影狼隊徒然記【機械仕掛けの異種格闘】前編
~ 某所・アムステラ軍基地のミーティングルーム ~
2人の男がテーブル越しに向かい合い、打ち合わせを行っていた。もう大体の方針は決まった模様で、互いに寛いだ姿勢を取る。
「我々も今まで様々な任務を受けて来たが、まさか影狼隊からも依頼を受けるとは思わなかったよ」
と、髭を蓄えた中年の男が言う。彼の名はカスム。
彼が率いるのは一介の遊撃隊だったが、与えられた過酷な任務を何度も遂行して来た結果、今では『不死身のカスム隊』とまで呼ばれて居る。
彼が率いるのは一介の遊撃隊だったが、与えられた過酷な任務を何度も遂行して来た結果、今では『不死身のカスム隊』とまで呼ばれて居る。
「我等も少々手を広げすぎてね。それに地球側の所謂『スーパーロボット』に対応出来る遊撃部隊となればやはり、貴殿の部隊も挙がるのは必然だろう?」
そうカスムに応えたのは影狼隊隊長。年齢の頃は20代後半から30代近くか?
特務部隊である影狼隊はその性質上、部隊の構成や軍務活動などに関しては謎が多い。
特務部隊である影狼隊はその性質上、部隊の構成や軍務活動などに関しては謎が多い。
「今回、我々が行うのは陽動攻撃という事だったな。だが、うちの戦力で空戦部隊を相手にするのは分が悪いぞ」
「問題無い。予め連中の空軍主力を遠くへと誘導する予定だ。奴らが襲撃に気付いて戻って来るまでに我等の目的は達成出来るだろう」
「しかし、そちらの空戦隊も別任務中だと聞いたが?」
「あぁ。確かに今回はバドスやイェンが不在だが、面白げな助っ人が来たのでね。空戦機が来た場合の対応は彼にこなして貰おう」
「問題無い。予め連中の空軍主力を遠くへと誘導する予定だ。奴らが襲撃に気付いて戻って来るまでに我等の目的は達成出来るだろう」
「しかし、そちらの空戦隊も別任務中だと聞いたが?」
「あぁ。確かに今回はバドスやイェンが不在だが、面白げな助っ人が来たのでね。空戦機が来た場合の対応は彼にこなして貰おう」
そこまで言うと、影狼隊隊長はおもむろに立ち上がった。
「さて、そちらの隊員達は訓練だそうだな。もう終わった頃かな?」
「そうだな。今の時間ならシミュレーション室で基礎訓練後の対戦でもしてると思うぞ」
「ならばシミュレーション室を覗いて来るかな。『彼』もクリス君に興味があるそうだから、多分そっちに行ってるだろう」
「そうだな。今の時間ならシミュレーション室で基礎訓練後の対戦でもしてると思うぞ」
「ならばシミュレーション室を覗いて来るかな。『彼』もクリス君に興味があるそうだから、多分そっちに行ってるだろう」
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~ 基地の廊下 ~
「・・・うーむ、迷った。やはり案内を頼むべきだったか。一体何処だココ? ・・・おっ。済まぬが、ココは…」
「はい? …っ!! キ ャ ア ー ッ ッ !! 狼 男 ~ ッ ッ !! 」バタタタタッ!!
「ぬがぁ!! …って、ちょ・・・待っ・・・」
「はい? …っ!! キ ャ ア ー ッ ッ !! 狼 男 ~ ッ ッ !! 」バタタタタッ!!
「ぬがぁ!! …って、ちょ・・・待っ・・・」
道に迷い、運良く見掛けた小柄な娘に声を掛けた『彼』は、振り返った彼女が上げた黄色い悲鳴に耳を塞いだ隙に逃げられた。
「軍服着てたけど一般人かアレ? ま、後をつけて行きゃどっか判る場所に出るだろ? ・・・だが、怖がらせん様に追わねばいかんよなぁ~」
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~ シミュレーター空間 ~
「 フ ァ ン グ リ ッ パ ー … い っ け ぇ !! 」
「 唸 れ ! 竜 穿 っ !! 」 ガ イ ィ ィ ィ ン ッ ッ !!
