「――なるほど。其方の経緯は理解しました」
高坂麗奈とアリアは、ゲーム開始からわりと早い時期に出会った。
アリアは武偵として、一般市民たる麗奈を保護する立場で、彼女と行動を共にし、第一回放送前に、二人は揃って遺跡に足を踏み入れた。
そこで複数の参加者と出会い、それを契機に、当該施設を対主催の拠点としていたが、突如として正体不明の鋼の巨人が襲来。
一同は散り散りになり、アリアも麗奈と離れ離れになってしまった―――。
アリアは武偵として、一般市民たる麗奈を保護する立場で、彼女と行動を共にし、第一回放送前に、二人は揃って遺跡に足を踏み入れた。
そこで複数の参加者と出会い、それを契機に、当該施設を対主催の拠点としていたが、突如として正体不明の鋼の巨人が襲来。
一同は散り散りになり、アリアも麗奈と離れ離れになってしまった―――。
アリア扮する無惨が、レインと静雄に語った内容は、『遺跡に複数の参加者が集まっていた』という真実を基に、虚飾と脚色を織り込んだものであった。
静雄はというと、当初こそ相槌と質問を投げかけていたが、彼女の語る話の内容で、臨也ご登場してからというものの、腕を組んだまま瞑目し、黙り込んでいた。
一方で、レインは、そんな静雄に構うことはなく、無惨と滞りなく情報を交換していった。
静雄はというと、当初こそ相槌と質問を投げかけていたが、彼女の語る話の内容で、臨也ご登場してからというものの、腕を組んだまま瞑目し、黙り込んでいた。
一方で、レインは、そんな静雄に構うことはなく、無惨と滞りなく情報を交換していった。
「ですが、残念ながら、私達はその高坂麗奈さんと思わしき人は見かけていません。
ムーンブルク城を発ってからも、誰とも会うことはなく、此方に辿り着きました」
ムーンブルク城を発ってからも、誰とも会うことはなく、此方に辿り着きました」
「そう……。全く…あの子ったら、一体何処に行ったのやら……」
『アリア』は落胆したように溜息をつく。
だが、その実――。
だが、その実――。
(ふむ……あの駄犬の尻尾を掴めなかったのは惜しいが、見込みはありそうだ)
内心では、眼前のレインと静雄の二人を、冷静沈着に値踏みしていた。
聞けば、レインと静雄が道中出会ったとされる参加者は、何れも無惨と麗奈、そして神崎・H・アリアとの繋がりはない人物ばかりであった。
仮に、道中出会った人物から三人の情報を齎されていた場合、無惨から語り聞かされていた内容と符合することなく、疑問を抱くことになるだろう。
そのようなことがあらば、この場で屠ることも厭わなかったが、今のところ、その様子はない。上手く利用できそうだ。
聞けば、レインと静雄が道中出会ったとされる参加者は、何れも無惨と麗奈、そして神崎・H・アリアとの繋がりはない人物ばかりであった。
仮に、道中出会った人物から三人の情報を齎されていた場合、無惨から語り聞かされていた内容と符合することなく、疑問を抱くことになるだろう。
そのようなことがあらば、この場で屠ることも厭わなかったが、今のところ、その様子はない。上手く利用できそうだ。
「ああ、そう言えば―――」
とここで、無惨は、ふと遺跡への道中での、臨也との会話を思い出した。
取るに足らない戯言と断じて、記憶の片隅に追いやっていたものだが、実際に対象を目の前にすると、彼から齎された情報が捨て置くことはできないものだと思い返す。
取るに足らない戯言と断じて、記憶の片隅に追いやっていたものだが、実際に対象を目の前にすると、彼から齎された情報が捨て置くことはできないものだと思い返す。
「遺跡で出会った彼―――折原臨也から、あなたのことは聞かされていたわ、平和島さん」
ピ キ ピ キ ピ キ
瞬間、静雄の足元付近から異音とともに、亀裂が生じた。
咄嗟にレインと『アリア』は、静雄の様子を窺うが、池袋最強は未だ腕を組みながら、目を瞑ったまま不動を貫いている。
しかし、その沈黙はどこか、危うさを孕んでいた。
例えるなら、噴火が差し迫った活火山のような――そんな、今にも爆発せんとする危うさを。
咄嗟にレインと『アリア』は、静雄の様子を窺うが、池袋最強は未だ腕を組みながら、目を瞑ったまま不動を貫いている。
しかし、その沈黙はどこか、危うさを孕んでいた。
例えるなら、噴火が差し迫った活火山のような――そんな、今にも爆発せんとする危うさを。
「どうやら、此処で起こったであろう戦闘の影響で、地盤が緩んでいるようです。
よほどの衝撃だったんでしょう。アリアさんも瓦礫などには近づかないようにしてくださいね。いつ崩落するか分からないので」
よほどの衝撃だったんでしょう。アリアさんも瓦礫などには近づかないようにしてくださいね。いつ崩落するか分からないので」
「えっ? あ……うん……わかったけど……」
「――それで、折原臨也さんは、静雄さんのことを、何と言っていました?」
静雄の異変に気付かぬフリをして、レインは話を戻そうとする。
レインからしてみれば、大方内容は察することは出来るが、静雄へのフォローも兼ねて、敢えて問い質すことにした。
レインからしてみれば、大方内容は察することは出来るが、静雄へのフォローも兼ねて、敢えて問い質すことにした。
「『目につく人間を片っ端から襲い掛かる獣みたいな危険人物』って言ってたわ」
ガ ゴ ォ ン
まるで大地そのものが悲鳴を上げたような、一際大きな破砕音が響き渡ると同時に、池袋最強の足元付近の地面が割れ、陥没した。
「……っ!?」
目を見開く『アリア』の傍らで、レインはやれやれといった様子で溜息をつく。
「それは誤解ですよ、アリアさん。
私は、静雄さんとはゲームが始まってから、ずっと一緒に行動していますが、静雄さんは、そのような人ではありません。
現に、私もアリアさんも、今こうして静雄さんの目の前に立っていますが、危害は加えられていませんよね?」
私は、静雄さんとはゲームが始まってから、ずっと一緒に行動していますが、静雄さんは、そのような人ではありません。
現に、私もアリアさんも、今こうして静雄さんの目の前に立っていますが、危害は加えられていませんよね?」
「それは……そうだけど……」
『アリア』は、チラリと静雄の様子を伺う。
静雄は未だに目を瞑ったままではいるが、その額にはいくつかの青筋を浮かべており、微かに鼻息を荒くしている。
沸騰しそうな感情を、懸命に抑え込んでいるように見受けられた。
静雄は未だに目を瞑ったままではいるが、その額にはいくつかの青筋を浮かべており、微かに鼻息を荒くしている。
沸騰しそうな感情を、懸命に抑え込んでいるように見受けられた。
「静雄さんと、折原臨也さんは、元々は同窓生でお友達だったと伺っていますが、どうにも喧嘩別れしてしまったようでして、折原さんからすれば、静雄さんに対する心象はあまり良くないのでしょう。
恐らく、アリアさんが聞かされた風評も、その延長線上だと思います」
恐らく、アリアさんが聞かされた風評も、その延長線上だと思います」
「そう……なの……?」
「はい。―――ですよね、静雄さん?」
レインは、念押しと言わんばかりに、静雄へと視線を送る。
静雄は、わなわなと肩を震わせながらも、首を縦に振り、肯定の意を示したのち、ゆっくりと口を開く。
静雄は、わなわなと肩を震わせながらも、首を縦に振り、肯定の意を示したのち、ゆっくりと口を開く。
「まぁ、なんだ……ちょっとしたすれ違いというヤツだよ……アリアちゃん……。
ノミむ……臨也君とは、喧嘩の最中だからよ……。
だから……あいつが俺のことを悪く言ったとしても、気にするこたぁねぇぞ……」
ノミむ……臨也君とは、喧嘩の最中だからよ……。
だから……あいつが俺のことを悪く言ったとしても、気にするこたぁねぇぞ……」
顔を引きつらせながらではあったが、どうにか笑顔を作り、『アリア』へと語り掛ける。
だが、そのこめかみには、依然として、いくつもの青筋が浮かび上がっていた。
だが、そのこめかみには、依然として、いくつもの青筋が浮かび上がっていた。
「―――だそうです。なので、安心してください、アリアさん。
静雄さんが安心安全なのは、私が保証しますので」
静雄さんが安心安全なのは、私が保証しますので」
無理する静雄を悟られまいと、レインも『アリア』に語り掛け、意識を自身へ向けさせる。
「そう……なら、私としては問題ないんだけど……」
無惨としても、臨也が語ったような、会話が一切通じない面倒な手合いではない者と分かれば、それ以上追及する必要もないと判断した。
そもそも、臨也と静雄の間で、何が起こったなどは興味の欠片もない。
鬼舞辻無惨にとって、他者の存在など、自分にとって役に立つかそれ以外か、その二択でしかないのだから。
そもそも、臨也と静雄の間で、何が起こったなどは興味の欠片もない。
鬼舞辻無惨にとって、他者の存在など、自分にとって役に立つかそれ以外か、その二択でしかないのだから。
「誤解も解けたようですし、そろそろ本題に入りましょう。
これから、どうしていくのかについて―――」
「そうね。それじゃあ――」
これから、どうしていくのかについて―――」
「そうね。それじゃあ――」
レインの言葉を皮切りに、『アリア』は、今後の方針を口にして、静雄とレインは、それに耳を傾ける。
偽りの武偵が語らう、その内容は―――。
◇
「奇怪な」
この日、ヤマト八柱将、剛腕のヴライは、同じ言葉を二度口にした。
一度目は、病院という施設を目の当たりにした時。
そして二度目のそれは、今自分が立っているこの建物の内容についてだ。
一度目は、病院という施設を目の当たりにした時。
そして二度目のそれは、今自分が立っているこの建物の内容についてだ。
スーパーマーケット。
市街地を彷徨う果てに行き着いた、その施設は、ヤマトに生きたヴライにとっては、未知のもので溢れ返っていた。
生暖かな風が吹く外とは違い、この施設の中は涼しい。
眩い人口の照明によって照らされた店内には、様々なものが陳列されている。
野菜、果物がそのまま積み上げられているかと思えば、肉や魚といった類のものは、パックに入れられて並んでいる。
飲料水の入った容器も並べられており、触れてみると冷たい感触があった。
市街地を彷徨う果てに行き着いた、その施設は、ヤマトに生きたヴライにとっては、未知のもので溢れ返っていた。
生暖かな風が吹く外とは違い、この施設の中は涼しい。
眩い人口の照明によって照らされた店内には、様々なものが陳列されている。
野菜、果物がそのまま積み上げられているかと思えば、肉や魚といった類のものは、パックに入れられて並んでいる。
飲料水の入った容器も並べられており、触れてみると冷たい感触があった。
ヴライは思う。
奇怪だ。この地で目にするもの多くは、奇妙で、不可解なものばかりだ、と。
