「タツさん、タツさん、起きてください」
妻の・・雪絵の声だ、妻は2人の時は私の事をそう呼ぶ。
私は頭を振り時計を見る、7時半前、鳥口は8時前には向かえに来ると云っていた。
いつも昼近くまで自堕落に寝ている為か、頭が重かった。
鳥口が来たのは事実8時前だった、妻から旅行道具一式を受け取り、私たち2人は車を走らせた。
妻の・・雪絵の声だ、妻は2人の時は私の事をそう呼ぶ。
私は頭を振り時計を見る、7時半前、鳥口は8時前には向かえに来ると云っていた。
いつも昼近くまで自堕落に寝ている為か、頭が重かった。
鳥口が来たのは事実8時前だった、妻から旅行道具一式を受け取り、私たち2人は車を走らせた。
──────
「もうすぐ雛見沢につきますよ」
時刻は4時を大きく過ぎていた、朝の8時前に出たのだから8時間以上も過ぎている。
5・6時間で着くと予定だったはずだが、思ったよりも時間を喰ってしまったようだ。
私は窓を大きく開けた、東京とは違う匂いがする。
「思ったよりも遅くなっちゃいましたね、今日は取材は無理ですかね――先生が居眠りするからだ」
「誰のせいだよ、いきなり東北に向かって走り出そうとしたり、同じところをぐるぐる回ったり」
鳥口のただ1人の上司、妹尾氏の云っていた通り、
鳥口には目的地に行くという能力が欠如しているようだった。
「うへえ、まあ、今日は下見という事で取材は明日からにしましょう、
ああ、ちょうどいいあれが多分古手神社ですね、今日はあそこを下見しておきましょう」
鳥口は車を路肩に止めた。
あれが古手神社、端から見ているうちは普通の神社のようだが。
鳥口はカメラを持ち出し俯瞰の写真を撮っている。
鳥口は元々カメラマン志望があり、雑誌の写真は全て自分で撮っているらしい。
幾段かの階段を上がり、鳥居をくぐる
そういえば、友人によると、鳥居とは外の世界と内の世界の境を示すものらしい。
その中の世界の中央、もう一つの鳥居の奥に本堂がある。
左手には別の棟があり、右手にはかなりの敷地の境内がある。
「先生、1人で先に行っちゃうなんて酷いじゃないですか」
鳥口が追いついてきた。
――こうして見ると普通の神社ですね、鳥口は私と同じ感想を述べた。
この2人で来たのは間違いだったのかもしれない。
「こんなのどかな所で、今年も事件が起こるのかな」
「ま、起こってくれれば大スクープなんですけどね」
鳥口によると―3年目の事件までは裏付けが取れたらしい。
けれども4年目の事件は何も報道されていなかったようだ。
「そんな、不謹慎な考え方の君が被害者にならない事を祈るよ」
「うへえ、死人に口なしですか、先生」
時刻は4時を大きく過ぎていた、朝の8時前に出たのだから8時間以上も過ぎている。
5・6時間で着くと予定だったはずだが、思ったよりも時間を喰ってしまったようだ。
私は窓を大きく開けた、東京とは違う匂いがする。
「思ったよりも遅くなっちゃいましたね、今日は取材は無理ですかね――先生が居眠りするからだ」
「誰のせいだよ、いきなり東北に向かって走り出そうとしたり、同じところをぐるぐる回ったり」
鳥口のただ1人の上司、妹尾氏の云っていた通り、
鳥口には目的地に行くという能力が欠如しているようだった。
「うへえ、まあ、今日は下見という事で取材は明日からにしましょう、
ああ、ちょうどいいあれが多分古手神社ですね、今日はあそこを下見しておきましょう」
鳥口は車を路肩に止めた。
あれが古手神社、端から見ているうちは普通の神社のようだが。
鳥口はカメラを持ち出し俯瞰の写真を撮っている。
鳥口は元々カメラマン志望があり、雑誌の写真は全て自分で撮っているらしい。
幾段かの階段を上がり、鳥居をくぐる
そういえば、友人によると、鳥居とは外の世界と内の世界の境を示すものらしい。
その中の世界の中央、もう一つの鳥居の奥に本堂がある。
左手には別の棟があり、右手にはかなりの敷地の境内がある。
「先生、1人で先に行っちゃうなんて酷いじゃないですか」
