とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part22

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大覇星祭こぼれ話 かみことせれくしょん


初春「さて、それでは今回も元気よく行きましょう!」
佐天「大覇星祭こぼれ話最終回! もちろん中身はメインイベントのフォークダンスです!!」
美琴「うぅ……黒子ぉ……この面子だとアンタだけが頼りだからね……」
白井「お、お姉様!?/// ふっ! 分かりました! この不肖白井黒子、不逞の輩から必ずやお姉様をお守りいたします!!」ぴぴぴぴぴ
上条「ん? おい白井、何か電話が鳴っているようだが?」
白井「ったく、こんなときに誰ですの? って、固法先輩!?」
初春「ええ!? そんなはずないですよ!? だって今日のお仕事は全部片付けてから来たじゃないですか!!」
白井「まあそうなのですが――はい、こちら白井黒子。はい。え? 不審者の乗った車がこちらに向かっておりますの? もうしばらくで通過予定? 分かりました。ではこの付近で待機して、不審な車両を見かけましたら停車させて警備員に連絡いたします」ぴっ
初春「えーお仕事ですかー?」
白井「仕方ないですわ。不測の事態までは片付けられませんから。という訳でわたくしと初春は少し外します。三十分ほどで戻ってきますのでお待ちいただけますか?」
上条「まあそういう事なら仕方ないな。分かった。待っててやる」
白井「ありがとうございますの。では行きますわよ初春」
初春「はーい……」


――――

佐天「とは言え、どうしましょう? 白井さんはともかく初春も楽しみにしてた今回ですし、先に三人で始めるってのも悪いですよね」
美琴「何気に黒子の扱いがアレなんだけど、まあ確かに三人で始めちゃうと佐天さんの暴走を止める人が居ないってのもマズイわね」
上条「さらっとお前も酷いこと言ってんな。佐天さんが暴走するってどういう事だよ」
佐天「まあ、御坂さんからすると『暴走』に見えるんでしょうなぁ。でも、御坂さん(と違う意味で上条さん--;)以外の人には『暴走』じゃなくて『奔走』って受け取ってもらえるんですけどね」ニヤニヤ
美琴「うぐ……」
佐天「でもホント、どうします? 時間潰しに井戸端会議でもやりますか?」
美琴「それはスレ主旨に問答無用で逸脱している上にコースアウトしながら走っているようなものだから却下ね。まあ逆走ではないけど」
上条「ついでに俺が話に入れん。ガールズトークに男子高校生が入れると思うなよ」
佐天「あは。それもそうですね。ごめんなさい。じゃあ何しましょうか?」
??「だったら、あの二人が戻ってくるまで、ここまでの大覇星祭こぼれ話で坊やとお嬢ちゃんの絡みのシーンだけをピックアップするってのはどうかしら?」
佐天「をを! ナイスアイディアです! 実は、合作作者の片割れが、あたしが呼ばれた回数が一回って言うのはどうかって思ってたらしくってですね、それで今回はピンで――って、あれ? さっき、空港まで送ってもらった車のお姉さん?」
上条「うぉい! Ⅰで確かに意味深みたいなこと言って伏線張ってたけどここで回収すんのオリアナ=トムソンさん!?」
オリアナ「そういうことよ坊や。また会ったわね」
美琴「てことは佐天さん。この人に空港まで送ってもらったわけ!?」
佐天「ええそうです。だって、空港まで布束さんとフェブリとジャーニーを送らなきゃいけなかったですし、白井さんは一度に二人までしか抱えてテレポートできないじゃないですか。タクシーもなかなかないですし、たまたまヒッチハイクした車のドライバーがこの人だった訳です。だからまず、このお姉さんにあたしと白井さんも一緒に空港まで連れてってもらって三人を見送ってから、こっちへは白井さんに送ってもらったんですよ。いやー本当に助かりました」
オリアナ「私の職業は『運び屋』よ。その辺のタクシーよりも迅速に目的地までお届けできるわ」
美琴「……前回(Ⅶ)の裏で、結構緊迫感ある時間との戦いみたいなサイドストーリーが展開されてたんだ……本編は思いっきり緊張感と無関係だったのに……」
上条「……佐天さんの不思議な遭遇スキルが知らないところで発揮されてたんだな……」
佐天「そんじゃ、このお姉さんの提案通り、今回は大覇星祭こぼれ話御坂さんと上条さんの絡みシーンピックアップ版と行きましょう!」
美琴「ちょ、ちょっと待って! この人と佐天さんで今回やるの!?」
オリアナ「そうなるわねお嬢ちゃん…でも大丈夫よ…お姉さんがお嬢ちゃんに大人の階段を昇らせてあげるから……」
美琴「だから反対したいんですよ!! 私はまだシンデレラで充分ですから!!/// あと階段は『上る』であって『昇る』じゃないですから!!///」
佐天「えー? 『大人の階段』なんだし『昇る』で正しいですよ。御坂さんもそろそろ上条さんの部屋のシングルベッドで、上条さんに夢と一緒に抱いてもらって、くだらない事だって笑い合いたい年頃じゃないですか」
上条「昇天!? いやいやいや佐天さん!? 何やら不穏な発言が聞こえた気がするのですが御坂はまだ児童福祉法に守られているお歳なのですよ!?」
オリアナ「バレなきゃ犯罪じゃないのよ…ぼ・う・や・♡」
美琴「いぃぃぃぃやぁぁぁあああああああああ!! このこぼれ話やる度に、何か大切なものを失っていく気がしてるけど、今回は何か大切なものを全部失ってしまいそうな気がするぅぅぅううううううううううう!!」


