「今日はすみませんでした。わざわざ委員会の仕事に付き合わせてしまって」
みゆきは申し訳なさそうに、隣に並んで歩いているかがみにそう言った。
「ああ、いいってことよ。いつもは私たちの方が迷惑ばかりかけてるんだし。それに、これくらいの仕事はどうってことないわ。だから謝ることもないのよ」
かがみはこともなげにそういい、小さく微笑んだ。
みゆきは、心底安心した。何故なら、彼女は常に他人を傷つけることを恐れており、また、そうしないように常に気を遣っている。それだけに、かがみの優しさが、みゆきには有難かった。
西に傾いた太陽によって、二人が歩く陵桜学園の廊下はすっかり赤く染められている。そして、人気も全くなく、聞こえてくる音は、時折グラウンドの方から聞こえてくる運動部員たちの掛け声と、二人の足音だけだった。
どうかすると幻想的な光景だが、二人はそのことに全く気付かない。彼女らにとって、これは単なる日常の一部に過ぎないからである。
ふとみゆきは、窓を通して太陽を見上げた。すると同時に、みゆきははっとして、携帯電話を取り出して、何かを確認する。
その慌しい動きに、かがみは不審を抱いた。
「どうしたの?」
「はっ、はい?」
かがみの問いかけに、みゆきは裏返った声で返答した。ますます怪しいと感じたかがみは、もう一つ質問をしようと口を開く。
しかし、その前にみゆきの口が開くほうが早かった。
「か、かがみさん。バスまで時間もあることですし……私の用に付き合ってくださいませんか?」
いつも冷静なみゆきには珍しく、早口な言い方だった。
「用?」
一体なんだろうか、とかがみは首をかしげて考えた。様々な考えが頭の中を駆け巡っては消えていく。しかしほどなくして、かがみはあることを思い出した。
それは、自分もいつ言い出そうかと思っていた懸案だった。もしみゆきも同じことを考えているのなら、自分にも都合が良い。
「ねえ、もしかしてそれって……」
「か、かがみさんっ! ば、場所を移しましょう!」
みゆきは慌ててかがみの言葉を遮り、かがみの腕を掴むと、そばにあった「第二資料室」の中に駆け込んだ。その挙動不審さに、かがみの想像は確信へと変わっていく。
第二資料室は、その名のとおり、様々な書物や文献が所狭しと本棚に詰められていた。そして本棚だけでなく、ブルータスの彫刻や体操マットなど、使われなくなって久しいと見受けられるようなものも床に置かれている。
しかし、整理はなされているようで、どれも整然としており、ほこりなども舞っていない。
みゆきは中にかがみを引き連れると、掴んでいたかがみの腕を放し、第二資料室の鍵を中からかけた。
「いつになく慌ててるわね」
鍵をかけるみゆきの背中に、かがみは声をかけた。
「す、すみません……」
言いながらみゆきは振り向いてかがみの方を向くと、深い溜息をついた。
「……ここからは冷静になりますね。すみません、慌ててしまって。何だか、廊下でそういう話をするのが恥ずかしくて」
「別にいいのよ? 廊下は人気がなかったんだし。聞かれる心配もないわ」
「いえ。やっぱり落ち着いた場所で二人きりで話したかったんです」
「それってやっぱり、バレンタインデーの話?」
かがみがそう聞くと、みゆきは小さく笑った。
「はい、その通りです。今日のために、作ってきたんです」
みゆきはそう言って、鞄の中からラッピングされた小さい袋を取り出して、かがみに差し出した。
袋にリボンを結んだだけ、というシンプルなラッピングであるが、そこにみゆきの実直さがうかがえる。かがみはみゆきらしいと思った。
「受け取ってください」
「……ありがとう」
かがみは、その袋をしっかりと両手で受け取った。みゆきは心底嬉しそうな顔をした。
「じゃあ、私もお返しね」
かがみは受け取った袋を鞄にしまい、鞄の中からラッピングされた小さい袋を取り出した。みゆきの袋に負けず劣らずこちらもシンプルなラッピングである。
「時間がなかったから、ちょっとあれなチョコかもしれないけど……」
みゆきに袋を差し出しながら、かがみはそう言った。
「いえいえ。かがみさんが丹誠込めて作ってくださったのであれば、それだけでも私は十分ですよ」
みゆきは微笑んでそういい、差し出された袋を受け取った。
かがみはその瞬間、ホッとした。朝から、どうやって渡そうものかと、かがみはずっと考えていたのだが、案外簡単に事が済んだ。人生、何事もそんなものなのかもしれない。
