危険な関係 第10話に戻る
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11.
「泉ちゃん。いらっしゃい」
玄関を空けたら、みき小母さんが機嫌よく迎えてくれた。
みき小母さんは、かがみとつかさの母親と言うより、むしろ姉という方がしっくりくるくらい、
若々しくて綺麗な人だ。
「あらあら、今日は可愛いお客さんも来ているわね」
「あ、あの。こなたお姉ちゃんの、従姉妹の小早川ゆたかと言います。よろしくお願いします」
「ふふ。とてもいい子って聞いているわよ。よろしく。ゆたかちゃん」
「はい。よろしくお願いします」
ぺこんと頭を下げたゆーちゃんは、傍から見るととてもあどけなくて、可愛らしくみえる。
確かに、外見はその通りなのだけれど、ゆーちゃんの心の奥にある昏い闇の部分は、
他人からは、容易には窺い知ることはできない。
玄関を空けたら、みき小母さんが機嫌よく迎えてくれた。
みき小母さんは、かがみとつかさの母親と言うより、むしろ姉という方がしっくりくるくらい、
若々しくて綺麗な人だ。
「あらあら、今日は可愛いお客さんも来ているわね」
「あ、あの。こなたお姉ちゃんの、従姉妹の小早川ゆたかと言います。よろしくお願いします」
「ふふ。とてもいい子って聞いているわよ。よろしく。ゆたかちゃん」
「はい。よろしくお願いします」
ぺこんと頭を下げたゆーちゃんは、傍から見るととてもあどけなくて、可愛らしくみえる。
確かに、外見はその通りなのだけれど、ゆーちゃんの心の奥にある昏い闇の部分は、
他人からは、容易には窺い知ることはできない。
では、ゆーちゃんの黒い部分は最初から存在したのだろうか?
この話をするには、ゆーちゃんの健康状態に触れざるを得ない。
健康な者にとっては、想像することは難しいけれど、常に体調の事を心配しなければならない人間が、
対人関係を円滑に行おうとすると、相当なストレスが生まれてしまう。
ゆーちゃんは、体調を崩している自分が、周囲に迷惑をかけているのではないか、
ということをかなり気にしていた。
中学の時は、心無い言葉をかけられた事もあったようで、ゆーちゃん自身も、周囲のテンションを
下げてしまうと悩んでいた。
だからこそ、ゆーちゃんは、周囲に常に笑顔を見せ続けていたのだが、無理に無理を重ねた結果、
彼女は大切な何かを歪めてしまっていた。
この話をするには、ゆーちゃんの健康状態に触れざるを得ない。
健康な者にとっては、想像することは難しいけれど、常に体調の事を心配しなければならない人間が、
対人関係を円滑に行おうとすると、相当なストレスが生まれてしまう。
ゆーちゃんは、体調を崩している自分が、周囲に迷惑をかけているのではないか、
ということをかなり気にしていた。
中学の時は、心無い言葉をかけられた事もあったようで、ゆーちゃん自身も、周囲のテンションを
下げてしまうと悩んでいた。
だからこそ、ゆーちゃんは、周囲に常に笑顔を見せ続けていたのだが、無理に無理を重ねた結果、
彼女は大切な何かを歪めてしまっていた。
もっとも、高校に入ってからは比較的にしろ体調は良くなったのだけど。
それでも、身体の調子を崩すことは少ないとはいえず、私は、ゆーちゃんが家の中で、或いは、保健室で
苦しんでいる姿を見る度に、彼女を護る事ができるのは、自分しかいないと思うようになっていた。
それでも、身体の調子を崩すことは少ないとはいえず、私は、ゆーちゃんが家の中で、或いは、保健室で
苦しんでいる姿を見る度に、彼女を護る事ができるのは、自分しかいないと思うようになっていた。
ゆーちゃんの事を、更に考え続けることにする。
ゆーちゃんは私にとって、どういう存在なのだろうか?
私はゆーちゃんの虜になっている。ゆーちゃんを嫌う選択肢は最初から存在しないのだ。
それならば、ゆーちゃんの言っている事には全て従うのか?
ゆーちゃんは私にとって、どういう存在なのだろうか?
