バトルロワイアル - Invented Hell - @ ウィキ

どうしようか?

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kyogokurowa

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「おう。いいんじゃねえの」

返事はあまりにもあっさりとしたものだった。
その呆気なさにレインはポカンと開口してしまう。

「...いいのですか、そんなにあっさりと」
「いや、レインちゃ...レインは脱出してえだけなんだろ。で、俺はノミ蟲とか仮面野郎を殺して脱出したい。だったら手を組むなんざ当たり前だろ」

理由は非常に単純明快なものだった。
ミカヅチとの闘いで、静雄が沸点が低いだけで、人道的判断は出来る人間だとわかっていた。
しかし、こうも交渉甲斐のないと数秒前まで気合を入れていたのがなんだか馬鹿らしく思えてしまう。

まあ交渉が本分でもないし楽に事が進むのならばそれにこしたことはないのだが。

「感謝します。それで、先ほどから口にしてるノミ蟲というのは...」

ノミ蟲という単語に反応し、静雄のこめかみに青筋が走る。

「...そうだな。騙されるといけねえしレインちゃんにも話しておいた方がいいか...ノミ蟲ってのはこの折原臨也って奴だ」
「その人となにがあったんですか?」

自分で口走った『折原臨也』という単語に更に青筋を走らせた静雄に、ちゃん付けを訂正する気にもなれず、レインは続きを促す。

「なにがあったってもんじゃねえ...あいつには俺の人生をめちゃくちゃにされた...殺す殺す殺す...あのノミ蟲ぜってえ殺す...」

こめかみならず両拳までも青筋が走り始めたのを見て、レインは慌てて静雄を宥めた。

「あーわかりました。その折原臨也は私も注意しておきますから、他に知ってる人はいませんか?」

臨也に触れるのはよそう。静雄が並々ならぬ敵意を抱いているのがわかれば十分だとレインは判断し、知るべき情報を更に問う。
臨也から他の話題に移れば、数秒の休憩を置いて、静雄は先刻と変わらぬ平常心に戻った。

「セルティと新羅はダチだ。セルティは...あー、言わねえほうがいいかな...いやでもセルティはそういうのは気にしねえか。
あとで面倒ごとが起きるのも勘弁してえしな。セルティは池袋で都市伝説になった首なしライダーって奴で、新羅はそのセルティの同居人だ」
「首無しライダー?」
「噂くらいはレインも知ってるだろ?」
「いえ...」

静雄の語る『首無しライダー』の都市伝説にレインは眉をひそめる。
首無しライダーというものがどういうものかよくわからないが問題はそこではない。
レインは様々な情報を照らし合わせて解析屋だ。
池袋というそこそこ大きな町において都市伝説ともなるほどの存在であればレインが知らない筈がない。
しかも明らかに怪異的な目に着くものであれば猶更だ。

だが、静雄が嘘を吐いているとは思えないし吐く理由も思いつかない。

「ま、知らないなら知らないで構わないけどよ。とにかくセルティはダチだから死なせる訳にいかねえ。あとついでに新羅も。レインの方はどうだ?」

こちらの悩みなど知らない静雄は、そう軽く話をふってきた。
確かにいまは知らないことを悩んでいてもしょうがない。それこそ、これから手に入れる情報と擦り合わせて検証していけばいい。

「私が知っているのはこのカナメ、リュージ、シュカ、ヒイラギ、王の五人です。前者三人は恐らく大丈夫だと思いますが、ヒイラギは願いの都合から、王はその性分からして警戒すべき対象です」
「その二人はさっきの仮面野郎みたいな見境なしのクソ野郎なのか?」
「いえ、ヒイラギは交渉次第では手を組めるかもしれません。王はまず交渉は無理ですね。恐らく鉢合わせた途端に戦闘になるかと」
「そうか...なるべく関わり合いにはなりたくねえな」

静雄の控えめな意見にレインはおや、と意外に思う。
二言目には殺すだの言っていた男のため、「そいつはぶっ殺して構わねえんだな」とでも言うかと予想していたからだ。

「今度は殺すって言わないんですね」
「その王って奴に喧嘩売られた訳でもねえからな」

周囲からはよく勘違いされるが、平和島静雄は基本的に暴力を嫌う人間である。
例え揉め事が起こっても、手を出す前に話し合いで解決するならそれでいいとも思っている。
彼が暴力を振るうのは自分や周囲に危害を加えられた時、理不尽な場に居合わせた時、折原臨也を見つけた時くらいだ。
無論、王が己の目の前で蛮行を犯せばミカヅチ同様にぶち殺すと拳を固めるだろうが、いまはただの危険な第三者だ。ならば殺すほどの殺意を抱くこともない。

