これはB海域大戦に参戦した島の一人、「王子駅」視点の戦史である。
序章
私はB海域大戦戦争で「統一阻止連合」を中途まで指揮し、そして敗れた。
思い返せば当時の私は大変に未熟であったし、そのためにですっぺさん及び同志の諸島に迷惑をかけてしまったことは今でも深く後悔の念が残る。
ただ私自身この数年、幾度の短い復帰は挟みつつも長く箱庭から離れていたし、同戦争の戦史は複数人の有志の手によってよく纏められており、敗将が殊更に言葉を重ねる必要を感じ得なかった。
しかしあの大戦の終結から4年が経ち、戦争の当事者はそのほとんどが離散。新資料の出現はもはや望むべくもない。
そして数年前の運営サイト、箱庭wikiの「消失」事件を挟み、断絶した事はあまりに多い。
だからこそ今、当時の状況や前後の経緯を述懐することで、箱庭海戦史及びB海域大戦史に新たな視点を提供するべきではないか。
折しも現在α海域では
トロンバ・ダーリャなる大規模戦が生起したが、今現在の戦争と過去の戦争を改めて比較し直すことで学ぶことも多いと思う。
私がB海域大戦で見てきた事象や問題の数々は、箱庭海戦での複数戦・同盟戦・それより上位の大戦に関わる上で頻出するものである。
これからそうした大規模戦を経験しようという方々にとって、この回顧録が幾分かの糧になれば幸いである。
†Qualified.Class |
vs |
統一阻止連合 |
†箱形の恐禍島 |
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∽ 島 |
†s島 |
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∽ 島 |
†サンタクロース諸島 |
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∽ 島 |
†反則島 |
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∽ 島(放棄) |
‰Nepthune島(離反) |
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‰王子駅島 |
‰防予諸島 |
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‰新沖ノ鳥島 |
‰ライン島 |
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Ψ御伽の国の鬼が島(放棄) |
Σadirem島 |
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ΨBaskerville島(放棄) |
ヴェルトハイム島 |
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Ψ清洲にある島(放棄) |
Thats雑島 |
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Ψサバ漁獲量第一位島 |
イザナミ島 |
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Ωしゃけ弁島(放棄) |
春のーぱんまつり島 |
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Ω 島 |
Σ平穏島 |
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Ω見た目は島 |
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Ω饅頭島 |
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%Nepthune島 |
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お漏らし幼女ふぇぇ島 |
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S・P・G島 |
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Sword of Japan島 |
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神聖眼鏡っ娘帝国島(放棄) |
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スタイリッシュなクマさん帝国島 |
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戦闘妖精雪風(改)島 |
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薫り立つココア島(放棄) |
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スピラ島 |
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セレッソ大阪島 |
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誘蛾島 |
第一章~戦端~
A海域が統一される前の話だ。
キーアイテムのほとんどを保有し、B海域の上位に君臨する同盟【Qualified.Class(QC)】の一強とも言える力に、私は既視感を覚えていた。
その既視感とは何か。かつて存在したS海域で勃発したS海域大戦である。
S海域大戦ではベテラン柊さんを初めとした、歴戦プレイヤーの集う同盟S.A.Sの一強状態にあった。
私はそのS海域大戦で、同盟【全共闘】の盟主として反S.A.S連合軍の一勢力として戦い、相討ちで自島の放棄を余儀なくさせられるも、同勢力の力を大きく削いで統一を先延ばしにすることができた。
そうした過去を踏まえるに、当時のB海域の状況は、S.A.Sが決定的な力に台頭する直前のS海域に酷似していたし、一つの勢力が圧倒的な力を持つ前に何とかする必要があると考えていた。
そこに入ったのが、かねてから統一間近と目されていたA海域がいよいよ統一するとの一報である。
A海域は既に統一側が反対勢力を一掃し、海域全体が上位同盟に禅譲するような形で比較的穏健に統一が進んでいた。
私はそうした穏健な形での統一を嫌っていたし、何よりこれ以上手をこまねいてもジリ貧になるであることを認識していた。
しかし、誰かが反統一に立とうという機運は全く見られなかった。ならば自分が立つしかしない。
そう決意し、私は統一阻止連合の構想とメンバーの策定にあたった。
統一阻止連合のメンバーを決めるにあたってだが、まず政治的スタンスが近しい島に極秘通信で抽象的な話を切り出し、そこで強く賛同する人間に計画の中核メンバーとしての打診を行っていった。
中でもすっぺ氏、新沖ノ鳥島(長きに渡る演習で友好関係にあった)氏はごく初期に勧誘したメンバーである。すっぺ氏は【 (空白)】同盟(島名・島主名を「 」にし、同盟員全員が同じ島形にすることで有名)の盟主でもあり、盟員に協力を取り付けることを期待していた。
またこの勧誘後、同氏との会議において、王子駅が発起人なのだから総指揮も執るべきという話が持ちあがり、そのように決まる。
さて、すっぺ氏の勧誘後には、私自身の外交コネクションとすっぺさんの外交コネクションを使い、主に無所属島への勧誘と打診を行って二人で同調勢力を大きくしていく。
私はSword of Japan島やスピラ島、スタイリッシュなクマさん島(全共闘時代の盟員)など表の中の無所属島の6~7割を勧誘したと記憶している。
ただ、すっぺ氏の勧誘してきた無所属島達に対しては一元的とは言えない指揮体制が生まれてしまった。
いわば王子駅寄りの無所属島と、すっぺ氏寄りの派閥があったわけである。
例えばセレッソ大阪島や神聖眼鏡っ子帝国島(ソード氏)などは「勧誘者が指揮者ではない」ということも相まって、内心扱いに困る部分があった。
平易に言えば「強い言葉で指示できなかった」のだ。
事実セレッソ大阪島は後述する全体攻撃に遅れ、神聖眼鏡っ子帝国島は途中で単独和平を行っている。
しかし、これはすっぺ氏の選球眼だけに非を求めることはできない。
上記のような島々は勧誘後、全体指揮者の私がすっぺ氏の面子を気にして、あまり直接調整しなかった・できなかったこともある。
しかし、こうした統一阻止連合内部の多頭的な指揮体制は【 】同盟の扱いにも当てはまる部分がある。
全体作戦会議場(チャット)で決定された命令はすっぺ氏を通して【 】同盟員に下達され、彼らの意向もまたすっぺ氏の言葉で上がってきていた。
また、すっぺ氏が【 】同盟をその
カリスマで強力に纏め上げており、すっぺ氏≒【 】同盟という図式が出来上がっていたため、彼個人と交渉すれば【 】同盟の意見調整は素早く解決した(人はそれを独裁とも言うが……戦争指導には最適であるだろう)。
彼らは個が全であり、全が個であるように見えており、すっぺ氏も対外的には盟員をそういう扱いにしていたと捉えることもできる。
