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オタ嫁日記 そのさん

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 「久しぶり。元気にしてた?」
  こうたろうと一緒にリビングに入ってきた人物。
  ――それは、俺の母親だった。
 「母さん、今日はどうしたんだ?」
 「田舎の親戚から野菜を沢山もらったから、おすそ分けに来たのよ」
 「ふーん」
 「あ、おばあちゃーん」
  そなたが嬉しそうに母さんの恰幅のいい腹に抱きつく。
 「あらあら、どうしたの、かわいい格好して」
 「ママがね、作って着せてくれたの」
  母さんに頭を撫でられながら、そなたが嬉しそうに答える。
 「そうかい。そうかい……。相変わらずだねぇ、こなたちゃんは」
  そう言って笑う母さん。
 「いやあ、それほどでも」
 「母さん、褒めてない褒めてない」
  照れくさそうに頭を掻くこなたに、こうたろうがツッコミを入れる。

 「やあ、くじらさん。お久しぶり」
  お義父さんがそう挨拶すると、母さんも挨拶をする。
 「そうじろうさん、お久しぶり」
 「今日は1人で? ふみひこの奴は?」
 「今日も朝早くから仕事なのよ。もうちょっとしたら帰ってくると思うけど」
 「そうか。あいつも忙しい奴だからなぁ」
  ふみひこと言うのは俺の父さんだ。
  昔から忙しい人で、朝早くから夜遅くまで仕事に追われている。
  こなたと付き合い出して、お互いの両親が顔を合わせた時、俺の父さんとお義父さんが実は昔、同級生だったという事実が発覚した。
  以来、たまにお義父さんと父さんは一緒に酒を飲みに行ったりしている。  

 「今日は随分沢山人がいるのねぇ」
  母さんがそう言ってリビングを見渡すと、かがみんがぺこりと頭を下げて挨拶をする。
 「こんにちは」
 「はい、こんにちは。赤ちゃん今、何ヶ月?」
 「あ、3ヶ月目です」
 「そう。かわいいねぇ。お母さん似かな」
 「でしょでしょ。お義母さん」
  何故かこなたが得意げに言う。
 「この子けんじ君って言うんだけど、本当にかがみんそっくりでしょ。目元とかかがみんにそっくりですごく男前だし」
 「おい!! それ、褒めてるのか!?」
 「褒めてるに決まってんじゃん。それにかわいい、似てるって言われて悪い気はしないっしょ?」
 「あんたに言われると褒められてる気がしないわ……」
 「あんた達は本当に仲がいいねぇ」
  母さんがそう言って笑うと、かがみんは不満そうな顔で言った。
 「えぇぇっ? どこがですか……?」
 「んもぅ。年を取っても相変わらず、かがみんは素直じゃないなぁ」
 「何よ」
 「こんなかがみんも、旦那とふたりっきりだと素直だったりするんだろうなぁ」
  そう言って、うっとりした表情になるこなた。あの顔はまた、勝手な想像をしてるんだろうな。
 「ちょっとこなた!! 勝手に人で変な想像しないでよ!!」

 「本当にこなたちゃんは相変わらずだねぇ。昔とちっとも変わらなくて」
 「そうだな。母さんの言うとうり、こなたは変わらないよな」
  俺が同意すると、それまで黙ってやり取りを見ていたこうたろうが口を挟む。
 「息子としてはもう少し、落ち着いて欲しいんだけど」
 「何? こーちゃんはママが気に入らないの?」
  こなたがそう聞き返すと、こうたろうは冷たくあしらう。
 「13歳の息子にママとか言うな。少しはかがみおばさんを見習ってくれ」
 「どういう所をさ」
 「とりあえず、そなとたまきを着せ替え人形にするな」
 「断る!!」
 「即答かよ!!」
 「こんなにかわいいふたりに、かわいい格好をさせるなと言うのが土台無理な話なのだよ、ワトソン君」
  こなたの言葉に、こうたろうはこめかみを押さえながら言う。
 「父さん。どうしてこんな駄目人間を選んだんだ。理解に苦しむんだが」
 「ひどっ!! かがみん、息子がひどいよ!!」
  こなたがよよよ、とかがみんに泣きつく。
 「知らんわ」
  かがみんは冷たく突き放した。
 「ひどすぎる!! ○○君、こーちゃんもかがみんもひどいと思わない!?」
 「あー、よしよし」
  俺はそう言って泣きついてくるこなたの頭を撫でてやる。
 「なんだかなぁ……」
  呆れたように俺達を見る息子に俺はぴしゃりと言ってやった。
 「息子よ。俺がこなたを選んだから、お前は生まれてきたんだぞ」
 「そりゃそうだけどさ……」
 「それに、普段こんなでも、こなたにはかわいい所もあるんだぞ」
 「……このおばさんのどこに、そんな要素が?」
  ジト目で母親を見る息子に、俺は妻の良い所を説明してやる事にした。

