【Scene.14 犯人は誰だ?】

   am5:00 ~サンモリッツ廃ホテル1階 大階段前ロビー~



この廃ホテルの入口は正面玄関と地下室への扉の二箇所。
どちらからも侵入した者も、出て行った者もいなかった。

音石明を殺害した犯人は、この建物の中にいる。



「信じてくれるかどうかわからんが、わしじゃあない」
「そうデス! ツェペリさんはそんなことをする人ではありまセン! 理由も無いデス!」
「どうだかなッ!? あんたらだってこのゲームが始まってから知り合った関係だろ?
そのオッサンの何を知ってるっていうんだ?」

音石の遺体の顔に布をかぶせ、ツェペリは弁明を行う。
それにトニオは同調し、J・ガイルが反論をする。

J・ガイルとしては、もう黙ってはいられない。
仮そめとはいえ、同盟を組んだ仲間内で殺人が起きたのだ。
それも、殺されたのはスタンド使いである音石明だった。

音石の『レッド・ホット・チリペッパー』は、戦えばなかなかの戦闘力が期待できそうな能力だった。
それほどの男を、いともたやすく殺害した犯人がこの中にいる。

それに、光り輝くあの能力は、手を組めば自分の『吊られた男』と相性がよかったかもしれない。
ワムウの次に自分にとって利のありそうな男だっただけに、惜しい人間を亡くした。


「問題は、彼の遺体が『デイパックの中』に収納されていたということです。
『スタンド能力』を用いなければ、こんなことはできないのではないでしょうか?
つまり………」

今度はダンが、宮本に視線を移しながら話し始めた。
再び宮本は自分が疑われ、震え上がる。

「こんなことは言いたくないですが、やはりデイパックの中に人間を収納できるのは、宮本くんの能力以外では不可能なのではないしょうか?」
「フン、たしかにその通りだな。どうなんだ宮本? ダンくんはあんたが犯人なんじゃないかと聞いているが?」
「違う! 僕は何も知らない!!」


「ヤメテクダサイ! 疑心暗鬼になるは危険デス!! みなさんで協力して犯人を探しまショウ!!」

疑いをヒートアップさせるダンとJ・ガイルを、今度はトニオが制する。
トニオはツェペリのことも宮本のことも、まだ信用している。

だが、ツェペリのデイパックから音石の遺体が発見されたのは事実だった。
疑いのかけられているツェペリの発言に力は無い。
自分が場を収めなければ、と、トニオは覚悟を改めた。

しかし、J・ガイルの疑いの矛先はトニオにまで及ぶ。


「トニオさんよ… 初めに音石が自分の名を名乗った時、あんただけは前から知っていたような様子だったが、あれはどういうことだ?」
「ッ!! そ、それは……!!」

このタイミングでそんなことを聞かれるとは予想していなかった。
あの時の様子はツェペリも気にしていたようだった。
言い倦ねているトニオに、「話してみなさい」とツェペリは目で語りかける。
仕方なく、トニオは音石明に関する自分の知っている限りの情報を話し始める。

音石明が凶悪な犯罪者だったこと。
自分の友人が兄を殺されたこと。
刑務所に服役しているはずの人間であること。
あまり知っている人間ではなく、良い情報でもないので黙っていたこと。
しかし……

「ま、信用しきれねェよな…… 『死人に口なし』……… 今更音石を問い詰めることもできねェし………」
「なッ?」
「『音石の方が、あんたにとって都合の悪い何かを知っていた。だからそれを話される前に、あんたが音石を始末した。』
そういう可能性だって、考えられるわけだよなァ?」

J・ガイルは、自分とワムウ以外の人間全員を疑っていた。
いや、J・ガイルにとって、犯人が誰かということはもはやどうでもいい。
ただ、このワムウ以外のこのメンバーと同盟を組み続けることだけは御免だった。
可能ならば、ワムウ以外の全員をこの場で殺害してしまってもいいと考えていた。



だが、今度はダンがJ・ガイルに疑いをかける。


「J・ガイルさん、そういうあなたはどうなんです? 遺体の入っていたデイパックはツェペリさんの物ですが、実際に開けたのはJ・ガイルさんです。
あなたがデイパックを開ける際、我々に分からないように遺体を出現させたという考え方もできます」
「何だと?」
「違うというのならば、あなたのスタンドを見せてみてください。それで証明されます。
そして同じ理屈で、スタンドを持たない私やツェペリさんは犯人にはなり得ませんよ。宮本くんがグルでない限りはね」