しかし私は彼らを、統一阻止連合の中にあって一つの独立した集団と考えていたし、やはり最後まで異質なものであった。
すっぺ氏はよく協力し、拙い私をよく持ち上げさえしてくれたが、やはりこうした「多頭的な指揮体制」には当初より問題があったと言わざるを得ない。
この「多頭的な指揮体制」はこの戦争の敗因の根幹であると考えるので、第三章でも別の視点から再述する。
結果論ではあるが、私が思い切って当初よりすっぺ氏に指揮を移譲するか、あるいは全権を背負うことを決意して非情に徹しきれれば、結末も少しは違ったかもしれない。だが、そうはならなかった。
文脈はやや異なるが「B海域統一戦争~すっぺ視点~」での「なれあい戦争」というフレーズは、このような雰囲気の中で行われた戦争指導を鋭く指摘するものだろう。
さて、このように徐々にその基盤を固めつつあった統一阻止連合であったが、ここで一つのある相反する苦悩が生まれる。
「同調勢力の拡大」と「情報保全」の問題である。
S海域大戦では設置された作戦会議室(全勢力員が参加する非公開チャット)のスパイが攻撃計画を漏洩し、いくつかの大規模攻撃では部隊派遣に合わせてS.A.S側の迎撃が効果的に行われたのは知られていた。
私はこれを強く意識していた。
とりわけ無所属島への勧誘を進めるにあたって、QCの息がかかっていないであろう島を慎重に選び出すのには労がいった。
過去100件の公開外交通信の確認や数十ターンのコマンドログからQCに物資援助を行っていないか等、丹念に外交関係の下調べをしていく作業が要求された。
しかし、それでも(どの島からどのタイミングか分からないが)比較的早い段階でQCに統一阻止連合の蠢動が掴まれていたことは、もはや無所属の有力島が数少なくなってしまっていた上である種の限界とも言えただろう。
第二章~激動~
ようやく阻止連合がひとまずの体を成し、全体作戦会議場(チャット)の設立も行ってまもなくのことだ。
通常、大規模戦を行う際は外部のチャットを借り切ってそこで全て議論するのが一般的であるが、このB海域大戦ではSkype上の執行部(私、すっぺ氏、後に松姫氏)「ホットライン」で鳩主会議が行われ、その場で決まった決定事項のみ作戦会議場に流すという形で行われていた。
秘密主義的であるかもしれないが議論の量も多く、そこで多数の島が個々に意見を出す形になると収拾が付かなくなるため、そして恐らく防諜の点でもこの方式は割り合い成功していたと思われる。
さて、そこでの一対一の議論の中ですっぺ氏から出てきたのが、雪だるま式の開戦案である。これは字義通りQ.CのみならずQ.Cへ同調した勢力に次々と宣戦するものであった。
私はこの提案へ即座に難色を示した。
宣戦布告先を分散することは、こちら側が唯一有利といえる要素の資金力での優位を打ち消すことになるし、無駄に敵は増やすべきではない。また宣戦をQ.Cに絞ることは、統一側と反統一側という図式を明確化し、このことで海域内でQ.Cが統一を目論んでいるとの世論を醸成できれば、内外への宣伝戦の上で有利に運べるとの判断からだった。
あるいは、すっぺ氏はこの時点で統一阻止連合の敗北を読みきり「せっかく死ぬなら最後に徒花を咲かせてやろう」ということで半ば真剣に、半ば自棄になってこの提案をしていたのかもしれない。
第三章~激闘~
さて、ここまでは【 】を中心としたすっぺさんと、私の周縁国に有志無所属島を加えた【International】抜きでの統一阻止連合が構想されてきた。
だが作戦会議場での議論が深まるにつれ、海域に存在する同盟【International】との共闘が真剣に考えられるようになっていく。
当時の【International】はクリスタル数個を保有し、また下部同盟内にも5島在籍する有力な勢力であった。
すっぺ氏は「ここで、王子駅と共に、Internationalに対する共闘関係を探り始める」と述べているが、私個人はこれ以前から彼らとの共闘は検討していた。これはすっぺさんも当然同様の構想を持っていただろう。
しかし彼らは独自のイデオロギーで固まった組織であること、そして統一阻止にどこまで積極的か不明なこと、そして指揮に組み込むのが困難と予想されていたため、この案については十分な吟味がなされた。
また、もしこの戦争に勝利して統一阻止に成功した場合、寄り合い所帯の我々に対して、一つの意思に率いられた彼らが一大勢力として海域の新たな火種となることは予想できたことも二の足を踏む原因であった。
たとえば同勢力のBaskerville島などはその当時にしてイエロークリスタルなど複数個のアイテムを所持している。