 ――――人混みの向こうに、――――ツンツン頭が見える。彼は大覇星祭の参加者であるため、当然ながら半袖短パンの体操服だ。その隣には、彼とは違ってランニングに短パンの、本格的な陸上競技用ユニフォームを着た女の子がいた。


オリアナ「あの後、私なりに考えてみたわ。どうして何の脈絡もなく坊やと嬢ちゃんがこの時、一緒に歩いていたのかを」
上条「はてしなく嫌な予感しかしないので言わないでください。むしろ、辿り着いた答えは墓の中まで持って行っちゃってください」
佐天「そんなの決まってるじゃないですか。二人仲よく朝帰りですよ。ラ○ホ○ルから」
美琴「がががががが学園都市に、そんなのあるわけないじゃない!!///」
オリアナ「あら? どうしましょう坊や。お墓の中まで持っていく前に黒い髪のお嬢ちゃんが答え言っちゃったわ」
上条「やっぱりかよ!!」


「ねぇねぇ、結局アンタって赤組と白組のどっちなの?」
「あん? 赤だけど。なに、もしかして御坂も赤組か」
「そ、そうよ」
「おおっ、そっかー赤組か。ならお互い頑張らないとなー」
「じゃあ、あ、赤組のメンバーで合同の競技とかあったら―――」
「なんつってな! 実は白組でしたーっ!!」


佐天「上条さんが鬼畜にも乙女の儚い幻想をぶち壊したことはともかく、ちなみに合同競技とかあったら、御坂さんは何て言うつもりだったんですか?」
上条「さらっとディスってくれやがりましたねお嬢さん」
美琴「ふぁえっ!!? そ、そんなのもう忘れたわよ!」
オリアナ「きっとこうね。『合同の競技とかあったらそのまま夜の大覇星祭で貴方の「赤」黒い肉棒から特濃の「ホワイト」ソースを―――』」
美琴「やっぱり前と一字一句違わない答えだし!! だから言わないって言ってんでしょうがっ!!」
佐天「ほほぉ。なかなかに興味深い発言ですな。ここは是非詳しく聞かなければなりません、と言いたいところですが、ちょっと残念ですけど御坂さんは言わないと思いますよ」
美琴「え? え? そ、そうかな?」
オリアナ「そうかしら?」
佐天「ええ。だってこの場所、公の往来ですもん。そういうセリフは二人きりのときにベッドの上で言うセリフですよ」
美琴「だぁぁぁぁああああああああああ!! 真顔で何サラッと言ってんのよ佐天さん!!!///」
オリアナ「なるほどね。ところで坊やは、お嬢ちゃんに本当に言われたらどうする?」
上条「うぇぇぇえええええええ!? そんな話を振る!?」
オリアナ(……というより、(胸はともかく)禁書目録より年下の黒髪のお嬢ちゃんも私の言った意味が分かるなんて、日本ってどれだけHENTAIの国なのかしら)


「――――もしお前に負けるような事があったら罰ゲーム喰らっても良いし! 何でも言う事聞いてやるよ!」
「い、言ったわね。ようし乗った。……何でも、ね。ようし」
「――――その代わり、お前も負けたらちゃんと罰ゲームだからな」
「なっ。そ、それって、つまり、な、何でも言う事を……


オリアナ「ふふ。いつ聞いてもなかなか楽しそうな罰ゲームね。もし、坊やが私と戦っていたときに、こう言ってきてたらお姉さん、容赦なく勝ちに行ってたかも…」
上条「……俺にはアンタが結構本気に見えたんだが?」
オリアナ「本気の意味合いが違うってことよ。魔術よりも肉弾戦で迷わず寝技とか関節技に持っていったわ……」
上条(そ、そんなことされちゃったら負けてたかも……!!)
美琴「ね、そんなことされちゃったら負けてたんじゃない?」
上条「何か最近、色んな人に俺の心の声が寸分の狂いもなく読み取られまくるんだけど!? って、ちょっと待った。俺、御坂にオリアナと戦ったこと話したっけ?」
美琴「……」
上条「……」
美琴「世の中、科学で説明できることばかりとは限らないわ。たとえ学園都市でも例外じゃないのよ」
上条「お前の記憶力も最近、時々謎だよな? あと俺の目を見て話せ」
佐天「ちなみにお二方はお互いどんな罰ゲームを課すつもりでいたので?」
美琴「――――!? そ、それは次の次のこぼれ話の予定だからネタばれできないしコメントは控えさせていただくわ!!///」
上条「……えっと、ここはミコっちゃんにチュウしてもらう予定だった、って言えばいいんだよな?」
オリアナ「そんなのでいいの? お嬢ちゃんの××××をもらう予定だった、って言うところじゃない?」
佐天「えええええええええええ!? 御坂さん、何で勝っちゃったんですか!?」
美琴「ツッコミどころが違うから佐天さん!? というか学校対抗なのよ!? 常盤台は2位で上には長点上機学園しかないのよ!! 負けるわけないじゃん!! そもそもいくらなんでも罰ゲームで××××をあげるつもりなんてないから!!」
上条「お、おい御坂、読者さんには伏字になってるけど、そんなカタカナ四文字を大声張り上げて言わなくても……」
美琴「はうっ!!!!!!!!?!///」


 彼女のために、何度でも歯を食いしばって立ち上がってくれた、あの姿を見せて。
 (……、)
 美琴はほんの少しだけ思考を空白にした後、
 (ああ、やだやだ! 何を唐突に照れてんのよ私!!)