ダンにとって、一番疑わしいのはこのJ・ガイルだ。
自分と同じDIOの部下。そしてエンヤ婆の息子は残忍な性格だと聞いている。
スタンド能力も謎。この場でもっとも殺人を行う可能性の高いのはJ・ガイルだった。

対するツェペリは、演技しているとすれば大したものだが、そうとうの善人である。
トニオも同様にだ。

戦闘能力ではワムウに分があるかもしれないが、自衛能力が無いに等しいダンにとっては、手を組むべき『正義のヒーロー』はツェペリの方だった。
波紋の戦士であるツェペリならば、DIOに対してもワムウに対しても、有利に戦えるかもしれない。
できる限り、まだツェペリとの同盟関係は破棄したくはなかった。

「グ…… 『スタンド』は、見せられない。だが、犯人は俺じゃあない!」

問い詰められJ・ガイルは狼狽する。
ワムウの表情を伺うが、彼は鼻で軽く笑うだけで助けは期待できそうもない。
確かに『吊られた男』の能力を見せれば、自分の能力では遺体を隠すことが不可能なのは証明される。
だが、大勢の人間に能力を知られることは、疑いをかけられること以上に避けたかった。
それに、どいつが犯人なのかはわからないが、簡単に音石殺害をやってのけた誰かがいる。
これだけの人間の目をかいくぐって、スタンド使いである音石明をどうどうと殺害した危険人物が……
そんな野郎がいるこの場で、軽々と能力を披露することは御免である。

J・ガイルは否定することが精一杯、しかしJ・ガイルは新たな反論に出る。

「だいたい、それを言うなら、貴様やツェペリが『スタンド使いでない』ということはどう証明するつもりだ?
貴様もツェペリも、そしてワムウもスタンド使いじゃないと言い張るが、『スタンドを見る』ことはできる。
スタンドの可視不可視での判別ができないのならば、もはや『悪魔の証明』ってわけだ!
俺から見れば、貴様やツェペリが『宮本と同タイプのスタンド』を持っている可能性だって考えられるんだぜ?」
「くっ……」

今度はダンが反論に詰まる。
実際にダンはスタンド使いであることを隠しているからだ。
J・ガイルの言うことはもっともであることもよくわかる。
そして『スタンド』についてまだ明るくないツェペリも、こう言われてしまえば自分の無実を証明することは出来なかった。

「それに、音石の心臓に突き立てられているあの短剣……… あれは誰の支給品なんだろうなァ?
俺たちは全員デイパックの中身を見せ合ったが、ツェペリだけは自己申告だった……
そして、おめえだけ支給品の数は1つだった。もう1つが、あの短剣だったんじゃあねえのか?」

「違うッ! わしの支給品はティーカップ1つだけじゃったッ! それだけは間違いないッ!」

「だからおめえはそれを証明できんのかよッ!?」





「し…… 支給品と言えば………」

J・ガイルとツェペリが激しく口論する中、宮本輝之輔が初めて自分から話に入ってきた。

「ダンさん…… あ、あなたの支給品だけ、ほかの人よりも数が『1つ』多かった……ですよね?
あれは、本当に全部、あなたの物なんですか……?」
「ッッ!!!?」

その瞬間、スティーリー・ダンは心中で激しく動揺する。
ついに、この指摘を受けてしまった。
しかも、一番無警戒だったこの宮本輝之輔という小僧に………

「確かに、ハズレとはいえあんただけひとつ多かったよなァ? どうなんだ、ダンくんよォ…?」

J・ガイルが宮本を後押しし、ダンに詰め寄る。
ダンは動揺を悟られないように、なんと答えればいいか頭を働かせる。
宮本の指摘通り、ダンの支給品はすべてが元々自分のものではなかったからだ。




【Scene.15 もうひとつの殺人】

   am0:13 ~サンモリッツ廃ホテル周辺 路上~


ゲーム開始から10分が過ぎた。
この俺、スティーリー・ダンはサンモリッツ廃ホテル周辺の街道に飛ばされていた。
どうしてこんな目に…… なんで俺がこんなことに巻き込まれないといけねェんだ。
俺の問いかけに答えるものはいない。
不安で胸がつぶれそうだ。