このことはB海域以前にあったS海域の「晒し戦争」(統一阻止戦争)の中で旧MIAの統一を阻止しつつも、自身の統一を狙う勢力がいた状況にあったことも頭に置かれていた。
加えて【International】内部の動きについては松姫氏と協議を重ねていた時でも不明瞭な部分が多く、このことは一層不気味なものに見え、彼らと共闘しながら距離感や疑念を生じさせるものとなっていた。
ただ組織としてはどうであれ、ホットラインですっぺ氏・松姫氏と頻繁に接触しお互いの人となりに知っていたことから、少なくとも指揮する人間の間で個人的な信頼関係は築かれていたことは述べておこう。
結局、この同盟との共闘を選択したのは(選択せざるを得なかった)のは、単純にまともな戦力単位になりそうな中立島がほとんど海域に残されていなかったためである。
私とスタイリッシュなクマさん島、【 】同盟の約半数、セレッソ大阪島などは各々300~400万の人口限界に達しており、軍備もそれなりに整えられていた。しかしそれ以外の友軍の島は150万~200万のいわば中堅島であり、軍備もやや心許ないものであった。
この方針の決定後、私は統一阻止連合の渉外役として【International】盟主の御伽の国の鬼が島の松姫氏に連絡を取る。
ここで松姫氏は同盟として統一阻止連合へ協力することを約束し、更には作戦会議場・ホットラインへの参加も了承してくれたが、同盟部隊の個別指揮については別個に行うこととした。
つまり、大まかな方針で統一阻止連合には従い(開戦初ターンでの奇襲もその一つである)同士討ちを防ぐため戦略目標の策定や部隊展開の際の相互連絡は行うものの、どのような部隊でどう攻撃するかは【International】側の裁量に任せられることになった。
また、ここで【International】とは別に問題になってきたのは、モチベーションの低い消極的な島についてである。
大まかな方針は前述のホットライン内で決めていたものの、阻止連合に連なる全島が作戦会議場のアクセスを行えるようにしていた為、細かな部分や修正案については多くの島が議論し、ボトムアップという形で決定されることも多かった。
しかし単に忙しいからか、あるいは日和見主義なのか、こうした議論に全く加わろうとしない島も何島か見受けられた。また後に作戦を下達する段になっても彼らの動きは鈍く、共同歩調を乱すことになった部分がある。
このように、開戦前の時点で統一阻止側は言わば「王子駅派(アクティブな無所属島中心)」「すっぺ派(空白同盟中心)」「松姫派(International&Wodan)」「中立派(セレッソ大阪島・神聖眼鏡っ娘帝国など)」という四つのグループが存在している形となり、実態はともあれそれらを纏めなければいけない役割であった私は、必死に各グループの意見の調整や伝達を続けていた。しかし、時間は無常にも過ぎ去っていき、この調整だけで二週間ほどの時間が費やされていた。
そしてその間にも海域にはアイテムが出ていき、私は焦燥の念に駆られた。
もはや一刻の猶予もならないこと、そしてこれ以上長引けば(既に全体作戦会議室が出来てから三週間ほどが経過し、緩慢な空気が流れ始めていた)完全に組織が「壊れる」であろうと予測し、調整がある程度不十分になる面は仕方ないものと考え、戦争の突入に踏み切ることにした。
すっぺ氏もこの腐敗臭を感じつつあったのだろうか、この開戦についてはすんなり賛成をしてくれた。
そして私たちは出来る限りの対策を講じた。
金曜の午前3時(819ターン)という開戦日の決定も、その一つである。
大規模戦で多用される布告タイミングは奇襲効果を狙った平日の早朝ないし真昼か、多少の損害を覚悟しても友軍勢力のIN率が高くなる土日の昼間であるが、今回はその特殊性を鑑みて両者の複合タイプとした。
つまり開戦劈頭のフォートレス一斉爆撃は奇襲を狙い、その後10数ターンはIN率を高めて組織の重い腰を少しでも軽くしようということだ。
ともかく作戦の詳細は決まった。
810T一斉布告
818T反則島対地・対空艦派遣
819Ts島一斉空爆
840T反則島爆撃
である。
少し説明を加えるなら、まず818Tの反則島派遣は相手方が先制攻撃に気づいた場合、819Tに援軍を同島に送り込むことが考えられるので、それと入れ替わる形で空いたs島を狙わんとする意図があった。
序盤のメインとなるのは819Tのs島奇襲爆撃であるが、s島は端寄せながらも比較的本土防備が薄く、その分大和などの侵攻戦力に国力を割いた国である。
このため、s島を大量のフォートレスによる奇襲対地攻撃で無人化することで戦争のイニシアチブを握ることが出来ると思われた。
また見た目上も派手な作戦となるため、「目に見える形」で戦果を出せば、その戦果自身で友軍を纏め上げることにつながるだろうと考えられていた。
