【敗者1】
息が続かない、足が動かない。
「くそっ、動けや!ワイはもっと動けるやろ!一塁にヘッスラする亀山みたく!」
トワイス達が去り自分達の敗北が決まったその瞬間、エヌジェイは相手の気の緩みを突き
ボロボロの機体を捨て逃げ出していた。
ボロボロの機体を捨て逃げ出していた。
「辛そうだな、楽にしてやろうか?」
バチカンからの追手ではない。多分それは聞きなれた声。
「ニラカス…か?」
「その身体で良く逃げ続けたもんだわ。もう俺が誰かわからないぐらいに視力も無くなってるんだろ?」
「試作量産タイプの辛いとこや。まー、おかげさんで『少年兵』を追っていたバチカンの糞どもの包囲は突破できましたわ」
「不幸中の幸いって奴か」
「せやな。ってかニラカスはあの戦いの時どこにおったねん」
「一生懸命ウインドスラッシャー足止めしてたわよ。本当はガンダーラ奪取に行きたかったんだけどね」
「その身体で良く逃げ続けたもんだわ。もう俺が誰かわからないぐらいに視力も無くなってるんだろ?」
「試作量産タイプの辛いとこや。まー、おかげさんで『少年兵』を追っていたバチカンの糞どもの包囲は突破できましたわ」
「不幸中の幸いって奴か」
「せやな。ってかニラカスはあの戦いの時どこにおったねん」
「一生懸命ウインドスラッシャー足止めしてたわよ。本当はガンダーラ奪取に行きたかったんだけどね」
ニラーシャの方の状況も決して良くはないと知ったエヌジェイは彼がこれから何をするのかを理解した。
「まあ、お前の事もあずにゃんと同じぐらいには気に入ってたんだけどさ」
「時間無いから簡潔に言えや。お前は裏社会的な、ワイはガチで肉体的なリミット近いやろ」
「そだな、んじゃ俺の延命の為に犠牲になってくれよ。量産ホムンクルスのデータを持ちかえれば
俺はまだ生きていける。痛くはしないからさ」
「時間無いから簡潔に言えや。お前は裏社会的な、ワイはガチで肉体的なリミット近いやろ」
「そだな、んじゃ俺の延命の為に犠牲になってくれよ。量産ホムンクルスのデータを持ちかえれば
俺はまだ生きていける。痛くはしないからさ」
ニラーシャの指先から毒針が伸びる。エヌジェイはそれが自分の喉に近づくのをじっと見つめながら
拳を握っていく。
拳を握っていく。
「正しい握り方は、たしかこうやったな」
「あん?」
「そんでもって振り方はこう!」
「あん?」
「そんでもって振り方はこう!」
バキッ!
「がっ…」
「よっしゃあ!ナイスバッティング!」
「よっしゃあ!ナイスバッティング!」
エヌジェイの正拳がニラーシャの顔面に直撃した。
「てめえ!俺達からも逃げる気か!?」
「おう、ワイは自由や、どこまでも、いや、もう無理やな」
「おう、ワイは自由や、どこまでも、いや、もう無理やな」
エヌジェイは大の字になってその場に倒れこんで言った。
「今のパンチで全部出しきったわ。さあ、シンガポールでも北米でも連れてけや。
今のワイを家族に見られたかないけど、もう歩けへん」
「利害一致って事ね。だったら、何で殴ったんだよ」
「お前に家族づらされるのがムカついたからや。ワイはパッパとバヌニキたちと
後おまけでマルカスまでしか家族と認めん」
「そいつは悪かった。じゃあ、さっきの続きからな。あ、そうだ。何か言い残す事はないか?」
今のワイを家族に見られたかないけど、もう歩けへん」
「利害一致って事ね。だったら、何で殴ったんだよ」
「お前に家族づらされるのがムカついたからや。ワイはパッパとバヌニキたちと
後おまけでマルカスまでしか家族と認めん」
「そいつは悪かった。じゃあ、さっきの続きからな。あ、そうだ。何か言い残す事はないか?」
ニラーシャは毒針を構えながらエヌジェイの返事を待つ。
「前からニラカスに言いたかった事が一個あるねん」
「ん?」
「男なら…拳一つで勝負…せんかい」
「ん?」
「男なら…拳一つで勝負…せんかい」
ニラーシャはため息をついて毒針を引っ込め、エヌジェイを抱え上げる。
「さっきのが最後の言葉になっちまったか。あーあ、悲しいねえ。
ラボから助け出してやったのに、家族じゃないと否定されて終わりかよ。
ガンダーラも手に入らねえ、アムステラも貴重な戦力を失った、黒天使隊全滅、
こいつのデータだけでどれだけ取り戻せるやら」
ラボから助け出してやったのに、家族じゃないと否定されて終わりかよ。
ガンダーラも手に入らねえ、アムステラも貴重な戦力を失った、黒天使隊全滅、
