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焦点
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焦点 04/10/13
例えば真暗な部屋の中、何かの電子機器に表示されている時計が視力及ばず朧けていたとする。
そこに光っているのは現在時刻でありながら遠くて霞み読み取れない状態から、如何に集中しても目を細めても焦点は決して合わない。目尻を吊れば焦点は合うが、それはあくまでも非常手段であって、ただ凝視しているところから不自然な動作を加えずに焦点を合わせて読み取る術はあるか。
一度部屋を暗くして時計表示がただの光になる場所に立つとしよう。その場で顔を歪めても睨み付けても光のまま、時計である筈の光を中心に焦点を合わせるべく必死になってみてもどうにもならない。そこでふと力を抜き、力み過ぎて滲みかけた眼を休めるべく少し視点をずらす。それは時計である筈の光から数センチ右或いは左を軽く眺める感じだ。光に合わせた焦点のまま僅かばかり横に眼を逸らせば、不思議なことに光ではなく表示された数字がはっきりと読み取れる。
見えたと思った直後にその数字に再び焦点を合わせるとまた朧けてしまうのであり、数字を鮮明なまま維持するならば数字を眺めたい誘惑を振り払って周辺だけに焦点を合わせたまま本来の目的である数字は横目気分で見る必要がある。
対象を鮮明に見る為に対象そのものを凝視するよりも、対象の周辺を凝視することで浮かび上がる中心に焦点が合わさるという現象は、ひとつの見立てが成立することを示している。すなわち「見極めたい物を凝視するのではなくて周辺を眺めて自然に浮かび上がってくる対象を冷静に見る」行為のことで、それは核心を衝かず周辺を積み重ねて対象を炙り出すノンフィクションの手法に通じる。
これは考えてみれば夜空の星を探す際に知る極意でもあり、見ようとすればするほど見失い、諦めて余所見をすればふと見える瞬間があるわけで、あらゆる物事に適用させることが出来たならば新しい物が見え、より視野が啓けることだろう。
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