朦朧とした意識の中、私は古手神社の石段の前に辿り着いた。
私は躊躇せずに階段を登り始める。
私を支配していたのは諦観だった。
私を支配していたのは諦観だった。
そうきっと、それはある。
きっと本殿の前辺りにだろう。
そして私はそれを見つけ出して。
自分の無力さに、打ちのめされる。
きっと本殿の前辺りにだろう。
そして私はそれを見つけ出して。
自分の無力さに、打ちのめされる。
それで私は、私を確認するのだ。
そして、
もはや私は、そんな私を傍観している。
もはや私は、そんな私を傍観している。
一つ目の鳥居をくぐる。
もうすぐだ。
数段の石段の上に二つ目の鳥居がある。
鳥居は世界の境を示すものなのだ。
あれを越えれば世界は変わる。
もうすぐだ。
そして――
私は境界を越えた。
【悪魔の脚本】
整理された道が終わり、砂利道がガタガタと車を揺らす。
今年は空梅雨だった。
しっとりとした雨を楽しめるはずの6月も、もう真夏の様な日が訪れている。
整理された道が終わり、砂利道がガタガタと車を揺らす。
今年は空梅雨だった。
しっとりとした雨を楽しめるはずの6月も、もう真夏の様な日が訪れている。
あの年も、こんな空梅雨の夏だった事を、彼は思い出していた。
彼の名は赤坂衛。
警察庁に勤める古株の刑事だ。
警察庁に勤める古株の刑事だ。
彼と雛見沢の縁はずっと過去に遡る。
彼はここ雛見沢で、大石と、そして古手梨花と出会った。
彼はここ雛見沢で、大石と、そして古手梨花と出会った。
古手梨花が予言した自らの死の運命。
赤坂にとっては、この少女を運命から救い出せなかった事は、
今になっても尚、忘れられない痛恨の悔やみだった。
今になっても尚、忘れられない痛恨の悔やみだった。
やがて彼は雛見沢大災害を知り、当時世話になった大石と再会。
少女を襲った惨劇を、雛見沢連続怪死事件の謎を、例え今からでも暴こうと誓い合ったのである。
少女を襲った惨劇を、雛見沢連続怪死事件の謎を、例え今からでも暴こうと誓い合ったのである。
だが雛見沢は気が遠くなる程の長い時間に渡り封鎖され続けていた。
よって赤坂達は自分達の持つ情報を手記にまとめて発表し、
読者に当時の記憶を辿ってもらって情報を寄せてもらう以上の事は出来ずにいた。
よって赤坂達は自分達の持つ情報を手記にまとめて発表し、
読者に当時の記憶を辿ってもらって情報を寄せてもらう以上の事は出来ずにいた。
しかし、ようやく雛見沢村の封鎖は解かれた。
本来なら大石と来る予定だったのだが、大石の検査入院が急に決まり1人で訪れる事になった。
同伴している2人は、赤坂の後輩の男と、その元部下で雛見沢の封鎖中その任務に関わっていた男だ。
同伴している2人は、赤坂の後輩の男と、その元部下で雛見沢の封鎖中その任務に関わっていた男だ。
赤坂は自分の荷物から、切り抜き帳を取り出す。
――角はもうよれよれになり、相当の劣化が伺えた。
――角はもうよれよれになり、相当の劣化が伺えた。
「――では、鬼ヶ淵沼をお願いします」
――了解しました。若い男が答える。
車が走り、森を抜けると。
土砂で埋め尽くされた不自然な土地が姿を現す。
沼どころか、水一滴もない――そこが鬼ヶ淵沼跡地だった。
土砂で埋め尽くされた不自然な土地が姿を現す。
沼どころか、水一滴もない――そこが鬼ヶ淵沼跡地だった。
「ははは、沼どころか、水溜まりもないな」
「大災害の後、初期に埋め立てられたと聞いています」
「大災害の後、初期に埋め立てられたと聞いています」
そこは、広大な森の空き地に現れた無垢の巨大な大地。
「――なるほど、これが所謂(いわゆる)未確認飛行物体の着陸場と云うやつか」
「そんな事云われてるんですか」
「オカルト愛好者の間じゃ有名らしいよ、政府がここで宇宙人と交流していたってね」
「わっはっはっはっは」
「そんな事云われてるんですか」
「オカルト愛好者の間じゃ有名らしいよ、政府がここで宇宙人と交流していたってね」
「わっはっはっはっは」