鳥口が追いついてきた。
――こうして見ると普通の神社ですね、鳥口は私と同じ感想を述べた。
この2人で来たのは間違いだったのかもしれない。
「こんなのどかな所で、今年も事件が起こるのかな」
「ま、起こってくれれば大スクープなんですけどね」
鳥口によると―3年目の事件までは裏付けが取れたらしい。
けれども4年目の事件は何も報道されていなかったようだ。
「そんな、不謹慎な考え方の君が被害者にならない事を祈るよ」
「うへえ、死人に口なしですか、先生」
そんな馬鹿な事を話しながら境内を後ろに回ってみた。
少し歩くと視界が開けて、村全体が見渡せる所にでた。この神社は村の中で高台に位置しているようだ。
――うへえ、こりゃ凄いや、鳥口がファインダーを覗く。
夕日に照らされて、輝いている古風な住居と田園地帯はまさに一枚の絵のようだ。
思わず言葉を無くし、鳥口のシャッター音だけが響いていた。
その時―――後ろから跫音(あしおと)が聞こえてきた。
少し歩くと視界が開けて、村全体が見渡せる所にでた。この神社は村の中で高台に位置しているようだ。
――うへえ、こりゃ凄いや、鳥口がファインダーを覗く。
夕日に照らされて、輝いている古風な住居と田園地帯はまさに一枚の絵のようだ。
思わず言葉を無くし、鳥口のシャッター音だけが響いていた。
その時―――後ろから跫音(あしおと)が聞こえてきた。
―――振り向くとそこには1人の少女がいた。
少女は微笑みかけた―――この顔を私はどこかで見ている―――
いつだろう――いつだろうか――
「ここは私有地なんですよ」
少し幼さが残った声が聞こえた。
「うへえ、すみません、実は僕たちは雛見沢の取材に来てまして」
「そうなのですか、お仕事なのですか」
「こっちは作家の関口先生で、僕は――」
鳥口と少女の会話が頭の上を滑っていく、やはり私は彼女に会った事がある。
いつだろう――いつだろうか――
「ここは私有地なんですよ」
少し幼さが残った声が聞こえた。
「うへえ、すみません、実は僕たちは雛見沢の取材に来てまして」
「そうなのですか、お仕事なのですか」
「こっちは作家の関口先生で、僕は――」
鳥口と少女の会話が頭の上を滑っていく、やはり私は彼女に会った事がある。
――白いブラウス。黒い色のスカート。そこから覗いている2本の白い脛。――
「せっかくだから、一緒に遊びたかったのです」
――うふふ。
――あそびましょう。
夕日が世界を赤く染めている、赤く、赤く、赤く・・・
私は意識を失った。
目が覚めた、目が覚めてしまった。
目の前には白い天井がある・・・ここは・・・
辺りを見回すと病院のベッドの上のようだ。
腕に違和感を感じる、腕から線がでている、その線は上の液体に繋がり
目の前には白い天井がある・・・ここは・・・
辺りを見回すと病院のベッドの上のようだ。
腕に違和感を感じる、腕から線がでている、その線は上の液体に繋がり
「気が付きましたか」
白衣を着た眼鏡の優男風の男性がカーテンを開けた
「ダメですよ、きちんと食事していますか?」
――はぁ、そういえばここ3日ほど、きちんと食事をしていなかった。
「旅疲れってヤツですかね、気を付けないと」
男は入江と名乗った、年は30代中盤ぐらいだろう、風袋のせいかもっと若く見えるが。
――はぁ、私の気の抜けた顔を見て入江は軽く笑った。
――30分ぐらいで点滴が抜けますから、と云い入江は出て行き、入れ替わりに鳥口がやってきた。
「先生、吃驚するじゃ、ないですかいきなり倒れて、これじゃ命がいくらあっても足りませんよ」
――はぁ、私の気の抜けた顔を見て鳥口は大きなため息をついた。
「栄養失調らしいですけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫、ちょっと目眩がしただけだよ」
――後、30分ぐらいで点滴が抜けるらしい、と告げると――飲み物でも買ってきますと出て行った。