こいつのデータだけでどれだけ取り戻せるやら」
ルガー、バヌ、ミン、マシュー。
以上の四名は戦闘中に死亡、あるいは戦闘終了後捕虜となった後に
傷が悪化して死亡したと記録されている。
だが、黒天使隊を名乗る最後の一人、フェルディナンド神父と戦った少年兵は逃亡。
ただちに探索を行ったがその足取りはつかめなかった。
以上の四名は戦闘中に死亡、あるいは戦闘終了後捕虜となった後に
傷が悪化して死亡したと記録されている。
だが、黒天使隊を名乗る最後の一人、フェルディナンド神父と戦った少年兵は逃亡。
ただちに探索を行ったがその足取りはつかめなかった。
◇◇◇
【敗者2】
「トワイス君、ヒルデ様との事ですが…」
「ああ、ありましたねそんな事も。時期が来たらお願いします。
でも今はその時期じゃないし、私が聞きたいのはその事ではありません」
「ああ、ありましたねそんな事も。時期が来たらお願いします。
でも今はその時期じゃないし、私が聞きたいのはその事ではありません」
真っ直ぐこちらを見つめてくるトワイスに対し、オスカーは観念せざるを得ないと悟った。
このまま事実を全て隠したままでは誤魔化せない。オスカーは言葉を選びつつ、彼の知る
事実を一つずつ語りだす。
このまま事実を全て隠したままでは誤魔化せない。オスカーは言葉を選びつつ、彼の知る
事実を一つずつ語りだす。
「ドドスの残党でアムステラ貴族連続誘拐犯シュライクバナードバーン。通称シュババーン。
奴との戦いで私とギャスディンに何があったのか、それを聞きたいのですね?」
奴との戦いで私とギャスディンに何があったのか、それを聞きたいのですね?」
トワイスは無言で頷く。
「追い詰められたシュババーンが人質を皆殺しにした後に転送装置を暴走させた。
君の姉は人質を助けようとして失敗し、君の兄は転送装置の暴走から私を庇い死亡。
公的にはこう伝わっていますが、事実はそうではない」
「はい、先日私が戦ったあの機体。あれは兄の機体ではないですが、
兄の機体と兄の意志が何らかの方法で地球に伝達した結果生まれたとしか考えられないものでした。
アムステラの為に前線に立ち続けてきた兄が、何故私やオスカー将軍、そしてアムステラの敵に?」
「それを知る事は君にとって不幸な事になるかも知れません。それでもいいですか?」
「このまま何も知らずあの機体と再戦するよりはマシです」
君の姉は人質を助けようとして失敗し、君の兄は転送装置の暴走から私を庇い死亡。
公的にはこう伝わっていますが、事実はそうではない」
「はい、先日私が戦ったあの機体。あれは兄の機体ではないですが、
兄の機体と兄の意志が何らかの方法で地球に伝達した結果生まれたとしか考えられないものでした。
アムステラの為に前線に立ち続けてきた兄が、何故私やオスカー将軍、そしてアムステラの敵に?」
「それを知る事は君にとって不幸な事になるかも知れません。それでもいいですか?」
「このまま何も知らずあの機体と再戦するよりはマシです」
トワイスの返事を聞いたオスカーはベッドに腰を降ろし、天井を見つめながら当時を振り返りつつ語る。
「いいでしょう。君もいずれは知るべき事です」
「はい」
「しかしどこから話したらいいものか…。ふむ、トワイス君。
君はこの事件の犯人シュババーンについて疑問に思った事はありませんか?」
「世間では彼一人の犯行となっていますが、私の母をはじめとして誘拐された貴族は全員が
操兵にも長けた武術家でした。ドドスの王ルードムードですら大した実力は持っていなかったのに
たまたま戦争を生き残ったシュババーンが貴族達全てを打ち倒し連れ去る事が出来たとは思えません」
「いい読みをしてますね。ならば誘拐が成功していたのはどう見ます?」
「共犯者がいた、あるいは、誘拐は狂言だった」
「はい」
「しかしどこから話したらいいものか…。ふむ、トワイス君。
君はこの事件の犯人シュババーンについて疑問に思った事はありませんか?」
「世間では彼一人の犯行となっていますが、私の母をはじめとして誘拐された貴族は全員が
操兵にも長けた武術家でした。ドドスの王ルードムードですら大した実力は持っていなかったのに
たまたま戦争を生き残ったシュババーンが貴族達全てを打ち倒し連れ去る事が出来たとは思えません」
「いい読みをしてますね。ならば誘拐が成功していたのはどう見ます?」