この沼があの6月末に突如湧き出した火山性ガスの発生場所だ。
致死性の極めて高い、硫化水素と二酸化炭素の混合ガスは深夜の内に村を丸ごと飲み込み、
雛見沢と云う村を一夜にして滅ぼしたのである。
そして封鎖された後、ここを管理していた政府によって沼は埋め立てられた。
致死性の極めて高い、硫化水素と二酸化炭素の混合ガスは深夜の内に村を丸ごと飲み込み、
雛見沢と云う村を一夜にして滅ぼしたのである。
そして封鎖された後、ここを管理していた政府によって沼は埋め立てられた。
「でも彼らにも彼らなりの論理があるらしくて、地質学的に云って、
ガスの発生源を塞ぐ為に、沼を埋め立てても何の意味もないらしいんだよ」
「そりゃ、そうでしょうね。火山口を埋め立てって話は聞かないですから」
ガスの発生源を塞ぐ為に、沼を埋め立てても何の意味もないらしいんだよ」
「そりゃ、そうでしょうね。火山口を埋め立てって話は聞かないですから」
近年、オカルト愛好者達の間でこの雛見沢大災害が話題なのだそうだ。
雛見沢大災害は火山ガスの噴出と決着したのだが、それは政府が事実を隠蔽する為に作った腹案で、
その実態は宇宙人による細菌攻撃だったと云う風説だ。
雛見沢大災害は火山ガスの噴出と決着したのだが、それは政府が事実を隠蔽する為に作った腹案で、
その実態は宇宙人による細菌攻撃だったと云う風説だ。
彼らが根拠とするのは、『34号文書』と呼ばれる秘密の文献の存在であった。
この『34号文書』は、雛見沢の診療所に勤務していた鷹野三四と云う看護婦が記した手記である。
(34号とはその名前をもじったものらしい)
この『34号文書』は、雛見沢の診療所に勤務していた鷹野三四と云う看護婦が記した手記である。
(34号とはその名前をもじったものらしい)
この女性は雛見沢に伝わる奇妙な鬼伝説の歴史を追い、
その伝説が何を意味するかを解き明かそうとする個人研究者であったとされている。
その内容によれば、あの年の雛見沢大災害は事前に予見されていた、と云うのである。
その伝説が何を意味するかを解き明かそうとする個人研究者であったとされている。
その内容によれば、あの年の雛見沢大災害は事前に予見されていた、と云うのである。
彼女の研究によるならば、雛見沢には太古の昔、
宇宙から飛来した未確認飛行物体が墜落し、鬼ヶ淵沼に沈んだと云う。
その未確認飛行物体には、地球に存在しない、宇宙の寄生生物が漂着しており、村人達に感染した。
この細菌に寄生された人間は凶暴化し、『鬼』と呼ばれるに相応しい存在と化したと云う。
宇宙から飛来した未確認飛行物体が墜落し、鬼ヶ淵沼に沈んだと云う。
その未確認飛行物体には、地球に存在しない、宇宙の寄生生物が漂着しており、村人達に感染した。
この細菌に寄生された人間は凶暴化し、『鬼』と呼ばれるに相応しい存在と化したと云う。
鷹野三四はこれこそが、沼から湧き出した鬼の正体だとしている。
墜落した未確認飛行物体に乗っていた宇宙人は、地球人達が自分の持ち込んだ細菌の所為で、
大変な事になっているのを知り、その姿を村人達の前に現した。
大変な事になっているのを知り、その姿を村人達の前に現した。
――これがオヤシロ様の降臨であるという。
宇宙人は、地球外文明の高度な方法で村人を治療したが、対処療法にしかならなかった。
その為、宗教的象徴として、オヤシロ様の名で崇められていた宇宙人は、
症状を悪化させない為に法を科したと云う。
細菌たちは雛見沢の風土にのみ馴染んでいたので、宿主が雛見沢を離れると症状を悪化させてしまう。
その為、村から離れるなと云う規則を作ったのだ。
その為、宗教的象徴として、オヤシロ様の名で崇められていた宇宙人は、
症状を悪化させない為に法を科したと云う。
細菌たちは雛見沢の風土にのみ馴染んでいたので、宿主が雛見沢を離れると症状を悪化させてしまう。
その為、村から離れるなと云う規則を作ったのだ。
これがその後の鬼ヶ淵村の仙人を巡る伝説につながっていく。
