オーデッド隊、西へ! その4
~ フランス軍別拠点・防衛戦 ~
現在、羅甲の侵攻を阻んでいる基地とは別の拠点。
小規模の別動隊が侵攻して来るのに対応して、守備隊の機動マシン群が迎撃陣を展開する。
その眼前に迫るのは2機の操兵。1機は人間型、1機は四足獣型。その後方、更に人間型が2機と上空にも1機。
小規模の別動隊が侵攻して来るのに対応して、守備隊の機動マシン群が迎撃陣を展開する。
その眼前に迫るのは2機の操兵。1機は人間型、1機は四足獣型。その後方、更に人間型が2機と上空にも1機。
「聞くが良い、蛮族共よ! 私はアムステラ貴族のオーデッド・カユゥーレ! そしてこれが我が愛機『銃指威』である!!」
前方に居る1機。特徴的な一ツ目を持つ、長身痩躯の操兵が声高らかに叫ぶ。
「だが、地球という名の辺境の蛮族共よ! 私は貴様らを決して侮りはせぬ! 敬すべき仇敵達を知ったからな!!」
しかし銃指威はそこで言葉を切り、やれやれという感じで首を振る。
「そう、思って居る・・・思っては、居るのだぞ。だがな、何だ? そのお粗末な布陣は! 何だ? その凡庸な動きは!」
「その程度の陣で、本当に我々を阻止する気なのか? 愚か者め! 命が惜しくば即刻、立ち去れいっ!!」
「・・・とはいえ、我が言葉だけで退く程、貴様らも惰弱ではあるまい。だから理由をくれてやろう」
「その程度の陣で、本当に我々を阻止する気なのか? 愚か者め! 命が惜しくば即刻、立ち去れいっ!!」
「・・・とはいえ、我が言葉だけで退く程、貴様らも惰弱ではあるまい。だから理由をくれてやろう」
「ニーナ、やれ」「はい、オウ様♪」
ニーナの乗機『麟駆(りんく)』が四つ足を踏ん張って身構える。
ゾラの麟牙と同じく咆牙系列の派生機だが、こちらは格闘のみならず高火力射撃も可能な攻撃偏重の機体である。
獣を模した頭部。その開いた口に蓄積したプラズマ光球が、フランス軍の機動マシン群に向けて放たれた!
ゾラの麟牙と同じく咆牙系列の派生機だが、こちらは格闘のみならず高火力射撃も可能な攻撃偏重の機体である。
獣を模した頭部。その開いた口に蓄積したプラズマ光球が、フランス軍の機動マシン群に向けて放たれた!
ズ ガ ア ア ァ ァ ン ッ !!
麟駆が放った高火力のプラズマ砲・電光魔弾がフランス軍の密集地点に直撃し、その布陣を大きく乱す。
この大火力攻撃に攪乱されたフランス軍が気付いた時には、銃指威と麟駆は既に目の前!
この大火力攻撃に攪乱されたフランス軍が気付いた時には、銃指威と麟駆は既に目の前!
駆け寄った銃指威は、軽く指だけを曲げた掌からピンと人差し指だけを伸ばして指鉄砲の形を作る。
つまり、その曲げた親指は撃鉄。人差し指は銃身。残る指は弾倉と銃把を模した構え。
そのまま両腕を伸ばし、周囲の敵にその二丁拳銃を構えた!
つまり、その曲げた親指は撃鉄。人差し指は銃身。残る指は弾倉と銃把を模した構え。
そのまま両腕を伸ばし、周囲の敵にその二丁拳銃を構えた!
「とくと見やれ蛮族共ッ! この人差し指は『高エネルギーの弾丸を発するッッ!!』」
「 オ ォ オ ォ ー ッ !! デ ッ ド ! デ ッ ド ! デ ッ ド ! デ ッ ド ! 」
「 オ ォ オ ォ ー ッ !! デ ッ ド ! デ ッ ド ! デ ッ ド ! デ ッ ド ! 」
銃指威の両人差し指から放たれた高エネルギー弾の弾幕が、フランス軍の機動マシンを蹂躙する。
「オウ様の背中はわたくしが守りますわ♪」
銃指威の後背で、腰部に備えた銃器ターレットから牽制射撃を放ちながら駆け回る麟駆。
敵に接近したら両肩の電磁衝角を叩き込み、すれ違い様にジェノサイドテール(尾部チェーンソー)で切り付ける。
敵に接近したら両肩の電磁衝角を叩き込み、すれ違い様にジェノサイドテール(尾部チェーンソー)で切り付ける。
そして彼らから少し離れた位置に居た7型が、銃指威を狙撃しようとした瞬間。
ヒ ュ バ ッ !!