私はゆーちゃんの虜になっている。ゆーちゃんを嫌う選択肢は最初から存在しないのだ。
それならば、ゆーちゃんの言っている事には全て従うのか?
正確に言うと全てイエスではない。しかし、夜の領域に佇んでいるゆーちゃんには、
抗いがたい魅力がある。
私は、ゆーちゃんと一緒なら、暗闇の部分に堕ちても構わないのだ。
現実にはありえないかもしれないが、全ての関係を絶って、二人だけで暮らしたい。
そうすれば、ゆーちゃんは私だけのものになるから。
ゆーちゃんを迫害する者は、例え誰であっても、どんなに親しい友人であっても、
恋心を抱いている人であっても、決して許すことはできない。
例え、ゆーちゃん自身が我慢しても、私は絶対に容赦をするつもりはなかった。
抗いがたい魅力がある。
私は、ゆーちゃんと一緒なら、暗闇の部分に堕ちても構わないのだ。
現実にはありえないかもしれないが、全ての関係を絶って、二人だけで暮らしたい。
そうすれば、ゆーちゃんは私だけのものになるから。
ゆーちゃんを迫害する者は、例え誰であっても、どんなに親しい友人であっても、
恋心を抱いている人であっても、決して許すことはできない。
例え、ゆーちゃん自身が我慢しても、私は絶対に容赦をするつもりはなかった。
ゆーちゃんと私はかがみの部屋に入った。
程なくつかさがケーキを持ってくると言って部屋を後にした。
私は、直後にお手洗いに行くと、残った二人に伝えて廊下に出る。
程なくつかさがケーキを持ってくると言って部屋を後にした。
私は、直後にお手洗いに行くと、残った二人に伝えて廊下に出る。
廊下を歩いていくと、ケーキと紅茶をお盆に載せて戻ってくるつかさと、鉢合わせをすることになる。
私は、擦れ違う間際につかさの肩口で囁いた。
「つかさ…… 私は信じているから」
「こなちゃん」
つかさが振り返ったが、私は何も言わずに肩をぽんと叩いて、背中を向けた。
私は、擦れ違う間際につかさの肩口で囁いた。
「つかさ…… 私は信じているから」
「こなちゃん」
つかさが振り返ったが、私は何も言わずに肩をぽんと叩いて、背中を向けた。
「こなちゃん、ゆたかちゃんどうぞ」
「あっ、ありがとうございます。つかさ先輩」
つかさは指を微かに震わせながら、イチゴのショートケーキと紅茶を差し出した。
琥珀色の水面からは、微かに湯気が立ち昇っていた。
「あっ、ありがとうございます。つかさ先輩」
つかさは指を微かに震わせながら、イチゴのショートケーキと紅茶を差し出した。
琥珀色の水面からは、微かに湯気が立ち昇っていた。
一方、かがみは、妙に余裕のある表情をしている。
「お砂糖は一つずつでいい? 」
「はい」
ゆーちゃんがこくんと頷いた。
つかさが、紅茶に角砂糖をいれていく。黒砂糖はゆーちゃんと私に、白い砂糖はかがみとつかさに入れる。
「お砂糖は一つずつでいい? 」
「はい」
ゆーちゃんがこくんと頷いた。
つかさが、紅茶に角砂糖をいれていく。黒砂糖はゆーちゃんと私に、白い砂糖はかがみとつかさに入れる。
「やっぱり、苺のショートと、紅茶は合うわよね」
かがみは妙に上機嫌でティーカップに唇をつけながら言った。
「さ、さ、ゆたかちゃんもどうぞ」
しかし、ゆーちゃんは紅茶の水面をじっと見つめているだけで、口をつけようとしない。
かがみは妙に上機嫌でティーカップに唇をつけながら言った。
「さ、さ、ゆたかちゃんもどうぞ」
しかし、ゆーちゃんは紅茶の水面をじっと見つめているだけで、口をつけようとしない。
かがみが首を傾げながら言った。
「どうしたの? ゆたかちゃん。紅茶キライなの? 」
「…… そんな事はありません」
ゆーちゃんは膝を握り締めながら擦れた声を出した。