 「そうだな。まず、見た目が若い。どう見ても年齢に釣り合った容姿じゃないだろ。この前高校の同窓会に行った時、当時のクラスメイトだった女子達はほとんどが育児にくたびれたオバサンになってた。化粧でごまかしてたけどやっぱ当時と比べると衰えは隠せない。その時、俺は思ったね。ああ、俺って勝ち組だよなって。次に中身も変わらない。これ重要。大抵の嫁って母親になると、妻と言うより子供のお母さんになってしまい、旦那が蔑ろにされるようになるもんなんだ。会社の同僚とかがよく愚痴ってる。だがこなたは人生楽しんでるからな。子供に何もかも人生捧げますって事をしない。だから、今でも俺とこなたは昔と変わらずやっていける。あ、もちろんこうたろうとそなたをいいかげんに育ててる訳じゃぁないぞ」
  俺はそこまで言ってから、ひと息入れて続きを口にした。
 「でだ、こなたってこんなちっこいじゃないか。昔に比べると胸だけは大きくなったけど、背は伸びなかった。だが、それがいいんだ。こなたを背後からだっこしてやるとさ、なんて言うかこう、何とも言えない背徳感みたいなのを感じるんだ。こんなちっこい子を……」
  そこまで言った時、俺を3組の冷たい視線が射抜いていた。
  俺の母さんと、かがみんと、こうたろうの……。

 「あ、あほぉっ!!」
  どすっ!!
 「ぐべらっ!!」
  こなたの肘が俺の腹にめり込む。

 「……あなた、最低です」
  こうたろうは、冷たい声で俺にそう言い放った……。

                       ※

  その日の夜。
  かがみん達が帰るのと入れ替わりに、我が家に父さんもやってきた。
  明日は休みだから、今日はうちに泊まっていけばいいとこなたが提案し、お義父さんも賛成したのだ。
  こなたと母さんが一緒に作った夕飯を食べた後、俺とお義父さんと父さんは酒を飲んでくつろぐ。
  酒を飲む俺達に構わず、こうたろうはひとり、マイペースに携帯ゲームをしている。

 「それにしても懐かしい写真がいっぱい出てきたわねぇ」
  洗い物を終えた母さんとこなたはそなたと一緒に、こうたろうのアルバムを懐かしそうに見ている。 
 「覚えてる? あんた達ふたりを叱った事があったの」
  母さんがそう言うと、こなたが頭を掻きながら苦笑いをする。
 「あー、そんな事もあったっけ」
 「なになに?」
  そなたが興味津々といった感じで尋ねる。

  ……あれは確か、こうたろうが4歳くらいだったかな。
  母さんがそなたに昔の話をしているのを横目に思い出す。

  当時、こうたろうは魔法少女リリカルなのはのシリーズが大好きだった。
  普通、幼児にはアンパンマンや機関車トーマス、おかあさんといっしょと言った幼児番組を見せるものなんだが、こなたがあんまり好きじゃなかった。
  こなた曰く、つまらないそうだ。そりゃあ当然だ。純粋な子供向けなんだから。
  元々放映時間も短いし、幼いこうたろうは録画した物を何度も見たがるから、嫌でも付き合わなきゃいけない。
  それが苦痛だったらしく、こなたは何を思ったか、家にあったアニメのDVDを引っ張り出してきて、こうたろうに見せた。
  ……結果、こうたろうは食いついた。
  こなたも幼い頃、お義父さんが色んなアニメやマンガを見せて育てた。
  そして現在のこなたが出来上がった。
  結局の所、こなたの子はこなたの子だったのだ。