だが、どのような原理でこれらが動いているのかは、興味がない。
ただ一つだけ確かなことはある。
それは、己が眼前に拡がるものは、次なる闘いへの糧になるものだということ。
奇怪だ。この地で目にするもの多くは、奇妙で、不可解なものばかりだ、と。
だが、どのような原理でこれらが動いているのかは、興味がない。
ただ一つだけ確かなことはある。
それは、己が眼前に拡がるものは、次なる闘いへの糧になるものだということ。
ド ス ン
ヴライは陳列棚から幾つもの飲食物を手に取ると、その場に腰を下ろし、貪り始めた。
弁当コーナーに置かれていた容器の蓋を乱暴に取り去ると、中に入っていたものを手掴みし、口の中に放り込む。
白米、唐揚げ、卵焼き、焼き鮭、スパゲッティ―――ヤマトでは見たことのないものも多々含まれているが、味は悪くない。
あっという間に一つ目の弁当を平らげると、次の弁当に手を掛けていく。
弁当コーナーに置かれていた容器の蓋を乱暴に取り去ると、中に入っていたものを手掴みし、口の中に放り込む。
白米、唐揚げ、卵焼き、焼き鮭、スパゲッティ―――ヤマトでは見たことのないものも多々含まれているが、味は悪くない。
あっという間に一つ目の弁当を平らげると、次の弁当に手を掛けていく。
ここには、彼の食事を世話してくれる給仕などはいない。
ただひたすらに、出来合いの食物を、胃に流し込み、己が血肉へと変えていく。
振り返ってみると、此の地に来てからは、闘争の連続で、まともに腹を満たすことはなかった。
武士にとって、飢餓は決して、捨て置くことのできぬものだ。
戦場で身体が弱り、気力が衰えることあらば、それ即ち敵に致命的な隙を与えることになるからだ。
ただひたすらに、出来合いの食物を、胃に流し込み、己が血肉へと変えていく。
振り返ってみると、此の地に来てからは、闘争の連続で、まともに腹を満たすことはなかった。
武士にとって、飢餓は決して、捨て置くことのできぬものだ。
戦場で身体が弱り、気力が衰えることあらば、それ即ち敵に致命的な隙を与えることになるからだ。
「……。」
もにゅもにゅと咀噛しながら、ヴライはペットボトルの蓋部分をもぎ取ると、そのまま一気に飲み干す。
「ぬぅ……!?」
途端に、目を見開くヴライ。
喉元を通り過ぎる清涼感と共に、ピリピリと痺れるような感覚を覚えたからだ。
ペットボトルのラベルには、「ヤシの実サイダー」と記されているが、ヤマトの漢には、それが何を意味するかは分からない。
喉元を通り過ぎる清涼感と共に、ピリピリと痺れるような感覚を覚えたからだ。
ペットボトルのラベルには、「ヤシの実サイダー」と記されているが、ヤマトの漢には、それが何を意味するかは分からない。
だが―――。
「クワサの類か……、悪くない」
その不可思議な飲料は、味や質は遥かに落ちるが、クワサ――ヤマトで広く嗜まれる柑橘系の発泡酒を彷彿とさせて、どことなく懐かしい味わいであった。
「……。」
更に、もう一本。
同じラベルのペットボトルを掴むと、その先端部分を抜き取る。
そして、ゆっくりと味わうように、中身を飲み干していく。
同じラベルのペットボトルを掴むと、その先端部分を抜き取る。
そして、ゆっくりと味わうように、中身を飲み干していく。
彼が敬う現人神の宴席にて、振る舞われていた彼の地の地酒――。
その酸味の強い刺激的な味わいを懐かしみながら、漢は束の間の休息を得ることとなった。
その酸味の強い刺激的な味わいを懐かしみながら、漢は束の間の休息を得ることとなった。
◇
「それにしても、さっきはよく我慢できましたね、静雄さん」
「何の話だ…?」
「何の話だ…?」
フィールドを疾走するコシュタ・バワーの自転車。
レインは、ひたすらにペダルを漕ぐ静雄の背中に抱き着きながら、声を掛ける。
レインは、ひたすらにペダルを漕ぐ静雄の背中に抱き着きながら、声を掛ける。
「アリアさんに吹き込まれていた、静雄さんについての悪評のことですよ」
敢えて、その悪評の元凶たる男の名前を挙げないのは、名前を聞くだけでも、静雄の琴線に触れるだろう、と判断したから。
これまでの付き合いで、静雄との適切な接し方を心得たレインならではの気遣いであった。
これまでの付き合いで、静雄との適切な接し方を心得たレインならではの気遣いであった。
「ああ、そん事か……。いや…正直……限界だったけどよ……。
レインが上手く機転を利かせてくれたから、どうにか踏みとどまることが出来たわ、ありがとな」
レインが上手く機転を利かせてくれたから、どうにか踏みとどまることが出来たわ、ありがとな」
静雄は、振り返ることなく感謝を告げる。
そして、大きな溜息を吐くと、ハンドルを握る手に力を込める。
そして、大きな溜息を吐くと、ハンドルを握る手に力を込める。
「――にしても、あのノミ蟲……。相変わらず、コソコソコソコソと陰険な真似しやがってよぉ……! やっぱ、あいつはぶっ殺さねえと、気が済まねえ……!!
……殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す―――」
……殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す―――」
歯軋りを鳴らしつつ、臨也への殺意を呟き続ける静雄。
元々レインの仮説を聞いてからは、臨也をはじめとする自身の“敵”に対する害意を躊躇していた。
しかし、アリアから齎された情報で、やはり自分の激情を抑えつけることは、難しいと悟った。
特に臨也だ。もしも、この先あのヘラヘラした面貌を見掛けることがあれば、有無を言わさず、殴り飛ばすことになりそうだ。
元々レインの仮説を聞いてからは、臨也をはじめとする自身の“敵”に対する害意を躊躇していた。
しかし、アリアから齎された情報で、やはり自分の激情を抑えつけることは、難しいと悟った。
特に臨也だ。もしも、この先あのヘラヘラした面貌を見掛けることがあれば、有無を言わさず、殴り飛ばすことになりそうだ。
「――静雄さん、今は……」
「――分かってる……。
まずは、城に戻って……それから、アリアちゃんとの約束だろ……?」
「――分かってる……。
まずは、城に戻って……それから、アリアちゃんとの約束だろ……?」
結局『アリア』とは、二手に分かれたほうが効率的だという彼女の提案に則る形で、一旦別れることとなった。
『アリア』は、北上し、スパリゾート高千穂や、早乙女研究所といった静雄達が探索しなかった場所を中心に、高坂麗奈の捜索を継続。
静雄達は、まずはムーンブルク城に戻り、隼人達に学校の惨状を報告。
その後の行き先は、隼人達との話し合い次第ではあるが、道中で麗奈を見つけることがあれば、彼女を保護すると約束した。
その後は、第四回放送が行われる0時を目処に、F-4にある神殿で再合流する手筈となっている。
『アリア』は、北上し、スパリゾート高千穂や、早乙女研究所といった静雄達が探索しなかった場所を中心に、高坂麗奈の捜索を継続。
静雄達は、まずはムーンブルク城に戻り、隼人達に学校の惨状を報告。
その後の行き先は、隼人達との話し合い次第ではあるが、道中で麗奈を見つけることがあれば、彼女を保護すると約束した。
その後は、第四回放送が行われる0時を目処に、F-4にある神殿で再合流する手筈となっている。
静雄としては、すぐにでも遺跡に乗り込んで、臨也の息の根を止めてやりたいところではあったが、今は自分の我儘を押し通すべき場面ではないと弁えている。
何よりも優先されるべきなのは、まだ生存している他の悪意なき参加者との連携であり、それがレインの望むところでもあるからだ。
何よりも優先されるべきなのは、まだ生存している他の悪意なき参加者との連携であり、それがレインの望むところでもあるからだ。
『参加者の皆様方、ご機嫌よう―――』
会場内に、テミスのアナウンスが流れだしたのは、ちょうどその時であった。
◇
バギッ ドガン バリン
市街地に絶え間なく、破壊音が木霊する。
電柱を軽々しく引っこ抜いたかと思えば、それをぶっきらぼうに振り回して、石造りの壁を粉砕したり、アスファルトの大地に叩きつけたりなどして、とにかく目に付くものに次々と破壊の痕跡を残していく。
電柱を軽々しく引っこ抜いたかと思えば、それをぶっきらぼうに振り回して、石造りの壁を粉砕したり、アスファルトの大地に叩きつけたりなどして、とにかく目に付くものに次々と破壊の痕跡を残していく。
「……クソがぁっ……!!」
暴風の如き勢いで暴れ回る静雄。
積もりに積もった苛立ちが、放送で告げられた友人の死を契機に、爆発してしまったのだ。
積もりに積もった苛立ちが、放送で告げられた友人の死を契機に、爆発してしまったのだ。
「……新羅の野郎―――」
世間一般から見ても、岸谷新羅という人間は、決して善人と呼べる人物ではなかった。
何かと理由をつけて、解剖させてほしいなどと頼み込むなどの傍迷惑な一面もあったし、愛する彼女と一緒にいるためには、どんな手段も厭わないなどと言い出したりと、危うい一面も兼ね備えていた変人だ。
だがそれでも、彼は小学生時代からの腐れ縁でもあったし、困った時には、何かと世話にもなったりと、静雄にとっては、数少ない友人であったのは紛れもない事実である。
何かと理由をつけて、解剖させてほしいなどと頼み込むなどの傍迷惑な一面もあったし、愛する彼女と一緒にいるためには、どんな手段も厭わないなどと言い出したりと、危うい一面も兼ね備えていた変人だ。
だがそれでも、彼は小学生時代からの腐れ縁でもあったし、困った時には、何かと世話にもなったりと、静雄にとっては、数少ない友人であったのは紛れもない事実である。
『僕は、どんな悪党になってもいいから、その人を引き留めようとすると思う。
人だって殺すかもしれない』
人だって殺すかもしれない』
静雄の脳裏に過ぎるは、高校時代に、彼と交わした何気ない会話。
『まあいいさ。そん時は、俺がその女の代わりに空の果てまでぶっ飛ばしてやるから安心しろ』
新羅がどのような経緯で、命を落としたかは分からない。
道中出会った仮面連中のような殺し合いに乗った人物の毒牙にかかったのかもしれないが、先の放送で最愛の彼女の死を知った彼が、間違いを起こしてしまい、その結果返り討ちにあった可能性は十分考えられる。
その場合は、殺した相手に怒りを向けるのは筋違いだ。
では、乱心した新羅に怒りをぶつけるべきかというと、それも否である。
道中出会った仮面連中のような殺し合いに乗った人物の毒牙にかかったのかもしれないが、先の放送で最愛の彼女の死を知った彼が、間違いを起こしてしまい、その結果返り討ちにあった可能性は十分考えられる。