「どうして飲まないのかしら? 」
かがみの不思議そうな瞳から、ゆーちゃんは逸らし続けている。
「ゆーちゃん」
私は苦笑しながら、躊躇い続けているゆーちゃんに言った。
「どうしたの? ゆたかちゃん。紅茶キライなの? 」
「…… そんな事はありません」
ゆーちゃんは膝を握り締めながら擦れた声を出した。
「どうして飲まないのかしら? 」
かがみの不思議そうな瞳から、ゆーちゃんは逸らし続けている。
「ゆーちゃん」
私は苦笑しながら、躊躇い続けているゆーちゃんに言った。
「体調が悪いなら、無理しなくてもいいんだよ」
紅茶を飲んだから、身体の調子が悪くなるなんてあり得ないけれど、敢えて言うことにした。
「ううん。こなたお姉ちゃん。私は、大丈夫だから…… 」
私の言葉で、ようやく覚悟を決めたようだ。
ゆーちゃんはゆっくりと、ティーカップに口をつけた。
紅茶を飲んだから、身体の調子が悪くなるなんてあり得ないけれど、敢えて言うことにした。
「ううん。こなたお姉ちゃん。私は、大丈夫だから…… 」
私の言葉で、ようやく覚悟を決めたようだ。
ゆーちゃんはゆっくりと、ティーカップに口をつけた。
さて、私も頂きましょうかね。
香りを楽しみながら紅茶を飲んで、ショートケーキを口に放り込む。
少しほろ苦い味と、ケーキのクリームの甘さが口の中で溶け合って、とても幸せな気分になる。
苺のショートはシンプルだけど一番好きだ。
香りを楽しみながら紅茶を飲んで、ショートケーキを口に放り込む。
少しほろ苦い味と、ケーキのクリームの甘さが口の中で溶け合って、とても幸せな気分になる。
苺のショートはシンプルだけど一番好きだ。
「そういえば。ゆたかちゃん」
苺を口にいれながら、つかさが尋ねた。
「みなみちゃんが、学校に来ていないの…… 」
つかさが意外なことを口にした。
「えっ、どうしてつかさ先輩がご存知なのですか? 」
ゆーちゃんは首をかしげている。
苺を口にいれながら、つかさが尋ねた。
「みなみちゃんが、学校に来ていないの…… 」
つかさが意外なことを口にした。
「えっ、どうしてつかさ先輩がご存知なのですか? 」
ゆーちゃんは首をかしげている。
「あ、あの、昨日、ゆきちゃんから聞いたの」
「ふうん。そうですか」
ゆーちゃんは気のない返事をした。
「ゆたかちゃんは、みなみちゃんの事が気にならないの? 」
つかさはどこか責めるような口調で言った。
「私が、みなみちゃんの事を何も考えていないと言われるのですか? 」
「ううん。そんな事ないけど…… 」
強気なゆーちゃんに、つかさは気まずそうに押し黙る。
入れ替わるように口を開いたのはかがみだった。
「ふうん。そうですか」
ゆーちゃんは気のない返事をした。
「ゆたかちゃんは、みなみちゃんの事が気にならないの? 」
つかさはどこか責めるような口調で言った。
「私が、みなみちゃんの事を何も考えていないと言われるのですか? 」
「ううん。そんな事ないけど…… 」
強気なゆーちゃんに、つかさは気まずそうに押し黙る。
入れ替わるように口を開いたのはかがみだった。
「みゆきの話によると、みなみちゃん、ショックな事があったらしいわよ」
「どんな事でしょうか? 」
ゆーちゃんが、かがみを真正面から見つめる。
「それは、ゆたかちゃん。あなたが一番良く知っているのじゃない? 」
二人の間に緊張が急激に高まる。
どうしてゆーちゃんとかがみは、悉く対立してしまうのだろうか?
「どんな事でしょうか? 」
ゆーちゃんが、かがみを真正面から見つめる。
「それは、ゆたかちゃん。あなたが一番良く知っているのじゃない? 」
二人の間に緊張が急激に高まる。
どうしてゆーちゃんとかがみは、悉く対立してしまうのだろうか?