美琴「にゃああああああああああ!! 見るな見るなあああああああああああああ!!」
佐天「いえいえ可愛いですよ御坂さん。でも思い出し呆けって結構恥ずかしいですよね」
オリアナ「それにしても坊やもやるわね。このお嬢ちゃんのために相当頑張ったみたいじゃない?」
上条「え? そりゃまあ……こんときは何としてでも御坂を助けなきゃ、って思ってましたから……」
佐天「をを! 上条さん、何かカッコイイこと言ってますね! ほら御坂さんが赤くなってうつむいちゃいましたよ!!」
美琴「!!/// さ、佐天さんそういうのいいから!!///」
オリアナ「あら? ちょっと待って。もしかして私とあなたたちの会話はかみ合ってないんじゃ?」
上条「?」
オリアナ「私は坊やがお嬢ちゃんのために歯を食いしばって何度も勃ち上がってくれたものだとばかり思ったんだけど」
美琴「ん? ええ……まあ、コイツは歯を食いしばって何度も立ち上がってくれたんです…わ、私のために…////」
佐天「……」
上条「……」
佐天「? 何がどう違うんですか? 発音からだと読みとれないんですが」
上条「………………なんとな~~~~~~~く分かったような気がしたんで、これ以上は深く追求しない方がいいな。絶対に話が明後日どころか十年後くらいに吹っ飛びそうな気がする……」
オリアナ「あら? 坊やったら十年後くらいにまた何度も勃ち上がる気満々なのね♡ このお嬢ちゃんのために…」
上条「やっぱりそういう意味なのかよ!? 気付いてしまった俺も俺だけど!!」
佐天「はて? 御坂さん、意味分かります?」
美琴「さあ? 高校生以上になったら分かる会話なのかしら……」
オリアナ「違うわよお嬢ちゃんたち…ハイスクール以上の話じゃなくて、坊やのように思春期以上の男の子なら分かるって話で当て字の」
上条「うぉぉぉおおい!! まだまだ思春期の入り口をくぐったばかりの純真無垢で清らかな女子中学生を淫らで腐敗した世界に引き込むんじゃない! そこの大人!!」


(だとすると、やっぱりウチの学校が勝っちゃうけど……あれ。勝っちゃったらどうしよう?)
 美琴は少し考え、それからブンブンブン!! と勢いよく首を横に振った。


佐天「えっと御坂さん? やっぱり××××(カタカナ四文字)を捧げるつもりだったんじゃないですか?」
美琴「いやいやいや! 前のときも言ったんだけど、そこは『何を考えたんですか?』って突っ込むところよ!? いきなり核心を付くツッコミっておかしいから!!」
佐天「あれ? ということは本当に××××(カタカナ四文字)を捧げるつもりだった、ってことですか?」
美琴「ぶっ!///」
オリアナ「いいえ。そこは違うわよお嬢ちゃん。そっちのお嬢ちゃんは勝った場合の想定になるから、お嬢ちゃんが坊やの××××(漢字二文字で読み四文字)を頂くつもりだったって表現が正しいわ」
佐天「あー、そうですね。勝った時は『貰う側』が御坂さんですもんね」
上条「同じ意味じゃね!?」
オリアナ「全然違うわ。坊やが勝った時は正常○だろうけど、お嬢ちゃんが勝った時は騎j」
美琴「やめて!! 本当にやめて!! 伏字にしてあるけど生々しい表現が続くのは健全スレとしてどうかと思うから!!///」


(……一体何なのよあの覚悟!? アイツ、こんなトコでなんて無駄なカリスマ性を発揮してんの! ま、まさかマジで勝ちに行く気な訳!? アンタ私に勝って罰ゲームで何を要求する気なのよーっ!?)


上条「何も喋らないでくださいお願いですオリアナさんと佐天さん」
オリアナ「どうしてかしら?」
佐天「何でですか?」
上条「お二人のことですから、きっと、さっきと同じ言葉が続くとしか思えませんので聞く意味ないですから」
佐天「えー? でもぉ。大事なことは二回言わなくちゃいけないんですよぉ?」
オリアナ「あら? 何か誤解しているようね。私は同じことを言うつもりはないわ」
上条「特にあんたは絶対に喋らないように! 同じことを言うつもりはなくても同じ意味のことを言うつもりは満々だから!!」
佐天「あ! つまり、この場合は上条さんが勝つ場合の想定でですから、御坂さんの××××(カタカナ四文字)を要求するってことですね!!」
上条「どうして貴女様が言いやがりますの!? せっかく大人の人は止められたのに俺と御坂より年下の中学一年生が大人の人と同じことを考えないでよ!!」
オリアナ「ちなみにお嬢ちゃんはナニを要求されると思ったのかしら?」
美琴「って、何でナニがカタカナなんですか!?///」
上条「おい御坂! 最近のお前の謎の優れた洞察力をこんなところで発揮させるなよ!! それ自爆だぞ!!」
美琴「はっ! し、しまっ……!!!///」
佐天「ふっふっふっふっふ。さ~~~て御坂さん? どうして『ナニ』がカタカナだって理解できたのでしょうか~~~?」
美琴「くっ……!///」だかだかだか
佐天「おっと、どこに行く気ですか御坂さん?」だかだかだか
オリアナ「『お嬢ちゃんは逃げ出した。しかし回り込まれた』ってところかしら?」
上条「うんにゃ。『知らなかったのか? 佐天さんからは逃げられない』ってところじゃないですか?」