その場合は、殺した相手に怒りを向けるのは筋違いだ。
では、乱心した新羅に怒りをぶつけるべきかというと、それも否である。
結局のところ―――。
「約束、破っちまったじゃねえかよ……!!!」
静雄の怒りの矛先は、自分が吐いた言葉すらも履行できず、あまつさえ友人達をも守ってやれなかった自分自身の不甲斐なさに向けられていたのだ。
そしてご覧の通り、このやり場のない怒りを、モノに当たり散らしているのが、現状だ。
そしてご覧の通り、このやり場のない怒りを、モノに当たり散らしているのが、現状だ。
――情けねえ……。
拳を思い切り石造りの塀に叩きつけ、粉微塵になった破片を蹴り飛ばしながら、静雄は痛感する。
自分は無力だと。
友人すらも救えない、矮小な存在であると。
自分は無力だと。
友人すらも救えない、矮小な存在であると。
そして、先の放送ではもう一人。
彼の知る人物の名前が、脱落者としてアナウンスされてしまった。
彼の知る人物の名前が、脱落者としてアナウンスされてしまった。
「……アリアちゃん……」
先程別れたばかりのアリアも、何者かの手によって、その若き命を絶たれてしまった。
その事実もまた静雄を苛立たせ、彼を破壊活動に拍車をかけていた。
その事実もまた静雄を苛立たせ、彼を破壊活動に拍車をかけていた。
やがて――。
「どうぞ」
ハァーハァー、と肩で息をしつつ鎮まった静雄の元へと、レインは歩み寄り、ペットボトルを差し出す。
彼女は、第三回放送で、新羅の名前が呼ばれるや否や、自ずとコシュタ・バワーとともに、静雄の元から避難して、平和島の噴火が収束する頃合いを見計らっていたのである。
彼女は、第三回放送で、新羅の名前が呼ばれるや否や、自ずとコシュタ・バワーとともに、静雄の元から避難して、平和島の噴火が収束する頃合いを見計らっていたのである。
「……わりぃな……」
静雄は礼を述べつつ、差し出されたペットボトルを受け取り、蓋を開けるなり、ゴクゴクと喉の奥へ流し込んでいく。
水分補給をして少し落ち着いたのか、大きく深呼吸すると、ふぅ、と一息つくと、改めて更地と化した市街地を見渡す。
先程までは比較的整っていた市街地エリアだったが、怒れる静雄の手によって、今や先の学校と変わらぬほどの更地と化している。
水分補給をして少し落ち着いたのか、大きく深呼吸すると、ふぅ、と一息つくと、改めて更地と化した市街地を見渡す。
先程までは比較的整っていた市街地エリアだったが、怒れる静雄の手によって、今や先の学校と変わらぬほどの更地と化している。
「俺は―――弱えな……」
「いえ、静雄さんは強いですよ」
「……そういう意味じゃねぇ――。
確かに、腕っぷしならそこら辺のやつよりちょっとばかしあるかもしれねぇし、身体も少しだけ頑丈に出来ているかもしれねえけどよ……。
ダチを護ることも出来ねぇし、てめえの吐いた言葉も守れちゃいねぇ……。
おまけにこの有様だ……てめえの感情もろくに抑えられねえ……」
確かに、腕っぷしならそこら辺のやつよりちょっとばかしあるかもしれねぇし、身体も少しだけ頑丈に出来ているかもしれねえけどよ……。
ダチを護ることも出来ねぇし、てめえの吐いた言葉も守れちゃいねぇ……。
おまけにこの有様だ……てめえの感情もろくに抑えられねえ……」
悔しそうに拳を握り締め、奥歯を噛み締める静雄。
そんな静雄に対して、レインは溜息を交えながら、呟いた。
そんな静雄に対して、レインは溜息を交えながら、呟いた。
「――弱くても、良いのではないでしょうか?」
「あぁ?」
「あぁ?」
レインの口から飛び出した発言に、静雄は思わず眉根を寄せた。
「だって私達は―――」
訝しげに視線を送ってくる静雄とは対照的に、レインは表情を変えることはない。
いつも通りの淡々とした口調で、告げる。
いつも通りの淡々とした口調で、告げる。
「人間ですから」
半日以上間近で見ていて、レインは思った。
平和島静雄という男は、どうしようもなく、呆れるほどに、“人間”らしい人間なのであると。
静雄を知る者の多くは、その身に纏った圧倒的な暴力が故、彼を"化物"、"怪物"と呼び、恐れることもあるだろう。
平和島静雄という男は、どうしようもなく、呆れるほどに、“人間”らしい人間なのであると。
静雄を知る者の多くは、その身に纏った圧倒的な暴力が故、彼を"化物"、"怪物"と呼び、恐れることもあるだろう。
「人間は総じて弱い生き物です。
望んでいたものを取り零したり、大切なものを守れなかったり、過ちを犯してしまうことだって多々あります――今回のように」
望んでいたものを取り零したり、大切なものを守れなかったり、過ちを犯してしまうことだって多々あります――今回のように」
だが、皆が畏怖の対象とする静雄のそれは、表面上のものであって、彼の内面は誰よりも熱く、純粋で、それ故に脆い。
だからこそ、静雄の隣には、彼の本質を理解できる人間がいてあげなければならない。
その性質上、他者から敬遠され、畏怖されがちな彼と他者を繋げる架け橋となり、必要あらば、彼の暴走を抑止できる存在が。
だからこそ、静雄の隣には、彼の本質を理解できる人間がいてあげなければならない。
その性質上、他者から敬遠され、畏怖されがちな彼と他者を繋げる架け橋となり、必要あらば、彼の暴走を抑止できる存在が。
「何でも一人で卒なくこなせる、完璧な人間なんて存在しませんよ。
人は弱いからこそ、手を取り合い、互いの弱さを補いながら、前へと進んでいかないといけないのです。だから、静雄さん―――」
人は弱いからこそ、手を取り合い、互いの弱さを補いながら、前へと進んでいかないといけないのです。だから、静雄さん―――」
そこで一度区切ると、レインは改めて静雄に向き直り、真っ直ぐな瞳で彼を捉えて、言う。
「静雄さんが弱いのであれば、私がカバーします。
私は、静雄さんよりもずっと弱い人間ですけど、それでも力を合わせることで静雄さんの弱い部分を、カバーできるはずです。
その代わりと言っては差し出がましいかもしれませんが、静雄さんも、私の弱い部分を補って頂けるよう、これからも、お力添えいただけると助かります」
私は、静雄さんよりもずっと弱い人間ですけど、それでも力を合わせることで静雄さんの弱い部分を、カバーできるはずです。
その代わりと言っては差し出がましいかもしれませんが、静雄さんも、私の弱い部分を補って頂けるよう、これからも、お力添えいただけると助かります」
自分の胸に手を当てて、そう語るレイン。
そんな少女を前に、静雄は一瞬面食らったような顔をする。
そして、しばらく考え込む素振りを見せたかと思うと、頭をガシガシと掻きむしる。
そんな少女を前に、静雄は一瞬面食らったような顔をする。
そして、しばらく考え込む素振りを見せたかと思うと、頭をガシガシと掻きむしる。
「あーつまり何だ……レインは俺のことを励ましてくれてるってことで良いんだよなぁ?」
「……はい――。そのつもりでしたが……?」
「……はい――。そのつもりでしたが……?」
いまいちピンときていない静雄に対して、レインもまた少し自信をなくしたように、トーンを落とした。
元々落ち込む静雄に発破をかけようと、彼女なりの理論を振りかざして収めようと、試みていたのだが、直情的な静雄には、遠回しな言い回しは適していなかったようだ。
元々落ち込む静雄に発破をかけようと、彼女なりの理論を振りかざして収めようと、試みていたのだが、直情的な静雄には、遠回しな言い回しは適していなかったようだ。
レインは、頭脳明晰で、卓越した情報分析能力を有しているが、そもそも人心掌握に長けているわけではない。
カナメとクランを結成するまでは、ソロプレイヤーとして活動していたし、彼女の半生において、落ち込む誰かを励ましたり、元気づける機会には中々遭遇することはなかった。
そういった経験値不足が故に、何とも不慣れで不器用なやり取りに着地してしまったのだが―――。
カナメとクランを結成するまでは、ソロプレイヤーとして活動していたし、彼女の半生において、落ち込む誰かを励ましたり、元気づける機会には中々遭遇することはなかった。
そういった経験値不足が故に、何とも不慣れで不器用なやり取りに着地してしまったのだが―――。
「ふっ…そうか。何だか要らねえ気を遣わせちまったようで悪かったな、レイン」
静雄は小さく笑うと、ポンとレインの小さな頭の上に掌を乗せる。
「――!」
「ありがとな、お前のおかげで、少し楽になったぜ」
「ありがとな、お前のおかげで、少し楽になったぜ」
そう言って、静雄はレインの髪をわしゃわしゃと撫で回す。
静雄からすると、周りくどい言い回しではあったが、レインの気持ちはしっかりと受け取れたのだ。
静雄からすると、周りくどい言い回しではあったが、レインの気持ちはしっかりと受け取れたのだ。
「……静雄さん、手を放してください。いい加減怒りますよ……」
「おっと……わりぃ……」
「おっと……わりぃ……」
慌てて手を引っ込めた静雄。
レインは、乱れたおかっぱ頭を不機嫌そうに整わせながら、ジトリと静雄を睨みつけた。
そんな矢のように鋭い視線を、「ははは」と笑い流しながら、池袋最強は心の内で誓う。
レインは、乱れたおかっぱ頭を不機嫌そうに整わせながら、ジトリと静雄を睨みつけた。
そんな矢のように鋭い視線を、「ははは」と笑い流しながら、池袋最強は心の内で誓う。
せめて、こいつだけは護ってやらないとな、と―――。
「――それで、これからのことについてですが……」
乱れた髪を整え終えると、レインは改まって話を切り出す。
静雄も、真剣な顔つきとなって耳を傾ける。
静雄も、真剣な顔つきとなって耳を傾ける。
「先程までに定めていた行動方針は、一度見直す必要があると思います」
「……アリアちゃんの件だよな?」
「はい、彼女の死亡が発表された今、彼女との約定も意味をなさなくなりました」
「……アリアちゃんの件だよな?」
「はい、彼女の死亡が発表された今、彼女との約定も意味をなさなくなりました」
静雄は悔しそうに歯噛みする。
彼女と別れたのは、つい数刻前。
そこから第三回放送までの僅かの間に、彼女は何者かの手にかかって命を落としてしまったことになる。
彼女と別れたのは、つい数刻前。
そこから第三回放送までの僅かの間に、彼女は何者かの手にかかって命を落としてしまったことになる。
「あークソッ!! やっぱ、あん時、アリアちゃんを一人で行かせるべきじゃなかったんだぁッ!!
どこのどいつか知らねえけど、殺った奴はまだ近くにいるってことだよなぁッ――!!
だったらまずは、そいつを見つけ出して、ぶっ殺さねえといけねえって事だよなぁッ―――!!!」
どこのどいつか知らねえけど、殺った奴はまだ近くにいるってことだよなぁッ――!!