「共犯者がいた、あるいは、誘拐は狂言だった」
答えるトワイスの手と顔に汗が浮かぶ。トワイスは自分が言ったこの推理が外れていて欲しいと願いながら
オスカーの返事を待つ。だが、その願いは叶わないのだろうと薄々気づいていた。
トワイス自身、この事件については家族の葬儀が終わった後からずっと調べており事件の疑問点には
今よりずっと前から気づいていた。そして、クリスタルカイザーとの戦いの時にその疑問は
トワイスの中で9割がた解けていた。
オスカーの返事を待つ。だが、その願いは叶わないのだろうと薄々気づいていた。
トワイス自身、この事件については家族の葬儀が終わった後からずっと調べており事件の疑問点には
今よりずっと前から気づいていた。そして、クリスタルカイザーとの戦いの時にその疑問は
トワイスの中で9割がた解けていた。
「そう、その通りです。誘拐は狂言でした。貴族達はシュババーンの名前を利用して
姿をくらませただけだったのです」
「…何のために」
「密かに戦力を集め、アムステラに反抗する為にです」
姿をくらませただけだったのです」
「…何のために」
「密かに戦力を集め、アムステラに反抗する為にです」
予想していた通りの言葉がトワイスの胸をえぐる。自分の家族が罪を犯していたという予感、
外れていて欲しかった。
外れていて欲しかった。
「…ッ」
「もう止めておきますか?」
「いえ、最後まで聞かせてください。それに大事なのは恐らくこの先でしょう」
「わかりました。覚悟はできている様ですね」
「もう止めておきますか?」
「いえ、最後まで聞かせてください。それに大事なのは恐らくこの先でしょう」
「わかりました。覚悟はできている様ですね」
一呼吸おいてから、トワイスの様子を確認しオスカーは話を再開する。
「誘拐が狂言、その事が発覚したのは捕らわれていたはずの貴族が臨戦態勢で我々を待ち構えていた時でした。
シュババーンを撃破し、ドドス式の操兵から彼を引きずり下ろして事情を聞こうとしたまさにその時、
貴族達の砲撃が私達を襲いました。咄嗟にジョカが庇ってくれなければ私は生きてはいなかったでしょう」
「そんな…姉上が母上たちに…」
「家族の裏切りと死を同時に突きつけられたギャスディンの混乱と怒りは今の貴方の比ではありませんでした。
仲間にならないかと誘いかける貴族達に斬りかかり数の差をものともせずその全てを肉片も残らぬまでに
撃ち滅ぼしたのです。義理のとはいえ己の母親に至るまでの全てをです」
「兄上は勝利したのですか?ならば何故、誰に殺されたのです?」
「シュババーンです。ジョカの死から決着までの間、私もギャスディンも貴族達も彼の存在を忘れていました。
考えてみればシュババーンも哀れな男です。ドドスの本部がアムステラに降伏した為故郷に戻る事も出来ず、
カテリーナ達に捕獲されてからは誘拐犯の罪を着せられ、自らの姿が立体映像で犯行声明を読み上げるのを
震えながら見ているしか出来なかった。ギャスディンと私に操兵で敗れ、反乱貴族達の流れ弾で致命傷を
負っていた彼が転送装置まで辿り着き暴走させたのは最後の意地だったのでしょう」
シュババーンを撃破し、ドドス式の操兵から彼を引きずり下ろして事情を聞こうとしたまさにその時、
貴族達の砲撃が私達を襲いました。咄嗟にジョカが庇ってくれなければ私は生きてはいなかったでしょう」
「そんな…姉上が母上たちに…」
「家族の裏切りと死を同時に突きつけられたギャスディンの混乱と怒りは今の貴方の比ではありませんでした。
仲間にならないかと誘いかける貴族達に斬りかかり数の差をものともせずその全てを肉片も残らぬまでに
撃ち滅ぼしたのです。義理のとはいえ己の母親に至るまでの全てをです」
「兄上は勝利したのですか?ならば何故、誰に殺されたのです?」
「シュババーンです。ジョカの死から決着までの間、私もギャスディンも貴族達も彼の存在を忘れていました。
考えてみればシュババーンも哀れな男です。ドドスの本部がアムステラに降伏した為故郷に戻る事も出来ず、
カテリーナ達に捕獲されてからは誘拐犯の罪を着せられ、自らの姿が立体映像で犯行声明を読み上げるのを
震えながら見ているしか出来なかった。ギャスディンと私に操兵で敗れ、反乱貴族達の流れ弾で致命傷を
負っていた彼が転送装置まで辿り着き暴走させたのは最後の意地だったのでしょう」