 ――――右から高速で飛び出してきた御坂美琴が、上条の首の後ろを掴んで勢いよく左へと消えていったのだから。
「おっしゃーっ! つっかまえたわよ私の勝利条件! わははははーっ!!」
「ちょ、待……苦じィ! ひ、一言ぐらい説明とかあっても……ッ!!」


オリアナ「確か、この日本では結婚できるかどうかで勝ち組、負け組に分かれるって伝統が無かったかしら? とすれば、お嬢ちゃんは『勝ち組』になるために坊やを捕まえた、でいいのよね?」
美琴「それは伝統じゃなくて一時だけ蔓延った『流行り言葉』でしかないから!!/// てか、これカットされてるから分かり辛いけど、コイツを引っ張ったのは借り物競走の勝利条件だからなのよ!!」
佐天「借り物競走? お題は何だったんですか?」
上条「おう。あとから見る機会があったんだけど『第一種目で競技を行った高等学生』だった」
佐天「え? 学園都市初日の第一種目で出場した高校生なんて、大覇星祭中ならその辺りに溢れてません?」
上条「まあな。俺もこんときは同じことを思ったよ。だから何で俺が引っ張られたのかなぁ、って」
佐天「んっんっんっ……何か面白そうな理由がありそうですな御坂さん? ここは詳しく話してもらいたいところですが……?」
美琴「ええっと、その……(ヤ、ヤバイ! 佐天さんの目が古畑任三郎みたいに笑い目なのに探りを入れてくる目つきになっちゃってる……!!)」


「ルールには第三者の了承を得て連れて来るように、とあるようだが目の錯覚ですか?」
「あーあー錯覚錯覚。っつか事後承諾が駄目とは一言も書いてないじゃない」


佐天「まあ世の中には、結婚前に避妊しないで情事に勤しんだ結果、子供ができた『できちゃった婚』っていう、事後承諾の権化みたいな結ばれ方もありますからね」
美琴「だから意味が違うって言ってるでしょうがっ!?」
オリアナ「……ちょっと待って…あの……さすがにお姉さんもちょっと引いちゃったんだけど、日本は妊娠したら『子供ができた』って言うのかしら?」
佐天「え? 違うんですか?」
美琴「あれ? 私もそうだとばかり」
オリアナ「……あのね、子供って、一番子供を生むのに適した二十代半ばの体でさえ、しかも排卵日であったとしても30%の確率でしか誕生できない生命の神秘にして奇跡なのよ。それもそのチャンスは一ヶ月にわずか数日。それを『できた』って、そんな『物』みたいに言うのはどうかと思うわ。だから『子供を授かった』って表現が正しいんじゃないかしら」
上条(オ、オリアナさんがまともなことを言ってる!? でも、あんまり説得力を感じられない!!)
オリアナ「…ねえ坊や? 私がまともなことを言っている。だけど、あんまり説得力を感じられない、ってどういう意味かしら?」
上条「ちょー!! 俺の心の声を読まないで!! あと、そのたくさんの速記原典を取り出さないでください! 謝りますからこの通り!!」


 美琴は自分の体を覆っていたスポーツタオルを上条の頭に被せた。その上から両手を使ってわしゃわしゃわしゃー、と顔の汗を拭っていく。子供が濡れた髪を拭いてもらうような仕草に似ていて、上条はやや屈辱的だったが、結構強引な力加減なので振り払えない。バタバタと両手を振る仕草が余計に子供臭く思えてきたので、上条はもう黙って身を任せることにした。


オリアナ「マグロは良くないわよ坊や」
美琴「……マグロ?」
佐天「……魚の名前? それともお寿司のネタ?」
上条「ふっふっふっふっふ。オリアナさん。残念ながら女子中学生に『マグロ』の意味は通じないようですな」
オリアナ「ふぅ…さすがにこの言葉はまだ難しかったようね――って、あら? でも坊やは知ってるのよね?」
上条「!?」
美琴「え? アンタ知ってんの? じゃあ教えてくんない?」
佐天「あたしも知りたいです!」
上条「ええっと……いや……その……お願いだからそんな純真な瞳で好奇心いっぱいに問いかけないでくれますでしょうか……?」
オリアナ(あぁ……坊やが攻め立てられておどおどしている姿が何かいいわ……お姉さんゾクゾクしちゃう……)


「ええいホントに腑抜けているわね! 仕方がないからあげるわよ! ほら!!」
「ぐあーっ!!」
 ぐいーっと上条のほっぺたにドリンクボトルの側面を押し付けた。――――
 顔を真っ赤にした彼女は、上条から背を向けると表彰台の方へ消えていく。――――
 ――――もらったドリンクをチューチュー吸いながら――――


オリアナ「計画通り、って嬢ちゃんの心の中が叫んでるわ」
美琴「思っていませんから! ずえぇぇぇぇぇぇっっっっったい微塵も考えてませんから!!///」
佐天「違いますよ。計画通りなのは上条さんの方です。カットされてますけどなんかわざとらしく咳き込んだみたいですし」
上条「……計画通りとはまったく思ってなくて偶然の産物なのでございますが、佐天さんは何故、わたくしめがこの時咳き込んでいたことを知っておられるので?」
佐天「そりゃあ、学園都市中に設置されてるオーロラビジョンに映し出されていたんですから、見てた人は大抵知ってますよ」
美琴(そ、そう言えばそうだった!!///)
オリアナ「だから言ったでしょ、黒髪のお嬢ちゃん。そっちのお嬢ちゃんの心の中が『計画通り』って叫んでるって」
佐天「は? えーっと……んーと……ああ!! そういう意味ですか!! なるほど! 確かにそれだと上条さんじゃなくて御坂さんが計画通りですね!!」
上条「どういう意味だ?」
佐天「たくさんの衆目を集めてるわけですから、ありていに言ってしまうと既成j」
美琴「言わせないから!!」