みゆきは申し訳なさそうに、隣に並んで歩いているかがみにそう言った。
「ああ、いいってことよ。いつもは私たちの方が迷惑ばかりかけてるんだし。それに、これくらいの仕事はどうってことないわ。だから謝ることもないのよ」
かがみはこともなげにそういい、小さく微笑んだ。
みゆきは、心底安心した。何故なら、彼女は常に他人を傷つけることを恐れており、また、そうしないように常に気を遣っている。それだけに、かがみの優しさが、みゆきには有難かった。
西に傾いた太陽によって、二人が歩く陵桜学園の廊下はすっかり赤く染められている。そして、人気も全くなく、聞こえてくる音は、時折グラウンドの方から聞こえてくる運動部員たちの掛け声と、二人の足音だけだった。
どうかすると幻想的な光景だが、二人はそのことに全く気付かない。彼女らにとって、これは単なる日常の一部に過ぎないからである。
ふとみゆきは、窓を通して太陽を見上げた。すると同時に、みゆきははっとして、携帯電話を取り出して、何かを確認する。
その慌しい動きに、かがみは不審を抱いた。
「どうしたの?」
「はっ、はい?」
かがみの問いかけに、みゆきは裏返った声で返答した。ますます怪しいと感じたかがみは、もう一つ質問をしようと口を開く。
しかし、その前にみゆきの口が開くほうが早かった。
「か、かがみさん。バスまで時間もあることですし……私の用に付き合ってくださいませんか?」
いつも冷静なみゆきには珍しく、早口な言い方だった。
「用?」
一体なんだろうか、とかがみは首をかしげて考えた。様々な考えが頭の中を駆け巡っては消えていく。しかしほどなくして、かがみはあることを思い出した。
それは、自分もいつ言い出そうかと思っていた懸案だった。もしみゆきも同じことを考えているのなら、自分にも都合が良い。
「ねえ、もしかしてそれって……」
「か、かがみさんっ! ば、場所を移しましょう!」
みゆきは慌ててかがみの言葉を遮り、かがみの腕を掴むと、そばにあった「第二資料室」の中に駆け込んだ。その挙動不審さに、かがみの想像は確信へと変わっていく。
第二資料室は、その名のとおり、様々な書物や文献が所狭しと本棚に詰められていた。そして本棚だけでなく、ブルータスの彫刻や体操マットなど、使われなくなって久しいと見受けられるようなものも床に置かれている。
しかし、整理はなされているようで、どれも整然としており、ほこりなども舞っていない。
みゆきは中にかがみを引き連れると、掴んでいたかがみの腕を放し、第二資料室の鍵を中からかけた。
「いつになく慌ててるわね」
鍵をかけるみゆきの背中に、かがみは声をかけた。
「す、すみません……」
言いながらみゆきは振り向いてかがみの方を向くと、深い溜息をついた。
「……ここからは冷静になりますね。すみません、慌ててしまって。何だか、廊下でそういう話をするのが恥ずかしくて」
「別にいいのよ? 廊下は人気がなかったんだし。聞かれる心配もないわ」
「いえ。やっぱり落ち着いた場所で二人きりで話したかったんです」
「それってやっぱり、バレンタインデーの話?」
かがみがそう聞くと、みゆきは小さく笑った。
「はい、その通りです。今日のために、作ってきたんです」
みゆきはそう言って、鞄の中からラッピングされた小さい袋を取り出して、かがみに差し出した。
袋にリボンを結んだだけ、というシンプルなラッピングであるが、そこにみゆきの実直さがうかがえる。かがみはみゆきらしいと思った。
「受け取ってください」
「……ありがとう」
かがみは、その袋をしっかりと両手で受け取った。みゆきは心底嬉しそうな顔をした。
「じゃあ、私もお返しね」
かがみは受け取った袋を鞄にしまい、鞄の中からラッピングされた小さい袋を取り出した。みゆきの袋に負けず劣らずこちらもシンプルなラッピングである。
「時間がなかったから、ちょっとあれなチョコかもしれないけど……」
みゆきに袋を差し出しながら、かがみはそう言った。
「いえいえ。かがみさんが丹誠込めて作ってくださったのであれば、それだけでも私は十分ですよ」
みゆきは微笑んでそういい、差し出された袋を受け取った。
かがみはその瞬間、ホッとした。朝から、どうやって渡そうものかと、かがみはずっと考えていたのだが、案外簡単に事が済んだ。人生、何事もそんなものなのかもしれない。