フォートレスの派遣は当初の計画で240機ほど。比喩ではなく「海を埋める」ことで、なるべく敵の迎撃を出させないようにするプランである。
B海域大戦 ~ALEX視点~ではこの作戦があからさま過ぎることから、「裏の裏をかかれた」と半ば呆れとともに評価しているが、実情は違う。
組織が大きくなりすぎて、もはやフォートレスを囮に使って艦艇再派遣などの細かな作戦は、会議室の現状から立案しても実行できない可能性が大であった。
「裏の裏をかく」効果を期待したわけでもないが、ほとんどのところ、これが情けない真相である。
もちろん戦術面では何のひねりもないかもしれない。そう批判するのは容易い。
ではどうすれば良かったのだろうか。本記事の総評でも答えを探してはみるが、後から見る故の冷静さや知恵もある。
ただ、私はこの作戦の立案内容については満点とは言えずとも、及第点の評価はつけるし内容で後悔はしていない。
さて、この爆撃以降は順次各島に艦艇を派遣して、本命のクリスタルを狙うことが考えられていた。
840Tの戦爆連合と対艦艦艇による反則島攻撃はその端緒になる予定であった。
ここで一つ「B海域大戦~すっぺ視点~」に補足する。
同記事ですっぺ氏はアレンさんを第一目標としなかったことについて、おどけて記述しているが、真面目な理由も挙げておくと、同島は中央形ではあったが、埋め込み海防などを多用した非常に堅牢な島設計だったこと。アイテムをノームしか持たず必然的に攻撃優先度が低かったことがある(もちろん氏が海戦史屈指のプレイヤーであることを考慮した面もあるが)。
第四章~自壊~
この章においては、戦争終結後より近い時期に記事が出ていることから、細かな部分では公式戦史やALEX・すっぺ両氏の記述だけとする。
810T一斉布告。全体では布告ミスなど若干の齟齬が見られたが「ほとんどない」と表現しても良く、この大戦争勃発の気配に海域は強く色めきたった。
そして818Tの開戦、反則島一斉派遣。しかし、反則島への攻撃命令は半分ほどしか実行されなかった。
この事実は戦争を指揮する首脳部に衝撃を与えたものの、開戦ターンであること、そしてジャブに相当するものであったことから何とか許容できるとする見方が強かった。
そして240機派遣が予定されていたs島一斉爆撃の819T。
だが、更新後目の当たりにしたのはあまりに少ない機数、あまりに多い海の青であった。
その数170機程度、定数の7割ほどの数である。
これには首脳部も心底からのショックを隠しきれなかった。とりわけ、部隊を派遣しなかったのは中立に近く返信も遅かったセレッソ大阪島などの無所属島であった。
懸念が現実のものとなってしまったのだ。
170機のフォートレス達はそれでもなお、s島から450万ほど人口を削り飛ばしたが、素早い迎撃で少ない機数をさらに減らしていく。
だが端寄せ最深部には打撃が不十分で30万以上が残ってしまった。
他記事によれば、混乱の中Ω 島(空白同盟の一島)がバグを利用したフォートレス再派遣を試みたようだが、不発に終わる。
このことは作戦会議室を通さず個別の事前告知もなかった為、私はほとんど認識していなかったし、驚きと困惑を持って迎えられた。
ただ、告知がなされずに慌て、悩んだのはすっぺ氏も似たところだったようだ。
指示・通知の不徹底、独断、そして失敗といったΩ 島の行動は、まさに当時の統一阻止連合を象徴した事象であった。
さて、このような状況が続いていた830T前後。
既に826Tには【International】の有力島であった清洲にある島が将来を悲観してか放棄。
そして828TよりQC連合軍がクリスタル確保を目的にBaskerville島へ本格反攻を開始していた。
もはや【International】内部も相当に揺らいでおり、共同作戦を行う余裕などなく、頼みにすることが難しくなっていた。
この間統一阻止連合では大規模な作戦は行われていなかったが、この「空白の10ターン」に何があったのか。
当時の統一阻止陣営では、前述の【International】内部での混乱と統一阻止連合からの自然分離に加え、無所属陣営の中立派が部隊の派遣を差し止めたり、あるいは公然と批判・離反する島が出始めていた。
私の影響下にあった比較的協力的な中立島も作戦ターンに部隊は派遣してくれていたものの、IN率の差などから臨機応変な作戦を実施しようにも協議・立案の会議すら行えない状態で、もはや数島しか統制が取れなくなっていた。
とどのつまり、この時期の統一阻止連合の中では比較的「まとも」な戦力単位として機能していたのは、私とすっぺ氏と【 】盟員、新沖ノ鳥島・スピラ島など少数のアクティブな無所属島だけであった。
