☆
そう遠くない場所で爆音が響き、閃光が奔った。
起き上がろうとする。
腕が震え、パキリという音と共に、ぐしゃりと身体が前のめりに倒れる。
腕が取れた。けれど出血も痛みもなく、まるで壊れた人形のように転がる腕をぼんやりと眺める。
消えてしまう。なにを果たすこともなく。掴めるものもなく。
私が、消えていってしまう。
キッカケは、流竜馬に蹴り飛ばされたことだ。
本来ならば即死しているはずの威力だったが、なぜか生き延びていた。
怪我は負ったが、むしろこれはチャンスだと見た。
琵琶坂永至は、いま流竜馬への対処に必死だ。
あの戦場にまで辿り着ければ、いくらでも不意を打つ機会は訪れるはず。
そう思って立ち上がろうとした矢先に、足が折れた。
痛みもなく出血もないという現象が更に私を混乱させ、その間に亀裂が身体に走り始めた。
そしてその末路がコレだ。
私から割れ落ちた部位が結晶となりチラチラと大気に溶けていく。
どうしてこうなった。
なぜ、私が消えなければならない。
私はただ、あの人を救いたかっただけなのに。
どうして。どうして―――!!
涙で滲む視界を過るのは、最初に殺したエレノア・ヒュームの顔。
...ああ、そうだ。
これは私が彼女にやったことだ。
誰かの為に戦おうとしていた彼女の命を奪ってしまった。
私には譲れない願いがある。
けれど、それは向こうからしたらあまりにも理不尽だっただろう。
互いに納得した形でも、あらかじめ宣戦したわけでもなく。
一方的に不意を突く形での殺害だったのだから。
だからこれはその報いなのだろう。
復讐も。本懐も。なにも果たせず、誰に知られることもなく消えてしまう―――彼女の命をそういう風に奪った者にはお似合いの末路だ。
ごめんなさい、エレノア様。なにも話さず殺してしまって。
ごめんなさい、カタリナ様。貴女がくれたたくさんの幸せに、何も報いることができなくて。
ごめんなさい。ごめんなさい....
亀裂が全身に奔っていき、砕け散るその瞬間、確かに私の視界は映していた。
私から零れ落ちた腕。カタリナ様の亡骸を抱きしめていた腕がぼんやりと光り、私の身体を包み込む。
―――そんなこと、ありえないのに。
その温もりが、どうしてもあの人に思えてしまって。
『メアリ』
囁かれる声を、どうしようもなく愛おしく思ってしまって。
意識が消え去るその時まで、私はただ、あの人の名前を呼び続けた。
意識が消え去るその時まで、私はただ、あの人の名前を呼び続けた。
『ごめんね、メアリ』
謝らないでくださいカタリナ様。
だって、貴女が幸せだったと言ってくれたように。
私も貴女と出会えて幸せだったのですから。
☆
メアリ・ハントが命を落としたのは仮面の力の反動である。
元々、帝の作りし仮面は絶大な力を引き出すのと引き換えに寿命を著しく減らすリスクを背負っている。
メアリ・ハントが命を落としたのは仮面の力の反動である。
元々、帝の作りし仮面は絶大な力を引き出すのと引き換えに寿命を著しく減らすリスクを背負っている。
そんな仮面の一部ですら、オシュトル・ヴライ、ディコトマといった歴戦の猛者たちの命を容赦なく奪い、適合者たるヒトであるハクですら、力を使いすぎて肉体が消滅するという末路を避けることはできなかった。
仮面の者の末路は肉体の結晶化。
当然、それはメアリ・ハントとて例外ではない。
当然、それはメアリ・ハントとて例外ではない。
魔王との戦い、そして琵琶坂との戦いでの後先考えぬ大技の連発。
当然、鍛えた戦士でもない彼女がそんなことをすれば、必要以上に力を消費しなければならない。
もともと、限界は既に近づいていた。ただ彼女がそれに気づいていなかっただけだ。
そこに加えて竜馬の蹴りに耐えたことで決定打になってしまった。
当然、鍛えた戦士でもない彼女がそんなことをすれば、必要以上に力を消費しなければならない。
もともと、限界は既に近づいていた。ただ彼女がそれに気づいていなかっただけだ。
そこに加えて竜馬の蹴りに耐えたことで決定打になってしまった。
故に消える。
仮面の者の末路を順当に辿る。
間宮あかり達を筆頭に誰にも頼ろうとしなかった為に、誰にも想いを継がせることもできず、誰にも知られることなく消える。
理不尽に人を殺した彼女が、理不尽な形で殺される。
ただそれだけの話だ。
仮面の者の末路を順当に辿る。
間宮あかり達を筆頭に誰にも頼ろうとしなかった為に、誰にも想いを継がせることもできず、誰にも知られることなく消える。
理不尽に人を殺した彼女が、理不尽な形で殺される。
ただそれだけの話だ。
けれど。
誰にも知られずとも。
顧みられることがなくとも。
顧みられることがなくとも。
彼女の最期の顔を見た者がいれば、確かにこう答えるだろう。
きっと彼女は幸せだったと。
☆
光が私を包んでいく。
身体が、細胞の欠片まで溶けていくのがわかる。
なるほど、お偉い学者様の言っていたことは正しかったわけだ。
原子崩しは自分も滅ぼす諸刃の剣。だからこうなるのも当然の末路だ。
...まあ、後悔はねえさ。
あいつみたいになにかを知りすぎてビクビクおどおど生きるよりは、何にも知らずに燃え尽きる方が私らしい。
私はレベル6に勝った。それだけで、その事実だけあればいいさ。
さて消えようかと心地よい浮遊感に身を任せ―――意識に、巨大な影が割り込んでくる。
私の視界を埋め尽くす広大な宇宙。
その中を漂う無数の戦艦。
それすらも軽く凌駕する巨大すぎる機械の化け物。
なんだこれは。なんだこいつは!?
あまりにも大きすぎるソレに私は恐怖以上に胸を躍らせていた。
「は、はは...すげえ、あまりにもすごすぎる...!」
コイツの前ではレベル6、神の領域ですら児戯に見える。
魔王がこれを見たというのなら心が折れても仕方ないというものだ。
知りたい。
コイツがどこから来て、なにをしようとしているのか。
私も、コイツのように進化できるのか!
ソイツは緑色の光を放ち私を誘う。
届くのか。行っていいのか。
まるで街灯に群がる蛾のようだとわかっていても止められない。
お前ノもトへ。
ワたシモスベてをリカイしてイいノダな?
アトスコシ。アトスコシデトドク。
『麦野』
手を引カレた。
懐かしい声ハ私ノ意識を急速に引き戻ス。
(...なんで、あんたが出てくるのかね)
溜息と共に思考が一気に冷えていく。
最初にとっとと死んじまったアイツ。
色ボケしたレベル0と一緒に私から離れていったあいつ。
そんなあんたが、なんで私を引き留めるのかがわからない。
『麦野は、仲間想いで優しいから』
その言葉にますます呆れてしまう。
なんだってんだ。
そういうのはお前のお気に入りの浜面にでも言ってやればいいだろうが。
あんたが殺されるとき、なにもしなかった奴に言う言葉じゃねえだろうがよ。
(...でも、まあ)
伸ばしかけた腕をひっこめれば、背中越しにあいつがほほ笑んだのをなんとなく感じ取った。
レベル争いだの神の領域だの、誰もが羨み求める称号争いなんざもうこりごりだ。
私は、『アイテム』でいい。
気に入らないことがあれば問答無用でブチコロス。
自分の領域を穢す奴を許さない。
裏切りは、絶対に許さない。
自分の領域を穢す奴を許さない。
裏切りは、絶対に許さない。
私の称号は、『アイテムリーダー、麦野沈利』、ただ一つで充分だ。
(...そうか、そういうことだったのか)
ぼんやりとしたジャージ姿のあいつ。
気を抜けばすぐに調子づいてはしゃぎまわるあいつ。
比較的まともだけど、趣味の拘りだけは理解できないあいつ。
レベル0のスケベなパシリだけど、根性だけは認めていたあいつ。
気を抜けばすぐに調子づいてはしゃぎまわるあいつ。
比較的まともだけど、趣味の拘りだけは理解できないあいつ。
レベル0のスケベなパシリだけど、根性だけは認めていたあいつ。
今更になって過るのは、あいつらとの交流や仕事の日々。
未練があったのだ。
だから殺し合いの中で組んだだけのチームに、当てつけのように『アイテム』なんて名前まで付けて。
だから殺し合いの中で組んだだけのチームに、当てつけのように『アイテム』なんて名前まで付けて。
結局、あの日々に一番囚われてたのは私だったってだけの話だ。
壊して、壊されて、また壊して。
ズタボロになって答えがすぐそこにあったと思い知らされて。
ズタボロになって答えがすぐそこにあったと思い知らされて。
(ほんと、くだらない回り道だった)
いまの私は、どんな顔をしてるんだろうな。
誰にも見られたくないが。
☆
防壁が消えると共に、ガクリと膝を着く。
ハァハァと息を切らすのはムネチカ。
ハァハァと息を切らすのはムネチカ。
「無事、か。垣根殿...」
「...あァ」
「...あァ」
その隣には垣根が目を開けたまま仰向けに転がっていた。
「原子崩しはどうなった」
「...影も形もありませぬ」
「...影も形もありませぬ」
煙が晴れた先。
そこには麦野も竜馬もおらず。
直径50メートル程のクレーターだけが残っていた。
真に凝縮された本物の力は余計な破壊をしないというが、もしそこに生物がいれば塵一つ残らない。
目先の現状は、確かにソレを示していた。
そこには麦野も竜馬もおらず。
直径50メートル程のクレーターだけが残っていた。
真に凝縮された本物の力は余計な破壊をしないというが、もしそこに生物がいれば塵一つ残らない。
目先の現状は、確かにソレを示していた。
「...麦野殿。見事であった」
ムネチカは目を瞑り静かに黙とうを捧げる。
彼女とはほどなくして再び戦うはずの関係だった。
互いに気が合う訳でもなく、仲間とは決して言えない薄氷の同盟だった。
けれど、その決して折れない心は尊敬に値するとしか言えなかった。
彼女とはほどなくして再び戦うはずの関係だった。
互いに気が合う訳でもなく、仲間とは決して言えない薄氷の同盟だった。
けれど、その決して折れない心は尊敬に値するとしか言えなかった。
「......」
垣根はその痕を複雑な心境で眺めていた。
