました。帰還しましょう」
『……』
返事がない。
「鳴砂先輩!?応答してください、鳴砂先輩!」
『……あんなに爆発の近くにいたのだから、気絶してしまいます』
「影先輩?」
『……はい』
音もなく、目の前に忍者型の機体が姿を現す。手には、鳴砂先輩とそのバイクがある。
「みんな無事で良かったわね!じゃ、帰りまーす!」
レイナの言葉は月まで届くようだった。

―――おわり

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