(こなた視点)
「こなたお姉ちゃん。年越し蕎麦できたよ」
エプロン姿のゆーちゃんが鍋から、お椀にそばを移している。
「ありがと」
結局、私たちは、二人だけで大晦日を迎えた。
「さて、食べようか」
テレビは、紅白歌合戦を放送している。
どの歌手も、誇りをもって曲を歌っている。
そして、映像に映っていない場所では、たくさんのスタッフが
表舞台に立つ歌手を支えているはずだ。
エプロン姿のゆーちゃんが鍋から、お椀にそばを移している。
「ありがと」
結局、私たちは、二人だけで大晦日を迎えた。
「さて、食べようか」
テレビは、紅白歌合戦を放送している。
どの歌手も、誇りをもって曲を歌っている。
そして、映像に映っていない場所では、たくさんのスタッフが
表舞台に立つ歌手を支えているはずだ。
「お姉ちゃん。お味はどうですか? 」
ゆーちゃんが、こくんと首をかしげて尋ねてくる。
「うん。おいしいよ」
そばの腰がしっかりしていて、ダシも効いている。
「ゆーちゃん。本当に料理が上手くなったねえ」
私の言葉に、ゆーちゃんは満面の笑顔を返した。
「こなたお姉ちゃんに教えてもらったから、少しは上達したんだ」
「ありがと」
蕎麦をすすっていると、しみじみとした気分になってくる。
ゆーちゃんが、こくんと首をかしげて尋ねてくる。
「うん。おいしいよ」
そばの腰がしっかりしていて、ダシも効いている。
「ゆーちゃん。本当に料理が上手くなったねえ」
私の言葉に、ゆーちゃんは満面の笑顔を返した。
「こなたお姉ちゃんに教えてもらったから、少しは上達したんだ」
「ありがと」
蕎麦をすすっていると、しみじみとした気分になってくる。
「今年はいろいろあったねえ」
4月にゆーちゃんが家に来てから、本当にいろんな事があった。
「でも、まさか『嫁の家』で正月を迎えることになるとは
思わなかったよ」
「こなたお姉ちゃんの、『お嫁さん』に嫉妬しちゃうな」
ゆーちゃんは、小さな口で少しずつお蕎麦を食べながら笑う。
純真で無垢な笑顔だ。
4月にゆーちゃんが家に来てから、本当にいろんな事があった。
「でも、まさか『嫁の家』で正月を迎えることになるとは
思わなかったよ」
「こなたお姉ちゃんの、『お嫁さん』に嫉妬しちゃうな」
ゆーちゃんは、小さな口で少しずつお蕎麦を食べながら笑う。
純真で無垢な笑顔だ。
ゆーちゃんの笑顔は、私にとっての無上の幸せだ。
しかし、笑顔を取り戻す為に払った代償は凄惨の一言に尽きる。
ゆーちゃんは、家族から勘当同然となってしまった。
私は、大好きなお父さんと離れ離れになった。
そして、私たちは高校生活を一緒におくった、大切な友人達の
ほぼ全てを、一挙に失ってしまった。
いくら後悔しても、もはや、取り返しがつかない。
しかし、笑顔を取り戻す為に払った代償は凄惨の一言に尽きる。
ゆーちゃんは、家族から勘当同然となってしまった。
私は、大好きなお父さんと離れ離れになった。
そして、私たちは高校生活を一緒におくった、大切な友人達の
ほぼ全てを、一挙に失ってしまった。
いくら後悔しても、もはや、取り返しがつかない。
地下街を駆け回った翌日の朝、ゆーちゃんが『家』に戻った日のことだ。
ゆーちゃんの「海を見たい」という、希望に応えるために、
私達は地元の私鉄で、知多半島の先にある『内海』という場所まで出かけた。
夏場は海水浴客で賑わう場所だが、冬場はほとんど人がいない。
濃紺色をした海上は、はるか遠くに行き交う船が小さく見えるだけだ。
ゆーちゃんの「海を見たい」という、希望に応えるために、
私達は地元の私鉄で、知多半島の先にある『内海』という場所まで出かけた。
夏場は海水浴客で賑わう場所だが、冬場はほとんど人がいない。
濃紺色をした海上は、はるか遠くに行き交う船が小さく見えるだけだ。
それでも、冬の波は予想よりも穏やかだったし、柔らかい日差しが
私たちを包んでくれている。
「ねえ、ゆーちゃん」
砂浜に靴の跡を刻んでいる、小柄な少女に声をかける。
「なあに? おねえちゃん」
傾き始めた日差しが、長い影法師をつくっている。
「海って消えてしまいそうな、イメージがないかな? 」
私たちを包んでくれている。
「ねえ、ゆーちゃん」
砂浜に靴の跡を刻んでいる、小柄な少女に声をかける。
「なあに? おねえちゃん」
傾き始めた日差しが、長い影法師をつくっている。
「海って消えてしまいそうな、イメージがないかな? 」
ゆーちゃんは、不安げな顔を浮かべる私の前で、くるりと回ってみせる。