銃指威が回避からの反撃を試みるよりも速く、遠方から伸びた火閃に貫かれた7型が倒れ伏す。
その射手は、後方に居た菫色(すみれいろ)の操兵。左肩から長大な砲身を伸ばした重厚な機体である。
その射手は、後方に居た菫色(すみれいろ)の操兵。左肩から長大な砲身を伸ばした重厚な機体である。
「オーデッドクン。油断は大敵どすえ」
「ザイードクン曰く『小さなナイフが刺さっても人は死ぬ』のやさかい、気ぃ付けなはれ」
「ザイードクン曰く『小さなナイフが刺さっても人は死ぬ』のやさかい、気ぃ付けなはれ」
「うむ。世話を掛けるなグレモリー」「流石は第一夫人ですわね♪」
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~ フランス・技術開発教導団所属の旗艦 ~
「・・・いやはや。アムステラにもあの御仁のご同類が居たとはね」
「情報分析の役に立ちますから、喋る分には『どうぞご自由に』・・・頭痛の種が増えただけって気もしますが」
「ですが、彼の科白は認めた方が良いですね。役不足な守備隊には、これ以上の被害を受ける前に退却して貰いましょう」
「情報分析の役に立ちますから、喋る分には『どうぞご自由に』・・・頭痛の種が増えただけって気もしますが」
「ですが、彼の科白は認めた方が良いですね。役不足な守備隊には、これ以上の被害を受ける前に退却して貰いましょう」
ローランは守備部隊に撤退を呼び掛ける。少々躊躇った後、守備隊は指示に従って撤退を開始する。
その撤退行動を見た銃指威は攻撃を中断。麟駆やグレモリーの逢魔カスタムにも攻撃中止命令を出す。
そして尊大に腕を組んだ後、撤退する守備隊の背を見ながら悠々と前進を始める。
そして尊大に腕を組んだ後、撤退する守備隊の背を見ながら悠々と前進を始める。
「嗚呼。こういう処まで、あの男そっくりなのか。あんな疫病神がこの世に何人も居るとは・・・悪夢だ」
「ベロニカ君、シンシア君。そちらの戦局は君達の活躍に掛かっている。宜しく頼むよ」
「ベロニカ君、シンシア君。そちらの戦局は君達の活躍に掛かっている。宜しく頼むよ」
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~ フランス軍別拠点・戦場上空 ~
「こちらシンシア。現地に到着した。目の前に居る機体は、以前戦った相手・・・の筈」
技術開発教導団所属の旗艦に、現地のフェルグスから通信が入る。
「ただ・・・かなりデブになってる」「 だ ぁ れ が デ ブ じ ゃ あ ぁ !! 」
淡々と報告するシンシアの通信に、突如割り込む少女の金切り声。
「この『アーマード・超ハイパースペシャル絢雨カスタム改・天才仕様』を、肥満体などと呼ぶでは無いっ!!」
「これは、その『フェルグス』とやらに対抗する為の装備じゃからな。むしろ褒め称えよ!」
「これは、その『フェルグス』とやらに対抗する為の装備じゃからな。むしろ褒め称えよ!」
「でも、効果を見ないと褒められないわ。今のままじゃ無駄に贅肉が付いた幼児体形にしか見えない」
「(キシャーッ!!)幼児体形とか言うな! (キシャーッ!!)スレンダー体形を誇示すんな!」
「(キシャーッ!!)幼児体形とか言うな! (キシャーッ!!)スレンダー体形を誇示すんな!」
威嚇音を発しながら喚くカエデの通信を聞きながら、ローランは呟く。
「そういう情報は、激しく要りませんね。でも機体には期待出来ますから、彼らの発言は聞き流す方向で対処しましょうか」
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~ 回想・作戦会議後の操兵格納庫 ~
「・・・あのー、カエデ様? 俺に用があるって、何事ですかね?」
