宴会の風景~エンジェルさんの契約者
「………………さて。そろそろいっそ性転換手術でも受けるか。"女装した変態"と"ニューハーフ志望の男子高校生"じゃあどっちがマシかな………ハハ、ハハハ…」
知り合い作りのために気合いを入れた直後、嵐のように襲来した同年代くらいの美人さん。
その凄まじいテンションの高さとあまりにも多いツッコミどころに、色々ツッコんだりカラオケセット(まあ、こっちはそもそも貸すつもりではあったんだけど……なんか不安だった)返してもらおうとしてたりしてた、のだが。
その凄まじいテンションの高さとあまりにも多いツッコミどころに、色々ツッコんだりカラオケセット(まあ、こっちはそもそも貸すつもりではあったんだけど……なんか不安だった)返してもらおうとしてたりしてた、のだが。
衝撃の事実、発覚。
―――女装、バレてた。
衝撃的過ぎて思わず逃げてきてしまったのは確かに失礼でだから後で謝ってついでに連絡先教えてもらおうとか思ってるけど、しかたないことだと思う。思ってほしい。てか思って。
そんなことを考えて気をまぎらわそうとしても、心の体力ゲージがまるで惑星ソーラに挑むアーウィンのごとく減っていく。
自分でも被害妄想だとは思うというかそう信じたいのだが、周りから「うわあいつこんなとこでわざわざ女装してるよ、ド変態ってレベルじゃねえな!」的な目で見られてるような気がするのだ。
…………いやこれマジでヤバい。お酒飲んだら酔いでごまかせたりしないだろうか。
そう思ってそばの机にあったお酒(くわしくないからたぶんだけど、果実酒とかいうやつだと思う)を、無作法だと知りつつも、らっぱ飲みでイッキしてみた。
そんなことを考えて気をまぎらわそうとしても、心の体力ゲージがまるで惑星ソーラに挑むアーウィンのごとく減っていく。
自分でも被害妄想だとは思うというかそう信じたいのだが、周りから「うわあいつこんなとこでわざわざ女装してるよ、ド変態ってレベルじゃねえな!」的な目で見られてるような気がするのだ。
…………いやこれマジでヤバい。お酒飲んだら酔いでごまかせたりしないだろうか。
そう思ってそばの机にあったお酒(くわしくないからたぶんだけど、果実酒とかいうやつだと思う)を、無作法だと知りつつも、らっぱ飲みでイッキしてみた。
「…ごく、んむ、んく―――ぷはっ」
飲みきり、空になった瓶を机にどん、と荒っぽく置く。
その甘い液体が喉元を通りすぎた瞬間、身体がボォッと燃えるように熱くなった。火照ってる。きっと顔も赤くなってるだろう。
……………けど、ダメだ。こんなんじゃごまかせない。
ヤバいヤバいほんとヤバい、このままじゃ羞恥心が限界突破する!
だれか、だれかこっちのことを「女に見える」といってくれる人は!?
―――人間って恥ずかしさで死ねるんじゃなかろうか、今死んだら死因は羞恥心、そして分類は"恥死"で確定だな―――とムダ極まりないことを考えながらも、限界が迫ったこっちの二つの目は会場内を見渡しまくる。
そして―――。
その甘い液体が喉元を通りすぎた瞬間、身体がボォッと燃えるように熱くなった。火照ってる。きっと顔も赤くなってるだろう。
……………けど、ダメだ。こんなんじゃごまかせない。
ヤバいヤバいほんとヤバい、このままじゃ羞恥心が限界突破する!
だれか、だれかこっちのことを「女に見える」といってくれる人は!?
―――人間って恥ずかしさで死ねるんじゃなかろうか、今死んだら死因は羞恥心、そして分類は"恥死"で確定だな―――とムダ極まりないことを考えながらも、限界が迫ったこっちの二つの目は会場内を見渡しまくる。
そして―――。
「―――みつけたッ!」
見覚えのある後ろ姿を発見するやいなや能力までも発動させ、その脚力を全開にし、目標との間にある障害物=テーブルや人を飛び越したあげく、天井を蹴ってその人物に飛びつき、さらに抱きついた。
死角からの突然の特攻にその人は吹っ飛んでしまう。
とても申し訳ないが、ことは一刻をあらそう。あとで土下座でもなんでもいうことをきいて謝ろう。
死角からの突然の特攻にその人は吹っ飛んでしまう。
とても申し訳ないが、ことは一刻をあらそう。あとで土下座でもなんでもいうことをきいて謝ろう。
「うぐぉっ! ……ぐ。ただでさえ傷心気味なのに更に追い討ちか、いったい何が……って君かっつかどうしたんだ!?」
いきなり全身真っ赤なうえはん泣きで抱きついてるこっちにだいぶとまどってるようだ。
しかし説明してるよゆうはない。
こんなときの策はひとつ。謝りだおしのどげざ作戦である。
しかし説明してるよゆうはない。
こんなときの策はひとつ。謝りだおしのどげざ作戦である。
「すいませんすいませんあとでなんでもしますからこの質問にだけ答えてくださいおねがいします!」
「あ、ああ……わかったから、とりあえず離れて…」
「あ、ああ……わかったから、とりあえず離れて…」
こっちのいきおいにおされて了承してくれたようだ。他にもなんかいってるけどきにするよゆうはない。
大きくいきをすいこみ、
大きくいきをすいこみ、
「―――《エンジェルさん》のおにいさん、こっちは女の子にみえますか!?」
そう、叫んだ。
…………もし、「いや君、男だろ?」とか言われたら。
そんな不安に上目づかいになりつつ、《エンジェルさん》のお兄さんをみつめる。
こっちのうではお兄さんのこしあたりをがっちりロック、顔はその胸元あたりに。
若干かおがあかい気がしなくもないお兄さんの、その答えは―――。
…………もし、「いや君、男だろ?」とか言われたら。
そんな不安に上目づかいになりつつ、《エンジェルさん》のお兄さんをみつめる。
こっちのうではお兄さんのこしあたりをがっちりロック、顔はその胸元あたりに。
若干かおがあかい気がしなくもないお兄さんの、その答えは―――。
「……いや、普通に女の子に見える…というか、むしろかわいいと」
―――救われた。
今、こっちの目には、おにいさんが仏に見える。じょうだんなんかじゃない。もちろんごこうも差してる。
今、こっちの目には、おにいさんが仏に見える。じょうだんなんかじゃない。もちろんごこうも差してる。
「……ごめんなさい、おにいさん。もう少しだけ、このままでもいいですか…?」
「いや、いいっつーか願ったり叶ったり…じゃなくて、え、なぜ? え?」
「いや、いいっつーか願ったり叶ったり…じゃなくて、え、なぜ? え?」
なんかほっとしたら、身体から力がