kairakunoza @ ウィキ

それも、愛でしょう。

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 ――最高学年になったという現実が、ようやくリアルな実感を伴ってきた、そんなある日のお話。

 穏やかに晴れ渡った春の朝。私はつかさとみゆきと三人で、陵桜学園の前庭を歩いていた。
 薄く霞がかかった青空に、薄桃の衣を脱ぎ捨てた桜が、瑞々しい若葉をそよ風になびかせている。
 こんな日にはちょっといいことありそうだな、と思ってしまう、そんな自分がおかしくて、つい口元がほころんでしまう。

 だけど、気がつくと口元がほころんでしまう理由は、もうひとつある。
 初めてできた、恋人のせい。
 先月までは"親友"でしかなかったその子に、思い切って告白したのは春休みのこと。
 同性同士。我ながらインモラルだとは思ったけれど……恋は理屈じゃないんだ、って悟ったら、あとはもう一直線だった。

「……おーい、かがみー!」
 春風になびく、蒼く長い髪。正門のほうから、その人が駆けてくる。
「こなたー!」
 満面に笑みをたたえて振り返り、走り出す。

 距離にしてほんの数十メートル、邂逅までほんの数秒。けれど、そのわずかな時間さえじれったい。

「かがみーー!!」
 両手を広げて駆け寄る、こなた。
「こなたーー!!」
 私も両手を広げ、距離を詰める。

「かがみぃぃぃぃぃ!!」
 左手を引き、腰溜めに構えながらこなたが走る。
「こなたぁぁぁぁぁ!!」
 右腕を額にかざして、私も左手で拳を作る。


 そして――邂逅。


「ふんぎゃっ!!」
「ぐほぁ!!」

 足が地面を離れ、浮遊感が私を包む。
 目の前いっぱいに広がる、空の青と雲の白。

 ああ……空が青いなぁ……

 わずかな滑空を楽しんだあと――背中に強烈な衝撃を感じ、視界に桃色の星が飛んだ。

「……お……おは……よ……ぐふっ」
 ぐわんぐわんと世界が回る。でも、それはこなたも同じはず。
 よろよろと立ち上がり、満面の笑みを作り手を差し伸べる。
「……おはよ……ぬぐぉぉ」
 仰向けにひっくり返ったまま、私の手を取って、こなたがぎこちなく微笑んだ。

「うふふ、見事なクロスカウンターでしたね」
 優しい笑みを浮かべて、みゆきが私たちを讃える。悪くない気分ね。
「お姉ちゃんすごーい、こなちゃんと互角の重いパンチだったよ!」
 目を丸くするつかさ。ふふふ、これこそ愛の重さってものよ。もっと褒めたんさい。


 周りの野菜……もとい、クラスメイト達の目が、点になっている。でもそんなの関係ねぇわよ。


―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― 



 勉強は嫌いじゃないけれど、こなたと逢えないのだけは耐えられない。
 拷問のような四時限がノロノロと過ぎて……待ちに待った授業終了のチャイムが鳴った。

「よし、今日はここまd」
「こなた! 今行くわよぉぉぉっ!!」
 ジト目の桜庭先生を尻目に、教室を飛び出す。

 C組からB組へ。あちこち継ぎ接ぎだらけの(誰のせいかしら……乱暴な生徒もいたものよね)、B組のドアを蹴破る。
「かがみぃっ!!」
 響き渡る破壊音。眠そうな目をしていたこなたの顔が、ぱぁっと明るくなった。

「こなたぁぁぁぁっ!!」
 抑えきれないワクワク感を胸に、肘を軽く曲げた腕を真横に伸ばしながら、全速力で駆け寄る。
「かがみぃぃぃぃっ!!」
 左足を少し後ろに引いて腰をひねり、こなたが溜めを作る。ふふ、その手には乗らないわよ。

「のまりゃぁぁぁぁっ!!」
「ふぎゃうっ!!」

 必殺・カガミンラリアット炸裂。私の二の腕が、深々とこなたの喉笛に食い込んだ。
 振り上げたこなたの足が宙を切り、その小さな身体が私の腕を軸にして一回転。……そして、どさりと床に落ちた。

「……う……うごご……げほげほ」
 ひくひくと痙攣するこなたを抱き起こし、青ざめたその頬に頬ずりする。
「ふふっ、私の愛のほうが上だったみたいね♪」
「うぐぐ……つ、次は……負けないよ、かがみん」
 苦しい息の下、こなたは満足そうな笑みで私に応えてくれた。

「……怖いよー、今までにないぐらい怖いよー」
 セバスチャン……もとい、白石君が壁にへばりついて怯えてる。心配しなくても、あんたになんか決めてやんないわよ。


―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― 



 放課後。新刊のラノベを買うために、私は大宮のアニメイトにいた。
 大宮まで来なくても、近所の本屋さんで買えるんだけど……こなたが行きたいというところなら、私はどこだってついてくわ。