「 唸 れ ! 竜 穿 っ !! 」 ガ イ ィ ィ ィ ン ッ ッ !!
青い機体が射出した誘導刃を直前まで引き付けて、両腕に装備されたパイル(杭状)兵器を打ち合わせる赤い機体。
そうして発生させた衝撃波は誘導刃の軌道を狂わせ、その刃は赤い機体の装甲表面を擦って後方へと抜けていった。
そうして発生させた衝撃波は誘導刃の軌道を狂わせ、その刃は赤い機体の装甲表面を擦って後方へと抜けていった。
青い機体の名はラウズィーガー。元は地球の秘密結社が製造した機体で、装甲こそ薄めだが、中間~近接距離での高機動戦闘を得意とする。
赤い機体の名は吠弩羅(はいどら)。両前腕部と膝に装備されたパイル兵器が特徴。近接格闘戦を得意とする操兵である。
赤い機体の名は吠弩羅(はいどら)。両前腕部と膝に装備されたパイル兵器が特徴。近接格闘戦を得意とする操兵である。
「そこだっ!」「あっ、しま…ッッ!!」
機敏に動いて中間距離を保とうとするラウズィーガー、間を詰めて近接戦に持ち込もうとする吠弩羅の攻防の最中。
吠弩羅の側面を取ろうとしたラウズィーガーの動きに追随する様に伸ばされた吠弩羅の左腕。その拳が射出された!
ワイヤーで繋がれたその左拳は高速移動するラウズィーガーの上腕を掴み、掴むと同時に引き寄せる!
吠弩羅の側面を取ろうとしたラウズィーガーの動きに追随する様に伸ばされた吠弩羅の左腕。その拳が射出された!
ワイヤーで繋がれたその左拳は高速移動するラウズィーガーの上腕を掴み、掴むと同時に引き寄せる!
高速移動中に引き寄せられてバランスを崩したラウズィーガーに、すかさず接近した吠弩羅が膝のパイル兵器・烈迅を叩き込む!
そこから始まる吠弩羅の攻撃! 両腕の竜穿が唸り、ラウズィーガーの反撃を許さぬ連打が打ち込まれる! そして!
そこから始まる吠弩羅の攻撃! 両腕の竜穿が唸り、ラウズィーガーの反撃を許さぬ連打が打ち込まれる! そして!
「 一 意 ! 穿 ! 震 !! 」
両腕を引き絞った吠弩羅が放つ必殺の一閃。繰り出された対の竜穿がラウズィーガーに炸裂し、それで勝負は決した。
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~ シミュレーション室 ~
「・・・おーおぅ。恋人相手でも容赦が無いねぇ、クリス」
「手加減なんかしたら、それこそ失礼だぜ! …って言うか、今のも掴むのミスってたら、逆に俺が危なかったからな」
「でもホント、強くなってるよね。まさかあのタイミングで掴まれるとは思わなかったもの」
「手加減なんかしたら、それこそ失礼だぜ! …って言うか、今のも掴むのミスってたら、逆に俺が危なかったからな」
「でもホント、強くなってるよね。まさかあのタイミングで掴まれるとは思わなかったもの」
対戦の感想を述べ合う若い男女は、カスム隊が誇るパイロット達。クリス、ゲイン、ティナである。
「でも、レイナさんが見てなかったのは惜しかったねー。メカニックとパイロットで『二足の草鞋』履いてるから仕方ないけどさ」
「うちも小規模遊撃隊だからなぁ。・・・っと、あれっ? そういやベルダが遅いな」
「こりゃ大きい方かな? …いや、ごめんティナ。そんな眼で睨むの止めて。デリカシー無い発言した俺が悪かった」
「うちも小規模遊撃隊だからなぁ。・・・っと、あれっ? そういやベルダが遅いな」
「こりゃ大きい方かな? …いや、ごめんティナ。そんな眼で睨むの止めて。デリカシー無い発言した俺が悪かった」
噂をすれば影とやら。その時、パタパタと慌てた足音を響かせて桃色髪の小柄な少女・ベルダがシミュレーション室内へと駆け込んだ。
「たっ、たっ…大変ですぅ~っ! お、おーかみ。おーかみ男が…」
息を切らしつつベルダが皆に告げる。ティナがベルダの宥め役に回り、憤怒顔と化したゲインがクリスよりも速く戸口に駆け寄って廊下の先を見るが・・・
「・・・何だい、ありゃあ?」
室内に向き直ったゲインの顔は、飲み物を含んだまま笑いを堪えた時の様に歪んでいた。
「・・・ゲイン? 一体、どうしたんだ?」