レインはそんな静雄の背景は知らないが、なんにせよ静雄が王を殺すと息まかないのには内心で胸を撫でおろした。
静雄の身体がいくら頑丈でも、王の異能(シギル)にまで効果的かはわからない。
静雄が王を斃せればそれでいいが、しかしリスクの高い賭けをしてまで静雄という戦力を削るのは好ましくない。
王と戦う時はこちらのリスクを最小限に抑えたうえで、奴を確実に倒せるように備えたうえで戦いたい。

「それで、静雄さんの知り合いの二人が向かう場所に心当たりはありますか?」
「まあ、強いて言うなら池袋駅か。そっちはどうだ」
「私の方は思い当たらないですね。なのでぼんやりとでも思い当たる場所があるなら静雄さんに合わせます」

レインに決定権を譲られ、静雄は慣れない頭脳労働にとりかかる。
この公園があるC-3エリアから池袋駅のあるB-7エリアまではそれなりに距離がある。
幸い、D-2エリアの渋谷駅から電車が通っているらしく、それに乗れれば体力はかなり温存できるだろう。
だが、電車は乗ってしまうと行き場を限られてしまう。例えば先の仮面男が偶然乗り合わせていた場合、巻き添えを食わぬようレインを逃がすのは不可能になる。
もしも車窓から道を眺めていてセルティを見つけても、静雄一人であれば飛び降りれるかもしれないが、レインを抱えてとなると厳しいものがある。

東に進むルートであれば、長距離を歩くことにはなるが、逃げ場も行き場もよほどのことが無ければ塞がれず、レインの体力の問題も、静雄が背負って歩けば大方解決できる。
とはいえ時間がかかる為、セルティがいた場合でも行き違いになる可能性はかなり大きくなる。

どうすっかなぁとぼんやりと空を見上げれば、月がこちらを笑っているかのように光っている。

「...たまにはこういうのもいいか」

行く先で悩むなど自分らしくもない。どうせ考えても正解などわからないなら、己の運を天に委ねるのも一つの手だ。
運任せでもいいかレインに確認をとり、右親指でコインを空に弾き、左手の甲に着地させ上から掌を被せる―――いわゆるコイントスにより行く先を決める。
表ならば渋谷駅へ。裏ならばこのまま東へ。

静雄の掌がどけられ、コインが示していたのは―――




【C-3 公園/1日目/黎明】
【レイン@ダーウィンズゲーム】
[状態]:健康
[服装]:普段の服
[装備]:ベレッタM92@現実
[道具]:基本支給品一色、やくそう×4@ドラゴンクエストビルダーズ2、不明支給品1つ(確認済み)
[思考]
基本:会場から脱出する
0: 池袋駅に向かう(渋谷駅から電車を使うかこのまま東へ進むか)。
1: 【サンセットレーベンズ】メンバーとの合流を目指す
2: 狙撃銃が欲しいところです
3: μについての情報を収集したい
4: 王、ヒイラギイチロウを警戒
[備考] 
※参戦時期は宝探しゲーム終了後、カナメ達とクランを結成した頃からとなります。
※ヒイラギが名簿にいることから、主催者に死者の蘇生なども可能と認識しております




【平和島静雄@デュラララ!!】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、全身火傷(小)、全身に複数の切り傷(小)、やくそうにより回復中
[服装]:いつものバーテン服(ボロボロ)
[装備]:
[道具]:基本支給品一色、不明支給品3つ
[思考]
基本:主催者を殺す
0:池袋駅に向かう(渋谷駅から電車を使うかこのまま東へ進むか)。
1:さっきの仮面野郎は絶対殺す
2:セルティと新羅を探す
3:ノミ蟲(臨也)は見つけ次第殺す
[備考]
※静雄とミカヅチの戦闘により、公園が荒れ放題となっております。
仮面アクルカによる閃光は周辺地域から視認できたかもしれません。


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