指数タワーとは、例えば次のような数である。
筆者が巨大数のジャンルを探索するきっかけとなったのも、この指数タワーを目の当たりにしてからである。
宇宙物理論的に出せる巨大数の限界がこの辺のオーダーであり、それ以上の演算レベルの数は、純粋数学のみの世界のものとなる。(数の比較を参照)
まず、原則として、指数タワーの演算順序は右からであって、左からではない。
指数タワーで表される数は余りにも大きく、例えば上記を計算すると、
となる。これはこの数を全て十進表記に直した時のの数が、
個
であるということを示している。
観測可能な宇宙の原子数は個と言われている。
その全物質をインクに変えたとしても、一文字あたり個の原子を消費すると仮定すると、
個の
を書くのが限度である。
従って、桁の数は
と記述することができるが、これが可視宇宙の物質で10進表記できる限界である。
には圧倒的に足りない。
つまりこれは、指数タワーオーダーの数というのは、今後幾らコンピュータが発達したとしても、具体的な全ての桁を算出できない事を意味する。例えそれを求めることができたとしても、それを記憶または記述するスペースそのものが無いのである。
ただしこの場合は、この数が10と10の指数のみで構成されているので、その全ての桁がとなるのは自明である。しかし、
などといった数では、そうは行かない。お手上げである。
・・・のはずであるが、上記で上げた数より大きな数、例えば第1スキューズ数が、ぐらいであると求められている。これは先ほど述べたように、実質的に全ての桁を算出するのが不可能なラインを遥かに超えた数である。しかし、底数の
が、
に変換されている。実は、全ての桁を求めずとも、指数タワーの底数を変換することは、可能である。
指数タワーを構成する数字を揃える事ができれば、異なる指数で構成された指数タワーの大きさを比べることが出来る。例えば、と、
はどちらが大きいか、等ということも解る。
試しに先程のの計算を試みてみる。
右上の指数は普通に計算できる、つまり、となる。
さて、次にこの右上のをどう計算するか。
実は、Windows電卓などは、このぐらいの指数であれば普通に計算してしまう(数万桁程度まで可能)のだが、指数タワーの式によっては兆単位の指数を処理する必要が生じうる場合もあるので、ここは工夫してみよう。
ここで対数を用いる。である。つまり、
となる。
これを利用すると、
となり、底をに変換することが出来た。つまり、
である。
次はを計算する。当然コンピューターによるゴリ押し計算は不可能なオーダーになる。
しかし、これも対数を取れば、
ここで、にもさらに対数を取れば、
という風になり、底の変換に成功した。つまり、である。
次も以上と同様の手筋で計算すれば良い。
ここで想像してみて欲しい。という相当巨大な数に、たったの
を加えるという操作を。つまり、この指数タワーの天辺の数
は、少なくとも目に見える範囲では全く微動だにしなくなってしまう。つまり、
と近似してもまず問題ない。
以上をまとめて、である。
そして天辺の数にさらに対数を取ると、となる。