「いや、あのな・・・獣人がスキップしてこっちに近付いて来てるんだが」
「・・・何だよソリャ?」
「いや、あのな・・・獣人がスキップしてこっちに近付いて来てるんだが」
「・・・何だよソリャ?」
怪訝な顔をしつつ戸口から顔を出すクリス、ティナ、ゲイン、そしてベルダもビクビクしながら顔を出す。その彼らが見たモノは・・・
『白い道着を着た大柄な黒毛の犬型獣人が、軽やかにスキップしながら彼らの居る方に向かってくる姿』であった。
『白い道着を着た大柄な黒毛の犬型獣人が、軽やかにスキップしながら彼らの居る方に向かってくる姿』であった。
戸口から4人が顔を出して覗いているのに気付いたその獣人が、おもむろに口を開く。
「・・・スキップ移動、もう止めて良いでござるか?」
「どうぞどうぞ」「って、何してんのよ一体」「あーっ、もしかして無害アピールかぁ?」「…あ。狼じゃ無くて・・・わんこ?」
「どうぞどうぞ」「って、何してんのよ一体」「あーっ、もしかして無害アピールかぁ?」「…あ。狼じゃ無くて・・・わんこ?」
「彼の名はライゴウ。センゴク星出身の獣人種で、今度の任務では君達の援護を引き受けてくれる」
「っ! 何者だっ?!」「誰っ?!」「だ…あっ、アンタはっ!」「うきゃあっ!」
「っ! 何者だっ?!」「誰っ?!」「だ…あっ、アンタはっ!」「うきゃあっ!」
突然、背後からの声。驚いて室内へと振り向いた四人が見たのは、さっきまでは確かに居なかった筈の男。影狼隊隊長。
「立ち話も何だ。まずは一休みといかないか」
「ちょっと。心臓に悪いッスよ、影狼の隊長サン。一体どっから湧いて出たんで?」
「ゲイン、アンタいっつもカスム隊長に鉄拳制裁を貰ってるのに。そういうトコちっとも直らないんだねぇ」
「うっせぇ」
「ちょっと。心臓に悪いッスよ、影狼の隊長サン。一体どっから湧いて出たんで?」
「ゲイン、アンタいっつもカスム隊長に鉄拳制裁を貰ってるのに。そういうトコちっとも直らないんだねぇ」
「うっせぇ」
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~ 数分後・シミュレーション室 ~
実地にはともかく知識上は多種族慣れしたアムステラの面々と、地球育ちとはいえ数奇な運命に翻弄された経験を持つティナの対応力は高かった。
初対面の驚きから回復したら、そう間を置かずに黒犬の獣人であるライゴウとも普通に会話出来る様になっていたのである。
初対面の驚きから回復したら、そう間を置かずに黒犬の獣人であるライゴウとも普通に会話出来る様になっていたのである。
「それで、俺に会いたかったんだって? 何故だか名が売れてて光栄だけど、また何で?」
「そりゃあクリス殿、貴殿があの『怪物』ゲオルク殿を撃退したからでござる」
「センゴク星は武芸が盛んな星だからな。ライゴウ君も格闘術道場の跡取りだから、そういうニュースには敏感なのだよ」
「そりゃあクリス殿、貴殿があの『怪物』ゲオルク殿を撃退したからでござる」
「センゴク星は武芸が盛んな星だからな。ライゴウ君も格闘術道場の跡取りだから、そういうニュースには敏感なのだよ」
影狼隊隊長の説明を聞いたクリスは、自分と同じく有名な親と比較される境遇であろうライゴウに共感。思わず神妙な顔付きになる。
だが、続くライゴウの科白でその神妙な顔付きが一転して驚きに染められた。
だが、続くライゴウの科白でその神妙な顔付きが一転して驚きに染められた。
「と、いう訳で。拙者との一戦を所望するでござる!」
「えっ?・・・いやいやいや。何が『と、いう訳で』なんだよっ!」
「えっ?・・・いやいやいや。何が『と、いう訳で』なんだよっ!」
そのクリスのツッコミを受け、ライゴウがしみじみと語りだす。
「実は拙者、『剣豪』ミカヅキ殿の様に強者として有名になりたくてなぁ。『怪物』ゲオルク殿も著名な強者だから、機会あらば手合わせをしたかった」
「しかしクリス殿。貴殿がそのゲオルク殿を撃退したそうでは無いか。そんな強者相手ならば手合わせする価値はある!」
「・・・とまぁ、そういう事よ。実に単純明快な理由であろう?」