「それにしても手作りですか。泉さんが、かがみは不器用だからそんなの作れない―――と申し上げていましたから、どうなるものかと思いましたが」
そんなことを言いながら、みゆきは袋を開けて、中にあるチョコレートの箱を取り出し、箱を開けた。中には、かがみが作った、一口サイズのチョコが並べられていた。いささか不恰好な形をしているものもいくつかあったが、そんなに気になる程度でもない。
みゆきはチョコレートを一つ取り、口の中に入れた。程なくしてその顔が一気にゆるみ、見てるこっちまで微笑んでしまうような、幸せそうな顔をする。
「おいしいです……! やっぱり、かがみさんもいい腕ですよ」
みゆきの感嘆の声に、かがみは少々顔を赤らめて、
「……まあ、私だってね、作ろうと思えば作れるのよ。それに……親友の為だし、ね」
「親友、ですか」
みゆきは、ポツリと呟いた。その瞬間、空気がどことなく変化したことをかがみは感じた。
何だか決まりの悪い空気に、何か言おうものかとかがみは頭を働かせたが、言葉を思いつく前に、みゆきが口を開いた。かがみには、そのときのみゆきの目が、いや目と言うより眼鏡がキラリと光ったように見えた。
「かがみさん。……自分で作ったチョコの味を確かめたくありませんか?」
「え? ま、まあ確かに確かめたいけど……」
言ってから、何でそんなことを聞くのだろう、という疑問がかがみの頭に湧いた。
しかしその疑問を咀嚼しようとするのも束の間、次の瞬間にはかがみはみゆきに抱きしめられていた。
「え、くぅわっ……!?」
何が何だか分からず、かがみは声にならない声を小さく上げた。しかし、抵抗する気は全く起きなかった。何故なら、自分を抱きしめてくれているのは、この世で最も信頼できて、なおかつこの世で最も慕っている人物だからである。
そして強く抱きしめられているものの、全く圧迫感や苦しみを感じない、優しい抱きしめ方だった。それにかがみを包み込むみゆきの身体は柔らかく、温かで、心地よかった。これでは、抵抗しろと言う方が無理がある。
とはいえ、急なみゆきの行動に、かがみは戸惑っていた。そんなかがみの戸惑いを消すように、みゆきはかがみの耳に口を近づけ、優しく、そして甘くささやきかけた。
「そう身体を強張らせなくても結構ですよ……? リラックスしてください……。私に任せれば……大丈夫ですから……」
その囁きに、かがみは何も言えなかった。いや、何かを言おうとは思っているのだが、適当な言葉が見つからないのである。
そんなかがみに対し、みゆきは小さく笑った。そして、深呼吸したかと思うと、かがみに思考の時間を全く与えずして、かがみを体操マットの上に押し倒した。
「ちょ、ちょっと……!?」
また、かがみは小さく声を上げた。こんなことを言っておきながら、抵抗する気が起きないのもさっきと同じである。
気がつけば、かがみの顔のすぐ上には、みゆきの顔があった。しかしその顔はあくまでも穏やかで、悪意などは全く感じられない。つまり、これがいわば確信犯的な行動であることを裏付けている。
「あなたは、嫌ですか?」
「……え?」
気が動転してしまっているかがみは、みゆきが何を言っているのか全く分からなかった。暫く経ってから、ようやくこの行動の是非を問われているのだと悟った。
「い、嫌なわけはないわよ……。私だって、その……みゆきのことが、す、好きだし……」
かがみはとてもみゆきの顔を見られず、頬を真っ赤にして目をそらしながら答えた。
しかし、みゆきはその答えにいたく満足げな顔をした。そして、かがみの顔を見つめるその目は、慈愛に満ち溢れているかのごとく、穏やかだった。
そして、日常会話を話すような、驚くほど冷静な声で、
「ならば、いいですよね」
何を―――と言おうとしたかがみの唇は、みゆきの唇によってふさがれた。
いわゆるディープキスではなく、軽く唇を触れ合わせるだけの―――まるで、小さい子をあやすために撫でてやるような―――キスだったが、その反面その時間は長かった。
それはまるで、盃に湛えられたお神酒を、時間をかけてゆっくりゆっくりと、味わいながら飲み干そうとしているかの如く。
そして、ほんのりと甘いチョコの香りがした。かがみが隠し味に入れたワインの香りもほのかにする。
