【カイストの特殊能力・技】


我力

カイストの持つ力。
意志力で物理法則を無理矢理ねじ伏せる力のこと。

加速歩行

空気抵抗など移動の邪魔になる要素を排除し、空間を蹴り続けて何処までも加速していく技術。
直線軌道ならばこのやり方で光速に近づくことも出来る。

空間座標確保

世界上の絶対座標でも、特定の物体との相対座標でも、意識して自分の体を固定出来る技術。

圧縮音声

カイストだけが聞きとれる高周波数の声。
戦闘中など悠長に喋っていられない時に使われる。

カウンタースキャン

探知士の感覚の触手を騙し、さらに遡って本体にダメージを与える探知士の技術。

再構築

肉体・技を含めて自身のシステムを大幅に変更すること。

強念曲理(ごうねんきょくり)

対象の相手に対してだけ、世界に矛盾を生じさせる力のこと。
相対化現象とも呼ばれる。
カイストであっても稀にしか見られないもの。
こういった無茶は余程巨大な我力を持たない限りそうそう起きるものではなく、何十億年もの間、ただ一つの技だけを磨き続けた究極の強迫神経症者(ワン・スキル・カイスト)に与えられた特権とも言われる。

隠形の術

自分の存在を背景に溶け込ませて、相手の注意を惹かなくさせる『気』の技。
探知士であっても、情報として入ってきても意識出来ないという。じかに見られたり、殺気を出せば術は駄目になる。
エン・ジハルはこの術を『鋼』のディンゴから習った。

ブレード・エリア

『八つ裂き王』フィロスの本来の二本の腕が操る剣の間合い。
フィロスを中心とした径約三メートルほどの空間内ではあらゆる術が通用しない。
というのも、不可視の呪術も液体気体の散布攻撃も間合いに入ってしまえばフィロスの目には刃として見える。
そのため、正確にはあらゆる術をフィロスが剣で切り落とす、ということになる。

不在の在

ある成分を検出不可能なレベルまでに縮小する技術。
錬金術士であるイスメニアスが使っていた。

屈葬

サネロサが考案し、ザム・ザドルが改良を加えた呪術。
または、『死者への唾吐き』。
死にたての魂に追い打ちをかけて転生を大幅に遅らせ、うまくするとそのまま墜滅させられる。

皆殺しの悪疫

ザム・ザドルがサマルータの砂漠に封印した術式。
間違いなくAクラスになれるという力のこと。

『ゆっくり動く』

空間座標確保と、触れたものをほんの少しだけ自分と同一化する技術を組み合わせた必殺技。
脱出に使え、攻撃にも使えないこともないらしいが、必ず相手を殺す訳ではないらしい。
『裏の目』ガリデュエが『不死者』グラン・ジーに、取っ掛かりとなるアイデアと習得法を刷り込んだもので、グランは習得までに二億年かかった。
具体的な詳細は現時点では不明。

ヘル・ループ

『地獄の召喚師』ゾーンの技。
または無限地獄巡りと呼ばれる。
殺されて魂の弱っている状態からでもゾーンに召喚され、強制的に受肉し操られ、また殺される。また召喚される。また殺される。また召喚される。
そのエンドレスな拷問によって魂をすり減らし、墜滅したカイストは数多い。
そのためゾーンに殺されることは絶対に避けろ、と言われている。



【武器・乗り物・建造物】


アイルガラスト

『神工』レオバルドー作の剣。『我力喰い』。
突き立てた相手の我力を吸って破壊力に変えるカイスト殺しの剣で、強力なカイストほどあっけなく死ぬ。
百億年戦争時での所有者は『究極の黒魔術師』ザム・ザドル。

バザヒューム

レオバルドーの最高傑作。
使用者の我力を破壊力に変換するコンバージョンソード。
元々の我力強化による破壊力に加え、本来変換によってある程度ロスする筈の使用者の我力が七百二十九倍掛けという狂気の変換率で上乗せされてしまう。
百億年戦争時には行方不明になっている。

『アイルガラスト』共々どちらも剣士にとっての憧れであり、同時に忌避される魔剣。
魔術士などの護身用に使うのが無難と言われている。

魔動車

魔術士が作る車。
基本構造は内燃機関の自動車と同じだが、制御系は電子機器でなく魔術回路でできている。

航界船(航界機)

世界から世界へと移動する乗り物。
ゲートを通過可能な大きさに留めつつ、あらゆる世界のあらゆる環境に耐えられる仕様になっている。

異形の夢

殲滅機関の移動要塞。
宙で静止しているように見え、底知れぬ闇の中にうっすらと浮かぶ巨大な漆黒の構造物。
左右非対称にあちこちに尖った出張りが生え、また壁が塔が緩やかにねじれ歪んでいる。
砦のような、或いは教会のような、攻撃的なのに何処かしら荘厳な印象を与える。
要塞と周囲の闇はセットとして亜空間にパッケージングされているという噂。
世界間を繋ぐゲートを通るには巨大過ぎるが、『地獄の召喚師』ゾーンによって自在に移動可能だという。