「さあ、知りませんね。風邪でもひいちゃったのかな。みなみちゃん」
「とぼけないで! 」
「とぼけないで! 」
かがみが激発して立ち上がった。艶やかに伸びた二本のテールが揺れる。
「みなみちゃんに酷い目に合わせたのは、ゆたかちゃん、あなたでしょう。
どうしてそんな他人事みたいなことがいえるのよ? 」
「そうですね。全部私のせいですよね」
「開き直らないでよ! 」
かがみが、ゆーちゃんに一歩近づく。
「みなみちゃんの事は私が何とかしますから。それにかがみ先輩、あなたは、
私を非難するダシとして、みなみちゃんを使っているだけでしょう」
「みなみちゃんに酷い目に合わせたのは、ゆたかちゃん、あなたでしょう。
どうしてそんな他人事みたいなことがいえるのよ? 」
「そうですね。全部私のせいですよね」
「開き直らないでよ! 」
かがみが、ゆーちゃんに一歩近づく。
「みなみちゃんの事は私が何とかしますから。それにかがみ先輩、あなたは、
私を非難するダシとして、みなみちゃんを使っているだけでしょう」
「なっ」
バシッ……
激昂したかがみが、ゆーちゃんの頬を平手で叩いた。
バシッ……
激昂したかがみが、ゆーちゃんの頬を平手で叩いた。
「自分の気に入らないと、すぐに暴力に訴えるんですね」
頬を紅くしながら、ひるむことなく反撃を加える。
「絶対に、絶対に許せないわ。ゆたかちゃん」
「あなたが、許せなかったらどうなるのですか? 」
ゆーちゃんの攻撃は止まらない。
頬を紅くしながら、ひるむことなく反撃を加える。
「絶対に、絶対に許せないわ。ゆたかちゃん」
「あなたが、許せなかったらどうなるのですか? 」
ゆーちゃんの攻撃は止まらない。
しかし、今まで怒気を発していたかがみは、大きな置き時計に視線を移した途端に、
急ににんまりとした笑みを浮かべて言った。
急ににんまりとした笑みを浮かべて言った。
「そろそろ、時間ね」
「どったの? かがみん」
私は、急に笑顔になった彼女に不審を覚えて尋ねる。
「ゆたかちゃん本人に反省してもらうことは無駄だってことは、最初から知っていたわ」
「だから、何をいっているのですか? 」
「私は決めたの。ゆたかちゃんには教育が必要だってね」
かがみは、ゆーちゃんを指差しながら謡うように言った。
「どったの? かがみん」
私は、急に笑顔になった彼女に不審を覚えて尋ねる。
「ゆたかちゃん本人に反省してもらうことは無駄だってことは、最初から知っていたわ」
「だから、何をいっているのですか? 」
「私は決めたの。ゆたかちゃんには教育が必要だってね」
かがみは、ゆーちゃんを指差しながら謡うように言った。
「私を教育ですか? 」
何を言っているんだこの女は、という目でゆーちゃんは見上げている。
「そうよ。もとの控えめで素直なゆたかちゃんに戻ってもらうの」
「絵空事を妄想するのは構いませんが、自分のベッドの中だけにしてくださいね」
ゆーちゃんは、冷めた目で二歳上の先輩に言い放った。
「そうとも言い切れないわよ。ねえ、つかさ」
かがみがつかさに視線を移して―― 驚愕した。
何を言っているんだこの女は、という目でゆーちゃんは見上げている。
「そうよ。もとの控えめで素直なゆたかちゃんに戻ってもらうの」
「絵空事を妄想するのは構いませんが、自分のベッドの中だけにしてくださいね」
ゆーちゃんは、冷めた目で二歳上の先輩に言い放った。
「そうとも言い切れないわよ。ねえ、つかさ」
かがみがつかさに視線を移して―― 驚愕した。
つかさは、カーペットに倒れこんで、静かな寝息を立てていた。
「な、なんでつかさが寝ているのよ」
狼狽したかがみが叫んだ。
「それは、睡眠薬入りの紅茶を飲んだからだよ。かがみん」
「えっ!? 」
かがみは驚きのあまり、言葉を発することができない。
狼狽したかがみが叫んだ。
「それは、睡眠薬入りの紅茶を飲んだからだよ。かがみん」
「えっ!? 」
かがみは驚きのあまり、言葉を発することができない。
「良心の呵責に耐え切れなかったのだろうね」