だったらまずは、そいつを見つけ出して、ぶっ殺さねえといけねえって事だよなぁッ―――!!!」
ビ キ ビ キ ビ キ
理不尽にその命を奪われてしまった少女のことを思い出し、静雄の中では、再び怒りが膨れ上がり、額に青筋を浮かべていく。
そして、その青筋の数に比例するように、彼の踏む大地が悲鳴を上げ、ひび割れていく。
再び、市街地に天災が降り注ぐ――と思われたその時だった。
そして、その青筋の数に比例するように、彼の踏む大地が悲鳴を上げ、ひび割れていく。
再び、市街地に天災が降り注ぐ――と思われたその時だった。
「落ち着いてください、静雄さん」
「……! ――ああ……わりぃ」
「……! ――ああ……わりぃ」
静雄の怒りを宥めるかのように、あくまでも冷静な声音で紡がれたレインの一言。
その言葉によって、静雄の意識は現実に引き戻される。
怒る静雄に、宥めるレイン――。そのやり取りは奇しくも、ありし日の静雄とセルティの
それを彷彿させるものであったが、静雄がそれに気付くことはない。
その言葉によって、静雄の意識は現実に引き戻される。
怒る静雄に、宥めるレイン――。そのやり取りは奇しくも、ありし日の静雄とセルティの
それを彷彿させるものであったが、静雄がそれに気付くことはない。
「私は、今は彼女の仇討ちよりも優先すべきことがあると考えています。
先程の放送が真実なら、神隼人さんが言っていた彼らの仲間の内、まだ生存している方がいらっしゃるようです―――」
先程の放送が真実なら、神隼人さんが言っていた彼らの仲間の内、まだ生存している方がいらっしゃるようです―――」
ムーブルク城にて隼人から依頼されていた、高校付近で勃発されていたとされる戦闘の増援。
レインたちが辿り着いたころには、既に戦闘は終結しており、確認する限りでは四つの肉塊が転がっている惨状となっていた。
ジオルド・スティアートと思わしき屍の他は、黒焦げとなっており誰が誰だか判別できず、隼人より伝え聞いていた彼の仲間のうち、誰かしら二名は少なくとも生死不明という状況となっていた。
しかしながら、先の放送で、黄前久美子と十六夜咲夜の二人が判明した以上、彼女らを探索した上、隼人達と合流した方が良いだろう。
フレンダ=セイヴェルンの死亡は告知されたが、未だにウィキッド、琵琶坂永至、そして他人に擬態することが出来るという鬼舞辻無惨など、要注意人物が生存している現状、これらの参加者の毒牙にかからないよう、先に彼女らを保護した方が理にかなっている、とレインは静雄に説いていく。
レインたちが辿り着いたころには、既に戦闘は終結しており、確認する限りでは四つの肉塊が転がっている惨状となっていた。
ジオルド・スティアートと思わしき屍の他は、黒焦げとなっており誰が誰だか判別できず、隼人より伝え聞いていた彼の仲間のうち、誰かしら二名は少なくとも生死不明という状況となっていた。
しかしながら、先の放送で、黄前久美子と十六夜咲夜の二人が判明した以上、彼女らを探索した上、隼人達と合流した方が良いだろう。
フレンダ=セイヴェルンの死亡は告知されたが、未だにウィキッド、琵琶坂永至、そして他人に擬態することが出来るという鬼舞辻無惨など、要注意人物が生存している現状、これらの参加者の毒牙にかからないよう、先に彼女らを保護した方が理にかなっている、とレインは静雄に説いていく。
「――なので、私は『紅魔館』などの近隣施設の捜索を提案したいと思います」
「……分かった、そういうことだったら、こっちも文句はねえよ……」
「……分かった、そういうことだったら、こっちも文句はねえよ……」
レインからの説明に納得し、静雄は険しい顔をしながらも首肯する。
アリアを殺したであろう人物に対しては、変わらず殺意と怒りで腸が煮えくり返りそうになっているのだが、今はまだ生きている命の保護を優先するべきであると、激情を抑え込んだ。
静雄の理性が激情をどうにか制したのは、もう一つ理由がある。
アリアを殺したであろう人物に対しては、変わらず殺意と怒りで腸が煮えくり返りそうになっているのだが、今はまだ生きている命の保護を優先するべきであると、激情を抑え込んだ。
静雄の理性が激情をどうにか制したのは、もう一つ理由がある。
「……黄前久美子か……」
弁慶、セルティと行動を共にしていたという参加者。
彼女に直接会って、セルティの話を聞きたいという願望もあったからだ。
彼女に直接会って、セルティの話を聞きたいという願望もあったからだ。
「それと高坂麗奈さんとも、会ってお話しを伺いたいです」
「……そうだよな……。
そうしねえと、アリアちゃんも浮かばれねえもんな……」
「……そうだよな……。
そうしねえと、アリアちゃんも浮かばれねえもんな……」
拳を握り締めて、悔しそうに呟く静雄。
敵討ちが出来ないのであれば、せめてもの彼女が生前気に掛けていた少女を保護せねばなるまいという固い決意が湧き上がる。
敵討ちが出来ないのであれば、せめてもの彼女が生前気に掛けていた少女を保護せねばなるまいという固い決意が湧き上がる。
その一方で―――。
(……こちらとしても、色々と確認したいことがありますしね……)
(……こちらとしても、色々と確認したいことがありますしね……)
マグマのように熱き思いを抱く静雄とは真逆に、レインは氷の如く冷静沈着に思考を巡らせていた。
放送前に行った、アリアとの情報交換。
解析屋の少女は、ただ悠々と情報の受け渡しに明け暮れていたわけではない。
解析屋の少女は、ただ悠々と情報の受け渡しに明け暮れていたわけではない。
元々持ち合わせていた情報から、完全に『シロ』だと符合するものはなかったため、レインは注意深く観察していた―――眼前の緋色の少女を。
交わした言葉の端々から察せられる性格
その身から滲み出る雰囲気。その表情の変化。その仕草。
それら全てを総合的に分析し、レインは『神崎・H・アリア』という少女が本当に信頼に足る人間であるのかを見極めようとしていた。
その身から滲み出る雰囲気。その表情の変化。その仕草。
それら全てを総合的に分析し、レインは『神崎・H・アリア』という少女が本当に信頼に足る人間であるのかを見極めようとしていた。
そして、彼女が緋色の少女から見出したのは、一つの違和感であった。
――それは、高坂麗奈に対する過剰とも言える執着。
彼女が常に気にしていたのは、元々の知り合いでもないはずの麗奈の行方--。
表面上は、殺し合いに反対する善良な参加者を装ってはいるものの、その実、高坂麗奈以外の参加者の情報には、深く食いつく様子もなかった。
悪い見方をすれば、麗奈以外の参加者は、眼中にすらないといった印象を受けた。
表面上は、殺し合いに反対する善良な参加者を装ってはいるものの、その実、高坂麗奈以外の参加者の情報には、深く食いつく様子もなかった。
悪い見方をすれば、麗奈以外の参加者は、眼中にすらないといった印象を受けた。
今回の接触も、どちらかというと、麗奈の探索のために、レイン達を上手いこと利用しようと目論んでいたかもしれない、とレインは睨んでいた。
アリアが死んでしまった今、杞憂であるかもしれないが、それでも彼女に対して感じ取った違和感の答え合わせをするべく、直接麗奈と会って、情報を照らし合わせたいと考えていたのだが―――。
アリアが死んでしまった今、杞憂であるかもしれないが、それでも彼女に対して感じ取った違和感の答え合わせをするべく、直接麗奈と会って、情報を照らし合わせたいと考えていたのだが―――。
「――おい、レイン……」
「はい?」
「はい?」
不意に静雄に声を掛けられ、レインの思考は中断された。
「ありゃ、何だ?」
静雄が指差したのは夜の空。
橙色に煌めく光球が打ち上げられ、まるで流星のように天翔けていく姿が、そこにはあった。
橙色に煌めく光球が打ち上げられ、まるで流星のように天翔けていく姿が、そこにはあった。
◇
ズン ズン ズン
スーパーマーケットでの束の間の休息を経て、ヴライは再び戦場に姿を現していた。
戦場ではμのライブが奏でられている。
しかし、鼓膜を震わせるほどの歌姫の美しき歌唱も、曲に込められた楽士の怨嗟の慟哭についても、感傷に浸るような情緒はヴライには皆無だった。
ただ戦のみを求めるヤマト最強の武士にとっては、何れも有象無象の雑音にすぎないのである。
戦場ではμのライブが奏でられている。
しかし、鼓膜を震わせるほどの歌姫の美しき歌唱も、曲に込められた楽士の怨嗟の慟哭についても、感傷に浸るような情緒はヴライには皆無だった。
ただ戦のみを求めるヤマト最強の武士にとっては、何れも有象無象の雑音にすぎないのである。
先の放送では、14名の参加者の死亡が告知されたが、そこにヴライの知る名前はなく、特に思うところもない
ただ単純に、禁止エリアの位置のみ記憶し、次なる闘争を求めて、エリアを彷徨っている。
行く宛も特にない。ただ武人の嗅覚を頼りに、本能の命ずるままに進み続ける。
身体は幾多の激闘を経て既に満身創痍。しかし、『ヤマトの矛』とうたわれる漢の闘志は、微塵も衰えることはない―――。
ただ単純に、禁止エリアの位置のみ記憶し、次なる闘争を求めて、エリアを彷徨っている。
行く宛も特にない。ただ武人の嗅覚を頼りに、本能の命ずるままに進み続ける。
身体は幾多の激闘を経て既に満身創痍。しかし、『ヤマトの矛』とうたわれる漢の闘志は、微塵も衰えることはない―――。
「……ッ!!」
ピ タ リ
ヤマト最強は目を見開き、その行進を止めた。
闇夜の中より彼の視界に入ったのは、一つの人影。
距離にして数十メートル先。
相手もヴライの存在を察したのか、その歩みを止めている。
しかし、街灯の光の下に佇むその面貌を、ヴライは見紛うはずもなかった。
闇夜の中より彼の視界に入ったのは、一つの人影。
距離にして数十メートル先。
相手もヴライの存在を察したのか、その歩みを止めている。
しかし、街灯の光の下に佇むその面貌を、ヴライは見紛うはずもなかった。
ダ ン ッ!!
間髪入れずに地を蹴り上げると、闘争の権化は標的に向けて、駆け出した。
猛る、猛る、猛る、猛る、猛る--。
己が血肉と、内に宿すヒムカミが沸騰する感覚を覚えながら、彼は標的へと接敵。
己が血肉と、内に宿すヒムカミが沸騰する感覚を覚えながら、彼は標的へと接敵。
「――ぬぅん!!」
猛然と迫り来るヴライに、相手も咄嗟に反応せんとするが、既にそこはヤマト最強の間合い―――。
そのまま有無を言わさず、剛拳を繰り出す。
そのまま有無を言わさず、剛拳を繰り出す。
ドゴォオオオオン!!!!