「お姉ちゃんは、私が消えると思っているの? 」
海辺で軽やかに舞う少女は、翼が生えた天使のようで、本当にいなくなって
しまうようで。
私は、締め付けるような不安で、心が押し潰されそうになってしまう。
「お姉ちゃんは、私が消えると思っているの? 」
海辺で軽やかに舞う少女は、翼が生えた天使のようで、本当にいなくなって
しまうようで。
私は、締め付けるような不安で、心が押し潰されそうになってしまう。
「生きるよ。私」
「ゆーちゃん…… 」
大きな瞳を、まっすぐ私に向けている。
「私はお姉ちゃんが思っている程、純粋でも、無垢でもないんだ」
私は、ゆーちゃんの後ろに黒い影を見出して、1歩後ろに下がってしまう。
「ゆーちゃん…… 」
大きな瞳を、まっすぐ私に向けている。
「私はお姉ちゃんが思っている程、純粋でも、無垢でもないんだ」
私は、ゆーちゃんの後ろに黒い影を見出して、1歩後ろに下がってしまう。
「お姉ちゃん、私の自由を得るために、私がわたしである為に、あらゆる
策略を駆使して、大切な友達を騙したの。だから死を選ぶことなんてできないんだ」
全てを突き放したような口調で言うと、ゆーちゃんは岸辺に座った私に寄り添い、
耳元で囁いた。
「私は、お姉ちゃん以外の、誰も信じないよ」
策略を駆使して、大切な友達を騙したの。だから死を選ぶことなんてできないんだ」
全てを突き放したような口調で言うと、ゆーちゃんは岸辺に座った私に寄り添い、
耳元で囁いた。
「私は、お姉ちゃん以外の、誰も信じないよ」
「ゆーちゃん…… 」
私は、彼女の一途さを愛しいと思うとともに、危うさを伴っていることに
危惧を覚えざるを得ない。
本当のゆーちゃんは、最初にあった頃のように、心が真っ直ぐで、
煌いていたはずなのに。
私は、彼女の一途さを愛しいと思うとともに、危うさを伴っていることに
危惧を覚えざるを得ない。
本当のゆーちゃんは、最初にあった頃のように、心が真っ直ぐで、
煌いていたはずなのに。
だけど、過酷な状況に陥ったゆーちゃんは、純粋なままでは、
自分らしく生きることができないと理解してしまった。
そして、本来持っている大切な人格の一部を、文字通り殺してしまった。
私は、辛うじて保たれている平穏が破られた時、ゆーちゃんはどんな
行動をとるのか全く予測が出来ない。
せいぜい、私ができることは、ゆーちゃんの心の均衡を崩さないよう、
出来る限り穏やかな生活ができるように、力を添えることだけだ。
自分らしく生きることができないと理解してしまった。
そして、本来持っている大切な人格の一部を、文字通り殺してしまった。
私は、辛うじて保たれている平穏が破られた時、ゆーちゃんはどんな
行動をとるのか全く予測が出来ない。
せいぜい、私ができることは、ゆーちゃんの心の均衡を崩さないよう、
出来る限り穏やかな生活ができるように、力を添えることだけだ。
「そろそろ、帰ろうか」
いつの間にか、冬の太陽は後ろの山陰に隠れようとしている。
「うん」
ゆーちゃんは笑顔で頷くと、コートの裾を翻して私に抱きついた。
「キスして…… おねえちゃん」
浜辺の道を走る乗用車が一台だけ通った後、私は一人を除いて誰もいない浜辺で、
大切な想い人の唇を塞いだ。
いつの間にか、冬の太陽は後ろの山陰に隠れようとしている。
「うん」
ゆーちゃんは笑顔で頷くと、コートの裾を翻して私に抱きついた。
「キスして…… おねえちゃん」
浜辺の道を走る乗用車が一台だけ通った後、私は一人を除いて誰もいない浜辺で、
大切な想い人の唇を塞いだ。
(了)
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お風呂あがりにへ続く
お風呂あがりにへ続く
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- ウホッ!いいゆたこな! -- やらないか (2009-11-28 00:34:25)
- 素晴らしいラストでした
-- 九重龍太 (2008-03-23 14:52:27) - この後二人はどういう風になっていくのだろうか・・ -- ウルトラマンレオ (2008-01-27 23:54:01)
- 退路なき恋、この話のこなたがゆうちゃんに注ぐ愛は、かがこな作品のかがみの無償の愛に近いものを感じます。
-- 名無しさん (2008-01-01 03:06:45)