ゲームが始まって間もないが、自分の身にどれほどの災悪が降りかかっているのかは理解していた。
次の瞬間には、自分は殺されているかもしれない。
それを思うと、怖くてたまらない。

自分のスタンド能力は誰よりも弱い。
強力なスタンド使いとの戦いになれば、自分に勝てる見込みはない。

そうだ、武器。
あのメガネの男は、武器やいろいろな道具を支給品として与えると言っていた。
何か強力なものが配布されていれば、俺にも勝機があるかもしれない。
マシンガンとか、スナイパーライフルとか、グレネードランチャーなんかだったら最高にラッキーじゃねえか!
そう期待して、デイパックを開く。そして発見された支給品は――――――


「ブーメランに…… ダーツセットだとォ?」

そこから現れたのは、どうみても子供のおもちゃのようなガラクタだけだった。
こんなものでどう戦えというのだ。主催者は何を考えている。
これでは、そのへんに転がっているレンガなんかの方がよっぽど優秀な武器に見えた。

そんなことを考えていると、道の向こう側から人の気配が近づいてくる。
俺は急いで民家の物陰に隠れ、様子を伺った。

歩いてきたのは、まだ少年だった。
俺以上にビビりまくっているようで、震えてキョロキョロしながら道を歩いていた。
初めは放っておこうかと思った。
だが、その少年の手に握られている物を見て、考えが変わった。
少年は生意気にも、拳銃を握りしめていた。
俺の支給品は、フザけたおもちゃだったのに……


欲しかった。
その時、俺はその拳銃がどうしようもなく欲しかった。

気が付けば俺は、レンガを握りしめていた。
少年が握りしめている拳銃が、『ただのおもちゃ』であるということにも気付かずに……



俺がサンモリッツ廃ホテルに侵入しツェペリたちと出会う、ほんの数十分前の話だ。






   am4:32 ~サンモリッツ廃ホテル近郊 民家~


(頭を何発も殴打されている…… 可哀想にな………)

ジャイロは発見した遺体の状態を確認する。
遺体は東洋人の少年だった。まだ小さい。
クローゼットの中には、凶器に使われたであろう血まみれのレンガブロックも発見された。

(東洋人は若く見られがちという話を聞いたことがあるから、多分マルコよりは3つか4つ年上ってところか……
チクショウ………)

少年は無抵抗だったようだ。
いや、抵抗する暇すらなかったのだろう。それくらい執拗に殴られたようだ。
この少年は、その犯人にそこまでされなければならないほどの何かをしたというのか?

ジャイロの心に、二種類の怒りの感情が生まれる。
ひとつは、こんな小さな子供を無慈悲に殺害した外道に対して。
そしてもうひとつは、自分に対してだ。

(オレは研究所で何時間も無駄な時間を……… 俺がもっと早く来ていれば、この子供は助かったんじゃあないのか?)

ジャイロは自分の行動を悔いていた。
医学の勉強なんて、いつだってできる。
食事なんか、移動しながらでもよかった。

ビーティーのような少年にいっぱい食わされ、調子を狂わされていた。
まだ自分が恐ろしい殺し合いゲームに参加させられていることを、実感しきれていなかった。

それに、ジャイロを責めるのは酷な話である。
この殺人が行われた時、ジャイロはまだビーティーと出会ったばかりの頃だった。
始めからジャイロにこの殺人を防ぐことなどできなかった。

しかし、それでもジャイロは自分を『納得』させることは出来なかった。



「待ってろよ、少年……… 俺が必ず犯人を見つけ出し、罪を償わせてやるからな……」


ジャイロは心に誓う。
この少年を殺した犯人を必ず見つけ出すと。

ジャイロは胸の前で十字を切り、そして少年の衣服の乱れを直してやる。
その時、ジャイロは少年のTシャツに書かれた名前を見つけた。
自分の服に名前を書くとは、なんとも可愛らしい少年だった。
そして、Tシャツの名前はこう書かれていた。









この遺体の少年は、ジャイロが研究所で出会った少年の探していた友人だった。





【Scene.16 犯人はこの中にいる?】

   am5:23 ~サンモリッツ廃ホテル1階 大階段前ロビー~



「ああ、3つとも俺の支給品だッ! 間違いない!」
「J・ガイルくん! いい加減憶測で物を言うのはやめたまえッ!! わしだって支給品は1つだったのじゃ! 3つの人間がいてもおかしくはないだろう!」