雷鳴の如く轟く衝撃とともに、新たな戦が始まったのであった。
◇
「――おのれ、どこまでも使えぬ小娘めが……」
レイン達と別れ、会場を北上していた無惨は、テミスの定時放送を聴き終えて、憤りを覚えていた。
死亡者発表にて、忌々しい鬼殺隊の水柱の脱落や、探し求めている高坂麗奈の生存が確認できたのは、僥倖といえる。
しかし、そういった喜ばしい報せと同時に、自身が擬態しているアリアの死亡も告知されてしまった。
これでは、折角高坂麗奈確保のために取り付けたレイン達との約定も、全て水泡に帰すことになる。
故に、無惨は自分の預かり知らぬところで、勝手に命を落として、折角の工作を台無しにしてくれたアリアに対して、怒りを吐露していたのである。
しかし、そういった喜ばしい報せと同時に、自身が擬態しているアリアの死亡も告知されてしまった。
これでは、折角高坂麗奈確保のために取り付けたレイン達との約定も、全て水泡に帰すことになる。
故に、無惨は自分の預かり知らぬところで、勝手に命を落として、折角の工作を台無しにしてくれたアリアに対して、怒りを吐露していたのである。
「此の地で出会う人間は、悉く苛立たせてくれる……」
今でも、最優先事項は麗奈の確保にある。
その為には、先程のレイン達のように、他参加者を欺き、自身の手足となるよう仕向ける必要がある。
であれば、これ以上『神崎・H・アリア』として接触するのは得策ではない。
その為には、先程のレイン達のように、他参加者を欺き、自身の手足となるよう仕向ける必要がある。
であれば、これ以上『神崎・H・アリア』として接触するのは得策ではない。
ゴキ ゴキ
硬いものが轟く様な音とともに、少女の姿をした鬼は、その身体を変化させていく。
ゴキ ゴキ
問題は誰に擬態するのか――。
これは、現在生存しており、且つこれまでに無惨と接触し、身振り手振りや喋り方を観察できた者から選出する。
そうした方が、後々になって不都合は生じないからだ。
そうなると、候補はだいぶ絞られてくるが、ここからヴァイオレットは候補から外れる。
最後に彼女を見かけた時は深傷を負っていたように見えたから。
今は、どうにか生き永らえてるかもしれないが、瀕死の状態の彼女に擬態するのはリスクが生じる。
仮に彼女に擬態して、次の放送時に死亡者として発表でもされたら、今回のように工作が破談する可能性があるからだ。
これは、現在生存しており、且つこれまでに無惨と接触し、身振り手振りや喋り方を観察できた者から選出する。
そうした方が、後々になって不都合は生じないからだ。
そうなると、候補はだいぶ絞られてくるが、ここからヴァイオレットは候補から外れる。
最後に彼女を見かけた時は深傷を負っていたように見えたから。
今は、どうにか生き永らえてるかもしれないが、瀕死の状態の彼女に擬態するのはリスクが生じる。
仮に彼女に擬態して、次の放送時に死亡者として発表でもされたら、今回のように工作が破談する可能性があるからだ。
ゴキ ゴキ
無惨の身体から擬態に伴う音は立ち消え、一帯は夜の静寂に包まれた。
街灯の元、作り替えられた姿で佇むその姿は、かつて無惨が見た、とある参加者のものとなっていた。
街灯の元、作り替えられた姿で佇むその姿は、かつて無惨が見た、とある参加者のものとなっていた。
(まずは、先程の二人を探すべきか……)
折角利用価値があると見込んだ連中――このまま捨て置くわけにも行かない。
無惨は、レイン達と新たな容姿での接触を試みるべく、地を蹴り上げた。
自転車の類の移動手段を有していた様だが、まだそこまで遠くには離れていないはず。
であれば、日が出ていないこの状況で、己が俊足を以てすれば追いつくことは容易い筈だ。
無惨は、レイン達と新たな容姿での接触を試みるべく、地を蹴り上げた。
自転車の類の移動手段を有していた様だが、まだそこまで遠くには離れていないはず。
であれば、日が出ていないこの状況で、己が俊足を以てすれば追いつくことは容易い筈だ。
風を裂き、地を踏みしめながら疾走していく無惨――。
「―――っ!?」
しかし、彼は突如、急ブレーキをかけるように立ち止まる。
理由は単純明快。前方より人影が現れたからだ。
理由は単純明快。前方より人影が現れたからだ。
「……ッ!!」
それは、山のような巨躯を誇る漢であった。
漢の方も無惨の存在を認識したようで、その足を止める。
そして、圧倒的な威圧感を以って、睨みを利かせている。
一目見ただけでも察せられる筋骨隆々の肉体、その身体に刻まれた幾多の傷は、無数の修羅場を潜り抜けてきた証。
そして、何よりも特筆すべきは顔面に装着された仮面であろう。
その様相はまるで―――
漢の方も無惨の存在を認識したようで、その足を止める。
そして、圧倒的な威圧感を以って、睨みを利かせている。
一目見ただけでも察せられる筋骨隆々の肉体、その身体に刻まれた幾多の傷は、無数の修羅場を潜り抜けてきた証。
そして、何よりも特筆すべきは顔面に装着された仮面であろう。
その様相はまるで―――
ダ ン ッ!!
しかし、無惨の思考はここで否応なしに中断される。
その漢――剛腕のヴライは、大地を砕かんばかりの踏み込みと共に、一瞬にして間合いを詰めて来たのだ。
その漢――剛腕のヴライは、大地を砕かんばかりの踏み込みと共に、一瞬にして間合いを詰めて来たのだ。
「……っ!?」
「ぬぅん!!」
「ぬぅん!!」
巨体に似合わぬ俊敏な動きで、振り下ろされる炎を宿した拳。
無惨は紙一重の差でそれをかわすと、瞬時に後方へと跳躍し距離を取る。
空振りをした拳は、そのまま大地に叩きつけられ、アスファルトを粉塵とともに爆散させた。
無惨は紙一重の差でそれをかわすと、瞬時に後方へと跳躍し距離を取る。
空振りをした拳は、そのまま大地に叩きつけられ、アスファルトを粉塵とともに爆散させた。
「……貴様……」
無惨は、襲撃者たるヴライを睨みつける。
問答無用で仕掛けてきたところから察するに、眼前の者は殺し合いに乗った側の参加者――。
邪魔立てするのであれば、ここで排除せねばなるまい、と無惨は身構える。
問答無用で仕掛けてきたところから察するに、眼前の者は殺し合いに乗った側の参加者――。
邪魔立てするのであれば、ここで排除せねばなるまい、と無惨は身構える。
「よもや、ここで汝と相見えることになろうとはな……」
「何…?」
「何…?」
土煙が漂う中、ヴライもまた地面に突き刺さった拳を引き抜くと、無惨へと向き直る。
その真紅の双瞼は、燃え盛る炎が如く闘気と、そして底知れぬ執念を孕んでいる。
その真紅の双瞼は、燃え盛る炎が如く闘気と、そして底知れぬ執念を孕んでいる。
(――そうか、この者は……)
「こうして再び相見えた以上、もはや語る必要はあるまい――。
さぁ存分に死合おうぞぉ――オシュトル!!!」
さぁ存分に死合おうぞぉ――オシュトル!!!」
――この漢は、単純に殺しあいに乗った側というだけではない。
――己が、現在擬態している『オシュトル』に因縁のある輩である。
――己が、現在擬態している『オシュトル』に因縁のある輩である。
肉で仮面部分を形成した上で、彼の者の姿を模倣していた無惨は、この巡り合わせの悪さに苛立ちを覚える。
だが、しかし―――。
グ ォ ン ッ!!
豪速級の如く投擲された炎槍によって、その思考は中断を余儀なくされる。
無惨は咄嵯に身を捻り、それを回避する。
次の瞬間、凄まじい爆音が響き渡り、先程まで無惨がいた場所が大爆発を起こした。
無惨は咄嵯に身を捻り、それを回避する。
次の瞬間、凄まじい爆音が響き渡り、先程まで無惨がいた場所が大爆発を起こした。
「――チィッ!」
無惨は、小さく舌打ちすると、反撃を試みようと、ヴライの方を見やろうとするが―――。
「温いぞ、オシュトルっーー!!」
「っ!?」
「っ!?」
直後、無惨は己の眼前に迫った拳を視認する。
灼熱を纏ったその拳は、無惨の頭蓋を粉砕せんと迫ってくる。
灼熱を纏ったその拳は、無惨の頭蓋を粉砕せんと迫ってくる。
「この獣風情がぁっ!!」
しかし、無惨は瞬時に背後から触手を射出。
迫りくる拳を遥かに凌駕する速度で、漢の頭部に放たれる。
迫りくる拳を遥かに凌駕する速度で、漢の頭部に放たれる。
「ぬっ!?」
差し迫る高速の触手。
瞬間、思わぬ反撃にヴライは目を見開いて驚愕を露わにする。
瞬間、思わぬ反撃にヴライは目を見開いて驚愕を露わにする。
バゴォン!!
衝突音が木霊すると同時に、ヤマト最強の巨体は大きく揺らいだ。
貫通するまでは至らずとも、無惨の触手はカウンター気味に漢の顔面に直撃し、その衝撃によって後方へとその巨体を仰け反らせたのである。
貫通するまでは至らずとも、無惨の触手はカウンター気味に漢の顔面に直撃し、その衝撃によって後方へとその巨体を仰け反らせたのである。
だが、今の攻防で面食らったのは漢だけではない。
射出した触手が、先端から炭化して崩れ落ちていく様を見て、無惨もまた眉根を寄せて表情を曇らせる。
射出した触手が、先端から炭化して崩れ落ちていく様を見て、無惨もまた眉根を寄せて表情を曇らせる。
(……おのれ、奴め……)
今の一撃―――本来であればヴライの頭は果実のように弾けて潰れていた筈だ。
だが実際は、触手が直撃する寸前、漢の全身は業火に包まれると、触手を燃焼させて、その威力を殺したのである。
だが実際は、触手が直撃する寸前、漢の全身は業火に包まれると、触手を燃焼させて、その威力を殺したのである。
しかし、そんな無惨の思考も束の間―――。
「――ぐおおおぉっ!!」
ヴライは直ちに体勢を立て直すと同時に、カッと目を見開き、無惨を一瞥。
顔面から夥しい出血を流しつつも、咆哮とともに振りかぶるようにして、炎槍を投擲。
無惨は即座に回避を試みようとする。
しかし、至近距離からの射出を避けられよう筈もなく――。
顔面から夥しい出血を流しつつも、咆哮とともに振りかぶるようにして、炎槍を投擲。
無惨は即座に回避を試みようとする。
しかし、至近距離からの射出を避けられよう筈もなく――。
ド ガ ァ ア ッ!!
