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カケラ 18

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18.

「なは」という名前にどうも違和感がある。
「なは」と聞いて真っ先にイメージするのは、沖縄の都市「那覇」。
九州と関西を結ぶという、沖縄とは全く無縁のこの特急列車は、どういう経緯で生まれたのだろう。
今、ここにゆきちゃんが居れば、寝台特急「なは」について色々と話してくれるのかも知れないね。
ゆきちゃん、今、どうしているのかな?
こなちゃんのコトも心配だけど、ゆきちゃんのコトも心配だよ。

「で、人の話、聞いてた?」
「え?! あ、メンゴ」
「もう、しっかりしてよね」
今目の前にいるのはゆきちゃんでもこなちゃんでもなく、あゆちゃん。
本当は「あゆみ」という名前なんだけど、呼びやすいから『あゆちゃん』と私は呼んでいる。
「ごめん、で、何の話だったっけ?」
「ベッド」
「ベッド?」
「そう」
「……あ、思い出した!!」
「上? 下? どっち?」
単語だけで聞いてくるあゆちゃん。ちょっと機嫌が悪いのは、私がぼうっとしていたからだろう。
「あゆちゃんの好きな方でいいよ?」
「私、どっちでもいい」
「私もどっちでもいいんだけど」
「じゃあさ」
「ジャンケンで決めよっか?」
「そうね」

結果、私が上のベッドを、あゆちゃんが下のベッドを使う事になった。

寝台特急「なは」号は、西鹿児島から熊本まで乗った「有明」号と全く同じ車両だった。
けれども、車内の雰囲気は「有明」号のそれとは全く違う。
ゆったりとしたボックス席だった車内は、今は3段式のベッドになっていた。
何て言うのかな? クルマで言うとキャンピングカーみたいな感じかな?
あの変な『出っ張り』の中はベッドだったんだね。まるで収納家具みたいで面白い。
各ベッドはカーテンで仕切られていて、通路は丁度、カーテンの『壁』に挟まれた恰好になる。
客室の天井が高いので、何とも不思議な感じ。
ただ、天井が高いと言ってもベッドは3段式なので、それぞれのベッドの天井はかなり低い。
けれども私達の区画だけはなぜか2段式になっていて、3段目が無い分、上のベッドは天井が高かった。
あゆちゃんの寝る下のベッドは、私が寝る上のベッドよりも25センチくらい低い。
代わりに、ベッドの幅が30センチくらい広かった。
それと、大きな窓が独り占め出来るのは、ちょっと羨ましかった。

そして、やっと洗面台が3つ、トイレが2つもある理由が分かった。
長い距離を一晩掛けて走るのだから、トイレに行く機会は自ずと増える。
朝起きたら、まず顔を洗う(今朝は洗わなかったけど)。
もしトイレと洗面台が1つずつだった場合、今はガラガラだからいいけれど、
混んでる時はトイレを待つだけで大渋滞してしまう。
なるほど、関心関心。


梯子を登って、用意されたベッドへ。
青地のベッドには、枕、シーツ、毛布などのリネン類、そして「エ」模様の浴衣が用意されていた。
ベッドメイキングはセルフサービスで、各自で行う仕組み。
枕元には小さな小窓と小さな照明、壁側の四角く窪んだ所は物置き台となっている。
照明の下には「寝台内では禁煙」というステッカが貼られているけれど、
寝ながら煙草を吸う人はそんなに居ない……と思う。
私は高校生だから吸わないし、大人になっても吸うつもりは無いけれど。
斜光カーテンを閉めて、電気を付ける。味気ない蛍光灯だけど、その白い光には暖かみが感じられた。
ほのかに照らされたベッド内で、座った状態で浴衣に着替える。何だか旅館に居るみたい。
寝ている時に誰かに覗かれるコトは無いだろうけど、『見られる』のは嫌なのでキャミソールは着たままにした。
ちょうど着替え終わった時、カーテンの隙間から突然、手が伸びてきた。
「!!?」
最初は凄く驚いたけど、その白くて細い手は、あゆちゃんだった。
手に持っているのは……炭酸飲料、かな?
「どうぞ」
そう短く言って、あゆちゃんは炭酸飲料の缶をベッドの上に置いて、手はカーテンの外へと消えた。
「有り難う」
丁度喉が渇いていたので、受け取った炭酸飲料のプルタブを開ける。
この時代の缶飲料はプルタブが缶から外れる。へぇ、昔のやつとは形が違うね。
ぐいっと一口。
「……………」
あゆちゃん、この飲み物、変な味がするよ?
何か、カラダが火照って来ちゃったし…………。


頭の中に広がるのは、一面南国のアカバナが広がるお花畑。
いつの間にか、夢の中の世界へ入ってしまったようだ。
『お姉ちゃん』
誰かが誰かを呼ぶ声がする。
『お姉ちゃん』
女の子の声。何処かで聞いた事のある声。
『お姉ちゃん』
え? もしかして、私のコト?
『もう、お姉ちゃんってば!』
えへへ、お姉ちゃんって呼ばれるの、初めて、かな?
『お姉ちゃ~ん』
何か、照れるよう……。


むに。

私のカラダの『ある部分』を、誰かに摘まれた。
「??!!」
一気に目を覚ます。
「もう、お姉ちゃんったら、ボケーっとしてるんだからっ」
一面のお花畑から打って変わって、私の目の前には、何故かあゆちゃんの姿があった。
しかも、何故か顔が赤い。
「お姉ちゃ~~ん、にゃんにゃん」
「あ、あゆちゃん?」
何か様子がおかしい。それに、このにおい…………。
もしかして、もしかすると?
「にゃに? どしたの~」
はぁ~っと私に息を吹きかける。
あゆちゃん、この炭酸飲料って、お酒でしょ?!!
「うにゃ~、お姉ちゃん、だぁあい好きっ」
子猿の様に顔を赤らめた、大人とも、子供とも区別のつかない微妙な年頃の少女は、
私の上に乗りながらにゃんにゃんと猫撫で声を上げる。
どうしよう、可愛い。
それに、『お姉ちゃん』って呼ばれるのが凄く嬉しい。
私もまた、酔っていた。
だからかな?
真上に乗っかっているあゆちゃんに対して、私は文字通り、無抵抗だった。
「…………って!!」
やっと気付いた。
あゆちゃん、何と浴衣を脱がして、キャミソールをたくし上げて、そしてブラ越しに私の胸に触れている!!
一体何が……って酔っぱらっているのか。
「うみゅ~、お姉ちゃんのえっち~」
「ど、ど、どんだけ~~」
私もだんだんパニックになってきた。
と、同時に、何とも言えない感触が、胸(おっぱいの方じゃない)の中からこみ上げてくる。
や、やだ、どうしよう。
「にゃ~に~? お姉ちゃん」
だ、ダメだよ、ダメだよ私。何で小学生(?)に胸揉まれて発情してるの?
わ、私のバカ、バカバカバカ!!
「やっぱり大きいね~、私もお姉ちゃんみたいになりたいにゃ~」
そう言って、あゆちゃんはたった一枚だけ着ていたキャミソールを脱ぎ捨て、そのまま密着する。



「あ、あじゃぱ~~~><」
結局私は、『ある意味』おマセな少女に一晩中身体を弄られた。
どんな感じだったって?
そ、そんなの恥ずかしくて言えないよぉ。




















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