  こうたろうは特になのはシリーズが気に入ったらしく、一期、+A's、StrikerS、The MOVIEと全部見て、何度も何度も見返していた。
  当時のお気に入りの玩具がfigmaフェイト9歳バージョンだったりと、我が子ながら本気で将来が心配になったのを覚えている。

  そんなある日の事。
  夏休みにこうたろうだけ俺の実家に泊まりに行った日の夜、母さんが電話をかけてきて激怒した。
  退屈だろうからとDVDをレンタルしに店に連れて行ったら、明らかに幼児が選ばないような作品ばかり選んだ挙句、お気に入りのfigmaフェイト9歳バージョンを、俺の実家まで持ってきて遊ぶ孫の姿に、本気で将来を心配したようだ。
  子供素体では強度が足りないという事で、関節軸に合金を使ってる為それなりに頑丈に出来てるとはいえ、明らかに幼児向けではないfigmaフェイト9歳バージョンを器用に動かしてウルトラ怪獣と戦わせて遊ぶ、幼い息子の姿を見て母さんが激怒したのは当然だった。
 (ちなみに昔こなたが保存用に2個買いした物で、こうたろうがフェイト派だったため、こうたろうにこなたが与えてみたら手放さなくなったのだ)
  数日後、帰ってきた息子は、父さんに買ってもらった戦隊ロボで遊んだり、当時放映中だった戦隊物を見るようになっていた。
  朝早く起きて、朝のテレビ放映につき合わされるのが嫌で、こなたが見せてなかったのだが、父さんと母さんがもっと4歳の男の子らしい物をとDVDをレンタルして見せたらしい。
  その後、こうたろうに付き合って見てる内に、俺とこなたとお義父さんが戦隊物にハマってしまったのは言うまでもない。
  その後はこうたろうをダシに、合体ロボの新しい追加メカが出るたびに買ってきたりして。
  こうたろうが戦隊物を卒業するまでの数年間、我が家にある戦隊ロボ玩具は常に最強モードだった。
  そんな俺達を見て、母さんは呆れていたっけ……。

 「今日はおばあちゃん達と一緒に寝るー」
  回想を終えて意識を母さん達の方へ向けると、そなたがそう言って母さんの腕を引いていた。母さんは嬉しそうに笑っている。
 「ばあちゃん、前から思ってたんだけどさ」
  不意に、ゲームをセーブし終えたこうたろうが口を開く。
 「なに? こーちゃん」
 「ばあちゃんもじいちゃんも、どうして父さんを泉の家に婿養子にやる気になったの?」
 「どうしたの。いきなりそんな事聞いたりして」
 「いや、ばあちゃんってさ、昔から割と頻繁に母さんと小さい頃の俺、そなを連れて買い物に行ったりとかしてるじゃん。今だって、そなが一緒に寝るって言ったらすごく嬉しそうだったし……。母さんを嫁に貰ったほうが良かったんじゃないのかなって」
  きょとんとした顔をした母さんは、こうたろうの言葉を聞いて笑いながら言った。

 「確かにこなたちゃんをお嫁に貰ってたら、毎日賑やかだったろうね。こーちゃんもそなちゃんも毎日一緒だしね。でもそうしたら、そうじろうさんがひとりぼっちになっちゃうじゃない。○○がいなくなっても、私にはまだふみひこさんがいるけれど、こなたちゃんをお嫁にもらったら、そうじろうさんひとりぼっちになっちゃうでしょ。ひとりはさびしいものね」
 「……ばあちゃん達は優しいね」
  母さんのその言葉を聞き、こうたろうが尊敬した目で母さんの顔を見る。
 「それに、婿養子を認めないって好きあってる者同士を引き裂くような真似をしたくなかったし、もしこなたちゃんと別れたからって○○が新しい相手を他に作れる甲斐性があるとは思えないしねぇ」
  おい。
 「こなたちゃんなら、まだ同い年だし合法だからいいけど、こなたちゃんを逃して、本当に法に触れる相手に手を出して、警察沙汰になるくらいなら、婿養子にあげたほうがまだ……」

