バトルロワイアル - Invented Hell - @ ウィキ

小さな反逆

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kyogokurowa

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「悪かったと思ってる」

キースを埋葬し終えたアリアの口から真っ先に出たのは謝罪だった。

「あの場面でキースを撃たなかったら、私たちもどうなってたかはわからない。リュージの判断は間違ってなかったのかもしれない。
それはわかってるわ。でも...認める訳にはいかなかった」

キースは確かな殺意を隠し持ち、アリア含む三人を確実に殺そうとしていた。
もし殺害を為せればキースはその命尽きるまで同じような手で殺戮を繰り返し、誰も救われぬ結末を迎えていただろう。
リュージの判断は正しい。結果だけみれば誰もが口を揃えて同意する。
ああも糾弾したのは完全にアリアの感情が先行してしまっただけのことだ。

かつての独りで戦っていたころのアリアならばその感情も押し殺せたかもしれない。
だが、こらえが効かなくなってしまったのは対等な者と組んで戦うことに慣れてしまったからだ。
普段はやる気がなく冴えないがいざという時は頼れるあの男、遠山キンジ。彼との関わりが良くも悪くもアリアに影響を与えてしまったのだろう。

「ブチャラティ、あなたも私に愛想つかしてるならリュージを追ってもいいのよ」

四人で話していた時から感じていたが、ブチャラティはアリアよりもリュージに近い感性を有している。
ならば己の矜持というだけで不殺を強いる自分よりは適材適所の判断が的確なリュージの方が組みやすい相手のはずだ。
それでもここに残ったのはアリアが少女であるため気を遣ったのだろう。
そこに思い至らぬほどアリアは鈍感ではない。
ならば無理に付き合わせるよりはリュージのように分かれて戦った方が互いにやりやすいというものだ。

「悪いがそれはできない。理由は二つある」

ブチャラティはアリアの進言を人差し指と中指を立てながら拒否する。

「一つは、先ほどもいった通りだ。俺やリュージのように非常時に殺人を許容できる者だけが集まれば信頼関係が崩れるのは容易い。
きみのような決して殺人を是としない意思を持った人間を失う訳にはいかない」
「もう一つは?」
「きみのようなまっすぐな人間を死なせたくはない。これは俺とリュージの総意でもある」

鋭く強い眼光でブチャラティはキッパリと言い放つ。
『きみのような人を死なせたくない』だなんて、今日日時代劇でもそうそうお目にかからない台詞だが、ブチャラティが口にするそれには青臭さが介在しない。
己が決めたことは命を賭けてでも貫き通す。そんな凄みが滲み出ているからだ。
そしてそんな厚意を無下にするのも野暮というもの。

「そ。なら礼を言わせてもらうわ」

アリアはブチャラティの同行を認め、感謝を口にした。

「...それで、ブチャラティ。あの人形みたいなのがあなたの能力なのね?」
「ああ。これは俺の能力...『スタンド』という通称で通っている」

ブチャラティがスタンドの像を出すと、アリアはその動きを視線で追う。

「アリア。君もスタンド...あるいは似通った異能を持っているのか?」
「いいえ。超能力者の知り合いはいるけど私はあくまでも無能力者。それにその能力者も人形とかじゃなくて普通に氷を操ったり自分の身体の一部を自在に動かすとかそういうものよ」
「なるほど。つまり、俺のスタンド能力は非能力者にも見ることが出来るよう調整されているということか」
「本当なら私には見えないの?」
「ああ。基本的にスタンドはスタンド使いでないと視認することすら適わない」

ブチャラティの駆るスタンドは非スタンド使いにも認識されている。
この事態に、しかしブチャラティは動揺などしない。
スタンド使いと非スタンド使いの入り混じるこの会場において、スタンドのような一部の者しか認識できない能力は有利すぎる。
これはその不公平さを軽減するための措置なのだろう。

