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詐欺

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詐欺 03/12/03

  詐欺なる言葉は響きが清冽でないせいかあまりよい印象を与えない。だからと言って安直な言い換えである「コン・ゲーム」「コン・マン」などの言葉は使いたくない。ではどう呼ぶのかとは詐欺及び詐欺師を擁護することになるので何か別の言葉を考えておくが、しかしどこまでが商行為でどこからが詐欺行為なのか、その線上で踊ることは誉められたことではないにしろ、とても魅力的であるからして、そこには様々な人が集う。金を巻き上げた相手が騙された事には気付かずに幸せでいるならばそれでよいのだ。

  健康食品は正面切って「詐欺だ」とは言い難いことから色々不気味な物が出回っている。欲望と欲望がぶつかり合う時、金を握った方が勝ちになるから、つまり騙された者の自爆とも言える。実際のところ確かに健康になるであろう物質が含まれてはいても、そもそも人間の体は約半年で全ての細胞が入れ替わることになっているから、少なくとも半年の間は同じ事を繰り返さなければ体質の改善は望めない。そして健康食品の契約書は言う。指定期間は酒禁止煙草禁止夜更かし禁止早寝早起き食事は三食バランス良く適度な運動を毎日欠かさないようにと言う。左様な仙人の如き生活をしておれば勝手に健康になるから健康食品に頼る必要などないのであって、つまり健康食品に頼るのは不健康な生活の真っ只中です縋りつく為であるが故に、到底不可能な縛りを入れておくことで苦情を受け流すことが出来る仕組みなっている。もとより効果などあり得ない話なのだ。この契約書の生活方針を外れた場合、効果の程は保証しませんとなっているのは当然の措置である。詐欺屋が一度握った金を離す筈などないのだ。

  「幸運を呼ぶ石」などが怪しい雑誌の裏表紙に満載であるが、あれのからくりはこうだ。効果があると謳っている以上いささかなりとも期待して買う馬鹿がきっといる。当然の話だが「幸運を呼ぶ石」なるものが存在するならば金剛石よりも高く取引される筈だが、微妙に手頃な値段である事が多い。使用前写真「道路工事の人足をして燻っていた頃」使用後写真「札束風呂に入っている所」誰が信用するのか不思議であるが、誇大広告として訴えられずに存続している裏には、苦情対応マニュアルが存在する。返品可能と明記してあってもそれは当然の権利を恰もサービスの如く表示してあるに過ぎない。

  苦情電話の対応作法がある。まず苦情の受付電話番号はフックを外して通話中にしておくのが鉄則だ。どうしてもその電話を使う必要がある場合、一旦受話器を戻すわけだが、その瞬間に掛け続けていた間抜けと回線が開かれてしまうこともある。仕方がないから応対することになる。「幸運の石、ちっとも効果がないです」まずは相手の情報を聞き出してあちこちで引っ掛かり続けている鴨かどうかを見極める。相手が録音しているであろうことを前提の応対になるわけだが、我が方も録音している上に経験を積んでいるから言質を取らせない応対となる。「ただの石ころ」を購入してからのどの位経つか。クーリングオフが効かないならば問題ないが、ぎりぎり期限の場合はなんとしてでも引き伸ばす。それが無理なら買ってからの日々の生活を事細かに聞き出し、「それは幸運ですね。石の効果ですよ」これを繰り返すことになる。粘腰の苦情で「なにひとついい事がなかった」と言い張る相手には、「石がなければもっと不幸になっていましたよ。石のおかげで助かったのです」

  さて、理路整然と証拠立てて「金を返せ」と詰め寄られた場合の詐欺師諸君の言訳に於ける最後の切札はこうだ。

  「私は夢を売っているのです」
 
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