格下だと思っていた。実際、戦えば勝率100%なのは一度戦った経験から解っている。
だが、命を捨てた馬鹿がこれほどの成果を残せるとは思ってもいなかった。
『死んでも結果を出す』
麦野沈利は、その宣言通りに、己の命と引き換えに神の領域を吹き飛ばし、この場にいる全員を救うという結果を出してみせた。
原子崩しは、攻撃力という面だけで見れば何物をも凌駕すると証明してみせたのだ。
格下だと思っていた。実際、戦えば勝率100%なのは一度戦った経験から解っている。
だが、命を捨てた馬鹿がこれほどの成果を残せるとは思ってもいなかった。
『死んでも結果を出す』
麦野沈利は、その宣言通りに、己の命と引き換えに神の領域を吹き飛ばし、この場にいる全員を救うという結果を出してみせた。
原子崩しは、攻撃力という面だけで見れば何物をも凌駕すると証明してみせたのだ。
「...肩貸せ、ムネチカ」
「承知した」
「承知した」
ムネチカの肩を借り、垣根は戦場へと背を向ける。
垣根にはまだ為すべきことがある。
鬼舞辻無惨を殺すこと。
そしてなにより、この実験を踏み台にして己の価値を示し、アレイスターの鼻を明かすこと。
例え、格下への劣等感が生じようとも、それを成すまでは止まれない。
命を捨てる時にはまだ早い。
垣根にはまだ為すべきことがある。
鬼舞辻無惨を殺すこと。
そしてなにより、この実験を踏み台にして己の価値を示し、アレイスターの鼻を明かすこと。
例え、格下への劣等感が生じようとも、それを成すまでは止まれない。
命を捨てる時にはまだ早い。
―――頭上に影が覆いかぶさる。
「ッ、離れろムネチカ!!」
咄嗟にムネチカを突き飛ばせば、離れた両者の間にズドン、と影が降り注ぐ。
その正体は―――魔王・ベルセリア。
その正体は―――魔王・ベルセリア。
『誰、が、逃げるのを、許した』
魔王の身体には見るも絶えない火傷の痕が刻まれていた。
彼女は原子崩しと『ゲッター』の衝突の際、予め麦野の溜めていた力に気づいていたことで、寸でのところで逃げおおせた。
麦野の狙いが彼女でなかったことも手伝い、結果、致命傷は免れることができたのだ。
彼女は原子崩しと『ゲッター』の衝突の際、予め麦野の溜めていた力に気づいていたことで、寸でのところで逃げおおせた。
麦野の狙いが彼女でなかったことも手伝い、結果、致命傷は免れることができたのだ。
(...ああ、詰みだな、こりゃ)
突きつけられる現実に、垣根の脳は冷静に情報を処理する。
もう未元物質を発動するどころかロクに動く余力も残っていない。
ムネチカとて同じ。頑丈さの差でまだ辛うじて立てるが、もう戦うことは不可能。
比べて、魔王は確かに満身創痍だが、それでも死にかけ二人を食い散らすくらいは容易だ。
もう未元物質を発動するどころかロクに動く余力も残っていない。
ムネチカとて同じ。頑丈さの差でまだ辛うじて立てるが、もう戦うことは不可能。
比べて、魔王は確かに満身創痍だが、それでも死にかけ二人を食い散らすくらいは容易だ。
ならば助っ人は?
鞭の男はもちろん、咲夜と夾竹桃にしても一時的な同盟にしかすぎない。こんな局面にまで命を張ろうとは思わないだろう。
どう足掻いても逆転の芽はない。
鞭の男はもちろん、咲夜と夾竹桃にしても一時的な同盟にしかすぎない。こんな局面にまで命を張ろうとは思わないだろう。
どう足掻いても逆転の芽はない。
ならただ諦めるか?
―――答えはNOだ。
もとより諦め腐るつもりもないが、直前に麦野の姿を見せつけられたなら猶更だ。
「ハッ、情けねえな。怖ええ奴がいなくなってから食い放題だー、ってか?」
嘲り笑い飛ばす。
「麦野の奴はてめえをレベル6級だと評価してたが、オツムの方は違うらしい」
例え数秒後に死ぬとしても意地だけは張り続ける。
第四位の麦野に出来て、第二位の自分にできないはずもない。
第四位の麦野に出来て、第二位の自分にできないはずもない。
「自分の仕事もこなせねえ、失敗は反省もせずにすぐ隠す。自分よりツええやつにはビビり散らかしてよええ奴には威張り散らすってか。とんだ不良債権だな」
肌で感じる殺意が増していくがそれでも口は止まらない。
「てめえからは何にも感じねえ。怖さも何にも感じられねえ。身に余る力を振り回してるだけのただのガキだ」
死神の鎌が振り下ろされる。
垣根提督にできることはただ一つだけ。
迫る死に怯まず見据え続けることだけだ。
垣根提督にできることはただ一つだけ。
迫る死に怯まず見据え続けることだけだ。
チカチカと視界に火花が散り、空気が音を鳴らす。
これが死の間際の光景か―――否。
火花は瞬く間に魔王を取り囲み、その周囲を旋回する。
「...間に合ったようね」
声にムネチカと垣根が目を見開く。
夾竹桃。
唯一『ゲッター』の脅威に晒されなかった彼女が、ようやく馳せ参じた。
唯一『ゲッター』の脅威に晒されなかった彼女が、ようやく馳せ参じた。
彼女が放ったのは反射合金を操り敵の肉体を抉る兵器、『オジギソウ』。
特定の周波に反応して特定の反応を示す特性のため、味方を巻き込みかねない乱戦時、そして周波数を狂わす未元物質が全力で展開されている間は使うことができなかった。
特定の周波に反応して特定の反応を示す特性のため、味方を巻き込みかねない乱戦時、そして周波数を狂わす未元物質が全力で展開されている間は使うことができなかった。
物理的に肉体を抉るこの機械は、如何に魔王とて損壊を防ぐことが出来ない。
『生憎だが、ソレの存在は既にベルベット・クラウを通じて知っている』
但しそれは彼女が初見であれば、だ。
ベルベットと夾竹桃は邂逅の折に既に一戦を交え、手持ちの道具についても情報を共有している。
そして、既に未元物質という異能を学び、原理を取り込んでいるため、オジギソウへの対処である『周波数を狂わせる』という対策で防御は可能である。
ベルベットと夾竹桃は邂逅の折に既に一戦を交え、手持ちの道具についても情報を共有している。
そして、既に未元物質という異能を学び、原理を取り込んでいるため、オジギソウへの対処である『周波数を狂わせる』という対策で防御は可能である。
『また余計な真似をされては堪らん。まずは貴様から殺す』
『ゲッター』がいないいま、魔王にとっての脅威は罪歌による呪いと、捕食最中のオジギソウによる攻撃。
死にかけのムネチカと垣根はいつでも殺せるため、まずは横やりを入れられる前に夾竹桃を殺す。
死にかけのムネチカと垣根はいつでも殺せるため、まずは横やりを入れられる前に夾竹桃を殺す。
「ッ...!」
満身創痍の身体のどこにそんな余力があるというのか。
10メートルはあったはずの距離が瞬き一つで詰められ、業魔腕が振り下ろされる。
10メートルはあったはずの距離が瞬き一つで詰められ、業魔腕が振り下ろされる。
寸でのところで躱すも、夾竹桃はその余波で体勢が崩れる。
それでもどうにか攻撃を入れようと握りしめたモノを振り下ろすが、メキリという嫌な音と共に激痛が走り、握っていたモノも彼方へ飛んでいき、カランカランと甲高い音を立てて地面に落ちる。
それでもどうにか攻撃を入れようと握りしめたモノを振り下ろすが、メキリという嫌な音と共に激痛が走り、握っていたモノも彼方へ飛んでいき、カランカランと甲高い音を立てて地面に落ちる。
『そんなモノが何度も通用すると思うな』
魔王の蹴り上げが、凶器を持った夾竹桃の腕を破壊したのだ。
「ぁっ」
折られた腕に走る激痛に悶える間もなく、魔王の業爪が彼女の両腕、肘から先を抉り、その際にオジギソウを操るナノデバイスも破壊する。
『これであのふざけた剣を握ることもできまい』
「ぅ、ぁ」
「ぅ、ぁ」
夾竹桃の顔がくしゃりと歪み、涙がこぼれ始める。
両腕を失った激痛によるものだけではない。
両腕を失った激痛によるものだけではない。
『貴様は確か毒を好んでいたな。ならばこういう死に方も乙なものだろう』
「く、ひぃ」
「く、ひぃ」
両腕の切断面からじわじわと立ち昇ってくる、内側から喰われていくような恐怖。
魔王が放つ穢れ。
人体をも腐食させるソレは、毒に精通している夾竹桃とて未知の物質であり分解することは叶わない。
魔王が放つ穢れ。
人体をも腐食させるソレは、毒に精通している夾竹桃とて未知の物質であり分解することは叶わない。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
『貴様はタダでは殺さん。今わの際まで女神へ苦悶の叫びを捧げるがいい』
「———おのれ貴様ァ!!!」
『貴様はタダでは殺さん。今わの際まで女神へ苦悶の叫びを捧げるがいい』
「———おのれ貴様ァ!!!」
一部始終を見ていたムネチカが激昂と共に駆ける。
ムネチカにとって夾竹桃は未だに敵である。
だが、それ以上に。そんなことよりも。
必要以上に相手を甚振る魔王の蛮行が目に余った。
ムネチカにとって夾竹桃は未だに敵である。
だが、それ以上に。そんなことよりも。
必要以上に相手を甚振る魔王の蛮行が目に余った。
跳躍と共に拳を振り上げる。
今出せる全力の拳が当たったとて、倒せるかどうかなんてわからない。
だが、この女には一撃入れておかなければ気が済まない。
今出せる全力の拳が当たったとて、倒せるかどうかなんてわからない。
だが、この女には一撃入れておかなければ気が済まない。
そんな想いを込めて放たれた一撃は、魔王の業魔腕に止められた。
「くっ!」
『夾竹桃。貴様の両腕、中々に美味だったぞ』
『夾竹桃。貴様の両腕、中々に美味だったぞ』
ベルベット・クラウの時は身体が生身であったため、夾竹桃の身体に仕込まれている毒を警戒して喰らうことはしなかった。
だが、魔王という数多の情報の集合体であれば、それらの毒を分解・理解し己のエネルギーと化すことは容易い。
夾竹桃の細腕は、見た目に反してこれ以上なく栄養補給としてはうってつけであった。
だが、魔王という数多の情報の集合体であれば、それらの毒を分解・理解し己のエネルギーと化すことは容易い。