つまり、仙人達が持っていたと云う仙術や奇跡の技は、全て宇宙人がもたらした英知だったのだ。
「わっはっはっは。本当にオカルト愛好者達は、そう云った話が好きですよね」
「わっはっはっは。本当にオカルト愛好者達は、そう云った話が好きですよね」
「でも、鷹野三四は雛見沢大災害を予見したらしい。それは嘘じゃない。
確かにこの切り抜き帳に書いてある」
「そんな、まさか。あっはっはっは。・・・・――赤坂先輩それ本当に?」
確かにこの切り抜き帳に書いてある」
「そんな、まさか。あっはっはっは。・・・・――赤坂先輩それ本当に?」
仙人達の時代から長い時間を経る内に、人々に寄生した細菌は非常に安定したものになり、
人体に無害なものとなった。そして宇宙人も細菌も、人々の記憶から薄れていく。
人体に無害なものとなった。そして宇宙人も細菌も、人々の記憶から薄れていく。
だが宇宙人たちは御三家に守られながら何百年もの間、生き続けてきたと云うのである。
古手神社の秘密神殿の中で代々、ご神体として崇められて生きてきたのである。
古手神社の秘密神殿の中で代々、ご神体として崇められて生きてきたのである。
その宇宙人は寄生している細菌たちを操り、その結果、村人達を何百年も支配していた。
その支配を取り戻すため、彼らは再び寄生細菌の太古の力を取り戻すべく、研究を始め―――。
その支配を取り戻すため、彼らは再び寄生細菌の太古の力を取り戻すべく、研究を始め―――。
後は諸説が入り混じり、結局は寄生細菌を地球規模でばらまき、地球の支配を目論もうとした、
宇宙人の地球侵略計画こそが雛見沢大災害の正体である――と云うらしい。
宇宙人の地球侵略計画こそが雛見沢大災害の正体である――と云うらしい。
それで、実は日本政府内には宇宙人の侵略と戦うための秘密部門があって、
彼らは米国の秘密基地で訓練を受けていて―――。
そして、彼らが動き出し、この宇宙人の地球侵略を食い止めるため、
村を全て封鎖して毒ガス攻撃で完全に封殺した――と云うのである。
彼らは米国の秘密基地で訓練を受けていて―――。
そして、彼らが動き出し、この宇宙人の地球侵略を食い止めるため、
村を全て封鎖して毒ガス攻撃で完全に封殺した――と云うのである。
「わっはっはっは!!流石にそこまで来ると、冒険科学小説の域ですな」
「俺もここまで来ると滅茶苦茶だとは思う。
ただ、この滅茶苦茶を書いた鷹野三四はあの年の6月中旬、正体不明の怪死を遂げる。
そして、その死の直前に、自らの死を悟ったかの様に、
村に来ていた1人の男性に、この切り抜き帳を預けて意思を託したと云うんだ」
「俺もここまで来ると滅茶苦茶だとは思う。
ただ、この滅茶苦茶を書いた鷹野三四はあの年の6月中旬、正体不明の怪死を遂げる。
そして、その死の直前に、自らの死を悟ったかの様に、
村に来ていた1人の男性に、この切り抜き帳を預けて意思を託したと云うんだ」
その男性の名は『関口巽』。
「その男性も奇妙な行動をして、雛見沢大災害の前日に失踪している。
だが、残された切り抜き帳には1枚の紙が挟まっていて、それにはこの大災害を予言していたんだ」
「まさか!そんな事ありえない、偶然ですよ」
「その男性も奇妙な行動をして、雛見沢大災害の前日に失踪している。
だが、残された切り抜き帳には1枚の紙が挟まっていて、それにはこの大災害を予言していたんだ」
「まさか!そんな事ありえない、偶然ですよ」
「わからないが、偶然ではないと思う連中に云わせると、その後の政府の対応がおかしいらしい。
例えば、この沼の埋め立てが一例だ。
さらに埋め立て前に、秘密の地質調査をしていたという封鎖に関わっていた者の証言もある。
否定派はそれを単にガスの発生地だから、危険に備えて立ち入りを制限していた主張するが――」
「それは、多分、否定派の云うのが正しいんじゃないかと思いますね」
「他にも雛見沢を封鎖していた関係者たちは定期的に血を抜かれて厳密な検査を受けていると云う。
それは、実は、細菌感染の陽性反応を見るものであったと云われている」