シュババーンが死の間際に暴走させた転送装置によってギャスディンが死んだという部分は真実だったと
オスカーは告げた。そこに至る過程は公的な報道と大きく異なってはいたが。
オスカーは告げた。そこに至る過程は公的な報道と大きく異なってはいたが。
「最早これまでと観念したその時、ギャスディンが私を範囲外へと押し出してくれたのです。
晶烈華ごと分解されて消えていく間際にスターシルバーの大剣を渡しながら彼は言いました。
『自分はもうアムステラの為に戦う気を失ってしまった、私の様にならぬ様に
この事件の真実を伏せてトワイスを導いて欲しい』と」
「…兄上」
「親友とその妹に命を救われ後を託された私に彼の頼みを断る理由はありませんでした。
ユリウス様にだけは本当の事を告げ、皇家に長く仕えるケブレ家の人間が反乱を企てていた事は
明るみになっては不味い事と反乱は計画段階でギャスディンが潰した事を考慮して貰い、
事件はシュババーンの単独犯行として処理して頂きました」
晶烈華ごと分解されて消えていく間際にスターシルバーの大剣を渡しながら彼は言いました。
『自分はもうアムステラの為に戦う気を失ってしまった、私の様にならぬ様に
この事件の真実を伏せてトワイスを導いて欲しい』と」
「…兄上」
「親友とその妹に命を救われ後を託された私に彼の頼みを断る理由はありませんでした。
ユリウス様にだけは本当の事を告げ、皇家に長く仕えるケブレ家の人間が反乱を企てていた事は
明るみになっては不味い事と反乱は計画段階でギャスディンが潰した事を考慮して貰い、
事件はシュババーンの単独犯行として処理して頂きました」
オスカーからの話を聞き終えて自室へと戻ったトワイスはこれからの事について考える。
「まずは休暇だ。晶烈華の修理と再調整の間に私自身の心も落ち着ける。
…その間にコレも片づけておくか」
…その間にコレも片づけておくか」
トワイスの手には二通の手紙があった。一つはある部隊の隊長からのもので、
時間が出来たなら手合せして欲しいという内容がそこには書いてあった。
そして二通目はグーチェからのもので、バトゥロ経由で聞いた隊長のここ最近の行動の簡単な流れ、
それと快王は私の目標なんだから絶対負けるなという応援が書かれてあった。
時間が出来たなら手合せして欲しいという内容がそこには書いてあった。
そして二通目はグーチェからのもので、バトゥロ経由で聞いた隊長のここ最近の行動の簡単な流れ、
それと快王は私の目標なんだから絶対負けるなという応援が書かれてあった。
「さて、この挑戦と彼の活動に対して怒るべきか笑うべきか褒めるべきか」
休暇スケジュールだけを聞くと命と情報と金をどれだけ浪費した休暇なんだとBダッシュで殴らざるを得ない。
だが、この部下からも名前で呼ばれない隊長の功績はトワイスの耳にも入っている。
だが、この部下からも名前で呼ばれない隊長の功績はトワイスの耳にも入っている。
「彼のやってきた事や実力は多少は聞いている。調子が戻ったか確かめるには丁度いい相手だろう。
それに『獄』の攻略法があるとも手紙にはあった。是非戦ってお互いのさらなる糧にしたい所だ。
そうだ、私はもっともっと強くならないと」
それに『獄』の攻略法があるとも手紙にはあった。是非戦ってお互いのさらなる糧にしたい所だ。
そうだ、私はもっともっと強くならないと」
トワイスはアムステラの敵として立ちはだかった、兄の亡霊の様な物の事を思い出す。
国の為に自らの手で義母を殺したという後悔と転送事故でギャスディンがああなったのなら、
自分の手で止めるべきだ。
国の為に自らの手で義母を殺したという後悔と転送事故でギャスディンがああなったのなら、
自分の手で止めるべきだ。
「あれは決して兄上ではない。だが、あれは私が倒すべき存在だ。あれを倒した時、
私は兄上を超え、そしてオスカー将軍への恩に報いる事が出来る」
私は兄上を超え、そしてオスカー将軍への恩に報いる事が出来る」
兄と姉と母が一度に亡くなりまとめて葬儀が行われた時、トワイスの肩を抱き慰めてくれたのは
出席した貴族達への挨拶回りに忙しい父トゥルースではなく、オスカーだった。
出席した貴族達への挨拶回りに忙しい父トゥルースではなく、オスカーだった。
『大丈夫です、君が一人前の騎士になるまで私が家族の代わりに支えましょう
礼など必要ありませんよ、私はギャスディンに頼まれた事をやっているのです』