ディンゴ亭

『鋼』のディンゴの名前が付けられた、サマルータの各地にある飲食店や酒場。
サマルータを出身世界とするディンゴは、サマルータに里帰りと称してしばしば立ち寄り色々貢献してくれるので、住民もディンゴをサマルータの守り神扱いしているところがあった。そのため、こういった店が多く見られる。
中央のテーブルは決まってディンゴの専用席になっており、『ディンゴ』の文字の入った札が立っている。また、他と違う高級品だったり、綺麗な布がかかっていたりする。
名前に釣られてディンゴが本当に訪れた場合、店は無料で飲食物を提供するのがしきたりとなっている。その代わりディンゴは巨大な獣を狩ってきてくれたり古い宝物をプレゼントしてくれたりする。
ディンゴ亭という名前のお陰で繁盛しており、カイストが立ち寄り、カイストに依頼したい一般人の客も来る。一般人が飲み食い出来るのはカウンターだけで、彼らは依頼票を掲示板に貼り、受けてくれるカイストがいたかどうか頻繁に確認に来る。

無限牢

文明管理委員会が開発し、ボルタネッツで稼動していた特殊隔離施設。
一度収容されれば絶対に出られない、死んで魂になっても抜け出せない、永遠の牢獄。
中がどんな様子か分からず原理も公開されていないが、実際に出てきたカイストがおらず、転生して四千世界に復帰したカイストもいなかった。
無限牢に収容するのは委員会の管理世界において重大な違反を行ったカイスト、所謂ならず者カイストに限ると主張されている。
しかし、そのならず者の明確な基準は提示されておらず、委員会にとって気に食わない、都合の悪いカイストを抹殺するのに使っているのではないかと批判が上がっていた。
三千百万年間稼働していたが、ついには『彼』によって内側から完膚なきまでに破壊されることになった。
(この時強制収容されていた数千万人の、下手をすると億を超えるカイストのうちのたったの七人を除いたカイスト全員が魂ごと消え去り、その怒り狂った生き残りの七人と『彼』によって委員会は壊滅的なダメージを受け、十二人の長老のうち十一人が墜滅した。)



【生物】


魔獣

自然の獣ではない、我力を備えた生き物のこと。
魔術士や錬金術士によって作られたか、使役士などによって強化されたか、或いは世界の歪みがたまたま産み出したもの。
稀に、自我のコントロールを失ったカイストが魔獣と化してしまうこともある。
単なる物理攻撃では突破できないカイストの我力防壁を貫ける、少なくとも貫く可能性を持つ生き物。
そのためBクラスになったばかりのカイストがよく油断して殺されるが、本気で対峙すれば積み重ねた鍛錬がものを言い、苦戦することはあまりない。

六本足

六本の脚を持つ狼。
保護色を使うためかなり接近するまで犠牲者は気がつかない。
常に集団で行動する、獰猛で狡猾な生き物。
サマルータに生息している。

ビッグ・ロザリー

ザム・ザドルの弟子が作った魔獣。
サマルータにある巨大な窪地の底に蹲っていた。
頭が二つある巨大な陸亀で、高く盛り上がった甲羅に幾つもの棘が生えている。
その巨体は甲羅の下端から天辺までの高さが八百メートル、棘も合わせると一キロに達する。
全長も首を本気で伸ばせば二キロ二百メートルを超えていて、一つの山がそのまま生き物になったようなもの。
相応の年月を生き抜いてきている。
左の頭は片目が潰れており、傷痕は我力と我力のぶつかり合いで出来たもので、カイストによる傷。
巨体に内包する膨大な我力は、質量だけならAクラスの領域に入っている。
活動期には時速四十キロ程度で荒野を渡り、あらゆる動植物を食い荒らす生きた災害と化す。
「ビッグ・ロザリー」という名前は最初に関わったカイストの戦士が勝手に名付けた名前で、本当の名前は一一六三七五○三九。
ちなみに性別は雄。

バエスク

あちこちの世界で出没している触手の塊のような怪物。
大小の触手の先端に牙の並んだ口がついている。
我力の防壁を破るため、普通の怪物だと思って近づいて食われるカイストも多いらしい。
世界の外(混沌)から来ており、法則確度二十パーセント以上の比較的浅い混沌に潜んでいるよう。

アロロア

法則確度0.0一九パーセントの混沌にいた意思を持った混沌。
厳密には生き物ではない。

トットゥットロートゥット

混沌に棲む。
アメーバのような存在。

ィューン

混沌に棲む。
いるのかいないのかはっきりしないような、微かな存在。



【その他】


墜滅

本当の意味でのカイストの死のこと。
記憶と能力を失い、一般人に戻ってしまう。
墜滅時の末路は幾つかあるが、強いカイストには塵になって崩れていく者が多い。

カイスト・チャート

ガルーサ・ネットの提供する、カイストが指標とするランキング。
戦士のチャートと無差別部門のチャートがある。
前者は戦士を自認する者のみが参加しているランキングで、後者は強さを求める全てのカイストの指標となっている。
一位は『彼』がキープしており、二位は『彼』が登場するまで三百億年近く一位だった『剣神』ネスタ・グラウド 。
一万位以内のカイストをAクラスのカイストとし、さらに常に百位以内をキープしているカイストのことを『ゴールデン・マーク』という。

