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ラブマイライフ~すべては、ありのままで美しい~(2)

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ザーという雨に似た音の中に居た。
お母さんに促されるまま浴室へ行き、私はまた水に打たれていた。

何気ない一言。
でも、それで十分なほど
気づかないうちに私の心が限界になっていた。

「もう嫌だ……」
どうすれば、お姉ちゃんより好きな人を見つけられるんだろう……
漫画やドラマのように
突然出会えればいいのに…
早く、お姉ちゃんより好きな人を見つけられるようになりたい……
それが無理なら、
お姉ちゃんが誰かと付き合えば諦められるのかな……
って考えて、苦しくなった。

洗い場にしゃがみこみ
雨にもシャワーにも負けないぐらいわんわん泣いた
全部流れてしまえばいい
もう流さなくて済むように
全部全部流れてしまえばいいのに…

前に進む事も戻る事も終わらせる事もできない
出口が見えない暗闇に一人取り残されたような錯覚に陥る

そのうち頭がぽーっとし
本当に暗闇の中へと落ちていった。



見覚えるある景色が見える。
左手を握られている感触に
視線を移す

「お姉ちゃん……」
「ばかっ長いから呼びに行ったら、
 倒れてるんだもん、びっくりさせないでよ……」
お姉ちゃんの目は赤く腫れていた。

徐々に記憶が蘇る
ああ、そうか私はあのまま気を失っちゃったんだ……。

「……ごめんね、心配かけて」
「おまけにすごい熱だし、雨の中走って帰ったりするから…」

どうりで体が重い気がしたわけだ。

お姉ちゃんの顔を見るだけで目頭が熱くなるのを感じ
咄嗟に視線を逸らした

それでもお姉ちゃんは私の手を離さず
逆にぎゅっと握り締めた

「私がどれだけ心配したと思ってんのよ……」

「……」

「あの時だって……私がどれだけ……」

手の甲に雫が落ちた。

お姉ちゃんはボロボロと涙を零していた。

悲しませたかったわけじゃないのに……

こんな時、どんな顔してどんな言葉をかけたらいいんだろう
そんなこと学校でも家でも教えてくれなかった

「ごめんね、お姉ちゃん……」

そんなありきたりな言葉しか出てこなかった。

お姉ちゃんは服の袖でグイっと涙を拭い
「全然わかってないよつかさは……」

言葉の意図がわからない
私の不思議そうな顔を見て、
お姉ちゃんは大きなため息を吐き
息を整えて続けた

「どうして私じゃなきゃだめだったんだろうね」
無理に笑った笑顔だった。

「知って……」

お姉ちゃんは少し目を伏せて、自傷するように続けて言った。
「……どうして、つかさじゃなきゃだめだったんだろうね」

「……え」

「……鈍感」

熱がないはずのお姉ちゃんの顔が紅く染まっていた。
あっけにとられ驚く私に
ずっと一緒にいたんだよ?気づかないでってほうが無理だよ。
 本当にもう……こっちの身にもなってよね」
お姉ちゃんは苦笑する。

熱の所為か、頭が上手く回らない

「どうして?って顔ね」
「……つかさは言わないって決めてたみたいだったし、
 私より好きな人ができれば、それが一番いいと思ってた。
 つかさもそう考えてたんでしょ?」

私は頷いた。
そこまで見抜かれていたんだ…

「でももう、今みたいなつかさ、見てられないよ……」

言葉を頭で整理するように一呼吸おいて

「それに……私より、つかさの事わかってあげられる奴なんて
 いるわけないんだから…」
当たり前のことを言うように言った。

「私より、つかさの事好きになる奴なんていないんだから…」
念を押すように。

「そんな人待ってたら、私達おばあちゃんになっちゃうよ」

お姉ちゃんは小さく笑って「だから」と言った。

「……気が済むまで私の側にいなさいよ」

すべてを赦されたような気がした。
スーっと心の中に渦巻いていたものが無くなっていくように。

「……一生かもしれないよ?」
「覚悟の上よ」
お姉ちゃんは肩をすくめた。

「言ってもいいんだよね」
「……うん、言って」

開かないと思っていた扉が向こう側から開いた――。

「私……お姉ちゃんの事が好き……」
姉妹として家族として、そんな好きならいくらでも言えた。
でも本当に言いたかったのはそんな好きじゃない。
心では何度言ったかわからない
でも、口に出しては言えないと思っていた
ずっとずっと言いたかった言葉……。

「好き……好き……好き……好き……好きで好きでしょうがないの……。」
止めていた息を再開した時のように
心が今までの分を吐き出そうとする。
それを言えた事が純粋に嬉しかった。
いつ振りかわからない

嬉し涙がこぼれた。

お姉ちゃんは自分も泣いてるのに
私の涙を優しく拭ってくれる。

「ぎゅってして」
「つかさは本当に甘えん坊だなー」
そういいつつも、お姉ちゃんは私のことをぎゅっと抱きしめてくれる。

ずっと……ずーっと前から好きだったよ」
「……知ってる」

「なんかずるい」
「なんでよ」
お姉ちゃんは理不尽そうに笑いながら言った。

「だって、私はお姉ちゃんが私のこと好きだなんてわからなかったもん……」
「あんたは鈍感だからねー。楽で助かったわ」
冗談交じりに酷い事を言われた。

「てか、熱あがってない?」
くっついたお姉ちゃんのほっぺたが冷たいだけかと思っていたけど
そういわれれば、さらに体が熱くなってる気がする
「……そうかも……あはは」

