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可能性 ~ こなたとみのるの場合

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こなたです。今、卒業式後のホームルームも終わって、ようやく自由な時間になった頃です。
私はこんな感動的な日でも、セバスチャンに思わず抱きつきたくなってしまってます。

「うぃ~。セバスチャン、卒業おめでとう」
「泉さんも卒業おめでとうっす。ところで、これからどうされるんですか?」
「私?そうだねぇ……」

私は深く考えていると見せかけて、突然白石みのる君…じゃなくって、セバスチャンに思いっきり抱きつきました。う~ん、この暖かさを感じると、一日中そばにして欲しいなっていう思いしか感じ取れなくなってしまう。
あ、私とセバスチャンはとりあえず彼氏・彼女っぽい感じの関係柄です。友達以上恋人未満って言う形で。あいつは抱きつかれるとちょっと嫌な顔をすることはあるけどね。

「卒業生と黒井先生が見ている中で抱きつかないでください。恐ろしいほど恥ずかしいしマナー違反だって」
「でもしっかりと腕で抱きしめてたじゃん。本当は好きで好きで仕方がない癖に」

そんな私たち二人の会話を冷めた…というか、何となく生暖かい視線で見守ってくれる卒業生たちと黒井先生。まぁ、自業自得だよね。セバスチャンの事が好きなばかりに、そして私もあいつの暖かさが欲しくて、無理矢理抱きついたわけだし…。

「泉、白石。ホームルーム後であることは差し引いても、教室で何やっとるんか!」
「は~い、セバスチャンとデートの申し込みで~す」
「で、ですから、こんな強引なデートの申し込み方はないですよ。皆さん、最後の最後までご迷惑をかけてすみませんでした」

「でも結構ラブラブだよね~」
「本当は、泉は白石に告白されて欲しいんじゃないのか?」
「期待に応えてやれよ、白石!」
「白石さん、ほら、あなたにとって一生に一度あるかどうかのチャンスだと思いませんか?」

ものの見事に『白石、告白してしまえ』という雰囲気に変貌する教室内。実は私も…告白してキスして欲しいなとは思ってるけど。
実際、抱きしめてくれたことは幾たびもあるけど、キスまではやってくれない…というよりも、やってないんだよね。

「泉さん…どうします?」
「白石、どうするもこうするもないやろ?告白して泉の回答が出るまでは帰らせまへん!」
「……」
「白石、早く告白するんや!男なら人前の告白もできるやろ?」
「できるできないはともかく、泉さんが、泉さんが…」

顔を紅潮させて、言葉がばったりと出なくなるセバスチャン。ほら、早く私に告白してよ。告白しなきゃ、前に進まないでしょ。あらゆる意味で。

「セバスチャン」
「えぇと…俺は、俺は…」
「はよ泉の期待に答えな」
「泉こなたの事が、事が……好きです!」
「よく言ってくれました!私もセバスチャン…じゃなくって、みのる君の事が好きです!」

お~、ようやく言ってくれましたねセバスチャン。ま、まぁ、人前で、しかも先生が居るところで告白されるのも…すごく恥ずかしいんだけど。でも自業自得です。私の好きな人に強引に告白されて欲しかったからね…。

「よかったやないか白石。芸能界か演劇界でも自慢できるで?」
「黒井先生、あまり馬鹿なことは言わないでくださいよ。そもそも先生が言うレベルの発言じゃないですし」
「それはすみまへん。やけど、テレビドラマや演劇では結構演技レベルの問われるシーンやで?」
「分かってます」

先生とのやりとりに少し呆れながらも真面目に答えているセバスチャン。やっぱ、こいつっていい奴だよね~。ずっとずっと、私のそばにいてくれたら本当に嬉しいんだけど…。
あ、『ずっとそばに』というのは、家にいるときとか、デートしている場合だけど。

