kairakunoza @ ウィキ

といきな

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 5月初旬。
 街の緑が溢れるばかりの陽光によって、日毎に色彩を濃くしていく季節。
 私はこなたの家に遊びに来ていた。

 おやつとジュースを頂いた後、こなたと格闘ゲームで30分程遊んだ頃……
「ふああっ」
 こなたが、はしたないと言いたくなる程、盛大なあくびをした。
「こなた。昨日夜更かしでもしたの? 」
 私は、コントローラーを握り締めながら、傍らに座っている少女に尋ねる。
「うーん。黒井先生達とネトゲをだね」
「何時までしてたのよ」
 こなたは、再び、大きなあくびをしながら答える。とても眠そうだ。
「朝の、5時までかな」
「莫迦」

 私は、ため息をついてしまった。
 そんな遅い時間まで起きていれば、昼間、眠くなるのも当然だ。
 黒井先生も、教え子を夜更かしさせないで欲しい。
「ごめんね。かがみ。もう限界…… 」
 コントローラーをぽとりと落とすと、こなたはふらふらと歩いて、ベッドに横になってしまう。
「かがみん。おやすみ~ 」
「おいおい」
 ベッドで仰向けになっている、こなたに近づくと既に瞼を閉じてしまっている。


「マジで寝たのか…… こいつ 」
 ため息をついてから立ち上がり、こなたを見下ろす。
 ちょっと悔しいけれど、瞼を閉じた顔はとても可愛らしい。
「むにゅー 」
 両膝をついて近づき、こなたのほっぺに人差し指の腹をあてる。
「んー ふぐぅ」
 ふにふにとした感触がとても柔らかくて心地よい。

「こなた…… 」
 横になっている少女は、あまりにも無防備だ。
「起きないと、いたずらしちゃうぞっ」
 頬をつつきながら、耳元で声をかける。
「うにゃー 」
 こなたの猫のような口元が微かに動く。
「本当だぞ」
 もう一度、囁いてみる。
「ん…… んむぅ」
 しかし、微かな寝息をたてるだけだ。

「まったく…… 」
 本当に隙だらけだ。
 今、私に襲われたらどうするんだろう?
 不埒なことを思いついてしまって、すぐに顔が赤くなる。
 私は何を考えているんだろう?


 こなたとは、宿題を写させてあげた時から始まった縁だ。
 こなたは、小さな身体にあふれるばかりのパワーをもっている。
 私は、彼女の魅力にいつのまにか引き込まれて、気がつけばかけがえのない親友になっていた。
 高校時代が光り輝くものにしてくれたのは、まぎれもなく傍で寝息をたてている少女のおかげだった。

「こなた…… 」
 さらさらとした髪をさわりながら呟く。
「わたしね…… 」
 本人が起きていれば、恥ずかしくてとてもいえない言葉も、眠り姫となった今なら大丈夫だ。
 想いを伝える言葉を、素直に口に出すことができる。
「こなた。私、あんたのことが好きなの…… 」

「う、うにゅ…… 」
 こなたが身じろぎをする。
「ま、まずいっ…… 起きてた!? 」
 身体が硬直する。
 眠っていると思って告白したら、実は起きているなんてオチはあまりにもベタすぎる。
 鼓動が速まる。
 かあっと、顔が熱くなってしまう。

「こなた!? 」
 しかし、こなたは目を覚ました様子がない。
 ためしに耳たぶを、軽く触ってみても反応はない。
「ふぅ…… びっくりさせないでよ」
 安堵のあまり胸をなでおろして、こなたから顔を離す。

「私…… 」
 不意に胸が痛くなる。
「私、こなたのことが好き、大好きなの…… 」
 私はこなたに恋している。でも、こなたは?

 幸せそうな寝息を立てているこなたは、もし、私が想いを伝えたらどう答えるのだろう?
『私も好きだよ。かがみ』
 からかいとしての『好き』ではなくて、本当の『好き』を言ってくれるのだろうか。
 それとも、困ったような顔をしながら、静かに首を横に振るのだろうか。

 私は、手を伸ばせば届く位置にいる眠り姫を眺めながらも、
容易に出口が見つからない思考の迷路を、彷徨うしかなかった。

 (了)


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  • やはり、かがみ→こなたが
    すきです! -- チャムチロ (2012-08-25 16:23:06)
  • ↓確かに。こな×かががデフォルトで本当に良かった。 -- 名無しさん (2009-11-28 08:32:57)
  • 駆け落ちシリーズを読んだあとだとこれは凄まじく切ない… -- 名無しさん (2008-05-04 01:27:56)

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