ワン・スキル・カイスト

何十億年もの間ただ一つの技だけを磨き続け、強念曲理を操るカイストのこと。
『剣神』ネスタ・グラウド 、『針一本』裏鋭、力のツェンクなどのカイストが挙げられる。
(ただし力のツェンクは一億歳に満たない。)

二十八世界殲滅の行

『彼』に決定的な敗北を喫した『八つ裂き王』フィロスが再起の第一歩として己に課した行。
出現時に十四の世界を消滅させた『彼』に対抗して、九千万年かけて二十八の世界の人類を皆殺しにしてみせた。
勝手な行のために殺された犠牲者数は十兆を超えると言われている。

世界時計

ガルーサ・ネットが提供している、四千世界共通の『正時刻』とあらゆる世界・地域の時刻が表示される品。
どの世界でも正確な時刻を教えてくれる。
カイストの殆どが持っている。

百億年戦争

起点は正暦112億年、エトナという小さな都市と、ジーという村の争いから発展して起きた大戦争。
両方の勢力に際限なくカイストが参加したことで元の住人がいなくなっても戦争は続き、終わるまで百億年かかったことから百億年戦争と呼ばれている。

エトナ締め

戦力増強相互自粛協定の通称。
戦争時、互いにもうこれ以上カイストを味方に加えないという約束事。
戦争中の両者の戦力が同等、もしくは提案者側の戦力が客観的に見て劣っている場合に成立する。
また、戦争開始から最低でも三ヶ月は必要とされていて、大概は一年以上してから行う場合が多い。
百億年戦争のような戦争をもう二度と起こさないようにできた取り決めで、通称はその百億年戦争からきた警句『エトナの轍を踏むなかれ』から来ている。

フリーゾーン

文明管理委員会によって管理されていない世界。
文明進度の抑制がされておらず、大概は中世を基本として新旧入り混じる混沌とした社会になる。

カイエンス・パラドックス

別名『Aクラスの金縛り』。
強くて安全なAクラスのカイストが決死の覚悟で向かってくる一般人の「勇気」を前にして怯えてしまい、金縛りになってしまうこと。
ただし、滅多には起きない。

ザム・ザドルの黒壁

『究極の黒魔術師』ザム・ザドルがサマルータを魔術の実験場にしたことから発生した黒い闇。
正歴四百三億年から数億年前、最盛期にはサマルータのねじくれた大地の七割を覆い、あらゆる物を食い尽くして拡大した。

『魂の座』

魂と肉体の繋がる場所であり、『針一本』裏鋭が究極の急所とする場所。
カイストならそれが胴体にある者もいるが、一般人ならほぼ間違いなく同じ場所、脳幹中央部に存在する。
『魂の座』を破壊すれば肉体から魂への情報送信が途絶え、魂から肉体への干渉力が失われる。カイストの我力も現実世界に及ぼせなくなる。

世界群地図

四千世界群接続地図とも呼ばれる、小さな球が少しだけ隙間を空けて寄り集まり、大きな球状になったもの。
小さな球はあちこちが細い線で繋がり合っている。
ただし、飽くまでゲートの繋がり具合から頭のいいカイスト達が勝手に考えたものであり、四千世界の構造が本当にその通りになっているのかは分かっていない。
世界群地図の中心に近い世界のことを「中央側世界」と呼び、逆に外側の世界のことを「辺境側世界」と呼ぶ。
地図の真ん中には『完全なる秩序』と呼ばれるラ・ルークという世界がある。

混沌

世界の外にある、あらゆるものが混じり合ったグチャグチャの闇鍋のようなもの。
混沌は世界の法則から外れており、そのためもし混沌に飛び込めば、法則に従って生きている一般人なら一瞬で死んでしまう。
カイストであれば我力でなんとか世界の法則を持ち込もうとするが、Aクラスでも浅いところで数分持てば良い方だという。

法則確度

四千世界共通の法則が、混沌の中でまだどの程度通用しているかをパーセンテージで示す指標。
世界の境界を出たばかりではまだ数十パーセントくらいは残っているが、深く潜るごとに減っていく。

アノラ語

四千世界を渡り歩くカイスト達が用いる共通語の一つ。
文法が単純で語尾などの変化もないので覚えやすい。
文明制限のないフリーゾーンではカイストによって広められ、そのまま主流言語になってしまうことも多い。
サマルータなどもその一つ。

ルース

ガルーサ・ネットが普及させたカイスト間の通貨。

アイル

我力の単位。
一般人の魂が保有している我力の統計を取り、その平均を一万アイルとしたものが元々のアイルの定義。

ソムカのジレンマ

カイストの教訓。
敗北するたびに弱点を補うための修行を繰り返していき、最終的に器用貧乏な弱者が出来上がっただけという古いカイストの戦士の話。
敗因を研究し、弱点を減らすことは大切だが、そればかり気にしていては強くはなれないということ。

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最終更新:2021年12月30日 07:04