例えば……君らが、あるマンガキャラを原作とした対戦格闘ゲームを予約したとする。
別に発売日に店頭に並んで待ってたっていいのに、予約したとする。

……なぜ?

どうしても発売初日に手に入れたい?
売り切れが心配?
初回封入特典のダウンロードコードとメモ帳がほしかった?
数量限定生産のエッチングプレートがほしいから?

――おいおいそう熱くなるなよ。俺は何もゲームそのものについて話をしようとしてる訳じゃあない。
要は“欲しかった『理由』”について聞いてるんだよ。

何もゲームの購入に限ったことじゃあない。
全ての行動に理由はある。

……たぶん、きっと。


●●●


「よくもエリナを……エリナばあちゃんを見殺しにしやがったなッ」
バキィッ!

「……」

「治したとか言って手ェ抜いたんじゃねぇだろうなァアッ」
ドムッ!

「……」

「彼女は俺のこと本物の旦那と信じて疑わなかったんだぞッ」
ベチィッ!

「……」

「なんで、なんで死なせたんだ!このハンバーグ頭ッ」
ボスッ!

「……」

「何とか……何とか言えよ!この野郎ッ……クッソ……」

「……」

「オイ……ナメてんのかテm」
ドガァッ!

「おい――俺の頭がなんだって?
 ドサクサに紛れてバカにしてんじゃあねぇぜッ!

 殴って気が済むならいくらでも殴りやがれ!
 ……俺のは一発で許してやるよ、えぇ?親父」

「――え」

「俺だって“曾祖母ぁちゃん”を救えなくって悲しいさ。悔しいんだ。
 だがよ、俺は一緒に暮らしてた祖父さんが死んだときにゃあ一秒も泣かずにその意思を継いだもんさ。
 ジョセフ・ジョースターっつったな?
 『ジジイ』の若いころがこんな泣き虫野郎だとは思わなかったぜ」

「お、おま――じゃあ本当に」

「んな事今ここで問答するこっちゃあねぇだろ。
 『エリナばーちゃん』はそんな事望んでるのか?
 見てみろよ、幸せそうな顔で眠るようでよ――
 アナタは泣かないで前向いて歩いてくださいね、って、そういってる風には見えねぇか?」

「……何が言いてぇんだ?かたき討ちでもしに行けってのかッ!?」

「それをバーチャンは望んでないだろうがな。
 きっかけなんて、理由なんてそんなもんでいいだろ、とにかく立ちやがれ。
 ここでグズってるよりは百倍マシだと思うぜ、俺ぁよ」


●●●


「畜生!おいなんで行かせてくれないんだよ!仲間攫われてんだぞ!」
そう叫ぶ男は噴上裕也。目の前には立ちはだかる一人の軍人。

「何度も言っておろうが!マウンテン・ティムに任せておけとォ!
 貴様らごときが行ったところで足手まといにしかならんわァアア!」
周囲の目も気にせず高らかに声を上げるのはシュトロハイムである。

ちなみに、
「あーあ、だめだこのガンコ軍人。あたしはエルメェスのそばにいるから何とか説得しておいて」
早々に説得を放棄したシーラEはそう言って救急車の中に戻ってしまった。

「ホラホラァ!言葉で説得できなければ力ずくでも俺を納得させて見せろォ!」
「クッソ!言われなくてもッ!ハイウェイ・スター!次は左からだ!」

言いながら己の分身をシュトロハイムにぶつける。
身体に張り付く無数の足跡に、普通の人間なら栄養失調で立ってなどいられない。
更に上半身は拳でのラッシュを無防備な顔面に叩きこむ。

しかし。

「――効かぬわアァァッ!」

それらの猛攻をものともせず本体である噴上の足元に威嚇射撃。
当然弾丸は当たらないものの、不意を突かれた上にその気迫に押し負けた噴上はスタンドを消してしまう。

「――えぇい!ナチス軍のサイボーグはバケモノかッ!?」
思わずこぼす噴上。それに対しシュトロハイムは鼻を鳴らす。

「バケモノ?違うなァ!貴様らが軟弱すぎるのだ!
 なーにが『スタンド』!なァにが『ひ・と・り・ひ・と・の・う・りょ・く』だッ!
 そんな慎ましさで今後襲いくる脅威に敵うモノかァ!サンタナなどカーズらに比べれば赤子も同然よ!」

「おい……スタンド使いバカにしてんのかよ」
「そうともよ!マウンテン・ティムはスタンド使いである以前に『カウボーイ』で『保安官』!さらに『ルックスもイケメン』だ!
 たかだか『学生』でしかない貴様よりは十分に有能よ!ゆえに康一の捜索を依頼した!貴様の匂いの能力も不要!」

