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スプラウト

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スプラウト 2003/06/02

  スプラウトというゲームがある。

  紙とペンと相手の用意が出来ればいつでもどこでも出来る。相手がルールを知らなくとも三分で覚える。単純すぎるルールによくある複雑極まる変化が魅力なのだ。朝日文庫「遊びの博物誌」に出ているので、相当前に日本には入っている筈だが、知っている人はまずいない。

  実際に絵に書きながら説明すれば簡単なのだが、文章だけでは少々心もとない。蝶結びを文章で説明するのもかなり難しいが、それに比べたら簡単だと信じてやってみよう。

  まず、紙にいくつか黒点を打つ。赤いペンなら赤点だが響きが不吉なのでなるべく避けたい。これは二人でも出来るし、それ以上でも出来るが、ルールに変化は無いので二人ですると仮定して話を進める。黒点は打ち過ぎると勝負が長引くので最初は四つ前後でいいだろう。人数が増えたら開始時の黒点を増やす事は言うまでもない。

  基本のルールは点と点を一本の線で結ぶだけ。そして1つの点から出る線は三本まで。結ぶべき点がなくなれば負けというそれだけの遊びだ。

  ただ、最初に打った点が三つならすぐに終わるだろう、先手後手が重要なのではないかの直感は確かにその通りだが、当然それでは面白くも何ともない。このゲームの奥行きの原因として、「点が増える」のだ。増やせる点は、「点と点を繋いだ線状のどこでもいいから一箇所」で、一度自分の番が来た時に1つだけ。線を引いてその線上に打つわけだから点なら埋没してしまう。実際は点というより鼻糞みたいな黒丸なのだが、強引に点と呼ぶ。その点から既にあった点に結べばよい。線はどんなに厭らしく曲がりくねっていてもよいが、別の線と交差してはならないし、自らを跨いでもいけない。辿れば必ず点から点に迷わず行けることが条件だ。だから短い直線で結んでもいいし、すぐ隣にある点へ全てをぐるりと囲んで遠回りしてから繋げてもよい。

  さて、説明が難しい。点を三つ打ってみようか。正三角形の頂点にあたるところに点を三つ、上から時計回りに点A点B点Cとする。先攻が点Aと点Bを結ぶ。点Aと点Bはそれぞれ一本づつ線が接続したからあと二本まで。点Cはまだ三本接続できる。理論上はこのままだとA・B・Cに接続出来るのは七つで、一本は二つの点を結ぶから、あと三本しか引けないわけだが、点を増やせるので、増やせる以上こちらも理論上いつまでも終わらない事になる。ところが必ず決着はつくのであって、その理由としては「点が全て三本づつ線が接続されてしまっており、新しい点をどこかに打っても繋げられない」「三本接続していない点があり、理論上は新たに点を打ち、線を結べるが、実際は狭すぎて無理」のふたつがある。

  まずは一人でやってみるといい。セオリーがありそうで、すぐに勝つ為の方法論が導き出せそうでどうにもならないじりじりした感覚が微妙に楽しい。

  これをフリーソフトで誰か開発しないものかと思うのだが、あるいは海外で既に存在しているかもしれないが、この自由な曲線とその曲線上のどこかに打つ点、ややこしいのかもしれない。お絵かきソフトとまでいかなくとも漢字をマウスで書くパッドがあれば事足りてしまうので開発などしないのだろうか。コンピュータ相手にすると単純なルールだけに絶対勝てないプログラムが完成する恐れもあるわけだが、それでもこんなに面白いゲームを打ち捨てておくのは勿体無い。
 
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