「セバスチャン」
「もぅ…迷惑かけないでくださいよ」

そう言うと、セバスチャンは私を優しく机に座らせてくれました。こうもしないと、私は背が低いから、あいつとは思いっきり背伸びしないとキスできないからね~。

「もう分かってると思うけどさ…キスしよ?私にとっても、君にとってもはじめてのキスをさ」
「そ、そ、そ、それは無理!学校という場でキスなんて俺には多分できない!絶対できない!恥ずかしい!」
「じゃあ、なんで机の上に座らせたのかな?かな?」
「そ、それは……俺もキスしたいと思っているからです」
「白石、嘘つきやんけ!正々堂々と告白したなら、正々堂々と人前でキスできるやろ?」

「早くキスしてしまえ!泉と白石!」
「こなちゃんと白石くんの優しいキスが見てみたいな」
「芸能人志望なら、人前のキスとかスキャンダルに耐性がないといけないだろ?」
「白石、ほら、言い訳考えてる暇があったらさっさとキスするの!カップル誕生を私たちは祝ってるんだから。早くしないと『オネエサンイカッチャウゾ』するわよ?」

…と、次々と白石に襲いかかってくるキスへの催促。セバスチャンもこの瞬間はいろいろと大変だろうねぇ…。私もすごくドキドキしてるんだけどさ。

「泉さん」
「『こなちゃん』って呼んでくれなきゃ、やだよ……」
「わ、分かった。こなちゃん!」
「セバスチャン!」
「こ、こう言うのも、恥ずかしいんですけど…」
「セバスチャンもね…。あと、丁寧語を使っちゃって堅苦しいよ?」
「それもそうだけど…こなちゃん、キスしませんか?覚悟は決めたし、どうせ学校内の出来事だし、…それに、どうせマイナーな芸能人の恋愛ゴシップなんて、ブレイクしない限りはスルーされるのがオチだと思うし」
「そうだよ、それだよ。セバスチャンは素直になって、初めからそう言えば良かったのに!」

もう私の頭の中は、セバスチャンとのファーストキスの事で頭が一杯になってました。先生が見ているのも、卒業生達がその光景を期待しつつ見守っているのも、私にとってはどうでもよかったんです。はい。けど…やっぱり真面目なばかりに堅苦しい言葉ばかり出すのは、やめてくれないかな?かな?

「さぁ、いよいよカップル成立シーンのはじまりや!」
「黒井先生、いくらなんでもハメを外しすぎです。躊躇してくださいよ」
「す…すみまへん」

セバスチャン、先生をなだめてしまいました。この状況だとどっちが本当の先生なのか見当も付かないね、これは。
…で、いよいよキスすることになりました。教室内の周りのクラスの卒業生たちに、窓際から見守る他のクラスの卒業生たちのざわめきも加わって、逃げることは出来ない状況だったりします。

「こなちゃん…」
「セバスチャン…」
「ずっと…とは言いませんし、物理的にもダメだけど、休日や祝日の時はそばにいます…じゃなくって、いるよ」
「私も…その時だけは甘えさせて欲しいな。あんまり勉強だけするのも私には無理な話だし、オタク趣味があるってことはセバスチャンも分かってることだし。…けど、そろそろそれも終わりにしないといけないかも」
「いや、こなちゃんはオタ趣味を続けた方が結構いいかも知れないぞ?」
「な、何言ってるのよセバスチャン。けど…」
「けど?」
「いずれは結婚して、何回も身体を重ね合って子供を作って、幸せな家族を作って行くのも、私とセバスチャンの使命だと思うよ?」
「ば、ばか!こんな年齢で、人が大勢いる場所でなんで大人の話を言ってるんだよ!」
「私はできることなら子供を二人くらいは儲けたいな~」
「…………」

と、セバスチャンが顔を真っ赤にしていたその隙に、私は少し強引にセバスチャンを引き寄せ、唇を重ね合わせました。じっくりと…じゃないけど、初めてのキスということで、ちょっとだけ唇を重ねる形で。
『キスして欲しい』と言いながら、実際の初めては私の方から仕掛けることになっちゃったのは…成り行きだからどうでもいいことにして。