礼など必要ありませんよ、私はギャスディンに頼まれた事をやっているのです』
道場での稽古しか知らない自分に実戦や社交界を教えてくれた。
『快王就任おめでとうございます。…良い顔になりましたねトワイス君』
世論を操作して経験の浅い自分が快王になる時に周囲の反発を弱めてくれた。
『最近守備将軍はちゃんと家に帰ってますか?そうですか、それは何よりです』
父が受け持っていた近衛兵団の仕事のあれやこれやを分散し他者に引き継がせてくれた。
そのおかげで、アムステラ帝の診察と皇都の巡回を終えるとすぐに父が家に帰ってくるようになった。
そのおかげで、アムステラ帝の診察と皇都の巡回を終えるとすぐに父が家に帰ってくるようになった。
「オスカー将軍もう少しだけ見ていて下さい。この戦争が終わった時には私は
貴方が今迄背負ってくれた苦労に見合う男になってみせます」
貴方が今迄背負ってくれた苦労に見合う男になってみせます」
トワイスがオスカーの嘘に気付き、心が砕かれるのはまだ先の事である。
少なくともこの時点では彼は与えられた答えに満足し、精神的の安定を得ていた。
少なくともこの時点では彼は与えられた答えに満足し、精神的の安定を得ていた。
◇◇◇
【そして勝者たち】
Q.貴方の妹が自宅のジェット機を無断で使って南極基地を破壊。その後手に入れたロボットで
バチカンの大聖堂前を穴だらけにしました。おまけに、妹の傍にはブラッククロスがいたという
目撃情報もあります。力尽きた妹の意識が戻るまでの間、軍やマスコミは貴方から答えを聞きたがってます。
貴方は何と答えますか?
バチカンの大聖堂前を穴だらけにしました。おまけに、妹の傍にはブラッククロスがいたという
目撃情報もあります。力尽きた妹の意識が戻るまでの間、軍やマスコミは貴方から答えを聞きたがってます。
貴方は何と答えますか?
「黙っていて申し訳ありませんでした。バチカンでの攻防があったあの日、妹のエリカは…
自宅の庭に居た所をブラッククロスに誘拐されたのです!!」
「そして私が誘拐されたけど色々機転をきかせて南極で発掘されたロボに乗って逃げ出したエリカです。
通りがかりでバチカンがピンチだったので私に出来る事はないかと思い参戦しました」
自宅の庭に居た所をブラッククロスに誘拐されたのです!!」
「そして私が誘拐されたけど色々機転をきかせて南極で発掘されたロボに乗って逃げ出したエリカです。
通りがかりでバチカンがピンチだったので私に出来る事はないかと思い参戦しました」
A.なんもかんもブラッククロスのせいにする。
幸いにも一旦北極に向かってから南極に飛んだジェット機のムーブは誘拐の説得力を増していた。
幸いにもスコットに特殊メイクをしてマリアンヌに声の吹き替えをさせてカメラを挟めばエリカそっくりになった。
幸いにもサンジェルマンやフェルディナンドといった発言力の強い関係者が情報の誘導をしてくれた。
南極にいたドロボー一味にとってもこの策は幸いだった。あの戦いの直後自首した彼らは仮想の誘拐犯の
でっち上げに協力する事の見返りとして罪を減じられイギリス軍に保護された。
そして、幸いにも聖女訪問に伴うお祭りムードが細かい事をどうでもよくさせていた。
幸いにもスコットに特殊メイクをしてマリアンヌに声の吹き替えをさせてカメラを挟めばエリカそっくりになった。
幸いにもサンジェルマンやフェルディナンドといった発言力の強い関係者が情報の誘導をしてくれた。
南極にいたドロボー一味にとってもこの策は幸いだった。あの戦いの直後自首した彼らは仮想の誘拐犯の
でっち上げに協力する事の見返りとして罪を減じられイギリス軍に保護された。
そして、幸いにも聖女訪問に伴うお祭りムードが細かい事をどうでもよくさせていた。
しかし、予想外の悲劇も発生した。戦闘後、病院に運ばれたエリカ。彼女は命に別状は無いが
数か月の入院が必要と診断された。そして肉体の傷は一生消えない可能性もあると。
エリカは今…、
数か月の入院が必要と診断された。そして肉体の傷は一生消えない可能性もあると。
エリカは今…、
「おかわりー!」
本日五杯目のカレーを口に運んでいた。顔を包帯に包んでいるが健康体そのものである。
「もう退院しろよ」
「いやでござる、学校行きたくないでござる」
「というか、何であの怪我が十日で治ってるんだよ!」
「偶然同じ病院にいたフェミリアさんに回復魔法かけてもらったからかな?