「――――そこは危険なんだ! お前に怪我なんてしてほしくないんだよ!!」
 うっ、と美琴の動きが止まる。
 何故かそのほっぺたがみるみる赤くなっていく。――――
「これぐらいの競技で、そこまで心配してくれなくても。私の能力があれば、どんなヤツが攻撃してきたって、どうにでも、できるんだから……」


オリアナ「これってもしかして私がこの現場に速記原典を仕掛けてた時のこと?」
上条「そういうことです。でも、大覇星祭ってお祭りの中だし、この時はまだ学園都市で魔術は認識されてなかったし、説明できなくて苦労しました」
佐天「えー? その割にはセリフが妙ですよ。事情を知らない人が聞いたら完璧に誤解する言い回しじゃないですか。ねえ御坂さん」
美琴「ななななな何で私に話を振るわけ!?」
佐天「そりゃあ当事者ですから。誰よりも確実な答えを聞けるのは御坂さんじゃないですか」
美琴「とっても筋の通った理由だし!!」
オリアナ「まあ、普通なら『お前に怪我なんてしてほしくない』じゃなくて『そこにいると怪我するぞ』って注意するものなんだけど、どうして坊やは『お前に怪我なんてしてほしくない』と叫んだのかは疑問ね」
佐天「上条さんに聞かないんですか?」
オリアナ「聞くだけ無駄よ。私たちが期待する答えが返ってくるわけないじゃない」
佐天「あー……」
美琴「それは確かに……」
上条「うわ。なんか思いっきり馬鹿にされたような気がする。しかも御坂まで一緒になって同意見て」


 両手を美琴の細い腰に回すようにして、地面へ叩き付けるように一気に押し倒す。
「黙ってろ。ちょっと動くな」
 言って、彼は美琴を押し倒したまま、彼女の顔を真近から覗き込んだ。
 ――もっと間近で観察するため、上条はさらに顔を近づけていく。
 美琴はパチパチと瞬きをした後、真剣な顔を近づけてくる上条に何かを察すると、やがてゆっくりと両目を閉じた。


美琴(あぁ……佐天さんのニヤニヤが普段の倍以上になって追及して来そうな……って、あれ?)
佐天「……」
美琴(あ、あれえ? なんかすごく神妙な顔してる。でも、声かけると藪蛇になりそうなので黙って流すのが一番――)
オリアナ「ねえ、この続きは?」
美琴「はい?」
佐天「あたしもこのお姉さんと同じ意見です。続きは?」
上条「ん? この後か? 吹よ――と言ってもここにいるメンバーは誰も知らんよな――運営委員の一人から声をかけられて競技一時中断。まあ、その後、もっと大変なことになったわけなんだが」
佐天「ぶー。何それツマンナ~~~イ」
オリアナ「はぁ……せっかく坊やとお嬢ちゃんの砂煙に紛れて××(漢字二文字)シーンが見られると思ったのに残念だわ」
佐天「ですよねー。未遂で終わったなんてオチなんて面白くないです。運営委員の人も気を利かせてくれればいいのに」
オリアナ「まったく……HENTAIの国なんだからコトが終わるまでそっとしてあげればいいのよ」
美琴「いやいやいやいやいや! ちょっと何その感想!? 佐天さん? ここはとってもニヤニヤしながら『御坂さんどうして目を瞑ったんですか?』ってツッコミ入れるところじゃないの!?///」
佐天「はへ? そんな程度のツッコミで良かったんですか? あたしは『この先』の方に期待しちゃいましたから、前段階なんてどうでも良かったんですが」
オリアナ「右に同じね。この程度のこと、この坊やなら日常茶飯事じゃない」
美琴「え、えぇぇぇぇええええええええ!?」
上条「何気に俺、酷い評価じゃね!?」


「くそ、本気で食べる専門ですかインデックス!? 一方美琴はどうなの家事とか!」
「は? ま、まあそりゃ私だって学習中の身ですから多少はね。流石にペルシャ絨毯のほつれの直し方とか、金絵皿の痛んだ箔の修繕方法とか完璧に覚えているって訳じゃないけど」


佐天「ねえ上条さん。一ついいですか?」
上条「ん? 何だ?」
佐天「上条さんって、御坂さんの事を名前で呼ぶときと名字で呼ぶときとあるんですけど、何で名前で統一しないんですか?」
美琴「さらっとさりげなく名前一択にしやがった!?///」
上条「いやぁ? 特別、基準はない、かなぁ? まあ、こんときは御坂の母親が一緒だったし、区別する意味で名前で呼んだんじゃね?」
美琴「言っとくけど、ママがアンタに私の母親だって自己紹介したのはこの会話よりも後の話よ」
上条「……」
美琴「……」
上条「結構似てたから最初はお姉さんが一緒だと思ったんだよ。だから区別するために名前で呼んだんだ。うん」
オリアナ「取って付けた理由にしては一応、筋は通ってるわね」
美琴「まあ、目を逸らしていなければ疑われなかったんだけど」
佐天「それじゃあ、話を戻しますけど今後は名前で統一しては如何でしょう?」
美琴(ちちい! やっぱり佐天さんはブレないわね!!///)
オリアナ「でも、そっちのお嬢ちゃんは坊やのことを『ダーリン』って呼ぶと似合いそうよ」
美琴「ダダダダダダーリ!!!!?!///」
上条「オリアナさん? それ絶対にネタで言ってるよね?」