小1時間後病院を出た、ここの名前は入江診療所というらしい、
外から見てみると寒村の診療所としてはかなり立派だった。
宿泊所は雛見沢から車で15分ほどの興宮(おきのみや)という隣町らしい。
鳥口によると雛見沢には宿泊施設がないとの事である。
白衣を着た眼鏡の優男風の男性がカーテンを開けた
「ダメですよ、きちんと食事していますか?」
――はぁ、そういえばここ3日ほど、きちんと食事をしていなかった。
「旅疲れってヤツですかね、気を付けないと」
男は入江と名乗った、年は30代中盤ぐらいだろう、風袋のせいかもっと若く見えるが。
――はぁ、私の気の抜けた顔を見て入江は軽く笑った。
――30分ぐらいで点滴が抜けますから、と云い入江は出て行き、入れ替わりに鳥口がやってきた。
「先生、吃驚するじゃ、ないですかいきなり倒れて、これじゃ命がいくらあっても足りませんよ」
――はぁ、私の気の抜けた顔を見て鳥口は大きなため息をついた。
「栄養失調らしいですけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫、ちょっと目眩がしただけだよ」
――後、30分ぐらいで点滴が抜けるらしい、と告げると――飲み物でも買ってきますと出て行った。
小1時間後病院を出た、ここの名前は入江診療所というらしい、
外から見てみると寒村の診療所としてはかなり立派だった。
宿泊所は雛見沢から車で15分ほどの興宮(おきのみや)という隣町らしい。
鳥口によると雛見沢には宿泊施設がないとの事である。
「何か精のつくものを食べていきましょう」
時刻はもう8時近くだったが点滴のおかげか食欲は無かった。
――食欲が無くても、食べなきゃダメですよ、鳥口は車を駅前の食事処に止めた。
時刻はもう8時近くだったが点滴のおかげか食欲は無かった。
――食欲が無くても、食べなきゃダメですよ、鳥口は車を駅前の食事処に止めた。
――うへえ、うへえ、先生、うへえ、
中に入ると、鳥口は得意の感嘆符をなぜか連呼していたが、私の頭には入ってこなかった。
私は、彼女の事を――少女の事を考えていた。
私は彼女と会った事がある。それは間違いないと思う。それはいつだろうか?
自分の意識を探るのだが、見つからない。
いや正確には、あるのだが、開ける事ができない。
中に入ると、鳥口は得意の感嘆符をなぜか連呼していたが、私の頭には入ってこなかった。
私は、彼女の事を――少女の事を考えていた。
私は彼女と会った事がある。それは間違いないと思う。それはいつだろうか?
自分の意識を探るのだが、見つからない。
いや正確には、あるのだが、開ける事ができない。
‥‥檻・・・・いや匤か、
存在は認知できても中身が認識できない、鍵のかかった匤・・・
これは開けてはいけないものなのだろうか?
存在は認知できても中身が認識できない、鍵のかかった匤・・・
これは開けてはいけないものなのだろうか?
遠くで鳥口の感嘆符が聞こえていた。
【見慣れぬ顔】
「あれは一体誰なの?見た事無い顔よ」
「あうあう、多分観光客の人なのですよ、最近はお祭りも賑やかですから」
「観光客・・・そう・・・確かにそうかもね、でもあの人はなぜあんな風になったのかしら」
「僕には解らないのですよ、梨花」
「もしかして、あなたが見えたんじゃないの?」
「僕は梨花にしか見えないんですよ」
「じゃあ、あの人は何を見たの?」
「あぅあぅあぅ」
「あうあう、多分観光客の人なのですよ、最近はお祭りも賑やかですから」
「観光客・・・そう・・・確かにそうかもね、でもあの人はなぜあんな風になったのかしら」
「僕には解らないのですよ、梨花」
「もしかして、あなたが見えたんじゃないの?」
「僕は梨花にしか見えないんですよ」
「じゃあ、あの人は何を見たの?」
「あぅあぅあぅ」
まあ、どうでもいいか、この世界はもう・・・
でも、変な顔だった、関口に、富竹3号か・・・
でも、変な顔だった、関口に、富竹3号か・・・