やっぱ、プリーストの回復魔法は凄いよアニキ」
「無菌ゼリー塗ってもらっただけだろ…。まあいい、お前の回復力含め確認したい事があるから軍に来い」
「んー、もうちょっとテレビ見てから」
「いやでござる、学校行きたくないでござる」
「というか、何であの怪我が十日で治ってるんだよ!」
「偶然同じ病院にいたフェミリアさんに回復魔法かけてもらったからかな?
やっぱ、プリーストの回復魔法は凄いよアニキ」
「無菌ゼリー塗ってもらっただけだろ…。まあいい、お前の回復力含め確認したい事があるから軍に来い」
「んー、もうちょっとテレビ見てから」
ムッターの言葉を右耳から左耳に受け流し、今日もテレビを見ながらダラダラと過ごす。
「おおー、緊急会見時の私が今日もテレビに!いやー、有名人ってのも悪くないねー」
「画面に映ってるのはスコットで喋ってるのはマリアンヌだけどな」
「でも流石にちょっと飽きてきたし、会見用の影武者の方が美人なの見てると色々悲しくなってくるし
チャンネル変えようっと」
「画面に映ってるのはスコットで喋ってるのはマリアンヌだけどな」
「でも流石にちょっと飽きてきたし、会見用の影武者の方が美人なの見てると色々悲しくなってくるし
チャンネル変えようっと」
リモコンをいじってチャンネルを変えていくと修斗ファイトのスペシャル番組が放送されていた。
「お待たせしましたハイパーコロッセオ本選の開幕です!予選を勝ち抜いた選ばれし選手達よここに集え!」
どうやら聖女訪問で湧くイタリアの競技場を貸し切って、改造したリングで盛大な大会が行われている様だ。
ルンバルト・タニヤマ氏のマイクパフォーマンスも五割増しである。
ルンバルト・タニヤマ氏のマイクパフォーマンスも五割増しである。
「選手入場!一人目はブライアン・バーンズ推薦枠、怪傑ミルット!続いては…」
「あー!!!!!!!!!!!!!!!」
「あー!!!!!!!!!!!!!!!」
突如大声をあげて振り返るエリカ。病院内で大声はやめましょう。
「さっき私を軍に連れてくって言ってたけど、つまりクリスタルカイザーのパイロットやれって事?」
「遅い!」
「そういう事なら早くいってよもー!すぐ行くからさ」
「昨日から言ってたんだが。まあいい、他のパイロットではあの置物うんともすんとも言わん。
お前と一緒にいたO.M.Sの女も自首して来たブラッククロスの三人にも試させたが、
どうもお前でないとダメな様だ」
「分かった、今すぐ行こう、そうしよう!」
「遅い!」
「そういう事なら早くいってよもー!すぐ行くからさ」
「昨日から言ってたんだが。まあいい、他のパイロットではあの置物うんともすんとも言わん。
お前と一緒にいたO.M.Sの女も自首して来たブラッククロスの三人にも試させたが、
どうもお前でないとダメな様だ」
「分かった、今すぐ行こう、そうしよう!」
エリカ立つ、カレーのシミが付いたパジャマのままで!
ムッター吠える、そんな格好で行く気かと!
エリカ走る、パジャマを脱ぎ捨てて!
ムッター追う、着替えを抱えて!
二人基地到着、着替えは済んだ!
出迎え色々、英国軍の皆と囚人服のドロボー一味とムチャウ!
そして三時間後!
ムッター吠える、そんな格好で行く気かと!
エリカ走る、パジャマを脱ぎ捨てて!
ムッター追う、着替えを抱えて!
二人基地到着、着替えは済んだ!