「矢張り、ガスが湧き出す危険があったから、健康管理に気を遣っただけじゃないですか」
例えば、この沼の埋め立てが一例だ。
さらに埋め立て前に、秘密の地質調査をしていたという封鎖に関わっていた者の証言もある。
否定派はそれを単にガスの発生地だから、危険に備えて立ち入りを制限していた主張するが――」
「それは、多分、否定派の云うのが正しいんじゃないかと思いますね」
「他にも雛見沢を封鎖していた関係者たちは定期的に血を抜かれて厳密な検査を受けていると云う。
それは、実は、細菌感染の陽性反応を見るものであったと云われている」
「矢張り、ガスが湧き出す危険があったから、健康管理に気を遣っただけじゃないですか」
「まあ、君の云う事ももっともだと思う。あと、他にもっと面白い話もあるぞ。
雛見沢大災害では火山ガスは発生していないと主張する連中もいる」
「火山ガスが発生していない?どういう意味ですか」
「つまり、元々火山ガスなんか噴出してなくて、ガス災害と云うのが政府の嘘だと主張しているんだ」
「それこそオカルト愛好者のこじつけですよ、一体何を根拠に?」
「封鎖解除後、オカルト愛好者が押し寄せて、未確認飛行物体説を補強するために調査したらしい。
連中の主張はこうだ、
『政府発表の火山ガス成分によるなら、硫化水素によって金属が腐食されたり、
自然体系に大きなダメージが残るはずだ。だが雛見沢にはその痕跡が残っていない。
よって、火山ガスが噴出したとは到底思えない』――だ、そうだ」
「もっとも、あれから何十年も放置された村だ、痕跡が発見できたかも疑わしいが」
「はっはっは、まあお話としては面白いですけどね――赤坂先輩はそれを信じてるのですか?」
「最初は信じなかったが、最近は俺もわからない。何割かは真実が含まれているかも、と思っている」
「赤坂先輩ともあろうお方が、未確認飛行物体説を信じるんですか?」
「この切り抜き帳。これが本物の『34号文書』だとしたら?」
「え?」
「あの年の6月、大災害の前日に失踪した、関口巽が所持していた、正真正銘の本物だ」
雛見沢大災害では火山ガスは発生していないと主張する連中もいる」
「火山ガスが発生していない?どういう意味ですか」
「つまり、元々火山ガスなんか噴出してなくて、ガス災害と云うのが政府の嘘だと主張しているんだ」
「それこそオカルト愛好者のこじつけですよ、一体何を根拠に?」
「封鎖解除後、オカルト愛好者が押し寄せて、未確認飛行物体説を補強するために調査したらしい。
連中の主張はこうだ、
『政府発表の火山ガス成分によるなら、硫化水素によって金属が腐食されたり、
自然体系に大きなダメージが残るはずだ。だが雛見沢にはその痕跡が残っていない。
よって、火山ガスが噴出したとは到底思えない』――だ、そうだ」
「もっとも、あれから何十年も放置された村だ、痕跡が発見できたかも疑わしいが」
「はっはっは、まあお話としては面白いですけどね――赤坂先輩はそれを信じてるのですか?」
「最初は信じなかったが、最近は俺もわからない。何割かは真実が含まれているかも、と思っている」
「赤坂先輩ともあろうお方が、未確認飛行物体説を信じるんですか?」
「この切り抜き帳。これが本物の『34号文書』だとしたら?」
「え?」
「あの年の6月、大災害の前日に失踪した、関口巽が所持していた、正真正銘の本物だ」
『34号文書』は雛見沢大災害の混乱で長い事行方不明だったが、私たちの出版した手記を見た、
あの日、関口巽と一緒に取材に来ていたという読者の男性が送ってくれたのだ。
(彼はカストリ雑誌の編集者でもあり、陰謀説の一翼を担っているらしい)
あの日、関口巽と一緒に取材に来ていたという読者の男性が送ってくれたのだ。
(彼はカストリ雑誌の編集者でもあり、陰謀説の一翼を担っているらしい)
当時は妄想と思っていた大石すら、雛見沢大災害の後では決して笑い捨てられる内容ではなかった。
それは、雛見沢に土着の寄生細菌による風土病が『オヤシロ様の祟り』だったと云う部分だ。
