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ストロー
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匿名ユーザー
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ストロー 04/09/25
ストローの包み紙を破く時、端を少し切って引き摺り出すとか、包み紙を蛇腹ふうに約めるとかせずに、中央を両手の指先で掴んで捻り切り、何かのアンプルを出すように右手にストローを保持したまま左手の包み紙半分を抜き、紙を置いて左手でストローを抜き出し、続いて右手に残った紙を置いたあと左手にあるストローを右手で掴んで飲物に挿す。
この手順が確立された理由とは、つまり首が蛇腹式で折れ曲がるストローを上下反対に使った経験が数限りなくあったからだ。別のことに気を取られたままストローを漫然と飲物に挿すだけである場合、安物のストローならば天地関係なくてよいが、多少気取ったストローの蛇腹を底に落とし込むと吸引に際してくききききと力なく折れ曲がる。即座に天地反転させればよいだけなのに、意地になってそのまま「俺はこれでいい」と突っ張るのは我ながら損な性格であると思う。
蛇腹がもう少ししっかりしていた場合は、飲み進むにつれて水位が下がりストローがほぼその役目を果たし終えたところで天地逆様であることが発覚する。一切の問題なく事態は進行したにも関わらず、最後にその現実を直視させられる屈辱は通常「恥」と形容される。
蛇腹の上下を確かめるくらい何でもないことのように思えるし、上下の間違いもまた何でもないと思える。しかし実際に間違えていた場合の心理的衝撃は、パンツの裏表を間違えて穿いていたあたりに相当する。こんな馬鹿なことをする自分が信じられないわけだ。信じたくなくてもそこに突き付けられた証拠は注意力の散漫を明確に表現しているから心が沈む。
かくして現在は、ストローの包み紙を破くにあたっての少々煩雑な手順が試行錯誤の末確立されている。中央で捻じ切らずとも端を切って左手で引き出し、右手に持ち替えるだけで充分なのだが、小さい方の切れ端が目障りであり、これは摘んで丸めて灰皿にでも放り込めばよいだけなのに、中央で切り離すことで様式美を追求したつもりになっている。ほぼ同じ長さの包み紙は重ねて折られて箸置の如く結ばれ、汗をかいた杯の腹に貼り付けられる。そして得られるのは「人の話を真面目に聞かない」という的外れの評価である。
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LAST UPDATED 2025-11-08 20:38:17 (Sat)
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