出迎え色々、英国軍の皆と囚人服のドロボー一味とムチャウ!
そして三時間後!
「ミニマムなんちゃらー!」
ヒューン、ゴッ
クリスタルカイザーの右手から投げられた金属球が破壊力測定用の壁を微妙にへこませる。
「マキシマなんちゃらー!」
ドン
足を大きく上げてから振り下ろす。ダウンした羅甲の腹ぐらいは砕けそうなスタンプだ。
「なんちゃらかんちゃらのデーブ!」
ボビッ
それなりの出力のビームが斜め上に発射された。勿論曲がったり分裂はしなかった。
「なんたーらかんたーらのほにゃらら!」
ポイポイポイポイ、ゴゴゴゴッ
金属球をビームで空いた穴に埋めようとしたけどそもそも穴が無い。球の遠隔捜査も出来ない。
なので両手に二個ずつもって投げた。
なので両手に二個ずつもって投げた。
『計測結果』
ミニマムなんちゃら 1000 1-2P 弾数8
マキシマなんちゃら 1000 一方向3マップ兵器 EN70
なんちゃらデーブ 1100 1-3 EN20
なんたかんたほにゃらら1300 1-2P 弾数3 気力120
(上記の数字はあくまでも推定値です)
ミニマムなんちゃら 1000 1-2P 弾数8
マキシマなんちゃら 1000 一方向3マップ兵器 EN70
なんちゃらデーブ 1100 1-3 EN20
なんたかんたほにゃらら1300 1-2P 弾数3 気力120
(上記の数字はあくまでも推定値です)
「うわっ、私の与ダメージ低すぎ…?」
「真面目にやれエリカ」
「いやいや、私は全力ですよ。これはアニキ達が勝手に色々やったのがいけないんですよ。
そう、例えば誘拐をでっちあげた事とか!」
「いや、それは関係ない。後、誘拐の件は英国軍の全員に話通してる訳じゃないからあまり大きい声で言うな」
「でもクリスタルカイザーが昔、狂言誘拐のせいで大切な家族を失ってたりしたら?
きっとアニキの行動にヘソを曲げて力を貸してくれなくなると思うなー」
「そんな過去を持つスパロボがあってたまるか。もういい、休憩するから降りてこい」
「はーい。パスワードも思いつかないし、このぐらいで満足するしかないのかな」
「真面目にやれエリカ」
「いやいや、私は全力ですよ。これはアニキ達が勝手に色々やったのがいけないんですよ。
そう、例えば誘拐をでっちあげた事とか!」
「いや、それは関係ない。後、誘拐の件は英国軍の全員に話通してる訳じゃないからあまり大きい声で言うな」
「でもクリスタルカイザーが昔、狂言誘拐のせいで大切な家族を失ってたりしたら?
きっとアニキの行動にヘソを曲げて力を貸してくれなくなると思うなー」
「そんな過去を持つスパロボがあってたまるか。もういい、休憩するから降りてこい」
「はーい。パスワードも思いつかないし、このぐらいで満足するしかないのかな」
クリスタルカイザーから降りるた直後、エリカの目の前が急に暗くなる。
「うわー!激しい運動で視力が低下した!前が見えない、もうだめぽ!」
「落ち着け、顔の包帯が外れかかっているだけだ」
「あ、本当だ。というかもうこの包帯もいらないよね」
「落ち着け、顔の包帯が外れかかっているだけだ」
「あ、本当だ。というかもうこの包帯もいらないよね」
包帯の端を持ってグルグルと回しながら剥がしてく。
「じゃじゃーん、約二週間ぶりの私のハンサム顔だ!あー、シャンプーしてえー!」
エリカの顔が露になったと同時に周りの人々にざわめきが走る。
ムチャウに至っては露骨に目をそらしている。
ムチャウに至っては露骨に目をそらしている。
「ちょっと、その反応何!?不安になるんですけど!?もしかして私の顔化け物みたいになってる!?
鼻とか耳とかもげてるんですか!?」
鼻とか耳とかもげてるんですか!?」
顔全体を触って確認する。
「よかったー。鼻も取れてないし、耳も大きいのがちゃんと二つある」
「いや…耳…」
「サムさん、言いたい事あるならハッキリ言ってよ!」
「お前の耳そんなに長くなかっただろ」
「え?誰か鏡持ってきてー」
「いや…耳…」
「サムさん、言いたい事あるならハッキリ言ってよ!」
「お前の耳そんなに長くなかっただろ」
「え?誰か鏡持ってきてー」
兄の化粧用の鏡を借りて顔を確認すると確かに常人より長めの耳が髪の毛から飛び出していた。
この耳動いたら可愛いだろうなーと思いながら力を込めるとピコピコと上下に動いた。
この耳動いたら可愛いだろうなーと思いながら力を込めるとピコピコと上下に動いた。
「おおっ、エリカイヤーはエルフ耳!やったね、パイロットになって見た目も成長した!
