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収め

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収め 04/08/16

  剣を抜いたならば、斬り倒すか、あるいは如何にして鞘に収めるかの選択を迫られる。

  最初からお互いを理解し合うなど無理であるとする考え方は王朝や政権がめまぐるしく入れ替わり、その度に新たな統治者そして異民族との接触の中で生み出された西洋ほかほぼ世界共通のものだ。この場合は剣を抜いても常に収め方を見据えている。争いの最中に争いの後の事を考えている。その為に剣をすぐ抜き払うような好戦的性質がありながらも、剣を抜くことはあくまでも段階の中盤であり、終盤とは争いの後の位置取りを指している。

  一方最初に理解があり序々に溝が拡がるような家族的性質を持つ共同体の場合、剣を抜くことは最終手段であり、抜かない為の最大の努力をした上でのことだから鞘に収めることを受容し難く、修復は難しくなる。また抜いた以上は躊躇するなと考えたくなるのだが、それは倒すか倒されるかの極限状況にある。剣を如何にして収めるか、収めた後をどうすべきか、それを考えた上で目途がつくなら遠慮なく抜いてもよかろうが、互いが互いを追い詰めて挙句に抜き合うと視野狭窄に陥り、後に残るのは深い後悔と喪失感だ。

  それぞれの長所を活かして、剣を抜かないよう最大限の努力をし、それでも抜かざるを得ない時には、剣の収め方と収めた後の展開を想定することが、どちらの文化にも対応出来る上に壊すものが最小限で済むのだ。

  囚人のジレンマ、カウンター原則、迂闊に剣を抜く前に、その剣を如何にして収めるか、相手が抜いた剣を何処へ振り下ろさせればよいのか、常に一歩先を進むことで展開をある程度把握して操縦することが可能になる。
 
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