そんなことを言いながら、みゆきは袋を開けて、中にあるチョコレートの箱を取り出し、箱を開けた。中には、かがみが作った、一口サイズのチョコが並べられていた。いささか不恰好な形をしているものもいくつかあったが、そんなに気になる程度でもない。
みゆきはチョコレートを一つ取り、口の中に入れた。程なくしてその顔が一気にゆるみ、見てるこっちまで微笑んでしまうような、幸せそうな顔をする。
「おいしいです……! やっぱり、かがみさんもいい腕ですよ」
みゆきの感嘆の声に、かがみは少々顔を赤らめて、
「……まあ、私だってね、作ろうと思えば作れるのよ。それに……親友の為だし、ね」
「親友、ですか」
みゆきは、ポツリと呟いた。その瞬間、空気がどことなく変化したことをかがみは感じた。
何だか決まりの悪い空気に、何か言おうものかとかがみは頭を働かせたが、言葉を思いつく前に、みゆきが口を開いた。かがみには、そのときのみゆきの目が、いや目と言うより眼鏡がキラリと光ったように見えた。
「かがみさん。……自分で作ったチョコの味を確かめたくありませんか?」
「え? ま、まあ確かに確かめたいけど……」
言ってから、何でそんなことを聞くのだろう、という疑問がかがみの頭に湧いた。
しかしその疑問を咀嚼しようとするのも束の間、次の瞬間にはかがみはみゆきに抱きしめられていた。
「え、くぅわっ……!?」
何が何だか分からず、かがみは声にならない声を小さく上げた。しかし、抵抗する気は全く起きなかった。何故なら、自分を抱きしめてくれているのは、この世で最も信頼できて、なおかつこの世で最も慕っている人物だからである。
そして強く抱きしめられているものの、全く圧迫感や苦しみを感じない、優しい抱きしめ方だった。それにかがみを包み込むみゆきの身体は柔らかく、温かで、心地よかった。これでは、抵抗しろと言う方が無理がある。
とはいえ、急なみゆきの行動に、かがみは戸惑っていた。そんなかがみの戸惑いを消すように、みゆきはかがみの耳に口を近づけ、優しく、そして甘くささやきかけた。
「そう身体を強張らせなくても結構ですよ……? リラックスしてください……。私に任せれば……大丈夫ですから……」
その囁きに、かがみは何も言えなかった。いや、何かを言おうとは思っているのだが、適当な言葉が見つからないのである。
そんなかがみに対し、みゆきは小さく笑った。そして、深呼吸したかと思うと、かがみに思考の時間を全く与えずして、かがみを体操マットの上に押し倒した。
「ちょ、ちょっと……!?」
また、かがみは小さく声を上げた。こんなことを言っておきながら、抵抗する気が起きないのもさっきと同じである。
気がつけば、かがみの顔のすぐ上には、みゆきの顔があった。しかしその顔はあくまでも穏やかで、悪意などは全く感じられない。つまり、これがいわば確信犯的な行動であることを裏付けている。
「あなたは、嫌ですか?」
「……え?」
気が動転してしまっているかがみは、みゆきが何を言っているのか全く分からなかった。暫く経ってから、ようやくこの行動の是非を問われているのだと悟った。
「い、嫌なわけはないわよ……。私だって、その……みゆきのことが、す、好きだし……」
かがみはとてもみゆきの顔を見られず、頬を真っ赤にして目をそらしながら答えた。
しかし、みゆきはその答えにいたく満足げな顔をした。そして、かがみの顔を見つめるその目は、慈愛に満ち溢れているかのごとく、穏やかだった。
そして、日常会話を話すような、驚くほど冷静な声で、
「ならば、いいですよね」
何を―――と言おうとしたかがみの唇は、みゆきの唇によってふさがれた。
いわゆるディープキスではなく、軽く唇を触れ合わせるだけの―――まるで、小さい子をあやすために撫でてやるような―――キスだったが、その反面その時間は長かった。
それはまるで、盃に湛えられたお神酒を、時間をかけてゆっくりゆっくりと、味わいながら飲み干そうとしているかの如く。
そして、ほんのりと甘いチョコの香りがした。かがみが隠し味に入れたワインの香りもほのかにする。
暫く経ってようやく身体が離された。終わってしまえば数秒程度の出来事のようにも思えるし、もしかしたら数分くらいその状態だったかもしれない。しかし、今のかがみの頭ではどうだったのか全く分からなかった。
