ふぃっしゅ数(しばらくはバージョン1の話とする)に対する現時点(2013/06)での考察。
ふぃっしゅ数は、非常に巨大な数として認識されているが、一方でその定義が非常に複雑であり、その大きさを具体的に求めることは難しいとされる。
筆者(Aeton)はまだふぃっしゅ数の実体を殆ど理解できていないが、ほんの少しだけ計算を試みたことはある。残念ながらその計算はどうやら間違ってるっぽかったのでそのままにしてしまったが、その状態で2chスレッドにて行われた初歩の計算を改めて眺めてみた所、気が付いた事がある。
ふぃっしゅ数は、『S変換』というシステムを定義し巨大な数を生成するための道具としているが、そのS変換って何かっていうと、定義から引用すれば、「自然数と関数のペアから、自然数と関数のペアへの写像」。はて一体どんな意味だ?『巨大数論』では同じことをこう言い換えている。「自然数mと関数f(x)のペアから、自然数nと関数g(x)のペアを生み出す変換」まだ良くわかんない。
計算してみて、ついでに他人の計算してみたのを見て気が付いた。まず1段階目の計算に用いる関数がある。1段階目の数が求められる。2段階目、1段階目で求めた数を、同様に関数に入れて・・・と見たときに、関数の形そのものがいつの間にか変わっていたのである。
つまり、段階を踏むごとに大きな数が生成される一方で、用いる関数の形もより大きな数を生み出す関数に変わってしまっている。つまりある数とある関数から、「より大きな別の数」と、「より大きな別の関数」の2つが同時に生まれてしまった事になる。これがS変換の『ペアの写像』の意味と理解される。結局言ってることが最初に示した定義とあまり変わらなくて申し訳ないが、実際に計算作業を経験してみてやっと実感できたことなので、初歩だけでも計算を試みてみたほうが良いかも知れない。
だから、グラハム数のように、用いる関数の実体が解れば後は数を入れていくだけ、という作業にはならないのである(グラハム数で用いる関数はタワー関数と入れ子の関数の2種類のみである)。段階を踏むごとに関数の形も変わってしまうので、一段階ごとにその関数の変化を追っていく必要があるわけで、だから計算が難しいのである。だが同時に、これらの相乗効果により、恐ろしく巨大な数が生成されるというわけである。
ふぃっしゅ数においては、さらに『SS変換』というものが定義されている。こっちの定義はもう計算どころか分析も全くしてないので詳しい事は解らないが、S変換する回数そのものをさらに爆発させる演算、であろうことは想像に難くない。
さらに巨大数スレッドにおいては、その後計算を試みたメンバーによって、ふぃっしゅ数におけるS変換が『チェーン表記を一つ伸ばす効果』に相当する事が推定された。もしそれが正しいとするならば、数回のS変換ならば例えば10→10→10→10→10→m→nとかぐらいになるだろうが、実際はここにSS変換を掛け合わせてチェーンの長さを爆発的に増大させるので、その過程でグラハム数より遥かに大きな数がSS変換に用いられるだろうと考えれば、10→10→(グラハム数回)→10→10をいずれは超えてしまうという事になる。
さらにふぃっしゅ数のバージョンが上がると、SSS変換、SSS...SSS変換(Sの数を爆発的に増大させる)といった操作が登場する。ふぃっしゅっしゅ氏の目指した所というのは、つまるところタワー表記やチェーン表記やその拡張表記etc...といった、あらゆる巨大数表記を、たやすく無に帰すような、表記法が拡張に拡張を積み重ねても追いつけないような、そういう極超巨大数および関数を、限られた文字数で定義したい、という所にあったようである。だから氏はふぃっしゅ数の定義付けは与えたけれども、タワーやチェーンといった表記法を用いた、具体的な計算を殆ど行っていない。定義自体を理解できたとしても、それを実際に計算することは困難ということなのである。
でも、いずれかはやってみたいですね。バージョン1ならまだ、チェーンの拡張表記を定義すればその範囲で記述できるらしいので、その具体的な大きさの計算を。