結局何が何だか分かっていない。
キョンみたく『誰かここに来て分かるように説明しろ!』と言って、
その通りに誰かが説明してくれたとしても多分私は分からない。
内心理解しているけれど、認めたくないんだろうから。
認めたくないというより認めてしまっていいのか分からない。
とにかく分からないことだらけだって事は分かってる。
結局そんなことだけしか、私は分かってないんだ。
キョンみたく『誰かここに来て分かるように説明しろ!』と言って、
その通りに誰かが説明してくれたとしても多分私は分からない。
内心理解しているけれど、認めたくないんだろうから。
認めたくないというより認めてしまっていいのか分からない。
とにかく分からないことだらけだって事は分かってる。
結局そんなことだけしか、私は分かってないんだ。
ゆーちゃんと一緒に本屋に行ったは行ったけど、何も買わずに帰ってきてからゆーちゃんとの間に変わったことがある。
一つは、前みたいにある程度は話すようになったこと。
これは私からの変化。
もう一つは、ゆーちゃんの態度。
態度と言うか何と言うか、スキンシップが多くなった。
でも別に常にペタペタくっついてくるわけじゃない。
ネトゲしている私を呼ぶときとか、横でゲームを見ているときとかにさり気なく触れてくる。
これはゆーちゃんからの変化。
その度に警戒をしていたけど、何度も何度もされているうちにどこか慣れてきてしまう。
手だけを触られていたら『手だけならいっか』なんて思ってしまって触られても警戒しなくなる。
そうすると今度は肩に触れてくる。最初は警戒しても、また慣れてくる。
いまでは大分慣れて警戒はしなくなったけど、それイコールもう不思議な感覚がしないってわけじゃない。
ゆーちゃんが触れてくるたびに、とても曖昧な境界線を感じてしまう。
ここから一歩踏み入ってしまったら非現実だよっていう、透明な薄い膜のようなものが近づいてくるのを感じていた。
つかさに相談した場合の、非現実からの回避方法は『それが現実になればいい』と言っていた。
ゆーちゃんは『お姉ちゃんが非現実だと思っているものは私にとっての現実』だと言っていた。
つまり、現実非現実の境界線なんて人にとってばらばらで、私が一歩その膜の中に入ったとしても何も変わらない。
ただ私の中の現実の範囲が広くなるだけ……に過ぎないのかもしれない。
だからと言って私はゆーちゃんから向けられる感情を受け取ることは出来ない。
そもそも私はゆーちゃんから何らかの感情を言われていない。
私が感じている『ゆーちゃんからの感情』は、あくまで私の憶測でしかない。
サトリになりたいな、何て思ってしまった。冷静に考えるとそれはそれで嫌なんだけど。
悟ったところで、言われたところで、私はどうすることも出来ないだろうから。
一つは、前みたいにある程度は話すようになったこと。
これは私からの変化。
もう一つは、ゆーちゃんの態度。
態度と言うか何と言うか、スキンシップが多くなった。
でも別に常にペタペタくっついてくるわけじゃない。
ネトゲしている私を呼ぶときとか、横でゲームを見ているときとかにさり気なく触れてくる。
これはゆーちゃんからの変化。
その度に警戒をしていたけど、何度も何度もされているうちにどこか慣れてきてしまう。
手だけを触られていたら『手だけならいっか』なんて思ってしまって触られても警戒しなくなる。
そうすると今度は肩に触れてくる。最初は警戒しても、また慣れてくる。
いまでは大分慣れて警戒はしなくなったけど、それイコールもう不思議な感覚がしないってわけじゃない。
ゆーちゃんが触れてくるたびに、とても曖昧な境界線を感じてしまう。
ここから一歩踏み入ってしまったら非現実だよっていう、透明な薄い膜のようなものが近づいてくるのを感じていた。
つかさに相談した場合の、非現実からの回避方法は『それが現実になればいい』と言っていた。
ゆーちゃんは『お姉ちゃんが非現実だと思っているものは私にとっての現実』だと言っていた。
つまり、現実非現実の境界線なんて人にとってばらばらで、私が一歩その膜の中に入ったとしても何も変わらない。
ただ私の中の現実の範囲が広くなるだけ……に過ぎないのかもしれない。
だからと言って私はゆーちゃんから向けられる感情を受け取ることは出来ない。
そもそも私はゆーちゃんから何らかの感情を言われていない。
私が感じている『ゆーちゃんからの感情』は、あくまで私の憶測でしかない。