「うわぁ。えっらい混んでるわね…持ち込みOKみたいだし、こりゃ外に買いに行った方が早いか」
「…って、こっちも似たようなもんか」
「お? オマエもか?」
「アンタも? やんなっちゃうわよね。どこもかしこも並んでて」
「いや~~~上条さんなんてこの歳でお漏らししちゃうところでしたよ」
「アンタなんの話を…」
「トイレが混んでて危うくチビりかけたって話だろ? オマエも」
「私は飲み物を買いに来ただけよ!!」
「ああそっちか」
(ほんっとコイツは…デリカシーのない)


オリアナ「本当にこの時期は学園都市外からの人が多かったわ。おかげで仕事がやりやすかったけど」
上条「まあな。本当に危なかったよ。もうあんなことしないよな?」
オリアナ「――――さぁて、どうかしら…?」
上条「おーい」
美琴(はぁ……やっぱコイツ私の知らないところで相変わらず危ないことしてんのね……ちょっとは相談してくれればいいのに……)
佐天「そうだ。上条さんが御坂さんの知らないところでいつも危ないことしてるなら、親身になって相談に乗ってあげたらどうですか御坂さん? 好感度もグンとアップしますよ」
美琴「――――!!/// 読まれた!?///」
佐天「へ? 何をです? あたしはただ御坂さんの事を思って提案しただけなんですが?」
美琴「ア、アーソーユーコト。ソウネ。考エテミルワ」
上条「何ぎこちなくなってんのお前?」


「なら俺が御坂たちの分も買ってくるよ。ウチもオフクロが用意してきた分じゃ足りないだろうし」
「後で持ってくから席で待っててくれよ」
(そして変にお人好しなのよね///)
 ――――
(なかなか戻って来ないわね)


美琴「おかげでこの後、会いたくもない奴に会っちゃったのよね。アンタが遅かったおかげで」
上条「? お前、この時、誰かに会ってたのか?」
美琴「は? アンタも一緒に、この時、食蜂に会ったじゃない。忘れちゃったの? 確かⅤだから前々々回でそんな話をしたわよ」
上条「食蜂? 食蜂……食蜂……って、誰だっけ?」
美琴「マジで言ってんの? ついさっきまで一緒にいたのに?」
上条「そうなのか? いや、本当に覚えていないんだけど……」
佐天「それはつまり、上条さんは御坂さん以外の女のことを覚える気がないってことですね?」
美琴「ちょっ!/// な、何を言って……!!///」
上条「うんにゃ。御坂以外でもたまにしか会わない女子でも覚えてないこともないぞ。例えば佐天さんとか初春さんと白井とか」
美琴「あー……そりゃそうよね……いくらアンタでもそこまで馬鹿じゃないわよね……」
オリアナ「私のことも覚えていたものね。あら? ということは逆に言うと一度会った女の人は忘れないんじゃない?」
美琴「!! ほっほ~う?」
上条「いや! それは明らかに誤解だから!! 別に女子じゃなくても男でもある程度覚えているから!!」
佐天(あれ? そうだとしても、じゃあ何で『食蜂』って人は覚えられてないのかな?)


「――――罰ゲームで何でも言う事聞くってルール、忘れんじゃないわよ」
「い、いや、罰ゲームって言われても……」
 ――改めて美琴の顔を眺め、
「み、見ての通り、とある事件に巻き込まれて体中がボロッボロなのですが。この状態で大覇星祭の競技に参加したっていつもの実力なんて出せる訳はないし、こういった場合、勝負は一体、どうなってしまうのでせう?」
「……、うーんとね」
 美琴は腕を組み、上条の半泣き顔を見て、わずかに息を吐いた。今まで見るからに怒っていた彼女の眉が、ほんのわずかに下がる。それから、ゆっくりと肩の力を抜くと美琴は口元を綻ばせて、小さく笑った。それを見た上条は助かった、と胸を撫で下ろした、が、

「死ぬ気でやれば?」

「それだけ!? いや無理だって! すでに八方死んでる上条さんがこれ以上頑張ったらホントに死んじゃいます!! 大体、吹寄とか姫神とか土御門とか、俺以外にも欠員がいんのよ!? だから無効とまでいかなくてもせめてハンデを……って、あ、あ、あーっ! 無言で帰っちゃうのーっ!?」


オリアナ「これって確か坊やから持ちかけた勝負だったわよね?」
上条「ええまあ……」
佐天「上条さん。持ちかけた方が逃げようとするなんてちょっと酷いんじゃないですか?」
上条「うぅ……それはそうなんだけどさぁ……」
美琴「別にこの時だけじゃないわよ。実際、罰ゲーム当日も何かと理由付けて逃げようとしまくってたから」
オリアナ「はぁ……」
佐天「最っ低……」
上条「うわー女性陣の目がめがっさ冷たいにょろー……」
美琴「………………誰のモノマネ?」


