Q 肝細胞癌
101F35
肝細胞癌に対する動脈塞栓術が適応とならないのはどれか。
a 破裂した腫瘍
b 径8cm大の腫瘍
c 両葉に存在する腫瘍
d 肝表面に突出する腫瘍
e 門脈本幹が腫瘍塞栓で閉塞した腫瘍
○ a
○ b
○ c
○ d
× e 禁忌
正解 e
100A32
72歳の男性。数日前からの発熱,急速な腹囲の増大および腹痛を主訴に来院した。5年前から肝障害を指摘され通院中である。意識は清明。体温 38.7℃。脈拍 96/分,整。血圧 112/68mmHg。眼球結膜に軽度黄染を認める。手掌紅斑とクモ状血管腫とを認める。腹部は全体に膨隆し,全体に圧痛と反跳痛とを認める。血液所見:赤血球 388万,Hb 11.8g/dl,白血球 8600,血小板 7万,プロトロンビン時間 13秒(基準 10~14)。血清生化学所見:総蛋白 5.8g/ml,アルブミン 2.6g/dl,尿素窒素 59mg/dl,クレアチニン 4.5mg/dl,総ビリルビン 4.4mg/dl,直接ビリルビン 2.4mg/dl,AST 145単位,ALT 98単位,Na 134mEq/l,K 3.7mEq/l,Cl 97mEq/l。免疫学所見:CRP 15.8mg/dl,AFP 726ng/ml(基準 20以下)。
検査として適切でないのはどれか。
a 腹水一般検査
b 腹水細菌培養検査
c 腹部超音波検査
d 腹部造影CT
e 腹部MRI
○ a
○ b
○ c
× d
○ e
正解 d
診断 肝硬変,腎不全を合併した肝細胞癌の疑い
99A28
58歳の男性。健康診断で肝の占拠性病変を指摘され来院した。毎年軽度の肝機能異常を指摘されていたが,無症状のため放置していた。30歳時に輸血を受けた。血液所見:赤血球 375万,Hb 12.0g/dl,Ht 34%,白血球 4500,血小板 13万,プロトロンビン時間 73%(基準 80~120)。血清生化学所見:総ビリルビン 0.9mg/dl,AST 73単位,ALT 63単位。腹部超音波検査で,肝右葉に,周囲に低エコー帯を伴い内部がモザイク状の径5cmの腫瘤を認める。
最も考えられるのはどれか。
a 肝包虫症
b 肝血管腫
c 肝細胞癌
d 胆管細胞癌
e 転移性肝癌
× a
× b
○ c
× d
× e
正解 c
診断 輸血後慢性肝炎(おそらくC型)から発生した肝細胞癌
99I13,99I14,99I15
次の文を読み,13~15の問いに答えよ。
62歳の男性。今朝,突然,吐血をしたため来院した。
現病歴: 15年前に近医で肝障害を指摘されたが,放置していた。
既往歴: 特記すべきことはない。輸血歴なし。機会飲酒のみ。
現症: 意識は清明。身長 168cm,体重 67kg。体温 36.2℃。脈拍 72/分,整。血圧 128/62mmHg。眼瞼結膜に貧血はなく,眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦,軟で,肝を正中に4cm触知する。脾は触知しない。
検査所見: 血液所見:赤血球 392万,Hb 12.2g/dl,Ht 38%,白血球 3100,血小板 7万,プロトロンビン時間 62%(基準 80~120)。血清生化学所見:総蛋白 6.8g/dl,アルブミン 3.3 g/dl,総コレステロール 173 mg/dl,総ビリルビン 1.8mg/dl,AST 45単位,ALT 25単位,LDH 288単位(基準 176~353),アルカリホスファターゼ 245単位(基準 260以下),γ-GTP 45単位(基準 8~50)。免疫学所見:HBs抗原陰性,HCV抗体陽性,抗核抗体陰性,抗ミトコンドリア抗体陰性,α-フェトプロテイン 2800ng/ml(基準 20以下)。 ICG試験(15分値) 32%(基準 10以下)。静脈路を確保したうえで行った食道内視鏡写真を別に示す。

I13 直ちに行う治療として適切なのはどれか。
a 赤血球濃厚液輸血
b プロトンポンプ阻害薬投与
c トロンビン末の散布
d 内視鏡的静脈瘤結紮術
e 血行郭清術
× a
× b
× c
○ d
× e
正解 d
I14 この疾患の症候でないのはどれか。
a 黄色腫
b 手掌紅斑
c クモ状血管腫
d 女性化乳房
e 腹壁静脈怒張
× a
○ b
○ c
○ d
○ e
正解 a
I15 入院後に行った腹部ダイナミックCTを別に示す。門脈本幹には異常を認めない。
治療として適切なのはどれか。
a ラジオ波焼灼療法
b 経皮的エタノール注入療法
c 経カテーテル肝動脈塞栓術
d 放射線治療
e 肝切除術
× a
× b
○ c
× d
× e
正解 c
診断 C型肝硬変,食道静脈瘤破裂,肝細胞癌