夾竹桃の細腕は、見た目に反してこれ以上なく栄養補給としてはうってつけであった。
受け止めた腕をそのまま振り下ろし、ムネチカを地面に叩きつける。
もう打つ手はなくなった。
ムネチカも、垣根も、夾竹桃もこの場で魔王に喰われて散る。
それが末路。覆せぬ運命。
ムネチカも、垣根も、夾竹桃もこの場で魔王に喰われて散る。
それが末路。覆せぬ運命。
その、はずだった。
「く、ふ、ふふっ、ふふっ」
激痛に顔を歪めながらも、彼女は、夾竹桃は笑う。
痛みで精神がイカれたか―――魔王はそう思いつつも、何故かその笑みが不快で仕方なかった。
痛みで精神がイカれたか―――魔王はそう思いつつも、何故かその笑みが不快で仕方なかった。
『何がおかしい』
「オジギ、ソウのことを、ちゃんと、覚えて、いたのは、褒めてあげる。でも、貴女、肝心な、ことを、忘れて、るわ」
「オジギ、ソウのことを、ちゃんと、覚えて、いたのは、褒めてあげる。でも、貴女、肝心な、ことを、忘れて、るわ」
涙すら浮かべていた夾竹桃の口角が、確かに愉悦に歪む。
魔王は確信する。
この女は、未だに絶望などしていない。
魔王は確信する。
この女は、未だに絶望などしていない。
「毒使い、はね、本命は、最後まで、とっておく、ものよ。それが、愛しているものなら、なおさらね」
――――ん
ドクン、と魔王の心臓が鼓動をうつ。
————ちゃん
脳髄に、蛆が湧くような速さでソレが木霊し始める。
たちまちに怖気が全身を駆け巡る。
たちまちに怖気が全身を駆け巡る。
『馬鹿な、コレは...!』
そうだ。
先ほどソレは、万が一もないように弾き落としたはずだ。
振り返る。
地に転がるソレは
先ほどソレは、万が一もないように弾き落としたはずだ。
振り返る。
地に転がるソレは
『刀、じゃない...!?』
ただの鉄の棒だ。
「あれを、罪歌と、見間違える、なんて、よほど、怖かった、のねえ」
———あかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃん愛するあかりちゃんあかりちゃん愛してあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんぺろぺろあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんだいすきあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんちゅーしてあかりちゃんあかりちゃんあいしてるあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんぽむぽむあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんだいてあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんわたしがまもるあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんすーはーあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃん萌えあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあいするあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃん愛してあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃん
『貴様あああアアアアアアアアアアア!!!!!!!!』
「最初に、受けた、あの時、ちゃんと、演算、しておけば、よかった、のに、ねえ」
妖刀・罪歌はただの妖刀ではない。
適合した者は、己の身体に収納しておくことができるという、一般社会においても持ち運びに困らない代物だ。
魔王は夾竹桃の身体の中に仕込まれていたソレを喰らった。
この基本的な機能も、もしも魔王が演算し理解していれば知ることができ、夾竹桃を喰らおうとはしなかっただろう。
だが彼女は目を背けた。
無限大の愛を前に逃げ出した、そのツケだ。
適合した者は、己の身体に収納しておくことができるという、一般社会においても持ち運びに困らない代物だ。
魔王は夾竹桃の身体の中に仕込まれていたソレを喰らった。
この基本的な機能も、もしも魔王が演算し理解していれば知ることができ、夾竹桃を喰らおうとはしなかっただろう。
だが彼女は目を背けた。
無限大の愛を前に逃げ出した、そのツケだ。
『殺す殺す殺す殺す殺す!!貴様などもう肉の一片も食らってやるものかぁ!!』
激昂と共に足を振り上げ、夾竹桃の頭を踏みつぶそうとする。
汚れに身を穢され衰弱する夾竹桃にそれを避ける術はない。
汚れに身を穢され衰弱する夾竹桃にそれを避ける術はない。
「食らいやがれバケモンがぁ!!」
叫びと共に、横やりから銃弾が雨あられと魔王に降り注ぐ。
『ッ!』
魔王は苦悶の表情を浮かべ飛退く。
一発一発は大したことは無い。
だが、傷が癒えきっておらず、且つ罪歌の呪いに頭をやられている状態で受け続けるのはあまりにも危険だ。
今更ながらに参戦してきた男、リュージと三人を忌々し気に睨みつけながらも撤退していく。
一発一発は大したことは無い。
だが、傷が癒えきっておらず、且つ罪歌の呪いに頭をやられている状態で受け続けるのはあまりにも危険だ。
今更ながらに参戦してきた男、リュージと三人を忌々し気に睨みつけながらも撤退していく。
「待ちやがれ!...チッ、片腕じゃ狙いが定めにくいぜ」
遠ざかっていく魔王に舌打ちをしつつ、リュージは倒れる面々に目を向ける。
「おい、大丈夫かあんたら!」
「あなた...なんでここに...」
「俺が聞きてえよ、目を覚ましたらいつのまにかここにいて、『ゲッター』を見せつけられて...」
「ゲッター?あなた、なにを...ッ!!」
「あなた...なんでここに...」
「俺が聞きてえよ、目を覚ましたらいつのまにかここにいて、『ゲッター』を見せつけられて...」
「ゲッター?あなた、なにを...ッ!!」
問いかけようとする夾竹桃だが、喉からこみ上げる血塊に言葉を遮られる。
「夾竹桃!?」
「...そう、この、穢れ、という毒は、彼女が、遠ざかっても、消えないのね...」
「...そう、この、穢れ、という毒は、彼女が、遠ざかっても、消えないのね...」
諦観の面持ちになりながら呟く夾竹桃。
「クソッ、なにか薬みてえなものは...!」
「ない、わ...そもそも、普通の、毒は、私には、効かない。この、毒は、そういう、類の、ものじゃない...」
「じゃあ、お前...」
「死ぬ、わね」
「ない、わ...そもそも、普通の、毒は、私には、効かない。この、毒は、そういう、類の、ものじゃない...」
「じゃあ、お前...」
「死ぬ、わね」
その言葉に一同はやりきれない表情を浮かべる。
リュージと垣根は彼女と懇意にしている訳ではない。
しかし、同盟相手が目の前で為すすべなく死んでいく現状に何も思わない訳ではない。
リュージと垣根は彼女と懇意にしている訳ではない。
しかし、同盟相手が目の前で為すすべなく死んでいく現状に何も思わない訳ではない。
「夾竹桃殿、なぜ...」
ムネチカは思わず問いかける。
夾竹桃が義理人情を重んじる性格ではないのは理解している。
それを承知の上で同盟を組んでいたのだ。垣根とムネチカの危機に駆け付けず逃げ出していたとしても誰も文句は言わなかった。
その彼女が、身を挺してまで魔王を倒そうとしたのが理に適わない。
夾竹桃が義理人情を重んじる性格ではないのは理解している。
それを承知の上で同盟を組んでいたのだ。垣根とムネチカの危機に駆け付けず逃げ出していたとしても誰も文句は言わなかった。
その彼女が、身を挺してまで魔王を倒そうとしたのが理に適わない。
「そう、ね。らしくない、こと、しちゃったなぁって、思うけど...あの子の、最期を、見せつけられちゃあ、ね」
夾竹桃の脳裏に焼き付くのは、竜馬と相討ち覚悟で力を解き放った麦野沈利の姿。
彼女がどういう気持ちで臨んだのかはわからないが、その行動の結果として確かに彼女は同盟相手を救って見せた。
裏切り者は許さない。言い換えれば、自分は絶対に裏切らないという信念を貫き通して魅せた。
だからだろう。
女の子同士の友情は穢せない。その信念を自分も貫きたいと思ってしまったのは。
柄にもなく、熱に浮かされてしまったのは。
彼女がどういう気持ちで臨んだのかはわからないが、その行動の結果として確かに彼女は同盟相手を救って見せた。
裏切り者は許さない。言い換えれば、自分は絶対に裏切らないという信念を貫き通して魅せた。
だからだろう。
女の子同士の友情は穢せない。その信念を自分も貫きたいと思ってしまったのは。
柄にもなく、熱に浮かされてしまったのは。
「その、結果が、このザマ、だもの...笑っちゃう、わよね。少しは、胸が、すいたんじゃ、ないかしら?」
「...確かに、小生への、それ以上にライフィセット殿への蛮行は許せるものではない」
「...確かに、小生への、それ以上にライフィセット殿への蛮行は許せるものではない」
ムネチカの返答に夾竹桃は自嘲気味に笑う。
彼女は自分という毒を跳ねのけ友情を貫き奮起したムネチカに対して高い好感度を抱いている。
しかしそれは一方的な友情であり、ムネチカからしてみればそうではないことも自覚している。
自分は我欲で彼女の友情に茶々を入れた不届き者。
だから、ムネチカからしてみれば自分の死は悲しむべきものではなく喜ぶべきものなのは当然だ。
彼女は自分という毒を跳ねのけ友情を貫き奮起したムネチカに対して高い好感度を抱いている。
しかしそれは一方的な友情であり、ムネチカからしてみればそうではないことも自覚している。
自分は我欲で彼女の友情に茶々を入れた不届き者。
