車は夕暮れを切り裂く。
そして古手神社の前に停まる。
そして古手神社の前に停まる。
「エンジンは掛けたまま、待っていてくれ」
そう云うと、私は階段を駆け上がる。
そう云うと、私は階段を駆け上がる。
急げ――今なら間に合うだろう。
息が切れる、鈍りきった体だ。
裏手に回ると、小屋があった。
鍵はかかってない、中に入る。
裏手に回ると、小屋があった。
鍵はかかってない、中に入る。
1階は倉庫の様になっていた。
私は迷わずに2階に上がった。
私は迷わずに2階に上がった。
そこに――少女はいた。
窓際に腰かけて、片手には葡萄色の飲み物を持っている。
そして――少女は云った。
「関口、"また来てくれたの――"」
「ぎ、ぎみをざらういにきた」
私は噛んだ、意味は伝わらなかっただろう。
だが構わない、人を攫(さら)う時には同意は必須ではない。
だが構わない、人を攫(さら)う時には同意は必須ではない。
私は少女を無理矢理抱きかかえると、
少女を攫った。
少女を連れて戻ると鳥口は驚いていた。
「うへえ、先生何をするんですか」
「いいから、車を出すんだ鳥口君」
「いいから、車を出すんだ鳥口君」
――立つ鳥跡を濁さずですよ。
鳥口は訳のわからない事を云って、車を発進させる。
少女は私の膝の上で、喜怒哀楽の喜と怒と哀が混ざった様な顔をしていた。
少女は私の膝の上で、喜怒哀楽の喜と怒と哀が混ざった様な顔をしていた。
これでいい、このまま東京に帰ればいい。
あいつらも、東京までは追っては来ないだろう。
あいつらも、東京までは追っては来ないだろう。
ガタガタ
振動を感じた。
少女の形を感じた。
私は以前、矢張りこうして抱いたことがある。
それは妄想だ。遥か前世の記憶のように朧げな。
少女の形を感じた。
私は以前、矢張りこうして抱いたことがある。
それは妄想だ。遥か前世の記憶のように朧げな。
私はその肌の温もりを吸い取るように、実にゆっくりとした動作で彼女を抱きしめた。
これでいい――そうこれでいい。
東京に帰ろう――この娘も一緒に。
そうだこれいい――これで全ていい。
東京に帰ろう――この娘も一緒に。
そうだこれいい――これで全ていい。
いきなりこの娘を連れて帰ったら、雪絵は驚くだろうか?
私と、雪絵と、一緒に暮らすのも悪くないのかもしれない。
私と、雪絵と、一緒に暮らすのも悪くないのかもしれない。
そんな気がする。
私がくだらない妄想に浸っていると。
私の膝の上に座っていた少女が云った。
私の膝の上に座っていた少女が云った。
「関口。気持ちはとても嬉しい――けど、
矢っ張り未来は決まっているのですよ」
矢っ張り未来は決まっているのですよ」
少女は何故か、泣き出しそうな表情だ。
「大丈夫だよ――僕には全てが解った」
私が答えると、少女は。
「今回の関口は、今までで一番格好いい――でも」
――どういう意味だ?
その時、車の前方で破裂音。
刹那に、平衡(バランス)が崩れる。
刹那に、平衡(バランス)が崩れる。
――うへえ!!
鳥口の間抜けな叫び。
制御を失った車は脇の雑木林に――
私は咄嗟(とっさ)に少女の頭を抱え込んだ。
そして――
激突。
【交信】
「――本部より鶯(うぐいす)、男性2名がRを奪取した。
車にて逃走。これを阻止し、Rを奪還せよ」
「――本部より鶯(うぐいす)、男性2名がRを奪取した。
車にて逃走。これを阻止し、Rを奪還せよ」
「――鶯1より本部、任務了解、発砲許可を申請」
「――本部より鶯1。発砲を許可する」
「鶯1より狙撃班、発砲を許可する。R確保のため、障害を阻止、排除せよ」