オシュトル扮する無惨は爆裂を浴びた。
血飛沫と肉片が飛散して、猛烈な爆炎の中で、無惨の身体は焼け爛れていく。
その姿を見れば、誰もが無惨の絶命を疑わないだろう。
投擲主であるヴライもまた、決着を確信したに違いない。
血飛沫と肉片が飛散して、猛烈な爆炎の中で、無惨の身体は焼け爛れていく。
その姿を見れば、誰もが無惨の絶命を疑わないだろう。
投擲主であるヴライもまた、決着を確信したに違いない。
しかし――。
「――私は忙しい……」
「――っ!?」
「――っ!?」
冷たい声が響いた同時に、無数の触手が、炎を背に宿して、飛び出した。
ヴライは、咄嗟に両腕を交差させ防御態勢をとるが、触手の雨は弾丸の如き勢いで、その肉体を穿たんと殺到する。
ヴライは、咄嗟に両腕を交差させ防御態勢をとるが、触手の雨は弾丸の如き勢いで、その肉体を穿たんと殺到する。
「ぬぐぉおおおおおおっ!?」
苦悶の声とともに、ズガガガッ!!と鈍器で殴打するかのような音が連続して木霊する。
ヴライは全身に炎を発現させ、触手の威力をどうにか軽減させている。
しかし、それでも着実にその身体にダメージは蓄積されていく。
ヴライは全身に炎を発現させ、触手の威力をどうにか軽減させている。
しかし、それでも着実にその身体にダメージは蓄積されていく。
「貴様なぞに構う暇などない……」
オシュトルの姿をした鬼の首魁は、爆炎から姿を現した―――焦げて千切れてズタボロとなっていた、その偽りの身体を再生させながら。
焼き爛れた皮膚は綺麗な肌色を取り戻していき、肉塊は元の形に修復され、そして吹き飛んでいた肉の仮面が、再びその顔を覆う。
それはまるで、ビデオを巻き戻すかのような光景。
焼き爛れた皮膚は綺麗な肌色を取り戻していき、肉塊は元の形に修復され、そして吹き飛んでいた肉の仮面が、再びその顔を覆う。
それはまるで、ビデオを巻き戻すかのような光景。
「身の程を弁えろ、この害獣風情がッ……!!」
無惨は、非情に、冷淡に、その鋭い視線は漢を射抜きつつ、触手の放射を一気に加速させた。
「ぬぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
畳み掛けに来た無数の触手に対し、ヴライは咆哮。
と同時に、腕を大きく振り回し火炎を噴出する。
押し寄せる紅蓮の炎に触手は飲まれていくが、そのまま無惨をも飲み込まんとする。
しかし、無惨は瞬時に後方へ跳躍し、射程圏外へと逃れる。
と同時に、腕を大きく振り回し火炎を噴出する。
押し寄せる紅蓮の炎に触手は飲まれていくが、そのまま無惨をも飲み込まんとする。
しかし、無惨は瞬時に後方へ跳躍し、射程圏外へと逃れる。
「貴様…オシュトルではないな!?」
全身から生やされる異形の触手に、仮面も含めた身体の再生――。
そのどれもが、ヴライが知る『オシュトル』には成し得ないものである。
その確信とともに、間髪入れず、ヴライは両の手に炎槍を顕現し、投擲。
無惨は、これらの悉くを躱し、夜の街に立て続けに爆音が轟く。
そのどれもが、ヴライが知る『オシュトル』には成し得ないものである。
その確信とともに、間髪入れず、ヴライは両の手に炎槍を顕現し、投擲。
無惨は、これらの悉くを躱し、夜の街に立て続けに爆音が轟く。
「ふんっ、獣畜生にも、真贋を見分ける程の知性は心得ているか……」
「貴様、何者だ!!」
「吠えるな、耳障りだ」
「貴様、何者だ!!」
「吠えるな、耳障りだ」
怒声とともに、爆撃を繰り出すヴライ。
無惨はその猛攻を掻い潜りながらも、触手、触腕を振るい、反撃を繰り出していく。
圧倒的火力を撒き散らす武の頂に対して、鬼の王はその俊敏性を以て応戦する。
炎槍とともに爆音が巻き起こり、触手とともに突風が吹き荒れる。
たった二人の参加者による激闘により、道路が、外壁が、街灯が、家屋が、次々と破壊の渦に巻き込まれていく。
それはまさに、天変地異にも等しい光景であった。
無惨はその猛攻を掻い潜りながらも、触手、触腕を振るい、反撃を繰り出していく。
圧倒的火力を撒き散らす武の頂に対して、鬼の王はその俊敏性を以て応戦する。
炎槍とともに爆音が巻き起こり、触手とともに突風が吹き荒れる。
たった二人の参加者による激闘により、道路が、外壁が、街灯が、家屋が、次々と破壊の渦に巻き込まれていく。
それはまさに、天変地異にも等しい光景であった。
「むんっ!!」
ヴライは、天を突き上げるほどの飛躍を行なってから、ありったけの炎槍を連投。
世界そのものを震わすような、凄まじい振動とともに、大地は爆ぜていく。
世界そのものを震わすような、凄まじい振動とともに、大地は爆ぜていく。
「何故、私が貴様のような下等な獣と口を利かねばならぬか甚だ疑問だが―――」
地に降り注ぐ爆撃を、後方に大きく跳躍し回避した無惨。
そのまま、ビルの外壁に触手を突き立て、その身体を張り付かせると、地上に着地したヴライを見下ろす。
そのまま、ビルの外壁に触手を突き立て、その身体を張り付かせると、地上に着地したヴライを見下ろす。
「貴様に特別に慈悲をくれてやる―――」
そう言うと、無惨は東の方角へとその指をさす。
その不可思議な無惨の言動に、ヴライは動きを止める。
その不可思議な無惨の言動に、ヴライは動きを止める。
「貴様が固執するこの面貌の漢―――オシュトルは、『遺跡』にいる。
理解できたか? もう一度言う。オシュトルは『遺跡』にいる。
理解できたな? 理解できたなら、早々に消え失せろ」
理解できたか? もう一度言う。オシュトルは『遺跡』にいる。
理解できたな? 理解できたなら、早々に消え失せろ」
まるで、出来の悪い家畜に言い聞かせるかの如く、無惨はヴライを睨みつけながら吐き捨てた。
無惨としては、こんなところで時間を無駄にしている場合ではない。
一刻も早く、麗奈確保のための手を打たなければならない。
この忌まわしい獣を排除したいのは山々だが、崩壊した市街地の惨状を見た通り、ヴライの火力は呆れるほどのものであり、このまま戦闘を継続しても、骨が折れるのは目に見えている。
故に、ここはヴライが喰らいつくであろう餌を与えて、さっさと退散させるに限ると、判断したのである。
無惨としては、こんなところで時間を無駄にしている場合ではない。
一刻も早く、麗奈確保のための手を打たなければならない。
この忌まわしい獣を排除したいのは山々だが、崩壊した市街地の惨状を見た通り、ヴライの火力は呆れるほどのものであり、このまま戦闘を継続しても、骨が折れるのは目に見えている。
故に、ここはヴライが喰らいつくであろう餌を与えて、さっさと退散させるに限ると、判断したのである。
「――オシュトルが……」
無惨が指し示した方角に目を向けながら、ヴライは呟いた。
宿敵たる漢が其処にいる――その情報を噛み締めるように。
結果として、戦場に一時の静寂が訪れる。
だが、しかし―――。
宿敵たる漢が其処にいる――その情報を噛み締めるように。
結果として、戦場に一時の静寂が訪れる。
だが、しかし―――。
「むぅんっ!!」
「――ッ!?」
「――ッ!?」
ヴライは無惨の方に向き直るや否や、炎槍を投擲。
無惨は咄嵯にビルから飛び降り、これを回避。直後、無惨が張り付いていた壁が爆音を響かせながら弾け飛んだ。
瓦礫と共に着地した無惨。そこに向けてヴライは跳躍―――勢いそのまま、拳を振り上げ殴りかかる。
無惨は咄嵯にビルから飛び降り、これを回避。直後、無惨が張り付いていた壁が爆音を響かせながら弾け飛んだ。
瓦礫と共に着地した無惨。そこに向けてヴライは跳躍―――勢いそのまま、拳を振り上げ殴りかかる。
「おのれ、理性なき獣がッ――」
迫り来るヴライを見上げながら、無惨は苛立ちとともに、無数の触手を射出―――これを迎撃せんとする。
しかし、ヴライはそれを意にも介さない。
その真紅の双瞼はただ真っ直ぐに無惨を捉えている。
そして、振り上げている拳を中心に、ヒノカムの力が収束していき、業火となって顕現する。
しかし、ヴライはそれを意にも介さない。
その真紅の双瞼はただ真っ直ぐに無惨を捉えている。
そして、振り上げている拳を中心に、ヒノカムの力が収束していき、業火となって顕現する。
「――蟲如きが……」
ヴライは怒りを募らせていた。
目の前のオシュトルを模した、見様見真似の贋作に対して――。
目の前のオシュトルを模した、見様見真似の贋作に対して――。
かつてヴライが敬った、ヤマト最強の老将の剣技を、継承している訳でもなく。
現人神たる帝、そして、帝が愛した國(ヤマト)に身命を捧げている訳でもなく。
ヤマトを守護するたるに相応しい者だけが賜われる仮面(アクルカ)―――その重責すらも知る由もなく、平然とその贋作を装った不敬者。
己を、ヤマトを、帝を、そして己が宿敵と定めた者すらも、冒涜した下賎な輩に、かつてないほどの不快感を覚えていたのだ。
現人神たる帝、そして、帝が愛した國(ヤマト)に身命を捧げている訳でもなく。
ヤマトを守護するたるに相応しい者だけが賜われる仮面(アクルカ)―――その重責すらも知る由もなく、平然とその贋作を装った不敬者。
己を、ヤマトを、帝を、そして己が宿敵と定めた者すらも、冒涜した下賎な輩に、かつてないほどの不快感を覚えていたのだ。
ゴオオオオオオオオオオオ!!
ヴライの拳に宿る炎が、湧き上がる憤怒に比例して激しさを増す。
燃え盛る炎は、迫る無惨の触手を飲み込み、やがてヴライは無惨に肉薄。
奇しくもその光景は、半日ほど前に平和島静雄がヴライに対して行ったそれと、酷似していた。
燃え盛る炎は、迫る無惨の触手を飲み込み、やがてヴライは無惨に肉薄。
奇しくもその光景は、半日ほど前に平和島静雄がヴライに対して行ったそれと、酷似していた。
「よくも我等を愚弄したなっ!!」
「貴様ッ――」
「貴様ッ――」
ド ゴ ォ ン!!
瞬間、紅蓮に燃える拳は、無惨の胴体を捉える。
武神たる漢の全力の拳撃の威力は、無惨がこの会場で受けたいかなる衝撃よりも強力無比。
凄まじい殴打音とともに、無惨の身体は発火を伴いながら、天へと吹き飛ばされる。
そして、会場の夜を照らす星となり、ヴライの元から消え去った。
武神たる漢の全力の拳撃の威力は、無惨がこの会場で受けたいかなる衝撃よりも強力無比。
凄まじい殴打音とともに、無惨の身体は発火を伴いながら、天へと吹き飛ばされる。
そして、会場の夜を照らす星となり、ヴライの元から消え去った。
「貴様如き蟲が、我が敵を騙るなど笑止千万っ!!
