バトルロワイアル - Invented Hell - @ ウィキ

この情熱、この衝動は自分を壊して火がつきそうさ

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kyogokurowa

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「っ...!」

ズキリと痛む頬に咄嗟に手を添える。
灼熱の痛みと共に湧き上がる憎悪を、目の前にそびえる植物を蹴ることで発散させる。

(クソッ、あの女ぁ...)

忌々し気に心中で恨みを吐くも、思考は努めて冷静に働かせる。
みぞれから受けたあの氷と剣による攻撃。あれは恐らく、自分のような予め持っていた能力ではなく、後天的なものだと考えられる。
もしも最初から使えたら、自分に疑いをかけた時点で使っていただろうし、むざむざと希美もろとも撃たれるようなことはなかったはずだ。
ならば後天的に身に着けたと考えるべきだが、そのタイミングがわからない。
みぞれが自分及び希美と出会い能力を発動するまで、数分程度しかない。いつだ。アリアもいないいま、いつ能力が発動するキッカケを手に入れたのか。

自分が撃って、みぞれが立ち上がるまでになにが―――

「...まさか」

あの時自分が撃った銃を思い返す。
あの銃は弾丸が出ないなど妙な仕様であったが、まさかあれが引き金になったとでもいうのか。
理屈はわからないが、そうとしか考えられない。

「ふざけるなよμ...なんの権利があって俺の邪魔をする...そこまでして俺をコケにしたいのか...」

撃てば能力が開花する銃を説明書なしに配るなど悪意があるとしか思えない。
しかも主催がμであるならば猶更だ。

まさかとは思うが、他の支給品もそうなのではないかともう一度デイバックを探る。
そして取り出した武器と思しきものを手に取った。

「なんだこれ...光...?」

琵琶坂が手にしているのは、緑色の光が込められた器だ。説明書によれば『ゲッター線の炉心』らしい。

「『ノルミン』の次は『ゲッター』か...なんでこうも知らない単語ばかり出てくるのかね」

この支給品も名前と大まかな概要しか記載されておらずゲッターとはなんなのかがとんとわからない。
ただ、どうやら人間以外には非常に有害であり、人間に対しても何が起きるかわからないもの...という非常に扱いにくい代物らしい。
効果範囲もわからないため、こんなもの追い詰められた時の自爆以外にどう使えばいいのやら。
これまた外れかとため息をつき、魔法学園とかいう建物に植物が生い茂っているのも映画の影響かなんかでつけた装飾だろうと考え、建物へと足を踏み入れる。

ミシリ、ミシリ、と根を踏みしめる重厚な音が耳に届く。
琵琶坂がそちらへ目を向けると、そこに佇むのは巨大な怪鳥。
魔法学園といういかにも映画的な場所に現れる、如何にも魔法ものの映画に出てきそうな鳥に琵琶坂はげんなりとした表情を浮かべる。

騎座が着いていることから、どうせμが作ったアトラクションのようなものだろうと思ったが、まともな武器のない自分があれを手懐ければ、移動手段やいざという時の盾として使えるかもしれない。

「やあ、こんにちわそこの鳥くん。まずはお近づきの印にこれはどうだい?」

琵琶坂は人を騙すときの人当りの良い笑顔を携えながら、食料として配られたサンドイッチを差し出す。
貴重な食糧であるが、これでこの鳥を手懐けられれば安いものだ。なによりこれは食糧の毒見も兼ねている。
ジークフリードの件もあり、琵琶坂の中で支給品への信頼は非常に落ちている。
説明書がないだけで、このサンドイッチも毒が入った劇物でもなにもおかしくない。

「ほーらおいでおいで」

宥めるようにサンドイッチをかざす琵琶坂の存在を認識した鳥は、挨拶代わりとでも言わんばかりに羽を高く広げ

「ケェ―――――ッッ!!!!」

甲高い叫びと共に飛び掛かった。

「なっ!?」

予備動作もない突然の豹変に琵琶坂は思わずたじろぐ。
琵琶坂は知らぬことだが、この鳥―――ココポは、ヒイラギイチロウにより『侵入者を探し出し捕らえ、最悪殺せ』という洗脳を施されている。
ヒイラギの言う侵入者とは最初に魔法学園に配置されていたアンジュ、あかり、カタリナの三名であったが、それを知らないココポは琵琶坂を侵入者だと判断し襲い掛かったのだ。