もちろん、病原体は発見されてないので仮説の域を出てはいない。
それは、雛見沢に土着の寄生細菌による風土病が『オヤシロ様の祟り』だったと云う部分だ。
もちろん、病原体は発見されてないので仮説の域を出てはいない。
「大石さんの仮説なんだが、御三家が過去の信仰心を村に取り戻すために、
大昔の毒性の強い病原体を研究していたのは本当じゃないか、って云うんだ。
雛見沢大災害はその結果の失敗じゃないかってな」
大昔の毒性の強い病原体を研究していたのは本当じゃないか、って云うんだ。
雛見沢大災害はその結果の失敗じゃないかってな」
もちろんこの辺りには、風説や奇説や珍説も入り混じっている。
雛見沢大災害の直前に謎の死を遂げた診療所長。
そして、関口巽失踪の夜に惨殺された古手梨花と云う少女の謎・・・。
そして、関口巽失踪の夜に惨殺された古手梨花と云う少女の謎・・・。
診療所の地下に秘密の研究施設があり、そこで入江は細菌の研究をさせられていたが、
罪の意識に耐えかねて自殺。
オヤシロ様の復活と云う宗教的な祭典の何らかの意味の為、梨花は宗教的儀式で惨殺され生贄に――。
だが、彼らが研究した細菌は失敗作だった。
――それは村人達に寄生するどころか、そのまま死に至らしめてしまう殺人細菌だったのだ。
そして村は、一夜にして滅びてしまう事になる。
「ただのガス災害じゃない事は明白なんだ。ガスが湧く直前に、
1人の男性がそれを予記して失踪、さらに数人の村人が怪死を遂げている。
それを切り抜き帳にまとめた鷹野三四本人も含めてね。
あれを偶然の予見不可能な災害だとするには、どうにも腑に落ちない要素が少なくない。
この『34号文書』を読めば、それは明らかになってくる」
罪の意識に耐えかねて自殺。
オヤシロ様の復活と云う宗教的な祭典の何らかの意味の為、梨花は宗教的儀式で惨殺され生贄に――。
だが、彼らが研究した細菌は失敗作だった。
――それは村人達に寄生するどころか、そのまま死に至らしめてしまう殺人細菌だったのだ。
そして村は、一夜にして滅びてしまう事になる。
「ただのガス災害じゃない事は明白なんだ。ガスが湧く直前に、
1人の男性がそれを予記して失踪、さらに数人の村人が怪死を遂げている。
それを切り抜き帳にまとめた鷹野三四本人も含めてね。
あれを偶然の予見不可能な災害だとするには、どうにも腑に落ちない要素が少なくない。
この『34号文書』を読めば、それは明らかになってくる」
「じゃあ――、雛見沢大災害は自然的な災害ではなく、人為的な災害?」
「その後の長い封鎖は、その殺人細菌を調査するためじゃないかとも囁かれている」
「まあ、未確認飛行物体がって、説よりは狂信者集団の方が信憑性はありますね」
「その後の長い封鎖は、その殺人細菌を調査するためじゃないかとも囁かれている」
「まあ、未確認飛行物体がって、説よりは狂信者集団の方が信憑性はありますね」
「――この跡地を見ていると、本当に未確認飛行物体が墜落した可能性もあるかもしれないな」
「馬鹿馬鹿しい――」
「それが馬鹿馬鹿しくて調べたくても、沼は埋め立てられて確かめる術もない。
地質学的には何も効果は期待できないはずの馬鹿馬鹿しい工事によってだ」
「馬鹿馬鹿しい――」
「それが馬鹿馬鹿しくて調べたくても、沼は埋め立てられて確かめる術もない。
地質学的には何も効果は期待できないはずの馬鹿馬鹿しい工事によってだ」
「赤坂先輩がそれを立証するには、あとはここの住民の生き残りを見つけて、
体内からその特殊な病原体ってやつを見つけ出すしか、ないんじゃないですか」
「――それも致命的だ。大災害の後、雛見沢出身者に対する魔女狩りのせいで、
今や出身者の存在は不明だ。彼らは名乗りなどあげない」
体内からその特殊な病原体ってやつを見つけ出すしか、ないんじゃないですか」
「――それも致命的だ。大災害の後、雛見沢出身者に対する魔女狩りのせいで、
今や出身者の存在は不明だ。彼らは名乗りなどあげない」