「ほれ、うちの隊では色々なカスタム機や『麟駆』や『麟牙』みたいな実験機を扱っておるじゃろ」
「えぇまぁ。扱ってますねぇ」
「で、先日KGFとの決戦でお主が使った『禍風(まがつかぜ)』にヒントを得て、我は新機軸の機体を考案したのじゃ!」
「ほれ、うちの隊では色々なカスタム機や『麟駆』や『麟牙』みたいな実験機を扱っておるじゃろ」
「えぇまぁ。扱ってますねぇ」
「で、先日KGFとの決戦でお主が使った『禍風(まがつかぜ)』にヒントを得て、我は新機軸の機体を考案したのじゃ!」
そう言ってカエデが指し示したのは、大改造を施された『斬空一式・凶風(まがかぜ)』。
その改造後の姿は『斬空一式改・禍風』の様に腹ばいになって居る。
その改造後の姿は『斬空一式改・禍風』の様に腹ばいになって居る。
「これこそが『ウルトラ・スクラッチ 斬空一式改・恐沙(きょうしゃ) カエデ・エディション』じゃ!」
「(名前が無駄に長ぇ・・・)その『恐沙』とやらは見た目が禍風に近いけど、何か色々違ってますねぇ。腕、細いし」
「あ。それは武装を『アーマード・超ハイパースペシャル絢雨カスタム改・天才仕様』に流用したからのぉ」
「・・・えっ?」
「(名前が無駄に長ぇ・・・)その『恐沙』とやらは見た目が禍風に近いけど、何か色々違ってますねぇ。腕、細いし」
「あ。それは武装を『アーマード・超ハイパースペシャル絢雨カスタム改・天才仕様』に流用したからのぉ」
「・・・えっ?」
カエデの科白に戸惑って、目を白黒させるザイード。
それに構わず、自慢げにふんぞり返って説明を続けるカエデ。
それに構わず、自慢げにふんぞり返って説明を続けるカエデ。
「今回のアーマード化にミサイルランチャーが必要だったのでな。予備パーツの分も含めて使わせて貰ったのじゃ」
「後、『店長』に頼んで『斬空三式・塵撤(じんてつ)』のパーツを仕入れたのでな。そちらも使っておる」
「後、『店長』に頼んで『斬空三式・塵撤(じんてつ)』のパーツを仕入れたのでな。そちらも使っておる」
ちなみにこの『店長』とは、地上部隊への兵站部門を取り仕切っている部門長の愛称である。
彼は、置かれた品(兵装)に関する内容(数量・性能)を一通り把握しているので、皆は敬意を込めてそう呼んでいる。
彼は、置かれた品(兵装)に関する内容(数量・性能)を一通り把握しているので、皆は敬意を込めてそう呼んでいる。
「アレ? 塵撤って、確か脚部は丸々ミサイルコンテナだったんじゃ?」
「そうじゃ。それも当然、アーマード・超ハイパースペシャル絢雨カスタム改・天才仕様に流用しておる」
「ハァ。・・・って、待てよ? するってぇと後は・・・」
「そうじゃ、お主にはウルトラ・スクラッチ 斬空一式改・恐沙 カエデ・エディションの試運転をして貰おうかの」
「やっぱりか・・・大丈夫なんですかね、コレ?」
「ま、性能はおいおい説明するのでな。まずは乗り慣れて貰わねばならんのぉ」
「そうじゃ。それも当然、アーマード・超ハイパースペシャル絢雨カスタム改・天才仕様に流用しておる」
「ハァ。・・・って、待てよ? するってぇと後は・・・」
「そうじゃ、お主にはウルトラ・スクラッチ 斬空一式改・恐沙 カエデ・エディションの試運転をして貰おうかの」
「やっぱりか・・・大丈夫なんですかね、コレ?」
「ま、性能はおいおい説明するのでな。まずは乗り慣れて貰わねばならんのぉ」
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~ フランス軍別拠点・戦場上空 ~
「では、見せてやるぞよ! 今の我は、有頂天で絶好調なのじゃあぁ~っ!!」ドヒュヒュヒュヒュ・・・
意味不明の掛け声と共に、カエデの絢雨カスタム改の増加パーツ表面から蜂の巣状の発射口が多数、現れる。
そこから発射されたのは、大量のマイクロミサイル!