だから、ムネチカからしてみれば自分の死は悲しむべきものではなく喜ぶべきものなのは当然だ。
「されど」
短くなった右手をムネチカの掌が優しく包み込む。
「貴女が小生を救ってくれたのもまた事実」
ムネチカにとって夾竹桃はただの毒ではない。
毒に犯されたライフィセットの命を救い。
アンジュのことで折れかけていた心を肯定し。
互いに共通の趣味の話を交わし合い。
そして、過程はどうあれ彼女が志乃乃富士と巡り合わせたことで、アンジュへの友情を思い出し貫く覚悟を取り戻せた。
毒に犯されたライフィセットの命を救い。
アンジュのことで折れかけていた心を肯定し。
互いに共通の趣味の話を交わし合い。
そして、過程はどうあれ彼女が志乃乃富士と巡り合わせたことで、アンジュへの友情を思い出し貫く覚悟を取り戻せた。
「夾竹桃。貴女がどう思おうとも、貴女は小生の友だった」
夾竹桃の目が見開かれ、視界が涙で滲んでいく。
自分は毒だ。誰からも疎まれ、敵を脅かす為に使い終われば処理をされるただの毒だ。
そのことに不満はないし、むしろ好んでそうなった。
その果てにはロクでもない最期になろうとも構わなかったし当然だと思っていた。
なのに。
いま、自分は満たされている。
誰もかれもを傷つけてきた癖に、こうして寄り添ってくれる友がいる。
痛くて苦しいのに。
もう、こんな腕では大好きな本を書くこともできないのに。
たった一つの温もりだけでかつてないほどに満たされている。
自分は毒だ。誰からも疎まれ、敵を脅かす為に使い終われば処理をされるただの毒だ。
そのことに不満はないし、むしろ好んでそうなった。
その果てにはロクでもない最期になろうとも構わなかったし当然だと思っていた。
なのに。
いま、自分は満たされている。
誰もかれもを傷つけてきた癖に、こうして寄り添ってくれる友がいる。
痛くて苦しいのに。
もう、こんな腕では大好きな本を書くこともできないのに。
たった一つの温もりだけでかつてないほどに満たされている。
もしも自分が本当に贋物で、本物の自分がどこかにいるのなら、この最期を、この気持ちを伝えてあげたいくらいだ。
きっと経験を伴った最高の一冊を書き上げてくれるだろう。
きっと経験を伴った最高の一冊を書き上げてくれるだろう。
「ムネ、チカ」
———けれど私は欲張りだ。
もし許されるなら、と残る力を振り絞り、ムネチカに囁く。
彼女は少しだけ目を見開くと、僅かな逡巡の後、意を決して口を開く。
もし許されるなら、と残る力を振り絞り、ムネチカに囁く。
彼女は少しだけ目を見開くと、僅かな逡巡の後、意を決して口を開く。
「...承知した」
その返事に、満杯だった幸せの器にまた一つ注がれ、幸せが溢れ落ちた。
「垣根殿、それとそこの御人...済まないが、場を外してもらいたい」
「おい、アンタなにを」
「頼む」
「...行くぞ」
「おい、アンタなにを」
「頼む」
「...行くぞ」
強く主張するムネチカにその意図を察し、垣根はリュージを促し踵を返す。
フラつきながらも離れていく垣根を放ってはおけず、リュージはムネチカたちに後ろ髪を引かれつつも垣根を支えて共に離れていく。
フラつきながらも離れていく垣根を放ってはおけず、リュージはムネチカたちに後ろ髪を引かれつつも垣根を支えて共に離れていく。
足音が遠ざかり、夾竹桃の掠れた呼吸音だけが空気に染み渡る。
ムネチカは握っていた腕を放し、夾竹桃の身体を横たえるとそっとネクタイに手を添える。
しゅるり、しゅるり。
衣擦れの音共にネクタイを外せば、身を包む制服が弛緩する。
ムネチカは握っていた腕を放し、夾竹桃の身体を横たえるとそっとネクタイに手を添える。
しゅるり、しゅるり。
衣擦れの音共にネクタイを外せば、身を包む制服が弛緩する。
———ご主人様。この本の姫と従者の最期なのですが
制服を脱がせながら過るは、牙抜けた狗と化していた時に交わした一幕。
———この言葉はどういう意味なのですか?
制服を脱がされ、ぷるん、とほんのり実った果実を包む純白の布が表に出る。
———ああ、これね。ふふっ、創作者なら一回は使ってみたい言葉よね
左の果実にそっと手を添えれば、夾竹桃は微笑みそれを受け入れる。
伸ばした腕に震えはない。
初めての経験だが、託された想いに答えるのに躊躇はいらない。
伸ばした腕に震えはない。
初めての経験だが、託された想いに答えるのに躊躇はいらない。
「いずれ小生も往く。だから」
「ええ」
「ええ」
狙いを外さないようにグッ、と拳が握りしめられる。
残された力で、痛みのないように。
友の手で旅立たせてほしいという望みに応えるために。
残された力で、痛みのないように。
友の手で旅立たせてほしいという望みに応えるために。
「「再見」」
———これはね、また会いましょうって誓いの言葉よ
ドン、と小さな音が鳴り、戦場は悲しいほどの静寂に包まれた。
☆
「ぅ...」
「おっ、まだ生きてるな」
「おっ、まだ生きてるな」
ムネチカたちから離れ、瓦礫の山の片隅に横たわる咲夜を見つけたリュージと垣根はひとまずそこに腰を落ち着ける。
「あとは鞭を使う野郎もいたんだが...」
「あー、ソイツは止めておきな。コロコロ立場を変える蝙蝠野郎だ。絶対にロクなことにならねえ。俺のこの腕もあいつにやられたモンだ」
「そうか」
「あー、ソイツは止めておきな。コロコロ立場を変える蝙蝠野郎だ。絶対にロクなことにならねえ。俺のこの腕もあいつにやられたモンだ」
「そうか」
垣根としては、使える戦力はあればあるだけいいとは思っているが、それは最低限の信頼関係があってこその話だ。
成り行きで共闘したとはいえ、琵琶坂はもとは魔王と一緒にやってきた男。
諍いもなく共に歩いてきたことから、本当にたまたま利害が一致しただけで、本来なら共闘することなどありえなかったのだろう。
少なくとも、魔王に狙われるリスクを承知で助け舟を出したリュージの方が信用はできる。
成り行きで共闘したとはいえ、琵琶坂はもとは魔王と一緒にやってきた男。
諍いもなく共に歩いてきたことから、本当にたまたま利害が一致しただけで、本来なら共闘することなどありえなかったのだろう。
少なくとも、魔王に狙われるリスクを承知で助け舟を出したリュージの方が信用はできる。
「で、お前の用件はなんだ?一応、感謝はしておいてやるが、慈善事業じゃねえんだろ?」
「まあな。あんたたちに協力を求めたい」
「まあな。あんたたちに協力を求めたい」
またか、と垣根は小さく溜息を吐く。
思えば、ここまで入れ替わりが激しいのは暗部に関わって初めてかもしれない。
始めはジョルノとマギルゥと組んで失って。
お次は麦野沈利と夾竹桃と組んでまた失って。
そして三回目のお誘いと来た。
これじゃあ『スクール』より使い捨てを繰り返す『アイテム』の方がお似合いだ。
思えば、ここまで入れ替わりが激しいのは暗部に関わって初めてかもしれない。
始めはジョルノとマギルゥと組んで失って。
お次は麦野沈利と夾竹桃と組んでまた失って。
そして三回目のお誘いと来た。
これじゃあ『スクール』より使い捨てを繰り返す『アイテム』の方がお似合いだ。
「条件次第...と言いてえところだが、おおかたあの魔王を倒したいってことだろ?」
「...それだけなら、まだよかったんだがな」
「...それだけなら、まだよかったんだがな」
どこか苦々しくも、しかし迷わぬ眼差しでリュージは彼方を見つめる。
「あんたらが戦った出鱈目な奴がいただろ」
「...ああ。ありゃなんだったんだ。原子崩しで死んだみてえだが」
「まだ生きてるぜ。証拠はねえが...確かに、そう感じる」
「あ?」
「...ああ。ありゃなんだったんだ。原子崩しで死んだみてえだが」
「まだ生きてるぜ。証拠はねえが...確かに、そう感じる」
「あ?」
リュージが目を覚ました時、視界に飛び込んできた光景に彼は言葉を失った。
他者の能力を喰らい。
天地を震わすような歓喜の雄叫び。
関わるもの全てを破滅させんと荒れ狂うその姿が。
他者の能力を喰らい。
天地を震わすような歓喜の雄叫び。
関わるもの全てを破滅させんと荒れ狂うその姿が。
彼が気絶している間に見た地獄と。
地球そのものを糧とし機械の巨大な怪物と化したその姿と。
宇宙中の生命を脅かす声と。
その全てが重なった。
そして、彼自身は自覚していないが、身体に撃ち込まれたゲッター線が伝えていた。
地球そのものを糧とし機械の巨大な怪物と化したその姿と。
宇宙中の生命を脅かす声と。
その全てが重なった。
そして、彼自身は自覚していないが、身体に撃ち込まれたゲッター線が伝えていた。
アレが、流竜馬こそがその全ての元凶だと。
「あれは『ゲッター』。あいつを止めねえ限り、俺たちの、いや、宇宙の全てに未来はねえ」
「...は?」
「...は?」
『化け物』に次いで『魔王』。
そしてその次が『宇宙』。
どんどん規模の大きくなっていく相手に、垣根は年相応の困惑を隠すことができなかった。
そしてその次が『宇宙』。
どんどん規模の大きくなっていく相手に、垣根は年相応の困惑を隠すことができなかった。
☆
『こんなクソみてぇな未来はご免だ。もしもアレを止めなきゃこうなっちまうっていうなら、俺はどう足掻いてでもそっちを選ぶぜ』
...そうか。前坂隆二。きみはそう選択をするか。
きみの真実を見抜く目は『力』に屈さなかったか。
『力』に委ねてしまえば楽になるというのに...いや、彼の選択もまた『進化』に必要なことか。
リュージ。きっときみの選択は花開くことはない。
けれど、せめて応援はさせてもらうよ。
茨の道に幸あれ、と。
そして願わくば。
僕の、『ゲッター』の描く未来など超えて、新たな『進化』の道を見つけてくれると———
【一日目/夜/F-6 紅魔館跡地】
※付近にメアリ・ハントの結晶、メアリの支給品一式が落ちています。
※電車は紅魔館の付近にあったため巻き添えで壊れました。
※付近にメアリ・ハントの結晶、メアリの支給品一式が落ちています。
※電車は紅魔館の付近にあったため巻き添えで壊れました。
