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苦悶

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苦悶 04/11/30

  超ひも理論について調べながら足を組み替えた時に金玉をごりっと挟んで苦悶した。

  そうか。これで説明出来る。男にしか判らないとされているあの痛みが説明出来る。男たるもの普通に生きておれば何度かは打撃を受けるもので、手前も当然酷い事例がある。小学校六年時分に放課後近所の友人と遊んでいる最中、その年頃の子供の思考回路など想像出来ないが、想像出来ない割に大して成長した覚えもないが、とにかく当然のように意味不明な行動をするわけだ。

  きっかけなど忘れたが「ガードレールの上を歩く」という容易く惨状が予想出来る遊びが始まり、当然それは序々に規則が整えられてゆくわけで、最終的には「十秒でどこまで走れるか」という恐ろしい取り決めが為された。ガードレールの上とはつまり鉄板の端であり、綱渡りの綱よりも遥かに薄く細くなっているから立ち止まると左右どちらかに傾くのであって、途中にある支柱は無視されるからともかく一気に駆け抜けねばならなかった。

  跨いだところで辛うじて爪先立ちになる程度の子供がするべき遊びではないのだが、何故か盛り上がっていたから誰も危険とは考えない。通常ガードレールの上は走るように設計されていないから予想通りの悲劇が待機している。足を踏み外した瞬間咄嗟に左右どちらかへ大きく飛べば回避可能と考えるのは余裕がある場合に限られ、両足を同時にそれぞれ左右へ踏み外すとその場で垂直に落下する。

  辛うじて爪先立ちが出来る子供の股に鈍い刃が迫るのだが、その刃が垂直であったならば恐らく股関節が粉砕されただろう。しかしながらガードレールの天辺は垂直よりやや角度が浅くなっており、すなわち上を向いている面と体重を乗せた股間の間に金玉が緩衝材として挟まれたから、どの骨にも異常はないまま鈍痛で呼吸が出来ずに痙攣していたのだ。

  この鈍痛を淑女諸姉に説明する適切な言葉を発見した。ブラックホールだ。金玉に打撃を蒙ると下っ腹にブラックホールが発生し、気力ほか種々の感情や雑念・思い出・当面の課題などなどあらゆる思考と生命エネルギーが無制限に吸い込まれてゆき、例えその瞬間世界が終末の秋を迎えようとも微笑みをもって受け入れるほど苦しい。呼吸不能だから喋ることが出来ずに「大丈夫?」と訊かれると「うんうんうんうんうんうん」痛いという表現を超えていて、ひたすら「何でもいいから楽になりたい」とだけ考えている。

  そんな恥ずかしいことで病院に行くことなど考えもせず、しかし結局潰れもせず出血もなくて排出作業も屹立衝天も正常に機能するのだが、やはり影響として弾丸諸君の製造量が少ないのであり、常時安全である以上に馬鹿の血筋を自らの代で断つ事が出来るのは歪んだ喜びでもある。
 
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