「しかしクリス殿。貴殿がそのゲオルク殿を撃退したそうでは無いか。そんな強者相手ならば手合わせする価値はある!」
「・・・とまぁ、そういう事よ。実に単純明快な理由であろう?」
「アンタがそう思うんならそうなんだろうね・・・アンタの中じゃ」
「クリス・・・諦めた方が良さそうだぜ。こういう手合いは拳で語るタイプだ」
「・・・えーと。空手バカ一代?」
「クリス・・・諦めた方が良さそうだぜ。こういう手合いは拳で語るタイプだ」
「・・・えーと。空手バカ一代?」
やや呆れ交じりの反応を返すカスム隊面々の中、クリスは生真面目に応じた。
「操兵戦で良ければ受けるよ。流石に生身の戦闘じゃ、兄貴ならともかく俺だと敵わないだろうからね」
「無論、問題はござらん。第一、ゲオルク殿を撃退したのも操兵戦であろう? だからそれでお願い致す」
「無論、問題はござらん。第一、ゲオルク殿を撃退したのも操兵戦であろう? だからそれでお願い致す」
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~ シミュレーター空間 ~
赤い大型操兵・吠弩羅が平原の中央に立つ。
「・・・ライゴウさん? まだ用意出来てないのかな?」
「ハッハッハ! 拙者と荒光(すさみつ)は既に準備万端。こちらでござるよ!」
「えっ、どこ…えぇえっ!?!」
「ハッハッハ! 拙者と荒光(すさみつ)は既に準備万端。こちらでござるよ!」
「えっ、どこ…えぇえっ!?!」
左右を見回していた吠弩羅がフト視線を上げると。そこには甲冑武者を思わせる赤茶色の機体が、腕組みして中空に浮いていた。
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この操兵の名は斬空五式・荒光(すさみつ)。その名が示す通り空戦機の斬空シリーズに属するが、近接格闘戦に特化した異色の機体である。
毘沙門隊の如光や裏毘沙門隊の如闇などに搭載されている、搭乗者の所作をトレースする所作連動式制御を採用。
如光などと同じく、武芸の達人を乗せて多大な戦果を挙げる事を期待されたのだが、難点は荒光が『空戦機』だった事にある。
毘沙門隊の如光や裏毘沙門隊の如闇などに搭載されている、搭乗者の所作をトレースする所作連動式制御を採用。
如光などと同じく、武芸の達人を乗せて多大な戦果を挙げる事を期待されたのだが、難点は荒光が『空戦機』だった事にある。
武術は基本的に大地に足が着いた状態で行うもの。中空に浮いたままという状況下で戦闘を行うという概念は、武術としては異質なモノだったのだ。
それ故に扱い難い機体ではあるが、威圧的に仕上げられたこの機体の外見がセンゴク星出身者の琴線に触れた様で、使い勝手の割に一部の層では人気が高い。
それ故に扱い難い機体ではあるが、威圧的に仕上げられたこの機体の外見がセンゴク星出身者の琴線に触れた様で、使い勝手の割に一部の層では人気が高い。
さて、ライゴウであるが。彼もセンゴク星出身者の例に漏れずこの機体の外見が気に入って選んだのは言うまでもない。
だが彼には、他のパイロットや格闘家達よりも有利な点があった。
だが彼には、他のパイロットや格闘家達よりも有利な点があった。
元々格闘術の下地があった上に、アムステラ軍に編入された際に所属したのが宇宙軍。故に無重力空間での対応にも馴染む必要があったのだ。
その時の経験と元来、習得していた格闘技術を組み合わせる事で、中空に浮いたまま行える戦闘術を編み出して居たのである。
その時の経験と元来、習得していた格闘技術を組み合わせる事で、中空に浮いたまま行える戦闘術を編み出して居たのである。
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「 で は 、 早 速 参 る ぞ ! 狼 牙 ・ 空 襲 拳 っ !! 」
ライゴウの叫びと共に、空中から飛び込む様な姿勢で荒光が斜め上に足を蹴り出す。すると見えない壁を蹴った様に、荒光が斜め下の吠弩羅に向かって突進した!