【ムネチカ@うたわれるもの 二人の白皇】
[状態]:疲労(極大)、全身に火傷や打撲ダメージ(極大)、強い決意、出血(大、火傷による止血済)
[服装]:いつもの服装
[装備]:ムネチカの仮面@うたわれるもの
[道具]:基本支給品一色、大きなゲコ太のぬいぐるみ@とある魔術の禁書目録(現地調達)、夾竹桃の支給品一式(分解済みのシュカの首輪、素養格付、クリスチーネ桃子作の同人誌、夾竹桃のNETANOTE、薬草及び毒草)
[思考]
基本:アンジュとの絆を嘘にしない。
0:垣根たちと共にライフィセットのもとへ向かいたい。
1:小生はもう迷わない。
2:志乃乃富士、夾竹桃、麦野沈利、感謝する。
3:ライフィセットや『あかりちゃん』を護る。
4:魔王や謎の男(流竜馬)に最大限の警戒を。
[状態]:疲労(極大)、全身に火傷や打撲ダメージ(極大)、強い決意、出血(大、火傷による止血済)
[服装]:いつもの服装
[装備]:ムネチカの仮面@うたわれるもの
[道具]:基本支給品一色、大きなゲコ太のぬいぐるみ@とある魔術の禁書目録(現地調達)、夾竹桃の支給品一式(分解済みのシュカの首輪、素養格付、クリスチーネ桃子作の同人誌、夾竹桃のNETANOTE、薬草及び毒草)
[思考]
基本:アンジュとの絆を嘘にしない。
0:垣根たちと共にライフィセットのもとへ向かいたい。
1:小生はもう迷わない。
2:志乃乃富士、夾竹桃、麦野沈利、感謝する。
3:ライフィセットや『あかりちゃん』を護る。
4:魔王や謎の男(流竜馬)に最大限の警戒を。
[備考]
※参戦時期はフミルィルによって仮面を取り戻した後からとなります
※女同士の友情行為にも理解を示しました。
※画面越しの志乃のあかりちゃん行為を確認しました。
※アンジュとの友情に目覚め、崩壊していた精神が戻りました。
※参戦時期はフミルィルによって仮面を取り戻した後からとなります
※女同士の友情行為にも理解を示しました。
※画面越しの志乃のあかりちゃん行為を確認しました。
※アンジュとの友情に目覚め、崩壊していた精神が戻りました。
【リュージ@ダーウィンズゲーム】
[状態]:片腕・片目損失。精神的疲労(中)、『ゲッター』への強い忌避感。
[服装]:軍服
[装備]:イケPの二丁拳銃@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-
[道具]:ポルナレフの双眼鏡@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風、上やくそうの束@ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島(一部消費)、悲鳴嶼行冥の日輪刀@鬼滅の刃(暴走時に竜馬が捨てたのを拾った)
[思考]
基本:『ゲッター』を止める。
0:殺し合い云々以上に、なにを置いても『ゲッター』を止める。隼人には悪いが、竜馬の殺害も辞さない
1:垣根たちと共に『ゲッター』を止めたい。
2:ひとまずは殺し合い反対派の連中に合流したい。
[備考]
※参戦時期は宝探しゲーム終了後です。
※この世界をメビウスのような「フィクション」だと思っています。
※夾竹桃・ビルド・琴子・隼人・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。
※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。
※カタリナとあかりのこれまでの経緯を聞きました。
※琵琶坂のこれまでの経緯を聞きました。
※気絶中に『ゲッター』の一部を垣間見せられた影響で、『ゲッター』に対して強い忌避感を抱いています。
[状態]:片腕・片目損失。精神的疲労(中)、『ゲッター』への強い忌避感。
[服装]:軍服
[装備]:イケPの二丁拳銃@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-
[道具]:ポルナレフの双眼鏡@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風、上やくそうの束@ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島(一部消費)、悲鳴嶼行冥の日輪刀@鬼滅の刃(暴走時に竜馬が捨てたのを拾った)
[思考]
基本:『ゲッター』を止める。
0:殺し合い云々以上に、なにを置いても『ゲッター』を止める。隼人には悪いが、竜馬の殺害も辞さない
1:垣根たちと共に『ゲッター』を止めたい。
2:ひとまずは殺し合い反対派の連中に合流したい。
[備考]
※参戦時期は宝探しゲーム終了後です。
※この世界をメビウスのような「フィクション」だと思っています。
※夾竹桃・ビルド・琴子・隼人・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。
※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。
※カタリナとあかりのこれまでの経緯を聞きました。
※琵琶坂のこれまでの経緯を聞きました。
※気絶中に『ゲッター』の一部を垣間見せられた影響で、『ゲッター』に対して強い忌避感を抱いています。
【垣根提督@とある魔術の禁書目録】
[状態]:疲労(極大)、全身に火傷や打撲ダメージ(極大)、強い決意、精神的疲労(極大)、出血(大、火傷による止血済)、右腕切断(止血済み)。
[服装]:普段着
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3、ジョルノの心臓から生まれた蛇から取り出した無惨の毒に対するワクチン、ジョルノの首輪、マギルゥの首輪、妖夢の首輪、リゾットの首輪、、土御門の式神(数個。詳しい数は不明)@とある魔術の禁書目録、マギルゥの支給品0~1、ジョルノの支給品0~3、顔写真付き参加者名簿、リゾットの支給品2つ
[思考]
基本方針: 主催を潰して帰る。ついでにこの悪趣味なゲームを眺めている奴らも軒並みブッ殺す。
0:俺の分かるように説明をしろ。
1:とりあえず、大いなる父の遺跡の方角に向かいアリア達に伝言を伝える
2:あの化け物(無惨)は殺す。
3:リゾットの標的だったボスも正体を突き止めていずれ殺す。
4:未元物質と聖隷術を組み合わせた独自戦法を確立する。道中で試しながら行きたい。
5:異能を知るために同行者を集める。強者ならなお良い。
6:魔王及び未知の男(流竜馬)には最大限の警戒。
7:麦野の最期に複雑な感情。
[状態]:疲労(極大)、全身に火傷や打撲ダメージ(極大)、強い決意、精神的疲労(極大)、出血(大、火傷による止血済)、右腕切断(止血済み)。
[服装]:普段着
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3、ジョルノの心臓から生まれた蛇から取り出した無惨の毒に対するワクチン、ジョルノの首輪、マギルゥの首輪、妖夢の首輪、リゾットの首輪、、土御門の式神(数個。詳しい数は不明)@とある魔術の禁書目録、マギルゥの支給品0~1、ジョルノの支給品0~3、顔写真付き参加者名簿、リゾットの支給品2つ
[思考]
基本方針: 主催を潰して帰る。ついでにこの悪趣味なゲームを眺めている奴らも軒並みブッ殺す。
0:俺の分かるように説明をしろ。
1:とりあえず、大いなる父の遺跡の方角に向かいアリア達に伝言を伝える
2:あの化け物(無惨)は殺す。
3:リゾットの標的だったボスも正体を突き止めていずれ殺す。
4:未元物質と聖隷術を組み合わせた独自戦法を確立する。道中で試しながら行きたい。
5:異能を知るために同行者を集める。強者ならなお良い。
6:魔王及び未知の男(流竜馬)には最大限の警戒。
7:麦野の最期に複雑な感情。
[備考]
VS一方通行の前、一方通行を標的に決めたときより参戦です。
※ジョルノ、リゾット、マギルゥの支給品も垣根が持っています。
※未元物質を代用した聖隷術を試しました。未元物質を代用すると、聖隷力に影響を及ぼし威力が上がりますが、制御の難易度が跳ね上がります。制御中は行動が制限されます。
※首輪の説明文により、自分たちが作られた存在なのではないかと勘繰っています。
※ブチャラティ達と情報交換をしました。
※魔王の件が片付くまでの間、麦野と夾竹桃と十六夜咲夜と同盟を組みました
VS一方通行の前、一方通行を標的に決めたときより参戦です。
※ジョルノ、リゾット、マギルゥの支給品も垣根が持っています。
※未元物質を代用した聖隷術を試しました。未元物質を代用すると、聖隷力に影響を及ぼし威力が上がりますが、制御の難易度が跳ね上がります。制御中は行動が制限されます。
※首輪の説明文により、自分たちが作られた存在なのではないかと勘繰っています。
※ブチャラティ達と情報交換をしました。
※魔王の件が片付くまでの間、麦野と夾竹桃と十六夜咲夜と同盟を組みました
【十六夜咲夜@東方Projectシリーズ】
[状態]:体力消耗(極大)、全身火傷及び切り傷、全身にダメージ(極大)、右目破壊(治療不可能)、気絶中
、腹部打撲(再発)
[役職]:ビルダー
[服装]:いつものメイド服(所々が焦げている)
[装備]:懐中時計@東方Projectシリーズ
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1つ 、
[思考]
基本:早くお嬢様の元へ帰る、場合によっては邪魔者は殺害
0:(気絶中)
1:まずは、身体を休める。
2:今後のことを見据え、遭遇する参加者については殺せる機会があれば殺すが、あまり無茶はしない。
3:取り逃がした獲物(カタリナ、琵琶坂)は次出会えば必ず仕留める
4:余裕があれば完全版チケットとやらも探す。
5:ヴライに、最大限の警戒。
6:紅魔館...