二度と我が前に現れるなっ!!」
二度と我が前に現れるなっ!!」
ヴライは夜天に吼えると、踵を返し、再び歩みをはじめる。
その進行先は、無惨より告げられた遺跡--。
無惨からの情報に確証がある訳ではない。しかし、捨て置くには余りある情報だった。
その進行先は、無惨より告げられた遺跡--。
無惨からの情報に確証がある訳ではない。しかし、捨て置くには余りある情報だった。
故に、ヴライは歩を進める。
宿敵オシュトルが潜んでいるという遺跡へと向かって。
宿敵オシュトルが潜んでいるという遺跡へと向かって。
【E-7/夜/市街地跡/一日目】
【ヴライ@うたわれるもの 二人の白皇】
[状態]:ダメージ(絶大)、疲労(絶大)、額に打撲痕、左腕に切り傷(中)、火傷(絶大)、頭部、顔面に複数の打撲痕、右腕に複数の銃創、シドーに対する怒り、顔面に爆破による火傷、全身にガラス片による負傷、全身に銃弾と針による負傷、無惨に対する怒り(極大)
[服装]:いつもの服装
[装備]:ヴライの仮面(罅割れ、修理しなければ近いうちに砕け散る)@うたわれるもの3
[道具]:基本支給品一式、不明支給品2つ 、大量のヤシの実サイダー(現地調達)@とある魔術の禁書目録
[思考]
基本:全てを殺し優勝し、ヤマトに帰還する
0:遺跡へと向かい、オシュトルと雌雄を決する
1:あの男(シドー)もいずれ殺す
2:アンジュの同行者(あかり、カタリナ)については暫くは放置
3:オシュトルとは必ず決着をつける
4:デコポンポの腰巾着(マロロ)には興味ないが、邪魔をするのであれば叩き潰す
5:皇女アンジュ、見事な最期であった……
6:あの術師(清明)と金髪の男(静雄)とオシュトルの贋作(無惨)に再び会ったら葬る。
[備考]
※エントゥアと出会う前からの参戦です。
※破損したことで、仮面の効能・燃費が落ちています。
※『特性』窮死覚醒 弐を習得しました。
【ヴライ@うたわれるもの 二人の白皇】
[状態]:ダメージ(絶大)、疲労(絶大)、額に打撲痕、左腕に切り傷(中)、火傷(絶大)、頭部、顔面に複数の打撲痕、右腕に複数の銃創、シドーに対する怒り、顔面に爆破による火傷、全身にガラス片による負傷、全身に銃弾と針による負傷、無惨に対する怒り(極大)
[服装]:いつもの服装
[装備]:ヴライの仮面(罅割れ、修理しなければ近いうちに砕け散る)@うたわれるもの3
[道具]:基本支給品一式、不明支給品2つ 、大量のヤシの実サイダー(現地調達)@とある魔術の禁書目録
[思考]
基本:全てを殺し優勝し、ヤマトに帰還する
0:遺跡へと向かい、オシュトルと雌雄を決する
1:あの男(シドー)もいずれ殺す
2:アンジュの同行者(あかり、カタリナ)については暫くは放置
3:オシュトルとは必ず決着をつける
4:デコポンポの腰巾着(マロロ)には興味ないが、邪魔をするのであれば叩き潰す
5:皇女アンジュ、見事な最期であった……
6:あの術師(清明)と金髪の男(静雄)とオシュトルの贋作(無惨)に再び会ったら葬る。
[備考]
※エントゥアと出会う前からの参戦です。
※破損したことで、仮面の効能・燃費が落ちています。
※『特性』窮死覚醒 弐を習得しました。
◇
「おのれ、下等生物どもがッ……!!
揃いも揃って、私の邪魔ばかりしてくれるッ!!」
揃いも揃って、私の邪魔ばかりしてくれるッ!!」
ヴライの拳を受けて、彼方まで吹き飛ばされてしまった無惨。
既に先の戦闘での損傷は癒えており、オシュトルを模した肉体は綺麗に復元されている。
だが、その表情は屈辱と激情に染まっていた。
先のヴライもそうだったように、この殺し合いで出会う参加者は、その悉くが無惨の行動を阻み、彼の神経を逆撫でしてくる。
既に先の戦闘での損傷は癒えており、オシュトルを模した肉体は綺麗に復元されている。
だが、その表情は屈辱と激情に染まっていた。
先のヴライもそうだったように、この殺し合いで出会う参加者は、その悉くが無惨の行動を阻み、彼の神経を逆撫でしてくる。
連中が生きようが死のうが、一切興味はない。
殺し合いたいならば勝手に殺し合えばよい
生きたいのならば、勝手にもがき足掻けばよい。
だから、くれぐれも私の邪魔だけはしてくれるな---単純明快にして、これ以上ないほどにシンプルな理屈だ。
なのに、奴らはそんな道理すらも理解できない。
殺し合いたいならば勝手に殺し合えばよい
生きたいのならば、勝手にもがき足掻けばよい。
だから、くれぐれも私の邪魔だけはしてくれるな---単純明快にして、これ以上ないほどにシンプルな理屈だ。
なのに、奴らはそんな道理すらも理解できない。
「――駄犬め、どこにいる……」
連中の雁首を揃えて、駆逐してやりたいという気持ちが沸き立つが、自分は連中とは違い、実利を重んじる。
故に、ここは沸騰するが如く湧き上がる激情を抑え込み、麗奈探索へと思考を切り替えた。
故に、ここは沸騰するが如く湧き上がる激情を抑え込み、麗奈探索へと思考を切り替えた。
「必ず見つけ出してやる」
――あの女は、陽光克服のための要。故に殺しはしない。
――だがもう二度と愚かなことを企てぬよう躾は必要だ。
――私の手をここまで煩わせた故、相応の仕置きは、覚悟してもらおう。
――だがもう二度と愚かなことを企てぬよう躾は必要だ。
――私の手をここまで煩わせた故、相応の仕置きは、覚悟してもらおう。
先のヴライとの邂逅といい、何事も思惑通りに進まない怒りを、麗奈への苛立ちに転嫁する無惨。
その苛立ちに、千年以上に渡る生への執着を上塗りし、麗奈への執念を燃え上がらせつつ、無惨はフィールドを彷徨うのであった。
その苛立ちに、千年以上に渡る生への執着を上塗りし、麗奈への執念を燃え上がらせつつ、無惨はフィールドを彷徨うのであった。
【D-8/夜/市街地/一日目】
【鬼舞辻無惨@鬼滅の刃】
[状態]:疲労(極大)、全身ダメージ(大)、オシュトルの姿、デジヘッド化(無自覚、浸食率低め)、麗奈の回復スキルにより回復力向上
[服装]:ペイズリー柄の着物
[装備]:シスの番傘@うたわれるもの 二人の白皇(麗奈の支給品)
[道具]:不明支給品1~3、累の首輪、鈴仙の首輪、オスカーの首輪
[思考]
基本:生き残る。手段は問わない
0:まずは麗奈を確保する。
1:麗奈確保の為の人員として、他人の姿(現在はオシュトルの姿のまま)で他の参加者を利用する。
2:太陽克服のカラクリを究明するため、ウィキッドから『デジヘッド』の情報を吐かせる。
3:私は……太陽を克服したのか……?
4:麗奈は徹底的に利用する。まずはこいつの能力の詳細を確認し、太陽克服のカラクリを探る。問題ないようであれば、麗奈を吸収することも視野にいれる。
5:昼も行動するため且つ鬼殺隊牽制の意味も込めて人間の駒も手に入れる(なるべく弱い者がいい)。
6:逆らう者は殺す。なるべく目立たないように立ち回り、優勝しか手段が無くなっても構わないよう、殺せる者は密かに殺していく。
7:鬼の配下も試しに作りたいが、呪いがかけられないことを考えるとあまり多様したくない。
8:『ディアボロ』の先程の態度が非常に不快。先程は踏みとどまったが、機を見て粛清する。よくも私に嘘をついたな。ただでは殺してやらない。
9:垣根、みぞれ、オシュトル、ロクロウ、臨也は殺しておきたいが、執着するほどではない。
10:あの獣(ヴライ)とは、二度と関わらない。
[備考]
※参戦時期は最終決戦にて肉の鎧を纏う前後です。撃ち込まれていた薬はほとんど抜かれています。
※『月彦』を名乗っています。
※本名は偽名として『富岡義勇』を名乗っています。
※ 『危険人物名簿』に記載されている参加者の顔と名前を覚えました。
※再生能力について制限をかけられていましたが、解除されました。現在の再生能力は麗奈の回復スキル『アフィクションエクスタシー』の影響で、太陽によるダメージを克服できるレベルのものとなっております。
※蓄積したストレスと、デジヘッド化した麗奈の演奏の影響をきっかけに、デジヘッド化しました。但し、見た目は変化しておらず、精神干渉を行うレベルに留まっております。現在は、同じくデジヘッド化した麗奈からの精神干渉の影響で、デジヘッドの状態を維持しておりますが、麗奈と離れればデジヘッド化の状態は、解除されます。
※ 首輪の分解・解析により首輪の中身を知りました。
※ 首輪の説明文を読み、「自分たちが作られた存在」という可能性を認識しました。
※ 『覚醒者』について纏められたレポートを読み、覚醒者『006』が麗奈、『007』が無惨であることを認識しました。
※ 攻撃強化スキル『ロジックマイト』を発動できるようになりました。無惨自身の生命が脅かされ、それによるストレスが蓄積された状態になると、無自覚に発動します。
※ 太陽光によるダメージで、身体の一部が炭化し、消失しました。
その影響で全身にダメージを負っています。
現在は麗奈との距離が縮んだおかげで、陽光を浴びてもダメージは受けませんが、消失によるダメージを回復するために、人間の血肉を食らう必要があります。
※今はオシュトルの姿に擬態しています。
[状態]:疲労(極大)、全身ダメージ(大)、オシュトルの姿、デジヘッド化(無自覚、浸食率低め)、麗奈の回復スキルにより回復力向上
[服装]:ペイズリー柄の着物
[装備]:シスの番傘@うたわれるもの 二人の白皇(麗奈の支給品)
[道具]:不明支給品1~3、累の首輪、鈴仙の首輪、オスカーの首輪
[思考]
基本:生き残る。手段は問わない
0:まずは麗奈を確保する。
1:麗奈確保の為の人員として、他人の姿(現在はオシュトルの姿のまま)で他の参加者を利用する。
2:太陽克服のカラクリを究明するため、ウィキッドから『デジヘッド』の情報を吐かせる。
3:私は……太陽を克服したのか……?