 「おい!! 息子を勝手にロリペドの変態にするな!!」
 「なんかえらい言われようだよ……」
  母さんの言葉に憤った俺はツカツカと歩み寄り、鬱になってるこなたを抱き寄せる。
 「ちょっ!?」
 「俺の妻はこなただけだ!! 未来永劫こなたを手放すつもりもなければ、こなた以外を選ぶつもりもない!!」
  俺の宣言に、こなたが赤くなって呟く。
 「ば、ばかぁー。皆の目の前で……」
  相変わらず、ストレートな愛情表現に弱い奴だ。だが、そ れ が い い 。

 「はいはい。わかったわかった」
  母さんはそう言うと、どうでも良さそうに手をひらひらとさせる。
  ……。
  こ、このババア……。

 「わーい。パパとママ、ラブラブー」
  そなたはそう言って喜ぶ。

 「……あほらし。俺、風呂入って寝るわ」
  こうたろうはそう言って、隣にある自分の部屋へ引き上げていった……。

                       ※

  ――夢を見た。
  俺が、こなたにプロポーズした時の夢を……。

 『こなた、これからの人生、俺と一緒に歩んでくれないか』
  何度も何度も考えた、何の飾り気もないシンプルなプロポーズ。
  給料3ヶ月分の指輪を差し出して、答を待つ。
 『本当に、私でいいの?』
 『こなたでなきゃ嫌だ』
 『……嬉しいよ』
  いつもふざけあってたふたりがこの時だけは、真剣にお互いの気持ちを通わせていた。
  ……数日後、こなたのお父さんに結婚を許してもらう為、俺達はふたり揃って泉家の前に立っていた。
 『行くか』
 『うん』
  外で待ち合わせをして、ふたりで一緒に泉家の玄関をくぐる。

  ――しかし。

 『お父さん!?』
  家の中に入ってすぐ、こなたと俺は異変に気づいた。
  こなたのお父さんが、廊下に倒れていたのだ。
 『お父さん、お父さん!!』
  顔面蒼白のこなたが泣きそうな顔でお義父さんの体を揺さぶる。
 『う、うう……こな、た? どうした、そんな顔したりして』
 『お父さん、良かった……』
  こなたはお義父さんに抱きついて、嗚咽を漏らす。
 『○○君、ごめんね……』
 『こなた?』
 『やっぱり、駄目だよ。もし私がお嫁に行ったら、お父さんひとりぼっちになっちゃう。そしたらまたこんな事があるかもしれない……』
 『……こなた』
 『ごめんね……』
  こなたの瞳から、涙がこぼれてぽろぽろと床に落ちる。
 『……だったら、俺が婿養子になるよ』
 『えっ、でも……』
 『言ったろ。こなたと一緒に生きて行きたいって』
 『○○君……』
  こなたと俺はお互いの顔を見つめあう。

 『なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!! いつの間に、そんな話が出たんだぁぁぁぁぁぁっ!!』
  すると突然、お義父さんが勢い良く立ち上がり絶叫した。
 『ちょ、お父さん、落ち着いて!! 体に障るよ!!』
 『あ、ああ……。すまん。しかし、お前達の付き合いも長いし、ここらでけじめを付けてもいいかもな……。正直、大切な娘をくれてやるのは悔しいが、手元に置いておけるならまだマシかもな……』
 『お、お父さん、体大丈夫なの? さっきまでここに倒れてたんだよ?』
 『ん、ああ。別にどこも悪くないから心配しなくていいぞ』
 『でも……』
 『いや、実は昨日買ったエロゲーがすごく面白くてな。ずっとぶっ続けでやってたんだ。流石に俺も年かな。徹夜に耐え切れず、トイレに行って戻る途中で、そのままここで寝てしまったんだ』
 『……』
 『……』
 『ん? どうしたんだ、ふたりとも黙り込んで?』

 『○○君、ふつつか者ですがよろしくお願いします』
 『こちらこそ』
 『私、いいお嫁さんになるね』
 『ああ』
 『お嫁に行く訳だから、○○君のご両親に挨拶しに行かないとね』
 『そうだな』
 『お、おい、ふたりともちょっと待ってくれ』
 『行こうか、こなた』
 『うん』
  俺とこなたはふたり手を繋いで俺の家に向ったのだった……。

