足し算が重なることによって掛け算ができ、
掛け算が重なることによって累乗、つまり指数表記となる。
タワー表記は、この概念の延長線上にあるものである。
指数が重なった状態をさらにまとめるために、次の記号が定義された。
この演算を、「超累乗(超べき乗)」または「テトレーション」と呼ぶ。
同様に、テトレーション演算が重なった状態は次のように表記し、ペンテーションと呼ぶ。
さらにペンテーションが重なると、ヘキセーションとなる。
このように、を増やして行くことにより、さらに上の段階の演算を表現できる。
また、テトレーションの前段階である指数表記も、一本で表される。すなわち、
である。
しかし、累乗以上のレベルにおいて、その扱いは足し算掛け算ほど柔軟ではない。結合法則や交換法則が、成り立たないからである。
そして、その計算順序は、右側からである。左から計算した場合、単に指数が掛け算されるだけになってしまうので、あまり意味が無い。
当然ながら、テトレーション以降も同様である。
では、演算のレベルが違うもの同士の計算順序はどうか。
足し算~累乗の場合は演算レベルが高いほど計算優先度が高かったが、
タワー以降のレベルではそうではない。の本数が異なっていても、その計算順序は右からである。
まあ実際にはこんな滅茶苦茶な順序で来ることはまず無いと思う。多分・・・
次のように、演算が高い順に並んでいる状態が表現として自然かと。
さて、ここで話を変えて、例えば
(1) aがb回足し算した後にcを足す
(2) aがb回掛け算した後にcを掛ける
という演算を考える。これは、
と表記すれば良い。しかし、
(3) aの指数がb回重なってさらにその上に指数cが乗る
(4) aがb回テトレーションを繰り返した後にテトレーションc
という演算を、同じ手法で表現することはできない。
このように、全く意味が異なってしまう。
演算順序を強制的に左からにしてみても無駄である。
大きな数を「作る」だけなら、これまで紹介してきた表記でも良いが、例えば多角形表記等、タワー表記以外を用いて定義された巨大数をタワー表記に変換しようとすると、これだけでは厳密性の面で問題が生ずる。
そういうのは小数を使えば、と思うかも知れないが、例えば指数が小数はまだ良いが、テトレーション小数とかペンテーション小数というのを、まともに計算できるだろうか?テトレーション小数は一応研究されているらしいけど何だかよくわからないし、ペンテーション小数となるともうお手上げである。
つまり、そういった数は、先ほどの(3)(4)の様に、cという「半端な数」を存在させることによって初めて厳密に表現できるということになる。
ということで、タワー表記には、これらを簡潔に書き表すための特殊な記法が存在する。それが以下である。
このとき、左辺と右辺の式での本数は変わらない。紛らわしいが、気をつけよう。
上記の様に、の本数がどんどん積み重なっていくと、その本数を数え上げるのが次第に困難になる。
ということで、これを簡潔に纏めるための拡張表記が存在する。
この表記で先ほどの式を表すと、となる。
もちろん、はとは全く異なるので、ごっちゃにしないように気をつけよう。
さらに次の例。
すごく・・・紛らわしいです・・・
タワー表記でどんどん演算のレベルが大きくなるのは解ったけど、でも足し算~累乗の範囲で生きてきた我々にとって、が増えることが実際どういう事なのか、正直ピンと来ないという方も多いと思われます。
ということで、指数表記との比較もしてみました。