サトリになりたいな、何て思ってしまった。冷静に考えるとそれはそれで嫌なんだけど。
悟ったところで、言われたところで、私はどうすることも出来ないだろうから。
「あれ、今日みゆきさん休み?」
「風邪ひいたみたいだよ。ゆきちゃんが休むのって珍しいよね」
「夏風邪はバカがひくって嘘なんだね」
「風邪ひいたみたいだよ。ゆきちゃんが休むのって珍しいよね」
「夏風邪はバカがひくって嘘なんだね」
自分席に着くとつかさがわざわざ来てくれてそのまま話しているときにみゆきさんが居ないことに気づいた。
もう夏休みも終わってしまい、学校が始まって一週間が経過している。
夏休み後半は遊んだというより悩んだという記憶しかないけどね。……ゆーちゃん関係で。
勉強はいつものごとく、困った時のかがみ頼み。
もう夏休みも終わってしまい、学校が始まって一週間が経過している。
夏休み後半は遊んだというより悩んだという記憶しかないけどね。……ゆーちゃん関係で。
勉強はいつものごとく、困った時のかがみ頼み。
「じゃあ今日みゆきさんのお見舞いとか行く?」
「あ、今日は無理。お父さんとお母さんが旅行に行くから、お姉ちゃん達と外食って約束してて」
「そっか。それなら明日一緒に行こ」
「あ、今日は無理。お父さんとお母さんが旅行に行くから、お姉ちゃん達と外食って約束してて」
「そっか。それなら明日一緒に行こ」
かがみのお見舞いの時は気楽に行けたのに、みゆきさん相手だと気楽に行っちゃ失礼な気がする。
病人なのにみゆきさんの方が気を使ってくれそうなイメージだからかな。
「宿題のノート見せてー」なんて言ったら「はい、これですゴホゴホ」みたいな感じでノート貸してくれそう。
罪悪感バリバリなお見舞いになりそうだ。
病人なのにみゆきさんの方が気を使ってくれそうなイメージだからかな。
「宿題のノート見せてー」なんて言ったら「はい、これですゴホゴホ」みたいな感じでノート貸してくれそう。
罪悪感バリバリなお見舞いになりそうだ。
「ねえ、こなちゃん」
「ん?」
「ん?」
つかさがさっきより声を落として顔を近づけてくる。
こういう風に聞いてくるときは大抵あの事を聞いてくるときだ。
こういう風に聞いてくるときは大抵あの事を聞いてくるときだ。
「ゆたかちゃんとは……?」
「うん。昨日も言ったけど、この頃は前と同じように話せてる、けど」
「うん。昨日も言ったけど、この頃は前と同じように話せてる、けど」
結局ゆーちゃんの事はつかさにしか相談してない。
つかさには全部話した。感づいて、眠りに落ちかけの私にアドバイスをくれた後。
帰り際に話して、ゆーちゃんと向かい合った方がいいと思うよと言ってくれた。
つかさの言った解決法は解決に導いてはくれないけど、つかさなりに一生懸命相談にのってくれてるのは分かるからすごく感謝してる。
かがみにも相談しようかなって思ったけど止めた。
つかさに言った理由だって……勢いと言うか寝ぼけた頭で口が滑ったからだったし。
どうかがみに伝えるべきかも分からなかったし、こういう問題をかがみに相談するのは恥ずかしいというか。
とにかく相談できなかった。
つかさには全部話した。感づいて、眠りに落ちかけの私にアドバイスをくれた後。
帰り際に話して、ゆーちゃんと向かい合った方がいいと思うよと言ってくれた。
つかさの言った解決法は解決に導いてはくれないけど、つかさなりに一生懸命相談にのってくれてるのは分かるからすごく感謝してる。
かがみにも相談しようかなって思ったけど止めた。
つかさに言った理由だって……勢いと言うか寝ぼけた頭で口が滑ったからだったし。
どうかがみに伝えるべきかも分からなかったし、こういう問題をかがみに相談するのは恥ずかしいというか。
とにかく相談できなかった。
「けど……どうしたの?」
「う、ん……」
「う、ん……」
ちょっと言ってしまうには酷いことだから口ごもって歯切れが悪くなる。
最近考えてしまったこと。触れてくるゆーちゃんを何だかんだで拒否しない自分に対して思ってしまったこと。
最近考えてしまったこと。触れてくるゆーちゃんを何だかんだで拒否しない自分に対して思ってしまったこと。
「――簡単に人を嫌いになれたら楽なのにな……って思っちゃったんだ」
酷いけど、そう思ってしまった。
完全にゆーちゃんを嫌いになれたら、ゆーちゃんを突っぱねてしまえば。
この心の中にある霧はさっぱり晴れるんじゃないかって。
でも出来なくて。
妹としてゆーちゃんのことを好きって感情が、たびたび私に触れてくるゆーちゃんに慣れてしまって。