目の前には変わらずみゆきの顔がある。しかし、みゆきからかもし出される雰囲気は、いつものみゆきから想像できないほど淫靡で、そして艶やかだった。窓から差し込む茜色の光のせいかもしれない。
そして、改めてその体つきが豊満であることをかがみは実感した。弾けるような乳房、そして蠱惑的なボディライン。
今の体勢からはそれだけしか垣間見ることが出来なかったが、逆に言えばそれだけでも劣情を催すのに事足りる魅力を、みゆきが持っているということになる。
今は、そんなみゆきを――自分が押し倒されているという一方的な状況とはいえ――かがみが独り占めしているということになる。それを喜んでいいのか、かがみには良く分からなかった。
「チョコは、おいしかったでしょう?」
みゆきはそう言って、笑った。
そのしぐさは、やはりどこか艶かしかった。
「かがみさん」
みゆきが口を開く。心なしかいつもより息が荒い。
「何……?」
震える声でかがみは問い返す。
「今更かと思われるかもしれませんが―――逃げるなら、今のうちです。さっきは勢いあまってあんなことをしてしまいました。大変申し訳ありません。
ですから―――あなたが、これを望まないなら、今おっしゃってください。そうすれば、私はただちにあなたを解放し、今日のことは忘れるでしょう。どうしますか?」
一言一言、慎重に言葉を選ぶように、ゆっくりとみゆきは話した。
しかし、かがみの心は最初から決まっていた。
「何言ってるのよ。確かに……少し、びっくりしたけど、でも……みゆきが相手なら。別に嫌じゃないわ。さっきも言ったとおり……みゆきが好きだもの。だから……続けて?」
その言葉は、みゆきにとって意外なようだったようでで、みゆきは目を見開き、口を少し開けて驚きの表情を見せた。
だが、すぐに顔をほころばせ、
「……では、仰せのままに」
みゆきはそう言って、かがみの顔から、かがみの上半身、セーラー服の方に視線を転じさせ、セーラー服をたくし上げた。目の前にはブラジャーで隠された双丘が広がる。
みゆきは震える手で、その双丘を隠すブラジャーをずらす。すると、みゆきほど大きいわけではないが、その年頃なりに成熟したかがみの乳房が、みゆきの目の前に晒された。
これには、さすがにかがみも恥ずかしかったが、愛しい人のために、目を瞑って何とか羞恥に耐えようとする。
「かがみさん」
「ん……」
みゆきの声に、かがみは瞑っていた目を開けた。
「オキシトシン、って覚えてますか?」
唐突に問われたその言葉に、かがみは思わず首を傾げたくなった。だが、どこかで聞いた覚えのある言葉でもある。
「オキシトシン……あの、アミノ酸、だっけ? 生物で習った奴よね……?」
口に出しながら了見して、ようやく要領を得た。
みゆきはそのかがみの答えに満足したようで、頷きながら顔をゆるませた。
「そうです。それがどんな働きをするかは分かりますか? もっとも――桜庭先生が、C組でも同じことを教えたかどうかは分かりませんけど」
「えっと……確か、母乳を促す作用があるのよね。それと確か……人と人を結びつけるって」
「その通りです。オキシトシンは、母乳を促す作用があること以外に、人と人とを結びつけるという、つまりは信頼感などを作り出すのです。それは、友人同士、或いは恋人同士、夫婦同士などでも。私達も……オキシトシンの分泌を高くしたいもの、ですよね」
みゆきはとうとうと雄弁をふるった。ただそれ自体は、日常におけるみゆきと何ら変わりないものだが、かがみにはそれを今言い出す必要がわからなかった。
「ですから、今からかがみさんのオキシトシンを分泌させようと思うのです。お覚悟は、よろしいですね?」
みゆきはそう言って、艶を含んだ笑いをした。かがみは、無意識に頷いていた。
それを合図に、みゆきはかがみの乳房に手を這わせた。
「あっ……」
思わずかがみの口から吐息が漏れる。
みゆきはその声を聞き流しながら、かがみの乳房を円を描くように撫で回し、揉みしだきはじめた。そして、揉みしだきながら、優しいキスも忘れない。
一体どこからこんな技術を覚えたのだろうという疑問がかがみに湧き上がったが、それも襲い来る快感の前に消え去った。
目の前には変わらずみゆきの顔がある。しかし、みゆきからかもし出される雰囲気は、いつものみゆきから想像できないほど淫靡で、そして艶やかだった。窓から差し込む茜色の光のせいかもしれない。