「...でも少し気になるわね。なんで連中はそんな手間をかけてまで超能力者を混ぜたのかしら」

アリアの示した疑問にブチャラティは顎に手を添えながら考える。

そもそも。
殺しあいをするだけなら異能力者を呼ぶ必要はなく、それこそ正気を失った猟奇殺人鬼だけに統一した方がてっとり早い。
少なくとも、アリアのような確実に殺し合いに反目する者を入れる必要は一切ない。
また、テミスやμがわざわざ顔を出して主催を始めたのも気にかかる。
顔を晒すということはそれだけ参加者からの憎悪を向けられやすいというもの。運営するだけならば声だけでも十分だろうに。
使い慣れている異能力に手を加えて。
殺し合いに反目する者を招いて。
まるで殺し合いが円滑に進むなんてつまらない、とでも言わんばかりだ。

「...この殺し合いが"目的"ではなく"手段"であれば筋が通っているかもしれない」

もしもテミス達がこの殺し合いを行い完遂するだけが目的でないとしたら。
一番可能性が高いのは、この殺し合いを娯楽として取り扱うことだろう。
ただ単に人同士が殺し合うのを見たければそれこそ闘技場かなにかで事足りる。
多種多様に渡る参加者たちがゲームから逃れる為にもがく姿を鑑賞し商品として作り上げようとしているならばむしろ多少のハプニングがあった方が視聴者を楽しませることができる。
ならば、能力の制限やアリアのような参加者は必要不可欠だ。彼女たちが望むのは円滑な完遂よりも波乱万丈の会場模様なのだから。

「...とことんふざけた奴らね」

アリアの目が細められ語気にも怒りが帯び始める。
武偵である以上に、アリア個人として、己の利益の為だけに他者を平然と害するテミス達が非常に気に入らなかった。
ブチャラティも同じ気持ちだ。
裏社会の人間だけならばまだしも、表世界で生きる者たちをも巻き込み金を生み出そうとする。
奴らは麻薬をバラまき利益を生み出す『ボス』と同じだ。吐き気を催す邪悪だ。

ブチャラティが懐から銀色の輪を取り出す。埋葬する際に手に入れたキース・クラエスの首輪だ。
彼を死なせてしまった者として、彼らは誓う。

キースの護ろうとしたものは必ず守る。仲間たちだけでなく、罪なき人々をより多く救ってみせる。

そして、奴らは必ず捕まえる/打ち倒す、と。

「まずはこの首輪の解析ね。ブチャラティ、覚悟はいいかしら?」
「言われるまでもない。怖気づいてこのチャンスを逃すほど俺はお人よしじゃあない」

首輪は未だに謎に包まれたブラックボックスだ。
ブチャラティのスタンドによる干渉も受け付けないことを彼は既に己で試して把握している。

だがそれは生者に限っての話だ。
死者の首輪がアリアの技術に、ブチャラティのスタンドにどれだけ反応をするかはまだ判明していない。
解析に成功すれば殺し合いの破壊には数段と近づくが、もしもルールを侵したと判断されればただでは済まないだろう。

それでも構わない。なんのリスクもなしにこの理不尽な催しを覆せるとは思っていない。だが、リスクを負うならば自分たちが負うべきだ。

全ては悪を撃ち滅ぼす為に。

武偵とギャング。決して交わらぬ表と裏の戦士達がいま動き出す。






【G-4/黎明/一日目】

【ブローノ・ブチャラティ@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風】
[状態]:疲労(中)
[服装]:普段の服装
[装備]:
[道具]:不明支給品1~3、キース・クラエスの首輪
[思考]
基本:殺し合いを止めて主催を倒す。
0:首輪の解析の準備を整える。まずはアリアが使えそうな道具と落ち着ける場所を探す。
1:あかり、高千穂、志乃、ジョルノ、カナメ、シュカ、レイン、キースの知り合いを探す。
[備考]
※参戦時期はフーゴと別れた直後。身体は生身に戻っています。


【神崎・H・アリア@緋弾のアリアAA】
[状態]:疲労(中)
[服装]:武偵高の制服
[装備]:竜馬の武器だらけマント@新ゲッターロボ
[道具]:不明支給品0~2、キースの支給品(不明支給品0~2)、カタリナの布団@乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…
[思考]
基本:武偵としてこの事件を解決する。
0:首輪の解析の準備を整える。まずは解析に使えそうな道具と落ち着ける場所を探す。
1:あかり、高千穂、志乃、ジョルノ、カナメ、シュカ、レイン、キースの知り合いを探す。
[備考]
※参戦時期は少なくとも高千穂リゾート経験後です。

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