「それが――それがさっきまで一緒に戦った仲間に言うセリフかよ(つーかイケメン関係ねーだろ)」
もはや噴上からは闘志が抜けきってしまっている。
目の前の男に叶わない事実。仲間を追う事すら許されない悔しさ。

「フン、貴様が重要なことを忘れて――お、終わったか、気分はどうだ、ジョジョ」


●●●


「気分はどうだ、ジョジョ」
そういって後ろに立つジョセフ・ジョースターに向かって歩き出すシュトロハイムを手で制す。

「康一を追わせてもらうぜ」
「なんだなんだ、パパの前に子供が立つだなんて、なかなか面白い光景じゃあないか?普通は逆だぞォ?えぇ?ジョースケよ」

シュトロハイムの奴がやっすい挑発をかましてくるが気にしてなどいられない。
康一が攫われてるっつーのにこの泣き虫野郎の説得に時間をかけすぎたからな……
これが“ジジイ”いや『オヤジ』なんて信じられっかっつーの、俺は絶対ェに認めたくねーぞ――

「話題変えてんじゃあねぇ。康一を追いたいっつってんだ」
「ホホォ~?それじゃあ噴上に代わってこの俺を説得してみるんだなァ?」

なるほど……それで噴上はこんなに悔しそうなのか。シュトロハイムも面倒な事しやがったな――

「ホラホラァ~何とかして康一を追いたいんだろォ?その理由言ってみなァ」

わーったよ……そんなに聞きたきゃ言ってやる。
たっぷり十秒くらいは間を開けた後、軽く息を吸い込む。
極力感情を抑えて俺は口を開いた。


「ダチ助けるのにいちいち理由がいるのかよ」


「んん?ダチぃ~?」
「そうよ、広瀬康一は俺の親友だ。そいつを助けに行きたいんだ。理由なんかいらねぇだろ」

眉一つ動かさずそう付け加えた。
俺のメンチとタンカを黙って聞いてたシュトロハイムは……

「フン、やっと友人という単語を聞けたわ。
 そう、それでいいッ!『仲間は友とは限らん』が!『友は仲間』なのだァァァ!
 よし良いだろうッ!合格だ!全員で追うぞォッ」

そう返してきた。


……き、決まったァ~仗助君カッコイイ~!


「お、ちょうどいいタイミングだったかな?行くんだろ?コウイチ君を追っかけに」
「君が治療してくれたんだってな、ありがとよ、ジョウスケ。
 ……ちょっと前から見てたけど、ナチスのアンタ。うめぇなぁ、ピエロごっこがよ、ハハハ」

振り返ればシーラEがそう言って手を振ってる。隣にいるのはエルメェス!意識を取り戻したみてーだな。

「チッ、なんだ俺ぁやられ損かよ。おい仗助、良い役回りやったんだから今度なんか奢れよ――もういいだろ、行けッハイウェイ・スター!」
背中をドツいてきた噴上も、悪態付きながらスタンドを展開してる。思ったよりショック少なそうだな。


で――問題の奴は……?
「――ジョースケ、悪かったな。
 まだ漠然としちゃあいるが、俺だってなんかしなくっちゃあな。
 きっとエリナばぁちゃんもそう望んでるだろうからな」


……大丈夫そうだな、さっそくシュトロハイムの激励攻撃にあっていやがる。


よっしゃ、いっちょ康一を攫ったやつをぶん殴りに行こうじゃあねーか!


●●●


――どうやらうまく話がまとまったみたいだ。

しかし仗助が『理由なんてそんなもん』とか言いながら、ちょっとしたら『理由なんかいらない』って言うんだから面白いもんだ。

だがそれは確かに的を射てる言葉だ。
……確か君らに最初に話したのは『欲望の話』だったかな。それにも似通ってくる。
本能的な行動には理由なんかないが、それをいかに理由づけて抑制するか。
あるいはその逆かな。どう理由つけてワガママを押し通そうとするか。

――ん?
なんで仗助がこんなにカッコ良すぎるか?その理由?

う~ん……



……『主人公補正』ってやつかな?


バァー―z__ン



【B-4 古代環状列石(地上)/一日目 朝】


【チーム名:HEROES+(-)】

【ジョセフ・ジョースター】
[能力]:波紋
[時間軸]:ニューヨークでスージーQとの結婚を報告しようとした直前
[状態]:絶望(回復中)、体力消耗(中)、泣き疲れて目が真っ赤
[装備]:なし
[道具]:首輪、基本支給品×4、不明支給品4~8(全未確認/アダムス、ジョセフ、母ゾンビ、エリナ)
[思考・状況]
基本行動方針:オレだってなんかしなっくっちゃあな……
1.康一を追うことに同行
2.悲しみを乗り越える、乗り越えてみせる

[備考]
エリナの遺体は救急車内に安置されています。いずれどこかに埋葬しようと思っています。

ルドル・フォン・シュトロハイム
[能力]:サイボーグとしての武器の数々
[時間軸]:JOJOとカーズの戦いの助太刀に向かっている最中
[状態]:健康
[装備]:ゲルマン民族の最高知能の結晶にして誇りである肉体
[道具]:基本支給品(食料1、水ボトル少し消費)、ドルドのライフル(5/5、予備弾薬20発)
[思考・状況]
基本行動方針:バトル・ロワイアルの破壊
1.康一を追うことに同行。友というその言葉!聞きたかったぞ!
2.ジョセフ復活!思ったより元気そうじゃあないか!
3.『柱の男』殲滅作戦…は、どうする?