 ………? ノイズが…
「ッ… このタイミングなら届… いっ!? ぐあッ 痛っ…」
 ? なに…


オリアナ「ふふっ。久しぶりに見たわ。坊やの熱い姿」
佐天「をを! とってもカッコイイじゃないですか上条さん!!」
上条(よーしよし。これでさっきの白眼視の件は帳消し、と)
佐天「ところで御坂さん」
美琴「ん? 何?」
佐天「この時の御坂さんって記憶あるんですか?」
美琴「全然ないのよ。だからちょっと鬱なのよね……こういう自分見るって……」
佐天「ほほう。全然記憶がないのに朧けながらでも上条さんのことは認識できた、と?」
美琴「!!///」
佐天「ふっふっふ。それはつまり想いの力、ってやつですね?」
美琴(初春さんが同じことを言ってきたときは仮定形だったのに佐天さんは断定形だし!!/// 認識が甘かった! 前回、初春さんが佐天さん化してたと思ってたけど全然到達してないじゃん!!)
上条「うんにゃ。俺の幻想殺しは異能の力を全部打ち消しちまうから『自分だけの現実』への影響力も大きいんじゃね? だからオモイノチカラなんて非科学的な力じゃないと思うぞ」
オリアナ「ふぅ。そこは嘘でも『想いの力』ってことにしておけば悦ばれるのに――」
上条「だから字面が違うって!!」
美琴「……」
上条「? どうしたんだ御坂?」
美琴「今のセリフ、アンタ自分で考えたセリフ?」
上条「ふっ。上条さんだって、こういう学園都市の考え方に基づいた理論も展開できるんだぜ。んで、それがどうした?」
美琴「……前回、同じようなことを言った奴がいたんだけど本当に覚えてないの?」
上条「誰が言ったんだよ? 軍覇は根性で片付けるだろうから言うわけないし、想いの力とか言い出したのは初春さんだったし、ひょっとしてお前が言ったのか?」
美琴(……まったく淀みない瞳ね。本当に本気で食蜂のこと覚えてないみたい)


「さっき言った通りあいつは俺の知り合いだからさ 俺の手でなんとかしたいんだ」


佐天「上条さんもなかなかのツンデレさんみたいです」
オリアナ「ふふ。『嬢ちゃんだから』って言いたかったんだろうけど、人に話す手前、照れくさくて『知り合いだから』って言葉を濁してる辺りが奥ゆかしいわね――」
美琴(いや……それはないわ。コイツのことだからホントに『知り合いだから』でしかないから。それが分かる自分がちょっと嫌だけど)
上条「何だよそれ。言っとくが、これが御坂じゃなくても佐天さんやオリアナがこういう事になっていたら同じことを言うぞ。知り合いが危ない目に遭ってたら、俺の知らん奴に任せようとは思わん」
美琴(ほらやっぱり。はぁ……)
オリアナ「はぁ……ホント、この坊やを焚きつけるのは難題……」
佐天「……上条さん。そこは嘘でも私たちの言葉に同意しておかないといい加減、誰かに刺されますよ? 特にあたしとか初春とか――って、あれ? もしかすると原作も外伝も作中だとあたしたち二人だけ?」
オリアナ「ここのスレには沢山いそうだけどね」


「俺以外にもお前を助けようとがんばってたやつ、心当たりあるだろう? そいつらと少しずつ変えていけばいいんだ。もちろん俺も協力する」
「ん…」


上条「オリアナさんの次のセリフは、『坊や、ジャージを貸すタイミングが早いわよ』、だ」
オリアナ「くっ……! なかなかやるわね坊や……!」
美琴「うわー。本当に心の底から悔しそうな顔……」
佐天「まぁ、上条さんの気持ち分かりますけど」
オリアナ「どういうこと?」
佐天「だって、この場にもう一人、男がいるんですよ。御坂さんの裸を上条さん以外の男に見せるわけないじゃないですか」
美琴「さらっと何か言ってるし!?///」
オリアナ「なるほどね。そういうことなら納得だわ」
上条「さりげなくそんな理由にされるの!?」
佐天「そ、れ、に~~~ふっふ~~~ん♪」
美琴「な、何かな佐天さん……? その極上スマイルは……」
佐天「いえね。この時借りたジャージってどこでいつどうやって返したのかが興味あって」
美琴「!!!!!!?!/// そ、それは作中で触れられなかったからコメントは差し控えさせてもらうわ!!///」
オリアナ「しかも、『文字通り』坊やの血と汗と香りが染み込んだジャージを生肌で羽織ってるし、ホント、どうしたのかお姉さんも興味が湧いちゃうわ……」
佐天「というかジャージ一枚の御坂さんを上条さんが放ったらかしにして帰ったとも思えないんですよね?」
美琴「いや……あの……その……本当に、あなたたちが想像していることはなくて、ね……///」
佐天「ふっふっふっふっふ。きっちり答えてもらいますからね~~~」
オリアナ「私たちが何を想像したのかも一緒に教えてもらえるかしらお嬢ちゃん?」
美琴(うぅ……)
上条(う゛……お前【御坂】の助けを求めるような視線には気付いているけど、何も無かったことは事実なんだし、下手に俺が入ると余計ややこしくなりかねないことくらい俺でも分かるんだからなんとか耐えてくれ……!)
美琴(酷っ!! 鬼!! 悪魔!! 薄情者!!)