これは空戦操兵全般に装備された重力緩和装置を利用した、斥力発生機能による効果である。
背中の推進器や手足の先から強力な斥力(反発力)を発して、空中でも敵を殴り付けるのに必要な反動や足場を生み出すのである。
背中の推進器や手足の先から強力な斥力(反発力)を発して、空中でも敵を殴り付けるのに必要な反動や足場を生み出すのである。
(「突っ込んで来た! ガードか? いやっ、軌道が低い! 下半身狙い? ならば烈迅で…」)
「空襲拳・・・キャンセル!」「なんだとっ??」
「空襲拳・・・キャンセル!」「なんだとっ??」
烈迅による飛び膝蹴りで荒光を迎撃しようとした吠弩羅。だが荒光は両拳から斥力を放ち、急降下突進を中断。
そのまま空中で身体を丸め前転、背中のブースターを勢い良く噴射。両足だけを伸ばし、その両踵を吠弩羅の両肩へと振り下ろしたのだ!
そのまま空中で身体を丸め前転、背中のブースターを勢い良く噴射。両足だけを伸ばし、その両踵を吠弩羅の両肩へと振り下ろしたのだ!
ガ ギ ィ ィ ィ ン ッ ッ !!
吠弩羅の両肩に痛打が叩き込まれる。だが、荒光の攻撃にはまだ続きがあった。
振り下ろした両足でそのまま吠弩羅の首を挟み、膝蹴りを繰り出そうとしてバランスを崩した吠弩羅を捻り倒したのだ!
振り下ろした両足でそのまま吠弩羅の首を挟み、膝蹴りを繰り出そうとしてバランスを崩した吠弩羅を捻り倒したのだ!
ズ シ ィ ィ ィ ン ッ ッ !!
大地に背中から叩き付けられた吠弩羅に、荒光が追撃の瓦割りを打ち下ろそうとするが、吠弩羅もさるもの。
「 唸 れ ! 竜 穿 っ !! 」ガ ィ ィ ィ ィ ン ッ ッ !! 「ぬおっ!」
荒光の拳が触れる寸前に打ち合わされた一対の竜穿が衝撃波を発し、それに瓦割りの拳を弾かれて体勢を崩した荒光が、慌てて間合いを空けて仕切り直す。
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実はクリスにも密かな利点があった。今の投げを受けて上手く背中で受身を取れたのには幾らか運も絡んではいたし、吠弩羅の頑丈さに助けられた面もある。
しかし、通常のパイロットや格闘家ならば初見ではまず戸惑ったであろう荒光の動きを、クリスは即座に理解して対応する事が出来たのだ。何故なのか?
それは彼が格闘ゲームの達人で、地球でも『キング』と呼ばれ連勝街道を邁進する程の腕前だったからである。
しかし、通常のパイロットや格闘家ならば初見ではまず戸惑ったであろう荒光の動きを、クリスは即座に理解して対応する事が出来たのだ。何故なのか?