 こなたは今、あの変な熱血店長と拳を交えてる。
『KOしたら二割引き』って言うんだけど……正直、こなたを取られたみたいでちょっとくやしい。
 腹いせに、顔の怖いボサボサ髪の店員をフランケンシュタイナーで沈める。一割引きゲット。
 白目を剥いたその顔に、「いいもの見ちゃった」と書いてある。この野郎。

 ……そんなこんなしているうちに、こなたと店長の勝負にも決着がついた。
 ガードを固めて店長のバーンナックルをしのぎ、降り際のスキに小足払い連打を重ねて削り殺し。なかなかエグイわね。

「ぃやったー、二割引ゲット!」
 飛び跳ねて喜ぶこなた。私も目いっぱい祝ってあげなくちゃ。

 ケロロ軍曹みたいな顔をした、小柄な店員を踏み台にしてジャンプ。
「やったわね、こなたぁぁぁぁ!!」
 天井すれすれで宙返りを決め、左足を突き出してこなたの胸のあたりを狙う。

「ほっ!」
 気合一閃。左腕を立てて、こなたが私の蹴りをガードした。
 刹那、青い閃光が走り……

 ―― 一瞬、時間が止まった。
 うそっ、ブロッキング!?

「ありがと、かがみーーーーん!!」

 拳と肘、そして一瞬遅れて膝。昇龍拳の三点セットが見事に決まり、私は木の葉のように宙を舞った。

「うぅわぁー(うぅわぁー(ウゥワァー))」

 ……うん、エコーも決まって、我ながら会心の、KOボイス、よ、ね。

 薄れ行く意識の中。こなたの愛に包まれて、

私は……心地よい眠りに落ちていった。


―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― 



 翌朝。こなたとの朝の"挨拶"を済ませ、私はつかさと三人で学校の前庭を歩いていた。

「ひさびさに草食ってさー」
 額に大きな絆創膏を貼り付けて、私。
「草、いいよねー」
 頬に大きなガーゼを貼り付けて、こなた。
 何気ないこなたとの会話が、楽しくて仕方がない。……身体で語る、いつもの愛情表現には負けるけど。

 前を行く学生たちの中に、みゆきの姿を目ざとくみつけ、つかさが嬉しそうな声を上げた。
「あっ、ゆきちゃーん♪」
 言うなり、バルサミコ酢の壜を逆手に持って走り出す。
「あら、つかささん」
 振り返りざまに、みゆきが懐からヌンチャクを抜いた。……へぇ、ブルースリーの"WAY OF THE DRAGON"モデルじゃない。


「おはよー、ゆきちゃんっ!!」
「おはようございます、つかささんっ!!」


 爽やかな春空に、二つの鈍い音と短い悲鳴が響いた。
 ……ふふっ、今日も楽しい一日になりそうね。



― なんぞこれ ―




















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  • こwなwたwwwワンブロ昇龍wwww -- 名無しさん (2009-12-24 09:32:01)
  • なんぞこれw -- 名無しさん (2009-05-04 05:04:55)
  • ドラゴンボールとかでありそうな愛の形だな・・・ -- 名無しさん (2008-12-30 23:07:38)
  • そのセリフは俺に言わせてくれ -- 名無しさん (2008-11-24 20:10:11)
  • 久々に見返してたら、よりによって店長の勤務先を間違えてたので修正しました……orz -- 妄想屋(仮名) (2008-11-11 09:42:02)
  • BEBOPねたがあったーw -- 名無しさん (2008-09-23 22:09:24)
  • パッパラのノリみたい。 -- 名無しさん (2008-09-18 09:18:09)
  • ツッコミどころ満載すぎてバロスww -- 名無しさん (2008-09-18 00:43:16)
  • 何度読んでも笑えるなこれ
    -- みみなし (2008-05-19 00:49:31)
  • ひとえに愛ですなwww -- 名無しさん (2008-05-18 22:37:47)
  • これはこれで有りか・・・・・・・・・・ぁ?
    -- dAI (2008-04-20 15:36:11)
  • 個人的に『壊れネタ』並みの「斬新な愛情表現」に思えますwwww -- 名無しさん (2008-04-19 00:04:47)
  • 作者の脳ミソは異常www(←もちろん褒め言葉) -- 名無しさん (2008-04-14 22:02:02)
  • コメディ?(・・・・
    アクション?(痛烈な)
    とりあえず・・・
    盛大に吹いたwwwwww -- ほむ (2008-04-14 15:03:54)
  • ちょっwwww
    なんすかコレはwwww -- 名無しさん (2008-04-14 06:25:47)

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