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無理

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無理 05/03/24

  酒とは無理をして飲むものではない。

  が、酔うにつれて「無理の上限が段々高くなってゆく」ところに問題がある。その上限には決して到達できないように高くなってゆく階段は、判断力が低下している割に絶妙の距離感を保ちつつ「もう少しいける」を際限なく繰り返してゆき、突然力尽きる。やがて目覚めての感想は「自分の適量がよく判った」ではなくて「結構飲んだ」である。

  また酔いとは精神力が多大なる影響を及ぼすもので、「まだまだ」と信じている間は酔っていないように見えるが、「酔った」と自覚した瞬間急速に判断力や身体能力が低下する。精神力が肉体の状態に影響されることは確かだが、今この場で酔ってはならない、酔うわけがないと自己暗示を繰り返すことでいつもより多く飲むことができる。

  無理とは「これ以上飲んだら吐く」「これ以上飲んだら歩けない」「これ以上飲んだら寝る」ではなくて、「眠いし立てないし吐きそうだけど、このボトルは開けてしまおう」という状態を指す。これ以上は無理であると冷静な判断が下せればよいのだが、酔っている間は冷静な判断力が消失しているから「もう少し飲める」「まだいける」「あとちょっと入る」と無理の上限が引き上げられてゆくのである。

  そしてそのような無理を重ねればお酒が強い体質に改善されてゆく。すると自然に無理の上限が底上げされるのであって、「俺はこんなに沢山飲めたっけ」と嬉しくなり、嬉しくなると冷静さが消失し、やがて腰を抜かして宿酔を迎える。

  宿酔に包まれるとさすがに反省する。「眠る直前に水分補給するのを忘れていた」と響く頭で考えるのだが、「飲みすぎてしまった」と考えないあたりが前向きな性格であることを示している。「酒なんて見るのも嫌だ」とは叫ばずに黙って迎酒をして宿酔を追放するのが王者たる風格であり、ここには積極的な性格が認められるのである。

 
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