まともに声を出せないかがみに向かって、私は静かに言った。
「昨日の夜、つかさから電話があったんだ。かがみが、睡眠薬入りの紅茶を、
私とゆーちゃんに飲ませようとしているってことをね」
「つかさ…… 」
もっとも濃厚な時間を共有している双子の妹に裏切られて、かがみは、衝撃のあまりに
言葉を発することができないでいる。
まともに声を出せないかがみに向かって、私は静かに言った。
「昨日の夜、つかさから電話があったんだ。かがみが、睡眠薬入りの紅茶を、
私とゆーちゃんに飲ませようとしているってことをね」
「つかさ…… 」
もっとも濃厚な時間を共有している双子の妹に裏切られて、かがみは、衝撃のあまりに
言葉を発することができないでいる。
「でも、つかさは迷っていたよ。私を取るか、かがみを取るかを本当に最後までね…… 」
私が、つかさの後を追った理由は、最後の念押しをする為だった。
それでもつかさは直前まで迷っていた。角砂糖を入れる手が震えていたのがそれを証明している。
私が、つかさの後を追った理由は、最後の念押しをする為だった。
それでもつかさは直前まで迷っていた。角砂糖を入れる手が震えていたのがそれを証明している。
どうやら、かがみにも眠気が襲ってきたようだ。
かがみは、辛そうにこめかみを押さえながら両膝をついた。
「でも…… 私のカップに入っている砂糖は、白かったわ」
納得できないといった顔をしているかがみに、教えてあげることにする。
かがみは、辛そうにこめかみを押さえながら両膝をついた。
「でも…… 私のカップに入っている砂糖は、白かったわ」
納得できないといった顔をしているかがみに、教えてあげることにする。
「つかさは『睡眠薬を入れるべき砂糖の方』を入れ替えたんだよ。かがみとつかさが
飲んだ紅茶には、薬入りの白い砂糖、ゆーちゃんと私にはふつうの黒砂糖をね」
「そんな…… 」
「かがみ先輩って、とても可哀想ですね」
ゆーちゃんが憐れむように言ってから、必死に眠気に抗いながら、四つんばいになっている
少女を見下ろした。
飲んだ紅茶には、薬入りの白い砂糖、ゆーちゃんと私にはふつうの黒砂糖をね」
「そんな…… 」
「かがみ先輩って、とても可哀想ですね」
ゆーちゃんが憐れむように言ってから、必死に眠気に抗いながら、四つんばいになっている
少女を見下ろした。
「ゆたかちゃん。あんたなんかには分かんないわ…… 私が、どれだけこなたを好きでいたかなんて」
思わぬタイミングで、告白されてどきりとする。
「私はね。何も努力をしないのに、いつもこなたに心配ばかりかけているくせに、
無条件でこなたに愛されるゆたかちゃん。あんたが憎くて仕方がなかった。
こなたと仲睦まじそうにしている姿を見ているのは、何よりも苦痛だったわ」
思わぬタイミングで、告白されてどきりとする。
「私はね。何も努力をしないのに、いつもこなたに心配ばかりかけているくせに、
無条件でこなたに愛されるゆたかちゃん。あんたが憎くて仕方がなかった。
こなたと仲睦まじそうにしている姿を見ているのは、何よりも苦痛だったわ」
「でも、睡眠薬はいただけなかったね…… 何をするつもりだったの? 」
しかし、かがみはフンと鼻息を鳴らして、
「こなたが想像していることと、大して違いはないわ」
と、明らかにはしてくれなかった。
しかし、かがみはフンと鼻息を鳴らして、
「こなたが想像していることと、大して違いはないわ」
と、明らかにはしてくれなかった。
「こなた。これからどうするの? ゆたかちゃんと、不毛な愛を育むの? 」
「それはかがみの知ったことではないよ」
「そうね。私の知るべきことではないわね 」
かがみの身体が、床に崩れ落ちる。
「私は、かがみのこと好きだったよ…… たぶん、親友というより恋愛感情としての好きだと思う。
かがみと一緒の高校生活はとても楽しかったよ。でもね」
私には、ゆーちゃんがいたんだ。
「それはかがみの知ったことではないよ」
「そうね。私の知るべきことではないわね 」