こんなことを思った自分を、叱ってほしかったのかもしれない。
完全にゆーちゃんを嫌いになれたら、ゆーちゃんを突っぱねてしまえば。
この心の中にある霧はさっぱり晴れるんじゃないかって。
でも出来なくて。
妹としてゆーちゃんのことを好きって感情が、たびたび私に触れてくるゆーちゃんに慣れてしまって。
こんなことを思った自分を、叱ってほしかったのかもしれない。
「嫌うって感情は、すごく疲れることだと思うよ。負の感情ばっかりでいい事なんてないもん」
「うん、そうだね」
「好きになるって感情の方が素敵なことだと私は思うよ」
「うん、そうだね」
「好きになるって感情の方が素敵なことだと私は思うよ」
私の意図を汲んでくれたのか、つかさは物凄く真剣な表情で私を見つめる。
でも表情筋があっという間に疲れたらしく、すぐにいつものぽややんとした顔に戻った。
でも表情筋があっという間に疲れたらしく、すぐにいつものぽややんとした顔に戻った。
「……でも簡単に好きになることが出来たらそれこそ楽だよね、エヘヘ」
つかさが笑いながら呟く。すごくほっとした。
ありがとうって言いたかったんだけど、気恥ずかしさなのか言葉が出てこない。
でも伝えないとって思いながらつかさを見ていたら人懐っこい犬を連想して、いい子いい子って意味で頭を撫でたくなった。
というより気がついたら私の手はつかさの頭の上にあって、無意識に撫でてた。
ありがとうって言いたかったんだけど、気恥ずかしさなのか言葉が出てこない。
でも伝えないとって思いながらつかさを見ていたら人懐っこい犬を連想して、いい子いい子って意味で頭を撫でたくなった。
というより気がついたら私の手はつかさの頭の上にあって、無意識に撫でてた。
「ど、どうしたのこなちゃん」
「いやー、つかさって犬っぽいねと思って。……こんな相談にも一生懸命になってくれてるし」
「だって……友達だもん」
「いやー、つかさって犬っぽいねと思って。……こんな相談にも一生懸命になってくれてるし」
「だって……友達だもん」
つかさの頭を撫でていた手が止まる。
ここは誤魔化さないでちゃんと言うべき時だって直感で理解した。
空気は読み間違ってはず。
ここは誤魔化さないでちゃんと言うべき時だって直感で理解した。
空気は読み間違ってはず。
「ありがと、つかさ」
「ん、んっと……ありがと。こなちゃん」
「……どうしてつかさがお礼を言うのさ」
「な、何でだろうね、何となくかな?」
「ん、んっと……ありがと。こなちゃん」
「……どうしてつかさがお礼を言うのさ」
「な、何でだろうね、何となくかな?」
と、友情を満喫していたら。
「あんたたち、何やってんの?」
教科書を置いて遊びにきたのか、いつのまにやら近くにかがみがいた。
本当に疑問に思ってるのか首傾げたまんまだよ。
確かに私はつかさの頭に手を置いたままだし、ひそひそ声で話してたから冷静に考えると顔近いし。
「何やってんの?」って言われても仕方ない。
でも、友情の語らいやってましたっていうのも変だし私らしくないし、相談してましたとも言えないし。
余計に気にさせるかもしれないけど、この言い方がいいのかな?
つかさと視線を送ると、つかさは人差し指を立てて自分の口元に当てていた。
それを見て私は縦に頷いて同じことをし、その後一緒にかがみの方を向いて言った。
本当に疑問に思ってるのか首傾げたまんまだよ。
確かに私はつかさの頭に手を置いたままだし、ひそひそ声で話してたから冷静に考えると顔近いし。
「何やってんの?」って言われても仕方ない。
でも、友情の語らいやってましたっていうのも変だし私らしくないし、相談してましたとも言えないし。
余計に気にさせるかもしれないけど、この言い方がいいのかな?
つかさと視線を送ると、つかさは人差し指を立てて自分の口元に当てていた。
それを見て私は縦に頷いて同じことをし、その後一緒にかがみの方を向いて言った。
『私たちの秘密!!』
私とつかさは、まさかセリフまでかぶるとは思ってなかったから笑って、
かがみは余計に疑問に思ったのかますます首を傾げる。
その後授業開始ギリギリまで妙に笑ってるかがみからの遊び半分の追及があって
私とつかさはうにょ~んと頬を引っ張られ続けた。
かがみは余計に疑問に思ったのかますます首を傾げる。
その後授業開始ギリギリまで妙に笑ってるかがみからの遊び半分の追及があって
私とつかさはうにょ~んと頬を引っ張られ続けた。
曖昧境界線 後編へ続く