「ハッ、どうだかな?」

ダンはツェペリの支給品がティーカップセットだけであったことを疑ってはいない。
ここにいる他のメンバーは全員支給品が2つずつだったが、自分が外で殺害した少年の支給品はおもちゃの鉄砲1つだけだった。
支給品が1つだけというのは、有り得ることなのだろう。

だが、3つはどうだ?
ダンは自分を含め、ゲーム開始時から8人の参加者のデイパックを確認しているが、支給品を3つ配布されているものは未だいない。
今はとっさに嘘を吐いてしまったが、もし今後出会う参加者の中に支給品を3つ配布されているものがいなかったら……
支給品3つということが『有り得ないこと』だったとすれば……


(クソッ! どうすればいい? こんなことならば、あんなおもちゃの銃なんてどこかで捨ててくればよかったッ!
いや、そもそも支給品を見せたのが間違いだったッ!)


まだ宮本が発見される前、スティーリー・ダンは拳銃を欲していた。
所有者不明だったデイパックを確認した際、中から支給品の紙が『3つ』発見されたのだ。
このときダンは、支給品が『3つ配布されることもある』ものだと勘違いしてしまったのだ。
そして自分の無力さと支給品運の無さをアピールして拳銃を譲り受けるため、その場でブーメラン、ダーツセット、おもちゃの鉄砲を全てさらけ出してしまったのだ。
無人のデイパックの中の支給品が本当は『2つ』で、残り1つが所有者である宮本本人であることが分かる前に。
ダンにとって、すべてが運のない方向に物語が進んでしまったのだ。


そう言った意味では、J・ガイルの方はダンよりも上手く立ち回ったと言える。
J・ガイルもダンと同じように殺人を犯してからこのホテルを訪れたが、彼は自分に配布されたバイクと包丁を既に破棄していた。
バイクは後で使うつもりでもあったが、まあ仕方ないことだ。
空条ホリィへの支給品を自分の物と偽り、ダンと同様の疑いをかけられることは無かった。


そしてこの時、宮本は今のやり取りを観察し、ダンが何かを隠していることを確信していた。
人を観察することに長けた宮本には、ダンの表情から考えが読めたのだ。
ダンは恐怖を感じると、目尻が下がりタレ目になるという癖があるようだ。
そして自分に支給品の数について指摘された時、その癖がはっきりと現れた。
恐怖のサインというのは、隠そうと思ってもなかなか隠せるものじゃあない。
そしてダンの恐怖のサインは疑いを掛けられたことによる同様ではなく、何か隠し事がバレそうになった時のものだった。

音石明を殺したのがダンであるかどうかはわからない。
だが、ダンが重大な何かを隠していることだけは間違いなかった。



「フン、くだらん…………」


ダンとJ・ガイルが口論を繰り広げる中、沈黙を保っていたワムウが突然話し始めた。
この中でただ一人、誰からも疑いをかけられていないのはワムウだけだった。
しかし、ワムウにとっては今の時間は不快でしかなかったようだ。

「黙って聞いていれば、くだらん言い争いばかりしおって………
貴様らといても得られるものはもう何もなさそうだ。音石が誰に殺されたか、そんなことはおれにはどうでもいい。
おれは、もう貴様らに用はない…………」

「……ワムウくん、何を考えている!?」

「ここからなら、杜王駅か空条邸、それにタイガーバームガーデンだな。日の出まで30分。
ギリギリだが間に合わない時間でもない……」



ワムウはもともと、このホテルに長居するつもりは無かった。
できる限りカーズと再会したくないワムウは、縁のあるこの施設に長くとどまることは避けたかった。
だが、ツェペリ家の人間、参加者間の時代の差、未来のJOJOを知る人間、そして『スタンド能力』……
この施設で知り合った人間から得られる情報はかなりのものだった。
そこでワムウも同調し、彼らと同盟を組むことに甘んじていた。
だが音石が何者かに殺されてからというもの、人間たちは醜く言い争いを繰り広げているだけだ。

もはやこの同盟関係に未来はない。
たとえ犯人が見つかったとしても、一度崩れた信頼関係が修復されることなどないだろう。
いや、そもそもここにあるのは打算のみ。
ここにいる人間たちに、始めから信頼関係などなかったか。