顔も他はいつも通りだし問題ナッシン!」
「おい、それでいいのか」
「サムさんと違って女子高生の私は成長期、適度の食事と運動の結果で耳ぐらい伸びるって」
顔も他はいつも通りだし問題ナッシン!」
「おい、それでいいのか」
「サムさんと違って女子高生の私は成長期、適度の食事と運動の結果で耳ぐらい伸びるって」
バストアップしたのと同じ様なノリで言うエリカに対し、ムチャウは自分の今迄の心配は何だったんだと
頭を抱え、ムッターはカレー五杯のどこか適度の食事だと心の中でツッコんだ。
頭を抱え、ムッターはカレー五杯のどこか適度の食事だと心の中でツッコんだ。
「ああ、うん。お前が元気ならアタイもそれでいいや。
でも、パイロットしていて身体の調子がおかしくなったりしたらお兄さんとかにちゃんと言うんだぞ」
「はーい!」
でも、パイロットしていて身体の調子がおかしくなったりしたらお兄さんとかにちゃんと言うんだぞ」
「はーい!」
こうして英国に新たなスーパーロボットとパイロットが加わった。
頑張れエリカ!スパロボの平均的な攻撃力を大きく下回っていても!
このままいくと将来頭部が凄い事になるかもしれなくても!
頑張れエリカ!スパロボの平均的な攻撃力を大きく下回っていても!
このままいくと将来頭部が凄い事になるかもしれなくても!
南極女子高生・完?
◇◇◇
【そういえば…】
「ムチャウ~どこに行ったんだ~」
「私達が悪かったから出てきて欲しいみょん~」
「私達が悪かったから出てきて欲しいみょん~」
時間は巻き戻り、バチカンでの決戦翌日。南極にムチャウを投下したアーティとジュダは
回収の為に再び南極に来ていた。だが当然そこには既にムチャウはおらず、二人は
存在しない同僚を極寒の中延々と探していた。
回収の為に再び南極に来ていた。だが当然そこには既にムチャウはおらず、二人は
存在しない同僚を極寒の中延々と探していた。
「俺達はムチャウ程人間やめてないから流石に寒い~」
「アーティ、人肌であっためあう事を提案~」
「いつもなら殴るとこだが賛成~」
「アーティ、人肌であっためあう事を提案~」
「いつもなら殴るとこだが賛成~」
チューチュー
「吸うな~」
と、二人で抱き合っていると遠くで明かりがチカチカ点灯しているのを発見した。
「ムチャウかな~」
「そうじゃなくても人がいるなら情報ゲットみょん~」
「そうじゃなくても人がいるなら情報ゲットみょん~」
ぴったりと寄り添いながら光源に近づく。
ピィィィィ!!!!!!!!!!
突如機械的な警告音。そしてこちらに向かって走ってくる雪上車。その数約20!
「そこの女達、手を上げて大人しく捕まりなさい!」
「「え?」」
「「え?」」
硬直したのは一瞬だった。二人は内容はわからんが何やら不味い事になってると思い、
互いに顔を見合わせ頷く。
互いに顔を見合わせ頷く。
「「逃げろぉぉぉぉ」」
「待ちなさい!本部、こんな場所で抱き合うクレイジーサイコレズ発見。誘拐犯かその仲間の可能性あり。至急応援願う」
「待ちなさい!本部、こんな場所で抱き合うクレイジーサイコレズ発見。誘拐犯かその仲間の可能性あり。至急応援願う」
手を繋ぎながら全力で逃げるアーティとジュダ。その後を大量の雪上車が数を増やしながら追いかける。
「なんで南極の警備がこんなに厳重になってるんだぁぁぁ!」
「全力疾走するアーティの乳揺れすげえええええ!」
「全力疾走するアーティの乳揺れすげえええええ!」
チューチュー
「走りながら吸うな!」
「こんな機会二度とないから!やっば、私凄く興奮してきた」
「待て~クレイジーサイコレズ×2~!」
「俺は違う!」
「こんな機会二度とないから!やっば、私凄く興奮してきた」
「待て~クレイジーサイコレズ×2~!」
「俺は違う!」