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ゆばり

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ゆばり 05/01/23

  男が立小便を決意する時、目標が必要である。

  最も有名なのは電柱であるが、実際に電柱に向かってするのは犬なのであり人間は違う。何故ならば、急いていて何処か便所のある施設に飛び込むことの出来る昼間ならば電柱に向かう必要はなく、たとえ即座に便所の見つからない夜であっても電柱は避ける。何故ならば、電柱には電灯が付帯しており、最も無防備な姿を夜道で照らされることは本能的に受け入れ難いからだ。

  従って人目につかない窪んだ場所が選択されるわけで、しかも出来るだけ暗い所に寄るのだが、真っ暗では心細くなるあたりが男の繊細さを告げている。

  立小便するには便所がないという条件が必要で、だから都会や市街地では深夜でもない限り滅多に目撃されない。しかし「便所がなくて当たり前」という過酷な旅では「立小便して当たり前」となる。

  その際に何故か目標が必要なのであって、それは樹木やら岩やらが主となる。無防備な姿になる一瞬だから全方位見通しがよいのは不思議と不安になるもので、しかし正面に遮蔽物があれば精神的な圧迫は軽減される。考えてみれば後方が完全に隙だらけなので安全とは程遠い上、仮に正面から攻撃された場合は放水で迎撃可能だから、無防備を恐れるならば遮蔽物を背にしてするのが理屈では正しいことになる。

  最も単純な理由としては「恥ずかしい」が有力だ。では恥ずかしいのは筒か液体か。どちらも違って「筒から液体が出ている」のが恥ずかしい。人の姿が途絶える瞬間を狙ったのに必ず途中で誰かが通りかかるのは不思議な話で、しかし一旦放水が始まると達観してしまうから胸を張り顎を上げて平然を装っているが、雫を振り切る段は通り過ぎるまで待つあたり、やはり繊細なのである。
 
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