4:麗奈は徹底的に利用する。まずはこいつの能力の詳細を確認し、太陽克服のカラクリを探る。問題ないようであれば、麗奈を吸収することも視野にいれる。
5:昼も行動するため且つ鬼殺隊牽制の意味も込めて人間の駒も手に入れる(なるべく弱い者がいい)。
6:逆らう者は殺す。なるべく目立たないように立ち回り、優勝しか手段が無くなっても構わないよう、殺せる者は密かに殺していく。
7:鬼の配下も試しに作りたいが、呪いがかけられないことを考えるとあまり多様したくない。
8:『ディアボロ』の先程の態度が非常に不快。先程は踏みとどまったが、機を見て粛清する。よくも私に嘘をついたな。ただでは殺してやらない。
9:垣根、みぞれ、オシュトル、ロクロウ、臨也は殺しておきたいが、執着するほどではない。
10:あの獣(ヴライ)とは、二度と関わらない。
[備考]
※参戦時期は最終決戦にて肉の鎧を纏う前後です。撃ち込まれていた薬はほとんど抜かれています。
※『月彦』を名乗っています。
※本名は偽名として『富岡義勇』を名乗っています。
※ 『危険人物名簿』に記載されている参加者の顔と名前を覚えました。
※再生能力について制限をかけられていましたが、解除されました。現在の再生能力は麗奈の回復スキル『アフィクションエクスタシー』の影響で、太陽によるダメージを克服できるレベルのものとなっております。
※蓄積したストレスと、デジヘッド化した麗奈の演奏の影響をきっかけに、デジヘッド化しました。但し、見た目は変化しておらず、精神干渉を行うレベルに留まっております。現在は、同じくデジヘッド化した麗奈からの精神干渉の影響で、デジヘッドの状態を維持しておりますが、麗奈と離れればデジヘッド化の状態は、解除されます。
※ 首輪の分解・解析により首輪の中身を知りました。
※ 首輪の説明文を読み、「自分たちが作られた存在」という可能性を認識しました。
※ 『覚醒者』について纏められたレポートを読み、覚醒者『006』が麗奈、『007』が無惨であることを認識しました。
※ 攻撃強化スキル『ロジックマイト』を発動できるようになりました。無惨自身の生命が脅かされ、それによるストレスが蓄積された状態になると、無自覚に発動します。
※ 太陽光によるダメージで、身体の一部が炭化し、消失しました。
その影響で全身にダメージを負っています。
現在は麗奈との距離が縮んだおかげで、陽光を浴びてもダメージは受けませんが、消失によるダメージを回復するために、人間の血肉を食らう必要があります。
※今はオシュトルの姿に擬態しています。
◇
「で、どうするんだ?」
夜空に沈んでいった正体不明の火球。
その星が堕ちる瞬間を、狙撃銃のスコープで捉えていたレインに、静雄は問い掛ける。
その星が堕ちる瞬間を、狙撃銃のスコープで捉えていたレインに、静雄は問い掛ける。
「方針は変えないです。
先程話した通り、近隣の施設を見て周りましょう」
先程話した通り、近隣の施設を見て周りましょう」
スコープに映し出されていたのは、火だるまになっていた人の影であった。
その人物像までは分からなかったが、恐らく何らかの戦闘にでも巻き込まれたのだろう。
その飛翔速度と軌跡から察するに、火だるまになった者は、その生死は不明であるが、北東の『早乙女研究所』付近に堕ちたかと思われる。
そして、吹き飛ばした相手方は、恐らく自分たちがいるエリアから東の方角の、そう遠くない場所にいるだろう。
その人物像までは分からなかったが、恐らく何らかの戦闘にでも巻き込まれたのだろう。
その飛翔速度と軌跡から察するに、火だるまになった者は、その生死は不明であるが、北東の『早乙女研究所』付近に堕ちたかと思われる。
そして、吹き飛ばした相手方は、恐らく自分たちがいるエリアから東の方角の、そう遠くない場所にいるだろう。
燦々と煌めく炎の影に、ゴルフボールのように遠方に吹き飛ばされる人間――。
これを成し得る人物に、先に遭遇した仮面の巨漢の姿を思い浮かべながら、レインはそのように分析していた。
これを成し得る人物に、先に遭遇した仮面の巨漢の姿を思い浮かべながら、レインはそのように分析していた。
「……どうした?」
「いえ、何でもありません。
先を急ぎましょう」
「いえ、何でもありません。
先を急ぎましょう」
だが、レインはその事実と考察を静雄には伏せたまま、静雄が跨る自転車の後部に、ぴょんと乗り込んだ。
―――情報は適切に扱わなければならない。
この判断は、先の教訓からえたもので、余計な情報の開示は、いらぬ混乱と、自分達の行動範囲を狭める可能性がある。
仮に、近隣エリアにあれを引き起こした危険人物がいると静雄が知れば、「そいつがアリアちゃんを殺した奴かもしれねえ、ぶっ殺す!」などと言いかねないから。
仮に、近隣エリアにあれを引き起こした危険人物がいると静雄が知れば、「そいつがアリアちゃんを殺した奴かもしれねえ、ぶっ殺す!」などと言いかねないから。
(今は、何よりも他の参加者と接触して、情報が欲しいところですね……)
これまで、接触できた参加者が少なかった手前、解析屋たるレインの元には、まだ十分な材料が揃っていない。
主催者の思惑、首輪への対応、他参加者の動向及びその勢力図―――。
解析屋として、これらを掌握していくためにも、情報収集こそが急務であるのだから。
主催者の思惑、首輪への対応、他参加者の動向及びその勢力図―――。
解析屋として、これらを掌握していくためにも、情報収集こそが急務であるのだから。
【E-6/夜/市街地/一日目】
【平和島静雄@デュラララ!!】
[状態]:疲労(極大)、ダメージ(極大)、全身火傷(大・処置済み)、出血(小~中、止血済み)、全身に複数の切り傷(小)、精神的ダメージ、全身に複数の打撃痕、レインの仮説による精神的躊躇(小)
[服装]:いつものバーテン服(ボロボロ)
[装備]:なし
[道具]:見回り用の自転車@現地調達品、コシュタ・バワー@デュラララ!!
[状態・思考]
基本行動方針:主催者を殺す。
0:近隣施設を探索してみる。
1:黄前久美子、高坂麗奈、十六夜咲夜を探した後、隼人達と合流。
2:仮面野郎共(ミカヅチ、ヴライ)は絶対殺す。
3:やっぱりノミ蟲(臨也)は見つけ次第殺す
4:竜馬の知り合いに遭ったら一応伝えておいてやる。
5:彩声との約束を守るため、梔子を護る。
6:仮面をつけている参加者を警戒。
7:久美子と会ってセルティの話を聞きたい。
8:新羅の死の真相が知りたい。
[備考]
※参戦時期は少なくともセルティが罪歌と関わって以降です。
※静雄とミカヅチの戦闘により、公園が荒れ放題となっております。
仮面アクルカによる閃光は周辺地域から視認できたかもしれません。
※彩声の遺体は喫茶店に運び込まれています。
※梔子と情報交換しました。
ただウィキッドは仲間の義理として細かくは説明してません。
[状態]:疲労(極大)、ダメージ(極大)、全身火傷(大・処置済み)、出血(小~中、止血済み)、全身に複数の切り傷(小)、精神的ダメージ、全身に複数の打撃痕、レインの仮説による精神的躊躇(小)
[服装]:いつものバーテン服(ボロボロ)
[装備]:なし
[道具]:見回り用の自転車@現地調達品、コシュタ・バワー@デュラララ!!
[状態・思考]
基本行動方針:主催者を殺す。
0:近隣施設を探索してみる。
1:黄前久美子、高坂麗奈、十六夜咲夜を探した後、隼人達と合流。
2:仮面野郎共(ミカヅチ、ヴライ)は絶対殺す。
3:やっぱりノミ蟲(臨也)は見つけ次第殺す
4:竜馬の知り合いに遭ったら一応伝えておいてやる。
5:彩声との約束を守るため、梔子を護る。
6:仮面をつけている参加者を警戒。
7:久美子と会ってセルティの話を聞きたい。
8:新羅の死の真相が知りたい。
[備考]
※参戦時期は少なくともセルティが罪歌と関わって以降です。
※静雄とミカヅチの戦闘により、公園が荒れ放題となっております。
仮面アクルカによる閃光は周辺地域から視認できたかもしれません。
※彩声の遺体は喫茶店に運び込まれています。
※梔子と情報交換しました。
ただウィキッドは仲間の義理として細かくは説明してません。
【レイン@ダーウィンズゲーム】
[状態]:疲労(大)、全身にダメージ(大)
[服装]:普段の服
[装備]:ベレッタM92@現実、レミントンM700@現実
[道具]:天本彩声の支給品(基本支給品、ランダム支給品×0~2)
[状態・思考]
基本行動方針:会場から脱出する
0:近隣施設を探索してみる。
1:黄前久美子、高坂麗奈、十六夜咲夜を探した後、隼人達と合流。
2:『アリア』に対し、疑念。確証はないが、彼女に関しての情報は集めておきたい。
3:情報は適切に扱わなければ……
4:サンセットレーベンズメンバーとの合流を目指す。
5:μについての情報を収集したい。
6:琵琶坂、ウィキッド、無惨に警戒。
7:竜馬の知り合いに遭ったら協力を仰いでみる。
[備考]
※参戦時期は宝探しゲーム終了後、カナメ達とクランを結成した頃からとなります。
※ヒイラギが名簿にいることから、主催者に死者の蘇生なども可能と認識しております。
※彩声の支給品はレインが回収しました。
※『参加者は赤の他人がキャラクターになりきってる』と言う説と、
『それが参加者が折れ殺し合いをするしかない結論をさせる為の罠』説を立ててます。
どちらも確証はありません。(前者の方は辻褄が合い、後者の方は発想の逆転のようなもの)
※梔子と情報交換しました。
ただしウィキッドには仲間であるため細かく説明してません。
[状態]:疲労(大)、全身にダメージ(大)
[服装]:普段の服
[装備]:ベレッタM92@現実、レミントンM700@現実
[道具]:天本彩声の支給品(基本支給品、ランダム支給品×0~2)
[状態・思考]
基本行動方針:会場から脱出する
0:近隣施設を探索してみる。
1:黄前久美子、高坂麗奈、十六夜咲夜を探した後、隼人達と合流。
2:『アリア』に対し、疑念。確証はないが、彼女に関しての情報は集めておきたい。
3:情報は適切に扱わなければ……
4:サンセットレーベンズメンバーとの合流を目指す。
5:μについての情報を収集したい。
6:琵琶坂、ウィキッド、無惨に警戒。
7:竜馬の知り合いに遭ったら協力を仰いでみる。
[備考]
※参戦時期は宝探しゲーム終了後、カナメ達とクランを結成した頃からとなります。
※ヒイラギが名簿にいることから、主催者に死者の蘇生なども可能と認識しております。
※彩声の支給品はレインが回収しました。
※『参加者は赤の他人がキャラクターになりきってる』と言う説と、
『それが参加者が折れ殺し合いをするしかない結論をさせる為の罠』説を立ててます。
どちらも確証はありません。(前者の方は辻褄が合い、後者の方は発想の逆転のようなもの)
※梔子と情報交換しました。
ただしウィキッドには仲間であるため細かく説明してません。
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水面下で絡まる思惑 | 平和時島静雄 | その座標に黒を打て(前編) |
水面下で絡まる思惑 | レイン | その座標に黒を打て(前編) |
水面下で絡まる思惑 | 鬼舞辻無惨 | 暴走特急 |
夕暮れのかなたから | ヴライ | 戦々凶々(前編) |