それは彼が格闘ゲームの達人で、地球でも『キング』と呼ばれ連勝街道を邁進する程の腕前だったからである。
対戦格闘ゲームとは、扱うキャラクターがたとえ人間であっても、人外の技を繰り出す事など至極当たり前な設定である。
リアル志向の格闘ゲームもあるが、大抵の場合は飛び道具や無敵技、空中制御や特殊移動などが標準装備だと言っても過言ではない。
リアル志向の格闘ゲームもあるが、大抵の場合は飛び道具や無敵技、空中制御や特殊移動などが標準装備だと言っても過言ではない。
ゲームと現実を同一視するのもどうかとは思うが、操兵戦闘というのはキャラクター(機体)を操るという点において格闘ゲームとの共通項が多々ある。
相手の繰り出す動きに慣れてるか否かだけでも、戦闘においては多大な差が生じるのは言うまでもなかろう。
相手の繰り出す動きに慣れてるか否かだけでも、戦闘においては多大な差が生じるのは言うまでもなかろう。
実際クリスも以前、空中多段ジャンプするキャラをヒントにした装備で、空戦機のウインドスラッシャーやフェルグスと渡り合った事があるのだ。
(SRC作品『一意穿震』参照)
(SRC作品『一意穿震』参照)
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吠弩羅は竜穿や烈迅による重厚な攻撃を次々と繰り出すが、地上に降りた荒光はその攻撃をいなして吠弩羅の手足を捉えようとする。
しかし荒光が羅甲と同程度のサイズなのに対し、吠弩羅はひと回り以上大きな機体であり、その出力の差は如実に現れている。
ましてや元々空戦機である荒光は比較的軽量級。極端に言えば軽量級柔道家とヘビー級ボクサーの闘いに近い様相である。
しかし荒光が羅甲と同程度のサイズなのに対し、吠弩羅はひと回り以上大きな機体であり、その出力の差は如実に現れている。
ましてや元々空戦機である荒光は比較的軽量級。極端に言えば軽量級柔道家とヘビー級ボクサーの闘いに近い様相である。
「流石はゲオルク殿の『崩山』をも退けた機体。そう簡単に掴ませてはくれんでござるなぁ」
「いや、掴まれたら吠弩羅でもヤバそうだってひしひしと感じてるよ。だから・・・このまま押し切るっ!」
「させぬ!」
「いや、掴まれたら吠弩羅でもヤバそうだってひしひしと感じてるよ。だから・・・このまま押し切るっ!」
「させぬ!」
瞬時の隙を衝き、身を屈めて滑る様に吠弩羅の懐へと潜り込む荒光。
その低い体勢から繰り出した鋭いアッパーカットが、吠弩羅の腹部に炸裂した!
その低い体勢から繰り出した鋭いアッパーカットが、吠弩羅の腹部に炸裂した!
ガ ゴ ォ ッ ッ !! ・・・フ ワ ア ッ ッ 。
下から打ち上げる様なアッパーカットを受けた吠弩羅の巨体が、まるで重力を失ったかの様にふわりと中空に浮き上がる。
だがこれは比喩では無い。重力緩和装置の機能を荒光の拳から伝達、この一瞬だけ吠弩羅を重力の軛(くびき)から解き放っていたのだ!
だがこれは比喩では無い。重力緩和装置の機能を荒光の拳から伝達、この一瞬だけ吠弩羅を重力の軛(くびき)から解き放っていたのだ!
「 奥 義 !! 黒 ! 龍 ! 天 ! 舞 ッ !! 」 ズ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ッ ッ !!
中空で無防備に浮いた吠弩羅を追って飛び上がった荒光が、吠弩羅が浮いている間に拳や肘打ち、蹴りの乱舞を叩き込む。
未知の状況下で成す術無く殴られていた吠弩羅であるが、頑丈なその機体は『黒龍天舞』の猛攻を何とか耐え切った。
未知の状況下で成す術無く殴られていた吠弩羅であるが、頑丈なその機体は『黒龍天舞』の猛攻を何とか耐え切った。
「流石にこれ一回だけでは仕留め切れぬでござるか。だが、何度でも打ち込めば良いだけの話っ!」 ヒ ュ ン ! ヒ ュ ン ! ヒ ュ ン ! ヒ ュ ン !