かがみの身体が、床に崩れ落ちる。
「私は、かがみのこと好きだったよ…… たぶん、親友というより恋愛感情としての好きだと思う。
かがみと一緒の高校生活はとても楽しかったよ。でもね」
私には、ゆーちゃんがいたんだ。
もう一度、かがみの顔を見つめ直すと、私の大好きだったクラスメイトは既に寝息をたてていた。
強制された眠りに落ちた双子を、同じベッドに寝かしてから、家を辞することにした。
玄関先で、みき小母さんが見送ってくれる。
「もう帰るの? 泉ちゃん」
「ええ。おじゃましました」
「かがみとつかさは見送らないのかしら」
みき小母さんは腰に手をあてて、頬を膨らました。
「ふたりとも、眠ってしまいましたから」
玄関先で、みき小母さんが見送ってくれる。
「もう帰るの? 泉ちゃん」
「ええ。おじゃましました」
「かがみとつかさは見送らないのかしら」
みき小母さんは腰に手をあてて、頬を膨らました。
「ふたりとも、眠ってしまいましたから」
私は悪戯そうな笑顔をつくってみせた。
「もう、仕方がないわねえ。後で叱っておこうかしら」
「ではそろそろ…… 」
「今日はありがとうございました」
「もう、仕方がないわねえ。後で叱っておこうかしら」
「ではそろそろ…… 」
「今日はありがとうございました」
私とゆーちゃんは、小母さんにお辞儀をして柊宅を出た。
すっかり葉を落とした銀杏並木を望みながら、駅に向かってゆっくりと歩いていく。
「こなたお姉ちゃん」
「なあに、ゆーちゃん」
ゆーちゃんは立ち止まって私の顔を見つめた。
「これから、どうしようかな」
「ん…… 学校、行きたくない? 」
私の質問に、ゆーちゃんはこくりと頷いた。
まあ、無理はない。ゆーちゃんにとって、今後の高校生活は大変厳しいものになるだろうから。
すっかり葉を落とした銀杏並木を望みながら、駅に向かってゆっくりと歩いていく。
「こなたお姉ちゃん」
「なあに、ゆーちゃん」
ゆーちゃんは立ち止まって私の顔を見つめた。
「これから、どうしようかな」
「ん…… 学校、行きたくない? 」
私の質問に、ゆーちゃんはこくりと頷いた。
まあ、無理はない。ゆーちゃんにとって、今後の高校生活は大変厳しいものになるだろうから。
「それなら…… 何処かへ二人だけで行こうか。誰もいない、遠いところへ」
私は、ゆーちゃんの大きな瞳から、視線を外さない。
ゆーちゃんは私の顔を見上げてから、何も言わずに胸のなかに飛び込んだ。
私は、ゆーちゃんの大きな瞳から、視線を外さない。
ゆーちゃんは私の顔を見上げてから、何も言わずに胸のなかに飛び込んだ。
(終)
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- 純愛を書けなんて、カレー屋さんに行ってラーメンを頼むようなもの。 -- 名無しさん (2010-03-14 12:42:46)
- こなた×ゆーちゃんは好きだけど、こんな昼ドラみたいなストーリーは正直どうかと・・・
もうちょっと純粋な恋愛ってのが良かったのにな・・・ -- 名無しさん (2010-03-14 11:19:29) - 黒い・・・でもこういうデドロドロしたのは大好き。グジョブ。 -- 名無しさん (2009-03-03 00:06:59)
- 自殺スレ作品に迷い込んだかとおもたわw -- 名無しさん (2009-01-22 02:15:35)
- このこなたは刺されてもいいなWWW
ぐじょぶ -- 名無しさん (2008-08-15 23:48:52) - これはエロープシリーズの原作なのかな、かな?
-- 九重龍太∀ (2008-05-23 19:45:23) - 作者のキャラはリアル(現実的)過ぎる…。特にゆたか
だからそれ故、共感できるんだよな
新作期待してますよっ -- 名無しさん (2008-04-06 23:58:59) - んん…?
何か少し後味悪いな
アフターストーリー求む -- 名無しさん (2008-04-06 23:49:26)