ココポの奇襲に対応しきれなかった琵琶坂は、抵抗する間もなくココポの飛び蹴りを受けて尻餅を着いてしまう。

「こ、この...!」

反撃に転じようとする琵琶坂だが、しかしココポはそれを許さずその強靭な足と羽で彼をめった打ちにする。
ココポはただの巨大な鳥ではなく主・ルルティエと共に戦ってきた歴戦の戦士である。
敵を捕らえる為の手段として痛めつけるのにはなんの抵抗もなく、ただ使命に従いその力を振るえる。
当然、身体能力自体はあくまでも普通の人間の範疇である琵琶坂に抵抗する術はない。

「――――調子にのるんじゃねええええ!!!」

ただひとつ、琵琶坂永至のカタルシス・エフェクトを除いて。

絶叫と共に放たれる炎が、蛇のようにココポへと襲い掛かる。

「グエッ!?」

身体を蝕む熱気に怯むココポ。
乱舞から解放された琵琶坂はその隙を突き、カタルシス・エフェクトの鞭でココポを叩き倒し、ゆらりと立ち上がる。

「畜生如きが人間様に逆らいやがって...このまま七面鳥にしてやるよ」
「!」

ココポは戦士とはいえもとは獣だ。その本能には炎を恐れる無くしきれない性があり、ヒイラギに洗脳されている状態ではそれを隠しきることもできず。
ココポは恐怖に錯乱し、尻尾に残る火に気が付かないまま、学園の奥へと走り去っていく。

「待てゴラ...ッ!」

激情のままに追いかけようとした琵琶坂だが、身体を襲った痛みに思わず足を止める。
少々ダメージを負いすぎた。ここであの鳥を追いかけるのはリスクが高いかもしれない。
放っておいても、あの尻尾についた火がうまく学園中に生える植物に着火してくれれば、あの鳥も勝手に焼け死ぬかもしれない。
仮に火が着かず中にいるかもしれない参加者と接触しても、所詮は鳥公に下手人が自分であることを伝えることはできない。

しかし、もしも放置してあの鳥が生き残り復讐、もしくは接触者に状況判断で下手人を割り出されれば自分がかなり不利になってしまう。
あの鳥が使える道具では無かった以上、できれば始末しておきたい。もちろん、これまでの留飲を下げる意味合いも込めて。


とりあえずここを離れるか、それとも確実にココポを始末するか。

琵琶坂永至の運命は今ここで分岐点を迎える。





【B-3/黎明/一日目/魔法学園前】
【琵琶坂永至@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-】
[状態]:顔に傷、全身にダメージ(中~大)、疲労(中)、鎧塚みぞれに対する強い憎悪
[服装]:いつもの服装(傷だらけ)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0~1、ゲッター炉心@新ゲッターロボ
[思考]
基本:優勝してさっさと元の世界に戻りたい
0:追いかけてあのクソ鳥を焼くか、素直に離れて新たな機を探すか
1:鎧塚みぞれは絶対に殺してやる。そのために鎧塚みぞれの悪評をばら撒き、彼女を追い詰める
2:他の帰宅部や楽士に関しては保留
3:他に利用できそうなカモを探してそいつを利用する

[備考]
※帰宅部を追放された後からの参戦です


【ゲッター炉心@新ゲッターロボ】
ゲッターロボの力を引き出す為につけられる、ゲッター線を入れられた核(コア)。
人間には多少甘いが人外は須らく溶かし尽くすほどの人類偏愛主義者。
本ロワにおいては琵琶坂でも普通に持ち運べるサイズに凝縮されている。取扱いに要注意。


【ココポ@うたわれるもの 二人の白皇】
[状態]:尻尾に火が着いている(自然消化できるかどうかは次の書き手の方に任せます)、ヒイラギによる洗脳(痛みによるショックで解けかけているかどうかは次の書き手の方に任せます)
[思考]
基本:ヒイラギの『侵入者を捕縛、あるいは殺害』に従う...と洗脳されている。


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奇跡はいつだって不幸から -Haze Aweking- 琵琶坂永至 炎獄の学園(中)
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