                       ※

 「……君、○○君ってば」
 「……んあ?」
 「こんな所で寝たらいくらこの時期でも体に悪いよ。部屋に戻って寝ようよ」
  どうやらいつの間にか酔いつぶれて眠ってしまったらしい。
 「……ああ。寝室で寝るか……」
  まだあまり時間が経ってないのか、最後に時間を確認した時から一時間ほどしか経っていなかった。
  辺りを見回すと、母さんとそなたの姿はなく、お義父さんと父さんは掛け布団をかぶせられていびきをかいている。
  流石に大の男三人が寝るにはここは狭い。

 「う、ん……」
  俺はふらふらと立ち上がる。
 「大丈夫?」
  こなたがそう言って、俺の体を支えてくれる。
 「あー、こなたの体、あったかいなぁ……」
 「まだ酔ってる?」
  こなたが冷めた目で尋ねてくる。
 「いや、今日は昔の事を色々思い出したから、ちょっと感傷的になってるのかもな……。さっきも夢で見たし」
 「……色々あったよね」
 「そうだな……。なあ、こなた」
 「何?」
 「今、幸せか?」
  突然の俺の問いにこなたは俯いてしまう。
 「こなた?」
  こなたの態度に不安になってもう一度尋ねようとしたその時。
 「……これが答え」
  こなたが俺の首に両手を回して、俺の顔を下げさせると、爪先立ちになって俺の顔に……。
  俺は目を閉じて待つ。
  すると……。
 「もうっ!!こんなに目が充血してる!! 飲みすぎだよ!!」
 「へ?」
  こなたに強引に両目を開かされた。俺は気の抜けた声で一瞬呆けてしまう。
  こなた、キスしてくれるんじゃなかったのか……。

 「……俺、もう寝るから。ごゆっくり」

  背後から聞こえてきた、心底どうでもよさそうな声に振り向くと、こうたろうがかったるそうな態度で去っていった……。

                       ※

 「……やれやれ、いつまでも若い時の気分が抜けない親にも困ったもんだ」
 「仲がいいのはいい事じゃない」
 「時と場所を考えて欲しいもんだ。ところでばあちゃん」
 「なあに、こう君」
 「なんで、俺の写真にばあちゃんが一緒に写ってんの?」
 「だって、こう君の大事な記念写真だから、一緒に写りたかったの」
 「……」
 「もしかして、怒ってる?」
 「別に。まあ解っちゃいたけど、やっぱみんなには、ばあちゃん見えないんだよな」
 「そうね。寂しいけどしょうがないわ」
 「本来なら、ばあちゃんが見える俺のほうがおかしいんだろうな」
 「こう君はおかしくないわよ。ただ生まれつき霊感が強くて、私と魂の波動が近いから、私を認識して触れられるだけで」
 「いや、十分おかしいと思う。普通、死んだ人間と話したり触れたり出来ねえよ」
 「そうね。でも私は嬉しいわ。だって、かわいいこう君と話したり触れ合ったり出来るんだもの。目が見えるようになったこう君が、私を見て初めて笑った時の事は今でもよく覚えてるわ」

 「……ばあちゃん、俺が死ぬまで一緒なんだっけ」
 「そうよ」
 「転生する気はなかったの?」
 「ええ。そう君やこなたが幸せに暮らしてるのを見守っていたかったから」
 「それで俺の守護霊になった、か。もし母さんやじいちゃんが死んだら、ばあちゃんみたいに俺だけには見えるのかな」
 「多分ね」

 「……俺は果たして、今後まっとうな人生を歩んでいけるのだろうか……」
 「大丈夫よ。おばあちゃんがずっと一緒だからね」

 (……ずっと一緒か。将来誰かと結婚したら、子作りする所とかもばあちゃんに見られるんだろうか? いずれにせよ、死んだ祖母が守護霊になってて、しかも意思疎通が出来るなんて普通じゃないよなぁ……)

 「しかし、あれだ。誰もいない所でしか話せないのは不便だ。一々周りに気を配らないといけないし」
 「そうねぇ。誰にも気兼ねなく、好きな時にお話出来ればいいんだけれど」
 「勘弁してよ。ばあちゃんの事知らない人間に見られたら、俺、完全に頭のおかしい奴だよ」
 「こう言ったらなんだけど、こう君は特別な子なんだから、我慢してね」
 「……はあ」
 「そう言えば、前々から思ってたんだけど、こう君ってこなたやそう君が好きなゲームやマンガの主人公みたいよね」
 「はあ?」
 「こなたに似て運動神経抜群で、成績もわりと良い方だし。周りに女の子も沢山いるし。たまきちゃんとか」
 「ばあちゃん、母さんみたいな事言わないでよ。俺は普通に生きていきたいんだ」
 「……ごめんね、こう君」
 「いや、別にいいけどさぁ」