「じゃあ、お手上げじゃないですか」
「それでも諦めないのが刑事魂ってものだよ。
あれが自然災害じゃなかったって云う状況証拠はいくらでもあるんだ。
何か一つの具体的証拠で芋づる式に全てを白日に晒せるかもしれない」
「それでも諦めないのが刑事魂ってものだよ。
あれが自然災害じゃなかったって云う状況証拠はいくらでもあるんだ。
何か一つの具体的証拠で芋づる式に全てを白日に晒せるかもしれない」
「まあ、あれから大分経過してますからね。真相はあまりに深い闇の中かもしれません」
「そうだな・・・・・新世紀になった、今頃になってここを訪れても、何も解りはしないのかもな」
あの年の6月に。雛見沢で一体、何があったと云うのだ。
「そうだな・・・・・新世紀になった、今頃になってここを訪れても、何も解りはしないのかもな」
あの年の6月に。雛見沢で一体、何があったと云うのだ。
確実にわかっているのは、鷹野三四がそれを予見して怪死を遂げて。
さらにそれを予記した関口巽が失踪し、診療所の所長が怪死を遂げ、
オヤシロ様の生まれ変わりと信じられていた古手梨花と云う少女が、惨殺されたと云う事実のみ。
さらにそれを予記した関口巽が失踪し、診療所の所長が怪死を遂げ、
オヤシロ様の生まれ変わりと信じられていた古手梨花と云う少女が、惨殺されたと云う事実のみ。
関口巽の残した紙にはこう書かれていた。
『私、関口巽は真相が解りました。
誰が犯人かは特定することが出来ません。
唯、解った事は、オヤシロ様信仰と関わりがある事です。
雛見沢連続怪死事件は連続ではありません。
そして、奴らが古手梨花を殺すのです。
それで、計画を実行するのです。
誰が犯人かは特定することが出来ません。
唯、解った事は、オヤシロ様信仰と関わりがある事です。
雛見沢連続怪死事件は連続ではありません。
そして、奴らが古手梨花を殺すのです。
それで、計画を実行するのです。
これを読んだ貴方。どうか真相を暴いてください。
それだけが私の望みです。
それだけが私の望みです。
関口巽』
関口巽を真相に辿り着かせ、失踪させた、この切り抜き帳は一体何なのか。
内容が示すとおり、それは壮大な陰謀を暴いた一大告発書なのか。
当時、誰もが思った様に、唯の妄想のでっち上げなのか。
内容が示すとおり、それは壮大な陰謀を暴いた一大告発書なのか。
当時、誰もが思った様に、唯の妄想のでっち上げなのか。
何が真相か解らなくなる時、この惨劇を見て誰かが楽しんでいるのを思う事がある。
この切り抜き帳は、そう、脚本なのだ。
数千人もの村人の命を一夜にして奪う、惨劇の舞台脚本。
人の死を見て笑う地獄の観劇者のための、悪魔の脚本。
この切り抜き帳は、そう、脚本なのだ。
数千人もの村人の命を一夜にして奪う、惨劇の舞台脚本。
人の死を見て笑う地獄の観劇者のための、悪魔の脚本。
この脚本を誰かが書いた、そして誰かが上演した。それを見て誰かが笑った。
くそ!!、あの年の6月に雛見沢で一体何が起こったって云うんだ・・・・!!
くそ!!、あの年の6月に雛見沢で一体何が起こったって云うんだ・・・・!!
境目を越えると、
拓けた所に建物がある――本堂――本殿――本社――
私はおずおずと近寄っていく。
近づくと入り口に影がある――影――陰――人影――
瞬時に躰が緊張した、なぜならその数が多かったからだ。
その人影は4つ。
左から大きい影が2つ。
続いて小さな影が1つ。
一番右に大きな影1つ。
左から大きい影が2つ。
続いて小さな影が1つ。
一番右に大きな影1つ。
なぜ?
闇にまぎれて顔までは見えないのだが、確かに存在している。
在ったとしても、変わりはてた影が1つのはずなのに、
この影達はいったい何なんだろう?
在ったとしても、変わりはてた影が1つのはずなのに、
この影達はいったい何なんだろう?
「――――――」
小さな影が声にならない声をあげた――猿轡(さるぐつわ)でもされているのか?
一刻の間を持って、私は気付いた。
ああ、生きている。