[備考]
※紅霧異変前からの参戦です
※所持ナイフの最大本数は後続の書き手におまかせします
※オスカー達と情報交換を行いました
※『ジョジョ』世界の情報を把握しました。ドッピオの顔も知りましたが、ディアボロとの関係は完全には分かっておりません。
※映画を通じて、『響け!ユーフォニアム』世界の情報を把握しました。映画で上映されたものは久美子たちが1年生だった頃の内容となり、『リズと青い鳥』時系列の出来事等については、把握しておりません。
※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。いまはこのロワでビルドがやったことが出来るだけですが、今後の展開次第ではもっとできることが増えるかもしれません。
※ビエンフーからこれまでの経緯を聞きました。
※どこの施設に向かっているかは次の書き手様にお任せします。
[状態]:体力消耗(極大)、全身火傷及び切り傷、全身にダメージ(極大)、右目破壊(治療不可能)、気絶中
、腹部打撲(再発)
[役職]:ビルダー
[服装]:いつものメイド服(所々が焦げている)
[装備]:懐中時計@東方Projectシリーズ
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1つ 、
[思考]
基本:早くお嬢様の元へ帰る、場合によっては邪魔者は殺害
0:(気絶中)
1:まずは、身体を休める。
2:今後のことを見据え、遭遇する参加者については殺せる機会があれば殺すが、あまり無茶はしない。
3:取り逃がした獲物(カタリナ、琵琶坂)は次出会えば必ず仕留める
4:余裕があれば完全版チケットとやらも探す。
5:ヴライに、最大限の警戒。
6:紅魔館...
[備考]
※紅霧異変前からの参戦です
※所持ナイフの最大本数は後続の書き手におまかせします
※オスカー達と情報交換を行いました
※『ジョジョ』世界の情報を把握しました。ドッピオの顔も知りましたが、ディアボロとの関係は完全には分かっておりません。
※映画を通じて、『響け!ユーフォニアム』世界の情報を把握しました。映画で上映されたものは久美子たちが1年生だった頃の内容となり、『リズと青い鳥』時系列の出来事等については、把握しておりません。
※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。いまはこのロワでビルドがやったことが出来るだけですが、今後の展開次第ではもっとできることが増えるかもしれません。
※ビエンフーからこれまでの経緯を聞きました。
※どこの施設に向かっているかは次の書き手様にお任せします。
☆
『ゲェッ、ボォエッ』
びちゃびちゃびちゃと吐しゃ物が地面を濡らし、更に吐き出す勢いに耐えられず喉を傷め血まで混じり出す。
———あかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃん
『黙れ...!』
ガリガリガリガリ
血がにじみ出る程に頭を掻いても愛は収まらない。
自我を失うまいと抵抗すればするほどその地獄は終わらない。
血がにじみ出る程に頭を掻いても愛は収まらない。
自我を失うまいと抵抗すればするほどその地獄は終わらない。
『わた、わらひは、女神に捧げる、捧げる捧げる、捧げるのだぁあああああああ!!!』
自我を保つために必死に叫びを挙げるが、そんなもので愛という呪いは収まらない。
「...ずいぶんと素敵なザマじゃないか。魔王サマ」
『ッ、び、琵琶坂』
『ッ、び、琵琶坂』
かけられた声に振り返ろうとした瞬間、パァン、と鋭い痛みが頬に走る。
吐しゃ物が舞い、周囲に撒き散らされる。
琵琶坂はそれを不快気な目で見ながら悪臭を防ぐため鼻を摘まもうとするが、しかし骨が折れた痛みで塞ぐことができない。
吐しゃ物が舞い、周囲に撒き散らされる。
琵琶坂はそれを不快気な目で見ながら悪臭を防ぐため鼻を摘まもうとするが、しかし骨が折れた痛みで塞ぐことができない。
『きっ、貴様...!』
「オイ。どのツラさげて俺を睨んでいるんだ」
「オイ。どのツラさげて俺を睨んでいるんだ」
再び鞭が振るわれ、パァンと甲高い音が鳴る。
「俺がこんな目に遭ってるのはお前のせいだろうが...この力に選ばれた俺が、だぞ」
『あの男は貴様が...!』
「うるせえ!!」
『あの男は貴様が...!』
「うるせえ!!」
今度は叩くのではなく、首に鞭を巻きつけられて吐しゃ物塗れの地面に引き倒される。
「あんな雑魚共に手間取りやがって。お前がマトモに動けてればあんなことにはならなかったんだ!!」
うつ伏せに倒れる魔王目掛けて、琵琶坂は何度もその足を振り下ろし踏みつける。
そもそも。
魔王が単独で動いたこと以上に、琵琶坂がゲッタービームで竜馬を撃ったことが全ての発端なのだが、当然、その責を背負うつもりなど彼にはない。
責任逃れの八つ当たり。
誰が見てもそうとしか言えない愚行だが、彼がそれを自覚するつもりなど毛頭ない。
ゲッターに選ばれようとも歪まぬ、己のことしか考えない純度100%の自己愛者(エゴイスト)にそんな反省などある筈がない。
そもそも。
魔王が単独で動いたこと以上に、琵琶坂がゲッタービームで竜馬を撃ったことが全ての発端なのだが、当然、その責を背負うつもりなど彼にはない。
責任逃れの八つ当たり。
誰が見てもそうとしか言えない愚行だが、彼がそれを自覚するつもりなど毛頭ない。
ゲッターに選ばれようとも歪まぬ、己のことしか考えない純度100%の自己愛者(エゴイスト)にそんな反省などある筈がない。
「なにが魔王だなにが女神の地平だ...いくら屁理屈を並べようが所詮はあのポンコツから恵まれた世界に縋ってるだけのガラクタじゃねえか!!」
『き、さま...!!』
「そうじゃないならあの竜馬(ガキ)道連れでもなんでもブッ殺して、お前の大好きなポンコツに捧げてみろよ、あぁ!!?できるか?できるわけないよなあ!?逃げ出したお前にそんな度胸はないもんなあ!?」
『言わせておけば...!』
『き、さま...!!』
「そうじゃないならあの竜馬(ガキ)道連れでもなんでもブッ殺して、お前の大好きなポンコツに捧げてみろよ、あぁ!!?できるか?できるわけないよなあ!?逃げ出したお前にそんな度胸はないもんなあ!?」
『言わせておけば...!』
———あかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃんあかりちゃん
『いい加減に黙れええええええええ!!!』
なんなのだこれは。
琵琶坂からの罵倒に魂を蝕む罪歌の愛。
こんなカス共に甚振られているのに、どうすることもできないとは。
それだけではない。
どういう形であれ、器を満たし世界を逆転させるということは、『ゲッター』が世界に顕現するということ。
それはもう女神の管理する安穏とは程遠い。
地獄だ。
進んでも止まっても地獄。
過去も未来も現在も、四方八方全てが地獄だ。
琵琶坂からの罵倒に魂を蝕む罪歌の愛。
こんなカス共に甚振られているのに、どうすることもできないとは。
それだけではない。
どういう形であれ、器を満たし世界を逆転させるということは、『ゲッター』が世界に顕現するということ。
それはもう女神の管理する安穏とは程遠い。
地獄だ。
進んでも止まっても地獄。
過去も未来も現在も、四方八方全てが地獄だ。
その多大なるストレスから、彼女は願う。
怒りや恨みつらみ以上に。
『逃げたい』と。
怒りや恨みつらみ以上に。
『逃げたい』と。
———そう。なら、もうあんたはお役御免ね
そして。
その言葉が過ったその瞬間。
『魔王』の意識は掻き消えた。
その言葉が過ったその瞬間。
『魔王』の意識は掻き消えた。
「黙れだと?おまえ、どの立場で俺にモノを言って」
琵琶坂のその言葉は紡がれない。
今まで踏みつけていた筈の相手の姿が掻き消えたと思えば、足元にぬるりとした感触が奔り、かくんと膝が折れ吐しゃ物塗れの地面に倒されたからだ。
今まで踏みつけていた筈の相手の姿が掻き消えたと思えば、足元にぬるりとした感触が奔り、かくんと膝が折れ吐しゃ物塗れの地面に倒されたからだ。
「ぉえっ!?」
地面に打ちつけられた痛みはさほどないが、吐しゃ物の不快な感触と臭いに吐き気を催す。
「...見様見真似だけど、結構使えるのね、これ」
踏みつけられる中、彼女が試したのは、幾度も見た『水の呼吸』から連なる足さばき。
本来の水の呼吸は鬼殺隊特有の呼吸法により身体能力を増幅させた上で放たれる技だ。
無論、その呼吸法を身に着けていない彼女に、この会場で交戦した錆兎や義勇の技をそのまま再現するのは不可能だ。
しかし、足さばきだけならまだ辛うじて真似ることはできる。
『水の呼吸』の型は攻撃よりも回避や防御に長けた型。
そして奇しくも、彼女は足癖が悪いと言えるほどに足技に長けていたため、それなりの効果を発揮する土壌自体は備わっていた。
本来の水の呼吸は鬼殺隊特有の呼吸法により身体能力を増幅させた上で放たれる技だ。
無論、その呼吸法を身に着けていない彼女に、この会場で交戦した錆兎や義勇の技をそのまま再現するのは不可能だ。
しかし、足さばきだけならまだ辛うじて真似ることはできる。
『水の呼吸』の型は攻撃よりも回避や防御に長けた型。
そして奇しくも、彼女は足癖が悪いと言えるほどに足技に長けていたため、それなりの効果を発揮する土壌自体は備わっていた。
「お、お前、よくもこんな」
仰向けの体勢から振り返ろうとする琵琶坂だが、しかしその後頭部に当てられる冷たい感触に動けなくなる。
「同盟と言ったのに自分一人で先走ったこと。あいつらを倒しきれなかったこと。そこに関しては謝らせてもらう」
その声には先ほどまでの威圧感はない。
一人の人間としての言葉が、意思が伝わるだけだ。
一人の人間としての言葉が、意思が伝わるだけだ。
「その上で言わせてもらうわね。私は私の目的の為に戦う。あんたにはその手伝いをしてほしい」
だからこそ恐ろしい。
人間だからこそ、身近な存在だからこそこの冷たい殺意が脅しではないと突きつけてくる。
付け入る隙などないことを嫌でも思い知らされる。
人間だからこそ、身近な存在だからこそこの冷たい殺意が脅しではないと突きつけてくる。
付け入る隙などないことを嫌でも思い知らされる。
「わ、わかった...俺も少し、頭に血がのぼっていた...言い過ぎたよ」
「そう。なら互いにこれでおあいこってやつね」
「そう。なら互いにこれでおあいこってやつね」
背中から重さが消えると、琵琶坂はふぅと深く息を吐く。
ハッキリ言ってすぐにでも殺したいが、しかし、未だにあの流竜馬という脅威が残っている以上、それと対抗でき得る存在を考えなしに潰すのは利口じゃない。
そう己に言い聞かせどうにか衝動を押し殺し、、女へと振り返る。
ハッキリ言ってすぐにでも殺したいが、しかし、未だにあの流竜馬という脅威が残っている以上、それと対抗でき得る存在を考えなしに潰すのは利口じゃない。
そう己に言い聞かせどうにか衝動を押し殺し、、女へと振り返る。
「...お前、なにか変わったか?」
ふと、そんな疑問を零す。
琵琶坂が彼女と出会った時には既に『魔王』だった。
相手を威圧するドス黒いオーラ。
何者かが宿ったような重厚さの声。
それらが、いまの彼女から全て消えていた。
琵琶坂が彼女と出会った時には既に『魔王』だった。
相手を威圧するドス黒いオーラ。
何者かが宿ったような重厚さの声。
それらが、いまの彼女から全て消えていた。
「別に」
振り返る。その所作はどこか爽やかささえ感じられて。
「ただ、やりたいことを思い出しただけよ」
『ベルベット・クラウ』はほほ笑む。まるで憑き物が落ちたかのように。
それはこの会場に来てから、いや、全てを失ったあの日からは初めての笑み。
『魔王』はもう、どこにもいなかった。
☆
夢を見ていた。
自分が魔王となり、その身を赤く染め、本来辿り着くはずだった未来を否定する夢を。
———テメェの強さは、テメェ自身のものですらねぇ。……テメェが一番大事にしなきゃならねぇ矜持ってモンを、借りもんの為に捨てやがったか。
———……テメェは強え。だが、テメェは空っぽだ。空っぽのおもちゃ箱だ
———それしか道がなくて、それに縋り付くしかなかった。悲しい人。でも、それで自分を捨てる必要も、自分の感情を否定する必要はあったんですか
———あなたは強くなってなんかない。あなたはただ逃げただけ。託されたものを全部投げ捨てて。未来が怖くて逃げだしたただの臆病者なんだ!