                     ※

 「なあ、こなた」
 「何?」
 「さっきから、こうたろうの部屋から話し声がしないか?」
 「誰かと電話でもしてるんじゃないの?」
 「子機はそこにあるじゃないか。たしかあいつには携帯は持たせてないだろ」
 「うん。本人は携帯嫌いみたいだけど、その内持たせようとは思ってるんだけどね」
 「あいつの部屋からたまに話し声が聞こえる時があるが、一体誰と話してるんだろうな?」
 「小説とかでも書いてるんじゃない? かがみんのファンだし二次創作とかしてても不思議じゃないよ」
 「そうか? 案外、自分の守護霊とかと話してたりして」
 「それ、なんてマンガ?」
 「昔、マガジンSPECIALで連載してた奴で……」
 「○○君も結構オタクだよね」
 「こなたと付き合ってりゃ、変わりもするさ」
 「ふふん、私色に染めてやったぜー」
 「ばーか。さてと、そろそろ部屋に戻って寝るか」
 「そだね。でもその前に……」

 「さっきのつ・づ・き」

  そう言って、こなたは俺の唇に自分の唇を重ねたのだった……。

                                                           おわり 





おまけ らき☆すた キッズ設定

泉こうたろう
泉こなたとらき☆すた 陵桜学園 桜藤祭主人公の間に生まれた長男

5月6日生まれ 13歳 両利き 血液型はA型
好きな物はチョココロネと鶏肉とガンダム 嫌いな物はもずく

人並み外れた身体能力と天才的な格闘センスを持つ為、ケンカが滅茶苦茶強い
こなたと主人公の子にしては学校の成績も良い
部活動は美術部だが、母親に似て絵は壊滅的にヘタ
こなたの4大要素(アホ毛、泣きぼくろ、猫口、眠そうな目)の内、泣きぼくろと眠そうな目を引き継ぐ
実はかなたさんが守護霊として憑いており、生まれつき霊感が強い事もあり、かなたさんに触れたり話したり等の意思疎通が出来る
こうたろうの人格形成には、かなたさんのしつけと、かがみのこなたへの説教が密接に関係している
かがみの説教のおかげで母親を反面教師としており、かなたさんのしつけもありまじめに勉強するので成績も良い
主人公の血を引いてる為か、知らぬ内に複数の女の子達の攻略フラグを立ててしまう
また原作(アニメ)の主人公とゲームの主人公の血を引く為か、異常にトラブルに巻き込まれやすい
元ネタになったキャラは仮面ライダーカブトの天道(妹にだけはダダ甘)
ドラゴンボールで言えば孫悟飯、ドラクエで言えばドラクエⅤの勇者に相当するキャラクター
続きがあれば今後他のらき☆すたキャラの子供達と密接に関わっていく予定

















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  • 綺麗なシン・アスカみたいだなwww -- 名無しさん (2009-09-03 23:22:49)
  • ああ、言われてみれば、主人公の母親は確かにくじらさんだったね。 -- 病院坂黒猫 (2009-04-13 16:56:10)
  • お前プロだろw
    じゃなかったら神w -- 名無しさん (2009-03-29 18:36:03)
  • 正直言ってここまで完成度高いとね…
    本職の方ですか?w -- 名無しさん (2009-03-24 22:37:06)
  • どうして「ふみひこ」と「くじら」に対してツッコミがないんだ!? -- 名無しさん (2009-03-13 17:46:00)
  • うん、あなた神だ
    竹井10日さんといっしょにらきすたの小説書くといいよ -- 15 (2009-02-28 10:30:52)
  • ちゃんと設定があって、そういうところとても素敵だと思います。
    おもしろかった。 -- 名無しさん (2009-02-28 09:40:23)
  • FFでいえばクラ○ド -- 名無しさん (2009-02-28 00:49:59)

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