人は勝者には優しく敗者には厳しい。敗れつつあるものから人が去っていくのは止められないものだ。
あるいはs島奇襲で攻撃計画が完全に機能し、フォートレスが定数派遣されたら。
もしその爆撃で開戦初頭にs島無人化に成功したら。それによって中立派無所属、海域全体がこちらに大きく傾いたら。
いずれもあり得た「もし」であるし、またあり得なかった現実なのである。
私はあれだけ念を押したのにも関わらず、度重なる伝達事項の無視が行われたことに、私は己の力不足とどうしようもない失望、無力感を感じていた。
【 】が戦力の中心となった現状で、これまで多くの無所属島という地盤に依拠して総指揮を執っていた私は、もはやこれ以上の指揮を続けることは難しいと考えていた。
そして私はホットラインですっぺ氏に指揮権の移譲を申し出る。私では戦争を続けられないと。
これから指揮を執る人間に待つのは敗戦処理という辛い職務であることは明白だったし、25島以上にも及ぶ統一阻止連合の指揮を戦半ばで放り投げることは、酷く無責任であるということも自覚していた。
こうした私の申し出を、すっぺ氏は一度やんわりと固辞された。職責が大きすぎるし、戦争中に総指揮官が交代するのは良くないと。
その拒否は柔らかい言葉ではあったが、それ故に私の身勝手さを強く非難されている気がした。
すっぺ氏はそこで松姫氏に水を向ける。
この流れに松姫氏も遠慮していたが、やむ終えず今後彼が総指揮を執ることでその場は終わった。
すっぺ氏にしてみれば彼が残存兵の指揮を執ることで、離れつつあった【International】と統一阻止連合の残りを、再び合流させようという意図があったのかもしれない。
しかし、【International】と統一阻止連合の指揮。二足のわらじを履くことはやはり無理があったのだろう。
数ターン後すぐ、彼もまたホットラインで指揮権の移譲を申し出る。
もはや、その役割を務められるのは一人しかいなかった。
第五章~離反~
目的は、反統一。
最後までこの気概を持って戦うことが出来たのはすっぺ氏だけだったかもしれない。
彼が総指揮官に代わった後の統一阻止連合は、残存兵力が統一阻止側のクリスタル所持島を独自の判断で防衛するという形の戦いにほぼ変わった。
唯一反則島爆撃にあわせた攻撃機・爆撃機による空襲のみ組織的に行われたが、これも芳しい戦果は残さなかった。
すっぺ氏は無理に全てを抱えようとせず、潔く取捨選択を行ったのだろう。
これで生き残っていた統一阻止側の島々の一部では最後まで機能し、個別単位ではあるものの終戦まで友軍同士の支援や援助が行われた。
このことを考えると私の指揮権移譲は、少しだけ報われたかもしれない。
しかしダーククリスタルを持った箱形島の二回攻撃の大和数隻は、圧倒的な破壊力で多くの島を薙ぎ倒していった。
シルバークリスタルの奪取でそれはすぐに二回攻撃・二倍攻撃に変わり、最高錬度の霞ですら二撃で沈みうるその鉄の暴風に指揮系統の不全を抱えたままの統一阻止連合の島々は各個撃破されていった。
だが、ここですっぺ氏は最後のウルトラC、というより私が予想だにしなかった行動に出る。
Q.Cの攻撃を何とか凌ぎ、台風の目となったBaskerville島、その一瞬の間隙を突いてホーク攻撃機を中心とした部隊を同島に派遣したのである。
【International】への裏切りともいえるこの行為であったが、手負いだったBaskerville島の海軍は止めを刺されたものが多く、統一に必要なアイテムであるジンが転げ落ちる。
こうしてアイテムを何とか入手したすっぺ氏は、QCによる略奪を防ぐため890T全海防を放棄。
ジンを破壊することで、反統一の意思を最後まで貫き通した。
第六章~孤独~
実を言えば、私は840Tの反則島への爆撃を見届けた後から、自分の島をほとんど覗いていなかった。
だからその間B海域に起きたことについて、語るべき言葉をほぼ持ち合わせていない。
それは惨めさを伴う無責任な遁走であったし、組織を最後まで活かすため必要だった身の引き方とも言えた。
私の島である王子駅に、統一阻止側の一部が宣戦を布告したことも知らなかったし、【International】が完全に壊れていったところにも立ち会っていない。
覚えているのはすっぺ氏のウルトラCの所業くらいである。
褒められた行動でないことは分かっていた。
ほんの少しだけ自己弁護を許されるなら、無謀かもしれない反統一へ「最初に立った勇気」だけは認めてもらいたいところである。
あるいは徹頭徹尾、谷へと突き進むタビネズミの群れ、レミングスの先導者・煽動者に過ぎなかったのかもしれないが。