投げかけられた声に耳を塞ぎ、現状に甘んじた。
その間は、やはり楽だった。
歩いてきた場所を赤く染めようとも。
その果てに敗北を喫しようとも。
それは全部『魔王』のせいだと押し付けられたから。
黙っていれば、『魔王』が全部やってくれたから。
けれど。
———私は自分の言葉を撤回するのが嫌いなんだ。死んでも結果を出してやるよ
魔王すら恐れ戦く力に放たれた閃光に目を覚ました。
ソイツは、気に喰わなかった筈の女は、清々しいほどに輝いて見えた。
思い返せば、あの女はいつもそうだった。
最初の戦いから既に格下に喰われかけていて。
次の戦いでも格下に殴られて吹き飛ばされて。
その次も相手が悪いとはいえやっぱり気絶させられて。
一緒に組んだ時も結局負けかけていて。
力は強いくせに、一度も余裕のある姿なんて見たことが無かった。
最初の戦いから既に格下に喰われかけていて。
次の戦いでも格下に殴られて吹き飛ばされて。
その次も相手が悪いとはいえやっぱり気絶させられて。
一緒に組んだ時も結局負けかけていて。
力は強いくせに、一度も余裕のある姿なんて見たことが無かった。
それでも。
あいつは一度も逃げなかった。
何度地を舐めようとも。
何度プライドを傷つけられようとも。
ずっと前を向いていた。そしてやりたいことの為に己を貫き通した。
あいつは一度も逃げなかった。
何度地を舐めようとも。
何度プライドを傷つけられようとも。
ずっと前を向いていた。そしてやりたいことの為に己を貫き通した。
麦野だけじゃない。
シアリーズも。
シュカも。
錆兎も。
冨岡義勇も。
シグレ・ランゲツも。
夾竹桃も。
みんながみんな、己のやりたいようにやって、そして死んでいった。
今更になって、勝てないからと、未来が怖いからと目を閉じた自分との違いを思い知らされた。
シアリーズも。
シュカも。
錆兎も。
冨岡義勇も。
シグレ・ランゲツも。
夾竹桃も。
みんながみんな、己のやりたいようにやって、そして死んでいった。
今更になって、勝てないからと、未来が怖いからと目を閉じた自分との違いを思い知らされた。
そしてようやく、シグレ・ランゲツや間宮あかりが言っていたことを理解した。
何をしてもなんの責任も負わないことは強さじゃない。
そんなのは、生きているとは言わない。何を掴むことも出来やしない。
何をしてもなんの責任も負わないことは強さじゃない。
そんなのは、生きているとは言わない。何を掴むことも出来やしない。
———そうだ。思い出せ。私は何がしたかった?
女神に贄を捧げて、虚構と現実を逆転させて。
...そんな小難しいことを望んでいただろうか。
違う。それはただの魔王の役割だ。
私が望んだのはそんなことじゃなく、あいつへの、ブチャラティ———じゃない、アルトリウスへの復讐だ。
でも、それに価値があるだろうか。真相を知ってしまった今、ラフィがアルトリウスと繋がっていたなら。
彼らが合意の上で己の身を捧げたなら、今更復讐になんの意味があるだろうか?
だったら、やはり女神を奉って『アルトリウスが全ての元凶だった』という虚構を現実にしてもらった方が———
———……ああ、そうだよな。テメェだけに幸運の女神様が舞い降りるなんてずりぃよなぁ。ああ、そうだよなぁそうだよなぁ……浜面ぁ
麦野の言葉が過り思いなおす。
違う。確かに、ソレをすれば自分の受けたショックは癒せるかもしれない。
けれど、それじゃあ駄目だ。
それじゃあ、あいつらだけ自分の願いを果たしてのうのうと救世主ヅラして満足してしまう。
そんな奴らに振り回されて私は喰って、喰って、喰いまくって、気が付けばもう後戻りのできないところまで来ていた。
そんなの、そんなのって...
違う。確かに、ソレをすれば自分の受けたショックは癒せるかもしれない。
けれど、それじゃあ駄目だ。
それじゃあ、あいつらだけ自分の願いを果たしてのうのうと救世主ヅラして満足してしまう。
そんな奴らに振り回されて私は喰って、喰って、喰いまくって、気が付けばもう後戻りのできないところまで来ていた。
そんなの、そんなのって...
ムカツク。
腸が煮えくり返る。
世界の為だのなんだのとご高説を垂れて私に説教して、お前は間違ってるだの罪人だの好き放題に罵ってくる奴らが腹立たしくて仕方ない。
世界の為だのなんだのとご高説を垂れて私に説教して、お前は間違ってるだの罪人だの好き放題に罵ってくる奴らが腹立たしくて仕方ない。
やりたいことがあるなら最初から説明しろ。もちろん私はその時点で全力で引き留めただろう。
けれど他の方法は探せたかもしれない。見つからなくても覚悟はできたかもしれない。
なのに、相談一つ寄越さず振り回して、その果てにこうなってしまった私をけなして。
何様だ。思い出したらまたムカついてきた。
ああ、そうだ。ここまできたら行動原理は麦野と同じだ。
理屈じゃなくムカついて仕方ない。だから私はあいつらに復讐したい。
けれど他の方法は探せたかもしれない。見つからなくても覚悟はできたかもしれない。
なのに、相談一つ寄越さず振り回して、その果てにこうなってしまった私をけなして。
何様だ。思い出したらまたムカついてきた。
ああ、そうだ。ここまできたら行動原理は麦野と同じだ。
理屈じゃなくムカついて仕方ない。だから私はあいつらに復讐したい。
これは私の我儘だ。世界を滅ぼすかもしれないエゴだ。
きっと奴らを殺したら泣く者がいるだろう。そこに辿り着くまでに多くの罪を重ねるだろう。
それでも構わない。
世界の平穏だの。
魔王だの。
進化だの。
その全てがどうだっていい。
どれだけ屈辱に塗れても構わない。
私は私だ。ベルベット・クラウだ。
奴らを殴れるなら。あの澄まし面を少しでも後悔させてやれるなら、私は地獄に落ちたっていい。
簡潔に言うと、このままだとスッキリできないのだ。
あいつの、麦野のように。
きっと奴らを殺したら泣く者がいるだろう。そこに辿り着くまでに多くの罪を重ねるだろう。
それでも構わない。
世界の平穏だの。
魔王だの。
進化だの。
その全てがどうだっていい。
どれだけ屈辱に塗れても構わない。
私は私だ。ベルベット・クラウだ。
奴らを殴れるなら。あの澄まし面を少しでも後悔させてやれるなら、私は地獄に落ちたっていい。
簡潔に言うと、このままだとスッキリできないのだ。
あいつの、麦野のように。
...私は、もう逃げない。
奴らを殺すまで、私は私であり続ける。
その為には、まずはあの子と決着を着けたい。
奴らを殺すまで、私は私であり続ける。
その為には、まずはあの子と決着を着けたい。
真実を知って。
私の復讐が無意味なものだと知って、それでもついてきたあの子。
いまの私にボロボロにされても、それでも私の名前を呼び続けたあの子。
いまやあの子へ抱いていた嫌悪は、もう興味へと変わってきている。
知りたい。
私を想ってくれる彼が、どうしてそこまで着いてきてくれたのか。
知って、その上で決着を着けたい。
私の復讐が無意味なものだと知って、それでもついてきたあの子。
いまの私にボロボロにされても、それでも私の名前を呼び続けたあの子。
いまやあの子へ抱いていた嫌悪は、もう興味へと変わってきている。
知りたい。
私を想ってくれる彼が、どうしてそこまで着いてきてくれたのか。
知って、その上で決着を着けたい。
その為には、魔王。お前はもう邪魔でしかない。
☆
己を否定したことで生まれた魔王は、彼女自身が逃避を選択したことで消え去った。
罪歌の呪いは魂に憑りつく呪い。
故に魔王に引きずられる形でそのまま消滅してしまった。
代わりに、己を肯定した復讐者が再び目を覚ました。
罪歌の呪いは魂に憑りつく呪い。
故に魔王に引きずられる形でそのまま消滅してしまった。
代わりに、己を肯定した復讐者が再び目を覚ました。
これより紡がれるは、復讐者の物語。
———たった一人の、エゴイストの為の物語。
【一日目/夜/Gー6】
【ベルベット・クラウ@テイルズオブベルセリア】
[状態]:疲労(極大)、全身にダメージ(極大)、????を注入された。気分スッキリ。
[服装]:いつもの服装
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考]
基本:復讐を果たす。私のやりたいことはソレだ。
0:イフィセットに会い、決着を着ける。
1:琵琶坂永至、信用ならないが利用する。
2:ひとまず休憩をしたい。あとシャワーを浴びたい...臭い
3:『ゲッター』は邪魔をするなら排除する。
[備考]
※牢獄でのオスカー戦後からの参戦です
※3人でアイテムを結成しました
※恐らく『絶対能力者』へ到達しました。恐らく『その先』にも到達する可能性があります。
※夾竹桃の知っている【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。
[状態]:疲労(極大)、全身にダメージ(極大)、????を注入された。気分スッキリ。
[服装]:いつもの服装
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考]
基本:復讐を果たす。私のやりたいことはソレだ。
0:イフィセットに会い、決着を着ける。
