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自動階段

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自動階段 03/07/31

  関東のエスカレータ左止まり右空けの徹底具合には感心する。

  そして関西では反対に右止まり左空け、は残念ながらただの噂であって、真実はこうだ。

   「全員進む」

  そう、誰一人止まらず全員エスカレータを進む。荷物が重いとか子供であるとかお年寄であるとか連れ合いがいて話をしながら等で堰止める場合もあるが、二車線が一車線になるだけで、やや渋滞しながらも止まらない。短いエスカレータでも、進んだところで短縮できる時間がわずか数秒であろうとも、進み続けるのは関西人の特質ではなく、関西文化の特質であろう。関西にやってくる人は何故か不思議に恐怖感があるらしく、必死で関西に溶け込もう少なくとも迷惑にならないようにしようとの努力により、エスカレータでは前後の人に挟まれて進んでゆくのは、まるで「エスカレータの上にもうひとつエスカレータが重なっている」が如き状態となり、「関西人であること」を過剰に意識する結果、関西文化の加速が進む。

  実際のところ全員進んでいるエスカレータで歩みを止めると、止まっている人は少数派であるから次々追い越されているうちに最初は「これくらいの距離わざわざ進まなくても」なのに、降口近くになると「何かとても間違ったことをしているのではないか」との思いに囚われることは避けられなのであって、実際に進む流れに乗った場合は「これくらいの距離でわざわざ止まるなよ」とこれは止まったほうがおかしい人扱いしていることに気付く。

  また「左空け」は全員進むわけだからただの都市伝説であって、まあ、デパートやスーパーなどでは止まっている人の割合が多いが、しかし駅では止まっていては実に迷惑である。たまたまお行儀の悪い人がエスカレータで立ち止まってしまうと右に左に避けながらも、とにかく一気に進んでしまう。エスカレータに乗るのがとても嫌いなので一刻も早く降りてしまいたいかのようでもある。左空けが割と守られている阪急であっても、よく見ると左は高速車線、右は低速車線となっており、止まっていない。左はどんどん進む人の道で、右が低速で進む理由は、最初止まっていてもエスカレータの降口付近ではどうしても本能的に歩き出してしまうのであって、そうなると以下順々に隙間を埋める為、停止道が低速で進むことになる。

  日常的に混雑しているエスカレータでは「左空けて」との注意書きがあり守られているようもに見えるが、混雑している際に「全員進む」か「全員止まる」しか選択肢がないことは、もしかして関西の恥なのではないだろうか。

  不思議なことにがらがらに空いているエスカレータでは何故か急いで進んでしまう人は少ない。単に気を緩めているのかどうか、前後に人がいなければ止まっている場合が結構多い。当然「エスカレータに乗っているのが自分一人だけ」の状態が落ち着かずに慌てて進みきってしまう人もいる。

  そして混雑でもなくがらがらでもなく、適度に利用者がいる場合、最初に立ち止まった人の後ろが「以下こっちが停止線」となるのであって、左に止まる人あれば以降左が停止線、右に止まる人あれば以降右が停止線、とつまり「どっちでもとにかく空けといたらええんやろ」これが「関西は左空け」という幻想の現実だ。

  住之江公園駅の長すぎるエスカレータでは全部歩いて登ると心臓が破裂するので普通は皆止まっているが、恐らくここだけが関西の例外エスカレータであるかと思う。ありえない長さで存在そのものが例外であるから仕方がないが、もし大阪に行く機会があれば、地下鉄住之江公園駅でこのエスカレータに乗ってみるとよい。そしてそのことを話した関西人に浮かぶ表情は、長いエスカレータとしての自慢と「大阪でもお行儀よくエスカレータに乗るねんあそこだけやけどな」という屈折した誇りである。
 
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