東方仗助
[スタンド]:『クレイジー・ダイヤモンド』
[時間軸]:JC47巻、第4部終了後
[状態]:左前腕貫通傷(応急処置済)、顔面の腫れ(軽度・ジョセフに殴られた)、悲しみ、やや興奮気味
[装備]:ナイフ一本
[道具]:基本支給品(食料1、水ボトル少し消費)、不明支給品1~2(確認済)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに乗る気はない。このゲームをぶっ潰す!
0.康一を追う。さらったやつは容赦しない。
1.ジョセフ・ジョースター……親父とはまだ認めたくない(が、認めざるを得ない複雑な心境)
2.各施設を回り、協力者を集めたい
3.承太郎さんと……身内(?)の二人が死んだのか?
4.キマッタァァァ俺カッコイイー!

[備考]
クレイジー・ダイヤモンドには制限がかかっています。
接触、即治療完了と言う形でなく、触れれば傷は塞がるけど完全に治すには仗助が触れ続けないといけません。
足や腕はすぐつながるけど、すぐに動かせるわけでもなく最初は痛みとつっかえを感じます。時間をおけば違和感はなくなります。
骨折等も治りますが、痛みますし、違和感を感じます。ですが"凄み"でどうともなります。
また疲労と痛みは回復しません。治療スピードは仗助の気合次第で変わります。

【噴上裕也】
[スタンド]:『ハイウェイ・スター』
[時間軸]:四部終了後
[状態]:全身ダメージ(回復)、疲労(ほぼなし)、ちょっと凹んでる
[装備]:トンプソン機関銃(残弾数 90%)
[道具]:基本支給品(食料1、水ボトル少し消費)、ランダム支給品1(確認済)
[思考・状況]
基本行動方針:生きて杜王町に帰るため、打倒主催を目指す。
1.康一を追うことに同行
2.ジョセフ・ジョースター、マジか……
3.各施設を回り、協力者を集める?
4.ったく損な役回りだったぜチクショウ……↓

エルメェス・コステロ
[スタンド]:『キッス』
[時間軸]:スポーツ・マックス戦直前
[状態]:ダメージによる疲労、傷は回復、空腹
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況] 基本行動方針:殺し合いには乗らない。
1.康一を追うことに同行
2.まずは現状を把握したい
3.徐倫、F・F、姉ちゃん……ごめん。

[備考]
シーラ・Eから自分の境遇についてざっと聞きました。これから他のメンバーと情報交換したいと思っています。

【シーラE】
[スタンド]:『ヴードゥー・チャイルド』
[時間軸]:開始前、ボスとしてのジョルノと対面後
[状態]:健康、肉体的疲労(小)、精神的疲労(小)
[装備]:ナランチャの飛び出しナイフ
[道具]:基本支給品一式×3(食料1、水ボトル少し消費)、ランダム支給品1~2(確認済み/武器ではない/シ―ラEのもの)
[思考・状況]
基本行動方針:ジョルノ様の仇を討つ
1.康一を追うことに同行
2.ジョセフ・ジョースター?マジかよ……
3.エルメェス、良かった……

[備考]
※参加者の中で直接の面識があるのは、暗殺チーム、ミスタ、ムーロロです。
※元親衛隊所属なので、フーゴ含む護衛チームや他の5部メンバーの知識はあるかもしれません。
※ジョージⅡ世とSPWの基本支給品を回収しました。SPWのランダム支給品はドノヴァンのマントのみでした。
※放送を片手間に聞いたので、把握があいまいです。→他のメンバーとの情報交換によって把握しました。


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前話 登場キャラクター 次話
115:死亡遊戯(Game of Death)1 ジョセフ・ジョースター 152:新・戦闘潮流
115:死亡遊戯(Game of Death)1 ルドル・フォン・シュトロハイム 152:新・戦闘潮流
115:死亡遊戯(Game of Death)1 東方仗助 152:新・戦闘潮流
115:死亡遊戯(Game of Death)1 噴上裕也 152:新・戦闘潮流
115:死亡遊戯(Game of Death)1 エルメェス・コステロ 152:新・戦闘潮流
115:死亡遊戯(Game of Death)1 シ―ラE 152:新・戦闘潮流

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最終更新:2014年06月09日 01:59