1:琵琶坂永至、信用ならないが利用する。
2:ひとまず休憩をしたい。あとシャワーを浴びたい...臭い
3:『ゲッター』は邪魔をするなら排除する。
[備考]
※牢獄でのオスカー戦後からの参戦です
※3人でアイテムを結成しました
※恐らく『絶対能力者』へ到達しました。恐らく『その先』にも到達する可能性があります。
※夾竹桃の知っている【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。
※複合能力 『災禍顕現』を習得しました。本人の拡大解釈を以て穢れを様々な形として行使できる能力です。
...が、本人が魔王になるつもりがないので出力は大幅に下がっています。
...が、本人が魔王になるつもりがないので出力は大幅に下がっています。
【琵琶坂永至@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-】
[状態]:◆◆化、顔に傷、全身にダメージ(絶大)、疲労(絶大)、背中に複数の刺し傷、左足の甲に刺し傷、ゲッター線による火への耐性強化、火傷(中)、痣@鬼滅の刃
[服装]:黒のゴシックスーツ(ボロボロ)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0~1、ゲッター炉心@新ゲッターロボ、絹旗の首輪
[思考]
基本:優勝してさっさと元の世界に戻りたい……つもりだったが……
0:俺の邪魔となるやつは全員潰せばいい。利用できるやつはとことん利用してやる
1:ベルベットと組み、他の参加者を潰してまわる。ひとまずは休憩か。
2:あいつ(流竜馬)は許さない、が、関わりたくもない。頼むからどこかで勝手にくたばってろ。
3:あのクソメイド(咲夜)も殺す。...そういえばさっき居たな...殺しそびれたな...まあいいか
4:他の帰宅部や楽士に関しては保留
5:他に利用できそうなカモをがいればそいつを利用する
6:クソメイドの能力への対処方法を考えておく
[備考]
※帰宅部を追放された後からの参戦です
※ゲッターに選ばれました。何処まで強化されたかは後続の書き手にお任せします。
[状態]:◆◆化、顔に傷、全身にダメージ(絶大)、疲労(絶大)、背中に複数の刺し傷、左足の甲に刺し傷、ゲッター線による火への耐性強化、火傷(中)、痣@鬼滅の刃
[服装]:黒のゴシックスーツ(ボロボロ)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0~1、ゲッター炉心@新ゲッターロボ、絹旗の首輪
[思考]
基本:優勝してさっさと元の世界に戻りたい……つもりだったが……
0:俺の邪魔となるやつは全員潰せばいい。利用できるやつはとことん利用してやる
1:ベルベットと組み、他の参加者を潰してまわる。ひとまずは休憩か。
2:あいつ(流竜馬)は許さない、が、関わりたくもない。頼むからどこかで勝手にくたばってろ。
3:あのクソメイド(咲夜)も殺す。...そういえばさっき居たな...殺しそびれたな...まあいいか
4:他の帰宅部や楽士に関しては保留
5:他に利用できそうなカモをがいればそいつを利用する
6:クソメイドの能力への対処方法を考えておく
[備考]
※帰宅部を追放された後からの参戦です
※ゲッターに選ばれました。何処まで強化されたかは後続の書き手にお任せします。
「ヴオ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!!」
咆える。咆える。
獣は、ただ虚空に吼える。
獣は、ただ虚空に吼える。
最大出力の原子崩しを受けても彼はまだ生きていた。
その威力にはたまらず吹き飛ばされはしたが、ゲッター線により魔王の能力を引き継いでいた為に、ダメージを軽減、そして人間ならば既に致命傷であろう程の火傷も、再生能力により一命を取りとめた。
辛うじて命を拾った形ではあるが、それで彼の闘争本能が萎えることはない。
敵が強ければ強いほど進化はより強力に促される。
その威力にはたまらず吹き飛ばされはしたが、ゲッター線により魔王の能力を引き継いでいた為に、ダメージを軽減、そして人間ならば既に致命傷であろう程の火傷も、再生能力により一命を取りとめた。
辛うじて命を拾った形ではあるが、それで彼の闘争本能が萎えることはない。
敵が強ければ強いほど進化はより強力に促される。
破壊と再生を繰り返しながら、彼は次なる獲物を求めて駆ける。
———かつて、神隼人はゲッターロボの一つの法則を見つけた。
ゲッターロボは、流竜馬の存在一つでその出力が大幅に変わると。
ゲッターロボは、流竜馬の存在一つでその出力が大幅に変わると。
その見解は正しい。
ゲッター2のパイロット、神隼人。
ゲッター3のパイロット、武蔵坊弁慶。
彼ら二人で駆るゲッターは本来の力を発揮しきれず、鬼獣一体にも手間取るが、竜馬が乗り込んだ瞬間に炉心を取り込む前の状態でありながら瞬く間に鬼獣の群れを倒せるほどにポテンシャルを発揮した。
ゲッター2のパイロット、神隼人。
ゲッター3のパイロット、武蔵坊弁慶。
彼ら二人で駆るゲッターは本来の力を発揮しきれず、鬼獣一体にも手間取るが、竜馬が乗り込んだ瞬間に炉心を取り込む前の状態でありながら瞬く間に鬼獣の群れを倒せるほどにポテンシャルを発揮した。
そんな彼らを早乙女博士はこう称した。
神隼人と武蔵坊弁慶は、流竜馬を制御する役目。
無限の進化に歯止めをかけるストッパーだと。
神隼人と武蔵坊弁慶は、流竜馬を制御する役目。
無限の進化に歯止めをかけるストッパーだと。
『目を覚ませ、竜馬!』
本来の歴史では友の呼びかけに魂を呼び起こされ、ゲッター線の同化を跳ねのけ、正気を取り戻した。
その片割れは、もういない。
千の神の祈りも、正義の意味も知らず、争いの歴史の渦に身を投じてきた、腐れ縁の男は、この地で散ってしまった。
ストッパーの一つを失った彼が正気を取り戻せるかはわからない。
もしも戻るとすれば、それは———
【一日目/夜/????】
※基本支給品、ランダム支給品0~2、彩声の食料品、白バイ@現地調達品は消滅しました。
※原子崩しでどこに飛ばされたかは次の書き手の方にお任せします。
※原子崩しでどこに飛ばされたかは次の書き手の方にお任せします。
【流竜馬@新ゲッターロボ】
[状態]:ダメージ(大、再生中)、疲労(大、再生中)、ゲッター線同化による暴走、自我消失。
[服装]:
[装備]:
[道具]:
[思考]
基本方針:全てを壊す。
[状態]:ダメージ(大、再生中)、疲労(大、再生中)、ゲッター線同化による暴走、自我消失。
[服装]:
[装備]:
[道具]:
[思考]
基本方針:全てを壊す。
[備考]
※少なくとも晴明を倒した後からの参戦。
※早苗、ブチャラティ(ドッピオ)、カナメ、霊夢と情報交換してます。
※琴子、あかり、ドッピオ、メアリ、竜馬の五人でこれまでの経緯と、生存者についての情報を交換しました。
※ゲッター線に呑まれて暴走しており、身体能力が増大しています。
※ゲッター線の共鳴により、肉体再生の付与、魔王ベルセリアの能力を引き継いでいます。
※少なくとも晴明を倒した後からの参戦。
※早苗、ブチャラティ(ドッピオ)、カナメ、霊夢と情報交換してます。
※琴子、あかり、ドッピオ、メアリ、竜馬の五人でこれまでの経緯と、生存者についての情報を交換しました。
※ゲッター線に呑まれて暴走しており、身体能力が増大しています。
※ゲッター線の共鳴により、肉体再生の付与、魔王ベルセリアの能力を引き継いでいます。
【メアリ・ハント@乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった… 死亡】
【麦野沈利@とある魔術の禁書目録Ⅲ 死亡】
【罪歌@デュラララ!! 消滅】
【夾竹桃@緋弾のアリアAA 死亡】
【麦野沈利@とある魔術の禁書目録Ⅲ 死亡】
【罪歌@デュラララ!! 消滅】
【夾竹桃@緋弾のアリアAA 死亡】
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魔獣戦線 ーDeep Redー | 投下順 | 天翔けるもの ―偽りの仮面― |
前話 | キャラクター | 次話 |
魔獣戦線 ーDeep Redー | 垣根帝督 | その座標に黒を打て(前編) |
魔獣戦線 ーDeep Redー | ムネチカ | その座標に黒を打て(前編) |
魔獣戦線 ーDeep Redー | 夾竹桃 | GAME OVER |
魔獣戦線 ーDeep Redー | 麦野沈利 | GAME OVER |
魔獣戦線 ーDeep Redー | 十六夜咲夜 | その座標に黒を打て(前編) |
魔獣戦線 ーDeep Redー | ベルベット・クラウ | 1/3の純情な感情 |
魔獣戦線 ーDeep Redー | 琵琶坂永至 | 1/3の純情な感情 |
魔獣戦線 ーDeep Redー | リュージ | その座標に黒を打て(前編) |
魔獣戦線 ーDeep Redー | メアリ・ハント | GAME OVER |
魔獣戦線 ーDeep Redー | 流竜馬 | 暴走特急 |