ワムウが目的地に定めた場所は、ここから近い、地下施設に通じる施設だ。
もうすぐ日の出である。それまでに地下と繋がりのある施設にたどり着きたかった。
このサンモリッツ廃ホテルからも地下に潜れるが、『カーズのアジト』にしか繋がっていないのでそれは避けたかった。
そこに近い『ドレス研究所』も同様だ。



「J・ガイル、荷物をまとめろッ! それから、宮本も連れてくるのだッ!」
「は… はいッ!」
「ひいっ!!」


ワムウに指名され、J・ガイルは歓喜、宮本は恐怖する。
J・ガイルはワムウが自分を味方と認めてくれたのだと思ったのだ。

ワムウにとって、J・ガイルが自分に取り入ろうとしているのは明らかだった。
そして、J・ガイルがこの中でもっとも腐った性根をしていることも。
だからこそ、自分の手足として利用するには持ってこいだった。
これから日が登っている間、自分は行動が制限される。
その間に動かす駒として、J・ガイルが選ばれたのだ。

そして宮本は、その能力『エニグマ』に目を付けられた。
この能力は、主催者側が参加者に支給品を配布しているものと同じタイプのものだ。
宮本が主催者につながる何かを持っている可能性はまだ消えていない。
ワムウの目的はあくまで主催者殺害。
その目的のために、宮本は手元に置いておきたい人間だった。



「待てワムウ! 勝手な行動は許さんぞ!」
「ほう? ツェペリ、殺人犯の疑いをかけられている貴様が、このワムウに指図するか?」
「それとこれとは話は別じゃ! とにかく今、お主をここから出すわけにはいかん」


自分が目を離すと、ワムウは外で何をしでかすかわからない。
いや最悪でも、ワムウが1人で出ていくというのならば止めなかったかもしれない。
だが怯えている宮本までもを連れて行くというのならば、黙っているわけにはいかない。






「フハハハハハ、そうかそうか………
そんなにまで死にたいか? ウィル・アントニオ・ツェペリ!!」







ワムウの表情が豹変した。


トニオは焦り、しかしどうすることもできない自分を歯がゆく思う。
ダンも、自分が利用するのに最適だったツェペリの身を案じている。
宮本はJ・ガイルに首根っこを捕まえられながら、両目をつぶりただただ恐怖している。
J・ガイルはもともと気に食わなかったツェペリをワムウが始末してくれることを願っていた。
そしてツェペリはワムウに対し、戦闘態勢を取った。


「馬鹿な真似はやめろワムウッ!」
「フン! やはり貴様ら波紋の戦士は皆同じだな…… 我ら柱の一族にとって害にしかならぬわッ!!
いろいろと情報提供感謝する…… だが、貴様にもう用はない!!
ウィル・アントニオ・ツェペリ!! シーザーの眠るこの同じ場所で、貴様も死ねィッ!!」



ワムウが、いまにもツェペリに襲いかかろうとしたその刹那、ホテルの正面玄関の扉が勢いよく開かれた。









「俺の名はジャイロ・ツェペリ!! お前らに少し聞きたいことがあるッ!!」
「何ィ!? またツェペリだと!?」


am5:30 日の出、そして第1回放送まで、あと30分。
サンモリッツ廃ホテル1階 大階段前ロビー

ウィル・A・ツェペリ
トニオ・トラサルディー
スティーリー・ダン
宮本輝之輔
J・ガイル
ワムウ

ジャイロ・ツェペリ
……and.1


長い夜が明けようとしていた。



【音石明 死亡】
【麦刈公一 死亡】

【残り 93人】




【B-8 サンモリッツ廃ホテル1階大階段前ロビー・1日目早朝】

【ウィル・A・ツェペリ】
[能力]:『波紋法』
[時間軸]:ジョナサンと出会う前。
[状態]:体内にラバ―ズ
[装備]:ウェッジウッドのティーカップ(水が少量入っている)
[道具]:基本支給品(水微量消費) 、???
[思考・状況]
基本行動方針:主催者の打倒
1.ワムウを止める。
2.突然現れたジャイロ・ツェペリとは何者か?
3.音石くんを殺害した犯人を特定したい。


【トニオ・トラサルディー】
[能力]:『パール・ジャム』
[時間軸]:杉本鈴美を見送った直後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、スティクス神父の十字架
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いから脱出したい。
1.ツェペリを心配。どうにかこの状況を収めたい。
2.このジャイロという人は何者?
3.音石サンを殺害した犯人は誰?