そして、改めてその体つきが豊満であることをかがみは実感した。弾けるような乳房、そして蠱惑的なボディライン。
今の体勢からはそれだけしか垣間見ることが出来なかったが、逆に言えばそれだけでも劣情を催すのに事足りる魅力を、みゆきが持っているということになる。
今は、そんなみゆきを――自分が押し倒されているという一方的な状況とはいえ――かがみが独り占めしているということになる。それを喜んでいいのか、かがみには良く分からなかった。
「チョコは、おいしかったでしょう?」
みゆきはそう言って、笑った。
そのしぐさは、やはりどこか艶かしかった。
「かがみさん」
みゆきが口を開く。心なしかいつもより息が荒い。
「何……?」
震える声でかがみは問い返す。
「今更かと思われるかもしれませんが―――逃げるなら、今のうちです。さっきは勢いあまってあんなことをしてしまいました。大変申し訳ありません。
ですから―――あなたが、これを望まないなら、今おっしゃってください。そうすれば、私はただちにあなたを解放し、今日のことは忘れるでしょう。どうしますか?」
一言一言、慎重に言葉を選ぶように、ゆっくりとみゆきは話した。
しかし、かがみの心は最初から決まっていた。
「何言ってるのよ。確かに……少し、びっくりしたけど、でも……みゆきが相手なら。別に嫌じゃないわ。さっきも言ったとおり……みゆきが好きだもの。だから……続けて?」
その言葉は、みゆきにとって意外なようだったようでで、みゆきは目を見開き、口を少し開けて驚きの表情を見せた。
だが、すぐに顔をほころばせ、
「……では、仰せのままに」
みゆきはそう言って、かがみの顔から、かがみの上半身、セーラー服の方に視線を転じさせ、セーラー服をたくし上げた。目の前にはブラジャーで隠された双丘が広がる。
みゆきは震える手で、その双丘を隠すブラジャーをずらす。すると、みゆきほど大きいわけではないが、その年頃なりに成熟したかがみの乳房が、みゆきの目の前に晒された。
これには、さすがにかがみも恥ずかしかったが、愛しい人のために、目を瞑って何とか羞恥に耐えようとする。
「かがみさん」
「ん……」
みゆきの声に、かがみは瞑っていた目を開けた。
「オキシトシン、って覚えてますか?」
唐突に問われたその言葉に、かがみは思わず首を傾げたくなった。だが、どこかで聞いた覚えのある言葉でもある。
「オキシトシン……あの、アミノ酸、だっけ? 生物で習った奴よね……?」
口に出しながら了見して、ようやく要領を得た。
みゆきはそのかがみの答えに満足したようで、頷きながら顔をゆるませた。
「そうです。それがどんな働きをするかは分かりますか? もっとも――桜庭先生が、C組でも同じことを教えたかどうかは分かりませんけど」
「えっと……確か、母乳を促す作用があるのよね。それと確か……人と人を結びつけるって」
「その通りです。オキシトシンは、母乳を促す作用があること以外に、人と人とを結びつけるという、つまりは信頼感などを作り出すのです。それは、友人同士、或いは恋人同士、夫婦同士などでも。私達も……オキシトシンの分泌を高くしたいもの、ですよね」
みゆきはとうとうと雄弁をふるった。ただそれ自体は、日常におけるみゆきと何ら変わりないものだが、かがみにはそれを今言い出す必要がわからなかった。
「ですから、今からかがみさんのオキシトシンを分泌させようと思うのです。お覚悟は、よろしいですね?」
みゆきはそう言って、艶を含んだ笑いをした。かがみは、無意識に頷いていた。
それを合図に、みゆきはかがみの乳房に手を這わせた。
「あっ……」
思わずかがみの口から吐息が漏れる。
みゆきはその声を聞き流しながら、かがみの乳房を円を描くように撫で回し、揉みしだきはじめた。そして、揉みしだきながら、優しいキスも忘れない。
一体どこからこんな技術を覚えたのだろうという疑問がかがみに湧き上がったが、それも襲い来る快感の前に消え去った。
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- 生殺しかよ……
でもGJだ! -- 名無しさん (2009-05-07 19:50:48) - もうちょっと続きがほしい -- 名無しさん (2009-04-07 21:54:57)