


グリオーク(Gleeok)
グリオークは『ゼルダの伝説』シリーズに登場する、多頭の竜をモチーフとした強力な魔物。首の数は作品によって異なるが、複数の首を持ち、それぞれが独立して攻撃するという特徴を持つ。シリーズ初期から登場している、いわば「古代の怪物」的存在である。
初登場は1986年のファミコン版『ゼルダの伝説』。このときのグリオークは2本あるいは4本の首を持つドラゴンで、各首から放たれるビーム攻撃が特徴。首を1本倒すと、その首だけが分離して空中に浮かび、引き続き攻撃してくるという仕様で、プレイヤーの緊張感を高める構成となっている。シンプルながらも異様な不死性と生命力を印象づけるボスであり、ダンジョンの守護者として存在感を放っていた。
DS作品『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』においては「氷炎双頭竜グリオーク」として再登場。赤と青の2つの頭部を持ち、それぞれが炎と氷のブレスを使い分けるギミック重視のボスとなった。攻撃はフックロープ(カギ爪ロープ)を活用し、片方の頭のブレスをもう片方に跳ね返すという仕掛けが用意されている。ギミックの複雑化により、初代よりも知能的な戦いが求められる存在に変化した。
さらに『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム(TotK)』では、「キンググリオーク」として登場。巨大な三つ首と一つ目を持ち、それぞれが炎・氷・雷といった異なる属性の攻撃を行う。フィールド上に現れる大型ボスの一体として扱われ、プレイヤーの準備や操作技術が問われる難敵となっている。広大な世界を活かし、空中戦に近い立ち回りも要求されるため、単なる復刻ボスではなく、シリーズ中でも最大級の迫力を持つグリオークとして評価されている。
ゼルダシリーズを通して、グリオークは「古代の竜」「多頭の怪物」「属性を分け持つ知能的ボス」として、作品ごとに進化を遂げている。異形の存在でありながらどこか神話的でもあり、そのデザインや演出は、まさに「時代に合わせて姿を変える伝説の魔物」としての風格を持っている。ケモドラ視点では、首ごとに異なる性格や感情を持つ“多頭型ドラゴン怪異”として解釈でき、各頭が属性や言霊を司る存在として機能している可能性もある。シリーズが進むにつれ、グリオークという存在そのものが、単なるボスキャラを超えた“ゼルダ世界の深層に棲む古代的コード”としての側面を強めている。