それらは複雑な弧を描いて絡み合いながら飛翔し、フェルグスを四方八方から包囲する。
そこから発射されたのは、大量のマイクロミサイル!
それらは複雑な弧を描いて絡み合いながら飛翔し、フェルグスを四方八方から包囲する。
「力こそパワーじゃ! 圧倒的火力に圧し潰されるが良いわっ!!」ヒュオン! ヒュオン! ヒュオン! ヒュオン!
「凶風のミサイルランチャーや塵撤のミサイルコンテナを分解・再構成し直した苦労を喰らえ~っ!!」
「塵撤の対地ミサイルを空対空ミサイルに改造した苦労を喰らえ~っ!!」
「ついでに機体の操作性が悪化して、乗り物酔いが再発した恨みを喰らえ~っ!!!」
「塵撤の対地ミサイルを空対空ミサイルに改造した苦労を喰らえ~っ!!」
「ついでに機体の操作性が悪化して、乗り物酔いが再発した恨みを喰らえ~っ!!!」
「・・・何だか、八つ当たりじみた怒りを感じる・・・別に私、悪くないよね?」
シンシアは、カエデの理不尽な怒りを軽く受け流しつつ、迎撃体勢を取る。
フェルグスには『40連装中型ミサイル・ルシフェル』が搭載されており、絶大な空間制圧力を誇る。
フェルグスには『40連装中型ミサイル・ルシフェル』が搭載されており、絶大な空間制圧力を誇る。
ガウゥゥンッ!! ガウゥゥンッ!! ガウゥゥンッ!!
絢雨のミサイル群とルシフェルが相殺しあい、その連鎖爆発で空間が揺れる。
だが、ルシフェルと言えど流石にこれだけのミサイルを迎撃するのは難行である。
だが、ルシフェルと言えど流石にこれだけのミサイルを迎撃するのは難行である。
「下の弾幕が若干、薄い・・・罠?」
とはいえ、取れる選択肢の中ではそれが最良なので、フェルグスは已む無く下降を選択する。
「前方の2機には・・・コッペリオンが向かってるわね」
「後ろの菫色は・・・あら、前の援護? こっち見てないわね」
「残りは赤茶色の機体。銃火器を持って無い、妙な奴だったけど? ・・・ッ!!」
「後ろの菫色は・・・あら、前の援護? こっち見てないわね」
「残りは赤茶色の機体。銃火器を持って無い、妙な奴だったけど? ・・・ッ!!」
そこでシンシアの眼が驚きで見開かれる。
武者鎧の如き外観の赤茶色の機体が虚空をジグザグに蹴り、稲妻の様にフェルグスの方へと肉薄して来たのだ!
武者鎧の如き外観の赤茶色の機体が虚空をジグザグに蹴り、稲妻の様にフェルグスの方へと肉薄して来たのだ!
「 刮 目 し て 受 け よ !! 天 牙 ・風 刃 弾 !! (てんが・ふうじんだん)」
赤茶色の機体が繰り出す突進肘撃ちを横滑りに動いて回避するフェルグス。
攻撃を避けられた赤茶色の操兵は斜め上空へと突っ込んで行き、そこから行く手の虚空を蹴って停止。
そのまま足の裏に地面があるが如く上下逆転の格好で直立し、フェルグスの頭と平行の高さに頭が来る。
攻撃を避けられた赤茶色の操兵は斜め上空へと突っ込んで行き、そこから行く手の虚空を蹴って停止。
そのまま足の裏に地面があるが如く上下逆転の格好で直立し、フェルグスの頭と平行の高さに頭が来る。
「そなたが手強い空戦機乗りとの評判は聞いて居るでござるよ」
「故に、この斬空五式・荒光(すさみつ)と拙者の業前を喧伝するには格好の相手!」
「故に、この斬空五式・荒光(すさみつ)と拙者の業前を喧伝するには格好の相手!」
「 虚 空 格 闘 術 ・ ラ イ ゴ ウ ! 参 る っ !! 」
上下逆転したままの荒光は、フェルグスに向かって構えを取った。
そして地上でも、真紅のコッペリオンが銃指威と麟駆に向かって戦いを挑んで居た・・・。