【スティーリー・ダン】
[能力]:『ラバーズ』
[時間軸]:承太郎にボコされる直前。
[状態]:健康
[装備]:家出少女のジャックナイフ、おもちゃの鉄砲
[道具]:基本支給品、ブーメラン、おもちゃのダーツセット
[思考・状況]
基本行動方針:死にたくない。
1.目の前の状況をどうにかしたい。
2.あのガキ(麦刈公一)を殺したことだけはバレないようにしなければ……
3.音石の野郎を殺したのは誰なんだ?
4.ツェペリがまだ一番信用できる。ツェペリに取り入りたい。
5.J・ガイルは俺と同じDIOの配下。一番信用できない。
6.『支給品3つ』が有り得ないことだとしたら、ヤバい。自分の殺人がバレてしまう。


【宮本輝之輔】
[能力]:『エニグマ』
[時間軸]:仗助に本にされる直前。
[状態]:恐怖、J・ガイルに捕まっている
[装備]:コルト・パイソン
[道具]:重ちーのウイスキー
[思考・状況]
基本行動方針:死にたくない
1.ワムウに連れて行かれたくない。誰か助けてくれ。
2.スティーリー・ダンを警戒。奴は何かを隠している。
3.音石を殺したのは誰なんだ?


【J・ガイル】
[能力]:『吊られた男(ハングドマン)』
[時間軸]:
[状態]:健康
[装備]:コンビニ強盗のアーミーナイフ
[道具]:基本支給品、地下地図
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る。
1.ワムウを味方につけることに成功。ツェペリを殺してしまえ!
2.音石を殺したのは結局誰なんだ? まあ、今となってはどうでもいいか……


【ワムウ】
[スタンド]:なし
[時間軸]:第二部、ジョセフが解毒薬を呑んだのを確認し風になる直前
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:JOJOの誇りを取り戻すために、メガネの老人(スティーブン・スティール)を殺す。
1.情報収集は十分。ツェペリを殺す。
2.ジャイロ・ツェペリだと?
3.J・ガイル、宮本輝之輔を連れて移動する。
4.カーズ様には出来るだけ会いたくない。
5.だが、カーズ様に仇なす相手には容赦しない。


【ジャイロ・ツェペリ】
[スタンド]:
[時間軸]: 不明(JC18巻、ジョニィから大統領の能力を聞いた後ではある)
[状態]: 健康
[装備]:鉄球、公一を殴り殺したであろうレンガブロック(証拠品)
[道具]:基本支給品、クマちゃんのぬいぐるみ、ドレス研究所にあった医薬品類と医療道具
[思考・状況]
基本行動方針:背後にいるであろう大統領を倒し、SBRレースに復帰する
1.麦刈公一を殺害した犯人を見つけ出し、罪を償わせる
2.ホテル内のこの状況は何だ?
3.ジョニィを探す。

[参考]
音石明の支給品である少年ジャンプ、缶ビール
そしてワムウの支給品である音石のエレキギターとボクシンググローブは放置されています。




[音石殺害事件 疑惑まとめ]
①宮本犯人説
  • 最有力
  • 音石明の遺体をデイパック内に収納できるのは宮本の『エニグマ』をおいて他に無い。

②ツェペリ犯人説
  • 有力候補
  • 遺体はツェペリのデイパックから発見された。
  • ツェペリは実は宮本と同タイプのスタンド使いであり、それを隠している?
  • 凶器となった短剣はツェペリへのもうひとつの支給品なのでは?

③トニオ犯人説
  • トニオは音石のことを以前から知っていた。
  • 音石によくない情報を握られており、その口封じのため殺害した?

④J・ガイル犯人説
  • 実際にデイパックを開いたのはJ・ガイルである。
  • スタンド能力の秘密を隠している。
  • DIOの部下であるため、ダンは特にJ・ガイルを疑っている。

⑤スティーリー・ダン犯人説
  • 支給品の数がおかしい。何か秘密を隠しているのかもしれない。
  • 恐怖のサインを見せていたため、宮本は特にダンを警戒している。

※J・ガイルは自分とワムウ以外の全員を疑っている。






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最終更新:2012年12月09日 02:25