(スタジオの外)

白井「まったく。不審車も不審者も現れないではありませんか。何だか随分と時間を無駄にしてしまった気がしますわ」
初春「ですよねー。これで三十分ほど待ちぼうけ。退屈で仕方ないですよー。せめて警備員が到着すればいいんですけど、あ、来たみたいです」
 ききっ
白井「ご苦労様でございます」
??「ご苦労さんじゃんよ風紀委員のお二人さん。おお! しかもちゃんと不審車を停車させてくれてありがとじゃん!」
初春「は?」
??「そこの車のことじゃん、不審車両というのは。で、中にいた奴はどこじゃん?」
白井「え?」


(スタジオの中)

佐天「いやぁ。本当に楽しい時間と言うものは早く過ぎますよねー」
美琴「ホントウデスネー。佐天サンハ、イロイロ楽シカッタデショウネー。肌ガトッテモテカテカシテマスモンネー」
上条「御坂? 御坂? しっかりしろオイ。思いっきり言語中枢がいかれてカタコトになってるぞ? 目も小さい○(しかも縁が太いもの)になってるし、口から魂が抜けかかってる」
オリアナ「賢者タイムみたいになってるってことは、このお嬢ちゃん、とうとうイっちゃったのかしら?」
上条「いや! オリアナさん、貴女様が言ってる『イっちゃった』は絶対意味が違うだろ!?」
オリアナ「どうかしら? ところで、それにしても、そこのお嬢ちゃんにはビックリだったわ」
佐天「へ? あたし?」
オリアナ「そ。私の大人の話にきちんと付いてこられて、しかも、そっちのお嬢ちゃんみたいにウブな反応も見せないし、お姉さんとしては少し残念、と言うかエクスタシーを感じられなくて寂しかったのよ」
佐天「まあそれはアレですよ。あたし、ネット大好きですし、徘徊してると意図せず否応なしにその手の情報はわんさか入ってくるんです」
オリアナ「……なるほど。こうやって日本は世界最先端を突っ走るHENTAI化が進んでいくのね――ん?」
??「そこまでじゃんよ! そこの女! 学園都市に不法侵入の罪で逮捕じゃん!!」
オリアナ「あら? バレちゃったのかしら? でもそうはいかないわ! じゃあね! 坊や! お嬢ちゃんたち!」
上条「へ!? って、オリアナさん!? ここX階なんだけど!?」
??「ちちい! 待つじゃんよ!!」


佐天「わぁお! あの警備員の人もオリアナさんの破った窓から飛び降りて行くなんて、まるで怪盗ルパンとそれを追いかける銭形警部みたいな展開だし!!」
白井「……まさか、あの女性の方がお尋ね人とは思ってもみませんでしたわ……」
初春「……佐天さんも白井さんも知ってる人で知ってる車でしたもんね……しかも自然に中に入って行きましたし……」
佐天「あ、初春と白井さん。って、今何て……?」
初春「私たちの仕事があの人の車とあの人の足止めだったんです。まあ、理由はどうあれ任務は果たしてたみたいなんでお咎めなし、なんですけど」
上条「う、うわぁ……今回もOPで伏線張ってたんかい……まあ、言われてみればあの人は魔術サイドの人だし見た目も怪しいもんな。つーか、知人が不審人物なんてまず思い至るわけないわ……」
美琴「はれ? 私今何してたんだっけ?」
上条「お。やっと目が覚めたか御坂」
美琴「んー? そう言えば、何だか記憶があやふやね。今まで金髪の女が居たような気がしたんだけど、ここにいるのは黒子と初春さんだし幻覚でも見てたのかな?」
上条「(って、おい……ひょっとして、今回のこぼれ話の記憶が御坂の中からすっ飛んでしまったのか?)」
佐天「(あはははー。どうやらそのようです。人間、無意識に、一つの事象に対してあまりに神経に支障を来たすと判断されると、脳が記憶を拒否するってことありますからね。ちょっとやり過ぎました。てへ♡)」
上条「(特に最後のやつが原因だろうな……まぁ……俺も少なからず関係してしまっているが……)」
初春「それじゃあ、任務も完了しましたし後方の憂いなく、早速、今シリーズのメイン、大覇星祭フォークダンスこぼれ話を始めましょー!!」
美琴「うぅ……黒子ぉ……この面子だとアンタだけが頼りだからね……」
白井「お、お姉様!?/// ふっ! 分かりました! この不肖白井黒子、不逞の輩から必ずやお姉様をお守りいたします!!」
上条「(会話までループしてるわ。御坂の記憶がここまでぶっ飛んでるんだな)」
佐天「(みたいですね。でも、まあこれはこれでいいことなんですよ。ふっふっふっ)」
上条「(な、何故、悪い顔で含み笑いを浮かべているので!? あ、つっても――)」
佐天「(まあ、そうですね)」
上条「あーちょっと待った」
初春「?」
佐天「いやぁ。それがさ、その話は次回になるんですわ」
初春「ええええええええええええええええええええ!? 何でですか!? ていうか何があったんですか!?」
白井「よっしゃぁぁぁあああ! でしたら早速この企画をぶっ潰して次回からはお姉様とわたくしの日常こぼれ話にほぎょおおおおおっ!!」
美琴「さ、佐天さん!? その金属バットどこから出したの!?」
佐天「え? これ金属バットじゃないですよ。これは北海道の知り合いから貰った『月に吼えるもの【ルナジジョーカー】』、記憶消去バットです。まあ形が似ていることは否定しませんが、別に白井さんの命に別状はありませんのでご安心ください。単に今の記憶を消して、次回まで眠ってもらっただけですから」
上条「……佐天さんの不思議な遭遇スキルは作品までも飛び越えるのか……?」
初春「まあ、今回が何故スキップされたのかの理由は聞きませんが仕方ありませんね。白井さんが静かになったところでまた次回お会いしましょう」
美琴「……本当に次回、黒子は目を覚ますわよね?」
佐天「…………………………モ、モチロンデストモ」










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