お姉ちゃんは体をはなし、私の掛け布団を綺麗に掛けなおす。
「今日はもう寝な」
「寝たら夢だったとかない?」
「漫画じゃありがちのパターンね」
「起きてる……」
「冗談だってば、いいから寝ろ」
「じゃあキスしてくれたら寝る……」
「なっ……」
お姉ちゃんの顔は一瞬で真っ赤になる。
「わがままは、病気になったときの特権だもん」
「……わかったわよ!すればいいんでしょすれば!」
「やったぁ」
私は目を瞑り、その時を待った。
しばらくして、そっと唇が降ってきた。

「約束だからね、ちゃんと寝なさいよ」
「うん。ありがとうお姉ちゃん」
「……別にお礼言われる事でもないけど」

「ねぇお姉ちゃんもういっか――」
「だから寝ろって!」

翌朝、目覚めるとお姉ちゃんは私のベッドに寄りかかり寝ていた。
「ずっと居てくれたんだ……」

昨日からずっと握った手
お姉ちゃんの手があったかい
熱下がったんだ…、そういえば体も軽くなっていた。

それにしてもお姉ちゃんの手が暖かいというか…あつ……

「お姉ちゃん!?」
「……ん……つかさ……おはよう、熱さがった……?」

起き上がったおねえちゃんにおでこをくっつける

「冷たい、よかった……」

「お姉ちゃんが熱いの!」
「……え?」

「人にうつしたら治るって本当だったんだ…」
迷信だとおもってた。
「なわけないだろ!ってつっこませるなー」
お姉ちゃんはぐたりと再度ベッドに倒れこんだ。

「お姉ちゃん、おかゆ作ってきたよ」
「さんきゅーってあれ、学校は?」
「今日、土曜日だよ」
「あ、そっか……」
「起きれる?」
「うん……」
「つかさ、もう大丈夫なの?」
「うん、平熱に戻ってたし」
「そう、ならいいけど」

私はおかゆをレンゲで掬い、2,3度フーフーと冷まし
「はいお姉ちゃん、あーん」
と差し出した。

お姉ちゃんは何か言いたそうな顔だった。
「なに?」
「なんでもないわよ」

「あーん」

「おいしい?」
「……うん」

「そんなにこにこして見ないでよ……
 食べにくいでしょ!」
自然と頬が緩んでいた

「……ごめん」
私はポリポリと頬をかいて謝った。

「はい、あーん」
「……」
「おねえちゃん?」

「……自分で食べる」
「え……いいよ食べさせてあげる」
「自分で食べるー!」
半ば無理やり、おかゆは奪われた。
食べさせたかったのになぁ……

「キスしたからかなぁ……」

「ぶはっ」
お姉ちゃんはおかゆを噴き出した。
「うわああ、お姉ちゃん大丈夫!?」

「つかさが急に変な事言うから」
「その所為でうつったのかなーって」

「く、唇が触れただけなんだからそのくらいでうつらないわよ……たぶん」
「そ、そっかそうだよね……あはは」

「って、私まで何言ってんだもー」

「お姉ちゃんもしかして、ものすごく照れてる?」
お姉ちゃんは少し怒ったような口調で切り替えした
「つかさは何でそんな普通なのよ」
私は少し考えて
「思ってたよりね、嬉しい気持ちが
 恥ずかしさよりも不安よりもずっとずっと大きかったの
 あっ、ちゃんとわかってるよ、そんな簡単じゃないってことは……
 でもね、昨日までは全然そんな風に思えなかったんだけど
 ……明るく見えたの……明日が」
私は笑って「何の根拠もないんだけね」と付け加えた。

「私が思ってたより、つかさは強いのかもね」
そういったお姉ちゃんは少し寂しそうに見えた。

「もし、そう思ったんだとしたら、それはお姉ちゃんのおかげだよきっと……
 ねぇお姉ちゃん、一つ聞いてもいい」
「質問による」
「どうして私のこと好きになってくれたの?」
「また答えにくい質問を……」
お姉ちゃんは残念そうな顔で私を見る。

「無理にとは言わないけど……」

観念したようにお姉ちゃんは口を開いてくれた。
「初め気づいた時は正直戸惑ったよ。女同士だし、家族だし……
 でも、嫌な感じはしなかった。
 不器用すぎるまっすぐな好意が、可愛く思えて
 私がついててあげないとなーって想いが強くなって
 いつのまにか、その気持ちに答えてあげたいって思ってた」

「でも、つかさも思ってたように
 お互い他の人を好きになれればそれが一番いいと思ったから
 言わなかったし気づかないフリしようって決めた。」

自分ばかりがつらいと思っていたことが恥ずかしい。
ただ踏み出すのを怖がって逃げてただけなのかな

「ずいぶんと遠回りしてここに来たんだね、私達」
「ほんとに、もうクタクタよ。だから……
 そろそろ寝ていいか?」
そうだっお姉ちゃん病人だったんだった!

「ごめんっうん、寝て、寝てください」
わたしは慌てておかゆを下げた
「じゃ、ちょっと寝るわ……おやすみ……」

私はしばらくその寝顔を見つめていた
それだけで、心が落ち着いていくのを感じていた。




















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  • つかさはホントにかがみがすきなんですね -- 名無しさん (2010-08-12 12:05:06)
  • お幸せに... -- 名無しさん (2010-07-30 15:22:46)
  • 結ばれてよかった -- 名無しさん (2010-06-09 11:52:01)

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