再び間合いを取った荒光は中空を蹴り、吠弩羅の手が届かない位置で空中をジグザグに飛び跳ねる。
「 狼 牙 ・ 空 襲 …うぼぉっ?? 」 ガ ゴ ッ !!
そして幻惑する動きから一転して急降下した瞬間。顔面にカウンター気味の拳を食らう荒光。
吠弩羅の腕はまだ届く距離じゃないぞ? と思いきや、それはワイヤーで繋がれた拳で放ったパンチであった。
吠弩羅の腕はまだ届く距離じゃないぞ? と思いきや、それはワイヤーで繋がれた拳で放ったパンチであった。
「ぐっ。一旦、離れねば…」「甘いっ!」
体勢を立て直そうとした荒光を掴んだのは、ワイヤーで繋がれたもう一方の拳。そのまま引き寄せて、烈迅が炸裂!
更に烈迅! 竜穿! 竜穿! 烈迅! と怒涛のコンビネーションが荒光に叩き込まれ、決め打ちの竜穿で大きく吹き飛ばされる荒光。
更に烈迅! 竜穿! 竜穿! 烈迅! と怒涛のコンビネーションが荒光に叩き込まれ、決め打ちの竜穿で大きく吹き飛ばされる荒光。
「 ぐ わ あ ぁ ぁ ~ っ ! 」「…まだ終わっちゃいない!」 ガ シ ィ !!
吹き飛ぶ荒光をワイヤーを伸ばして再び掴み、勢い良く引き寄せると同時に両腕を引いて溜めを作る吠弩羅。
「 吠 弩 羅 の 全 力 ・・・ 見 せ て や る ぜ っ !! 」
その両腕から繰り出された必殺の一撃は『一意穿震』。既に荒光の命運は決していた・・・。
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~ シミュレーション室 ~
試合終了後、ライゴウが興奮冷めやらぬ風情でクリスに話しかける。
「見事でござった! 流石はあのゲオルク殿を退けた腕前よ!」
「いや、吠弩羅のお陰さ。ライゴウさんの『黒龍天舞』だっけ? 吠弩だったら多分、あれ食らった時点で終わってたからね」
「それにしても、拙者の空中機動をよく見切ったでござるな」
「いやー。あれも俺が格闘ゲーム慣れしてるから、あぁいう動きには慣れててさ」
「・・・ほほぉ? 今度はその格闘ゲームとやらもご教授願いたいものよ」
「いや、吠弩羅のお陰さ。ライゴウさんの『黒龍天舞』だっけ? 吠弩だったら多分、あれ食らった時点で終わってたからね」
「それにしても、拙者の空中機動をよく見切ったでござるな」
「いやー。あれも俺が格闘ゲーム慣れしてるから、あぁいう動きには慣れててさ」
「・・・ほほぉ? 今度はその格闘ゲームとやらもご教授願いたいものよ」
・・・ パチ パチ パチ パチ パチ
彼らの横合いから軽やかな拍手が響く。
「良い試合を見せて貰ったわ。初めまして、ライゴウさん。また腕を上げたわね、クリス」
「あっ、お帰りなさいレイナさん」「お疲れ様ですぅ~」
「今度の任務を確認しようと思ったら、ここで試合してるなんてね。でも、頼もしい助っ人だと判って良かったわ」
「あらま。お仕事優先? 旦那とデー…」
「あっ、お帰りなさいレイナさん」「お疲れ様ですぅ~」
「今度の任務を確認しようと思ったら、ここで試合してるなんてね。でも、頼もしい助っ人だと判って良かったわ」
「あらま。お仕事優先? 旦那とデー…」
余計な軽口を叩きそうになったゲインを一瞥で黙らせたレイナは、影狼隊隊長の方に向き直る。
「それで、どういった任務なんでしょう?」
「あぁ、そうだな。丁度パイロット諸君も揃った事だし、説明しておくかな・・・」
「あぁ、そうだな。丁度パイロット諸君も揃った事だし、説明しておくかな・・・」