「…………」
「ファーストキス、どうだった?」
「だからなぁ…、恥ずかしい話して隙を見て強引にキスするなっつーの!」
「えへへへっ。ごめんごめ~ん」
「もう…いい加減にしろよな」
「セバスチャンも、普通にくだけた言葉遣いができるじゃん」
「仕返し、してやるよ」

もうこの後は言わなくても分かりますよね。互いの身体を密着させて、じっくりと、たまに舌を重ね合わせるように、キスしていました。
セバスチャンも、さっきはあんなに厳しいことを言ってたけど、キスした途端に私の髪を撫でてくれたりして、本当は優しいのだな…って、改めてそう思いました。
大切にしたい人がいるっていうのは、私も本当に嬉しいものなのですよ、はい。

「…俺はこれからもいろいろ大変なことや、嬉しいことがあると思うけど、こなちゃんがいれば乗り越えられると思う。一流の芸能人になれるとは限らないし、もしかしたら別の道に進むかも知れないけど…」
「セバスチャン、その台詞は全然君に似合ってない!言い直し!」
「泉、白石も精一杯お前のために言ってんやから…。少しくらいは空気読みなはれ」
「こなちゃん、空気くらい読んでくれよ?」
「うい~っす。あとは…これからもずっと、セバスチャンを愛してるからね?けど他の女の子に手を出したら、容赦しないんだから気を付けなさい!」

「先ほどの泉さんと白石さんのキスはアツアツでしたわね…。柔らかい感じの抱擁もなんとなく、俳優を目指そうとする白石さんらしい感じでした」
「でも、こなたも少しは空気を読んで欲しかったわ。そういや私も…セバスチャンみたいな人に抱きしめられて欲しいなぁ」
「お姉ちゃん!」
「べ、別に…願望くらいは言ってもいいと思うけど」
「けど、お姉ちゃんにもきっといい人はできると思うよ。セバスチャンみたいな『王子様』がね」
「ひ、一言多いわよ……」

「ひゅーひゅー!このバカップルめが!」
「お、俺は別に悔しくも悲しくもないからな!幸せにしろよ白石!」


「というか君、オタク趣味があったから、泉さんの事が好きだったの?」
「そ、そんなことはねーぞ!」
「あんな事を言っている時点でバレバレだけどね」
「そんなのはどーでもいい!」
「ま、泉さんも白石君もお幸せにね!」

こうして、ちょっと邪魔をしちゃった感はあるけど、私はセバスチャンと無事に結ばれた訳です。
なんだかんだで、これから大学生活を送る私と芸能界で一生懸命に頑張ろうとしている彼との間に、見えない壁や微妙な距離感ができるんだろうけど、私はそんなのは乗り越えられると思ってます。
まぁ、『子供を二人くらいは儲けたい』と言った以上、セバスチャンと結婚して子供を産んで、幸せな家庭を築きたいのは確かなんだけど。

「セバスチャン、明日はアキバへデートに行こうよ」
「もちろん行くに決まってるだろ?こなちゃん」
「その代わり、明日はずっと私の隣にいて欲しいんだけど」
「えっと…俺かこなちゃんがトイレに行ってる時も?」
「別にいいよ、私やセバスだってマナーとかモラルはちゃんと守ってるからね!」
「だよな」
「じゃ、テンプレ通りになっちゃうけど…」
「こなちゃん、大好きっす」
「私も大好き。ずっと一緒だよ、セバスチャン……」


(終)












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  • まぢでこのカプ良いよ、人気ないのが有り得ない -- 名無しさん (2010-06-11 01:18:29)
  • この組み合わせは意外だったからどうなるの?って思ってた
    けど…面白かったww
    っていうか黒井先生、ハメはずしすぎww -- 名無しさん (2009-03-24 01:20:35)
  • この組み合わせが大好きな俺は異端。 最高でした。 -- 名無しさん (2009-03-21 14:14:51)
  • 白石のあきら様以外のカップリングというのは本当に珍しい。
    非常に甘い作風なのもなかなかでした。 -- 名無しさん (2009-01-28 21:47:26)

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