ただ、自分の度量を越えた役割をロールし、大団円にも立ち会わなかったのだから、~ALEX視点~での「三流役者」というのは本当に耳が痛い指摘だ。
第七章~敗北~
この後は戦史に記されている通りである。
890Tにすっぺ氏が放った最後の抵抗は、892Tに怪獣からジンが出たことで呆気ない幕切れとなった。
イリス氏は海域を統一。統一阻止側は敗北。そして海域の更新が停止された。
気だるい空気の中でダラダラとアイテムを掘ることなく、ある種「祭り」ともいえる熱狂の中で海域が終焉を迎えた点では、勝っても負けても一服の清涼感を感じさせるのものはあったのが救いだっただろうか。
開戦までの1ヵ月半に及ぶ会議、戦端を開いてからわずか3日足らずでの組織の決定的な崩壊、そして緩やかな破滅。
かくして我々は敗れたのである。
総評に対する総評
さて、以降は
B海域大戦 ~ALEX視点~の総評で述べられていることについての所感を述べたい。
こちらについても触れないとフェアではないだろうし、相手方から冷静に分析されることで得られる気付きも多かったからだ。
まず、Q.C側の密な連携・経験豊富さが特に書かれているが、これに反して統一阻止側は多元的な指揮・大きすぎて疎になった連携・低い艦艇錬度という対照的なものであった。
特にレスポンスの悪さは致命的で、819Tまでの一斉攻撃は何とかなっても、その後状況が流動的になってからの連携攻撃は全く展望が望めないものであった。
また、そもそも艦艇の錬度は大きく不足しており、見た目上艦艇の数は統一阻止側が勝っていても、クリスタルによる強化と侵攻戦であることを考えれば、その艦艇戦力の実態は統一阻止側劣勢とも言えた点も敗因の一つと言える。
次に、戦略目標の錯誤というのは、半分当たり半分外れているのではないかと考える。
まず「クリスタルの奪取」というのは一つの目標ではあったが、当時の私は「Q.C勢力の破壊」という目標の達成をより重要視していた。
そのため、クリスタルの保有島を集中して攻撃せずに、広範に打撃を与える作戦を計画したのである。
そうした点で鑑みれば、防備が薄く攻撃戦力の層が厚いs島を集中的に攻撃し、後の戦況を有利にするプランは戦略的な妥当性がある。
特に長期戦になればなるほど多数の島の資金力・食糧供給能力に支えられた統一阻止連合は有利の筈だからだ。
しかし問題は、長期戦に耐えうるほど組織が強くなかった点だ。
結果的に二兎を追う形となって、どちらの戦略目標も達成できなかったのは非常に良くなかった。
そもそも「組織が壊れる前に」という動機で開戦を決めた時点で「Q.Cの勢力の破壊」や長期戦は見切り、誤射を恐れず25島で大量かつ連続のホーク爆撃を行うべきだったかもしれない。首尾よくクリスタル奪取を出来たら全体の指揮を執るのは諦め、防衛戦の利を活かしてアクティブな有志が各々に友軍を出し合うことで凌ぎきるのも面白かったと考える。
上は後知恵ではあるが、すっぺ氏が協議段階であまり何も言ってくれなかったのは私を試していたのか、ただ単に気づいていなかったのか…。
あるいは私同様、組織内ということもあり「遠慮」してしまったのか。今となっては確かめる術はない。
そして当時の私の大規模戦指揮経験についてだが、それまで同盟を二度組織していたが盟主としての戦争経験は3~4回。
S海域大戦も決して優勢ではなかったといえ「勝てる戦」での指揮であった。この点で私の経験不足だった面もあるだろう。
思うに、当時の私は全体に指揮を行き渡らせることへ幻想抱いていたのではないか。
私が指揮を放棄・移譲した後にすっぺ氏が全軍指揮を諦めたのは、やはり当時の状況を的確に把握した最適解を出していたかもしれない。
ただ、総指揮官が最初から全軍の指揮を諦めたプランニングをするのが最適解だとしたら、それはそれで合理性があっても腑に落ちないところはあるが……。
終章
ともあれ。こうして私の回想はその最後のページを閉じる。
彼らと過ごした日々はもはや遠い彼方のもので、それはもう二度と戻ってくることはない。
B海域大戦を振り返る時、その記憶はほろ苦い感情と共に想起させられる。
しかしその想起はまた、古傷を撫でるような懐かしさを伴うものでもあるのだ。
私は箱庭海戦というゲームの一時代を、彼という偉大な人物と歩めたことを誇りに思う。
ありがとう、すっぺさん。そして、さようなら。
- 6章のあっぺさんはすっぺさんでは…? あっぺさん、いませんよね…? -- 名無しさん (2017-06-18 23:13:12)
- 普通に打ち間違えてたテヘペロ 直しておきました -- 王子駅 (2017-06-18 23:20:18)
最終更新:2017年06月24日 04:42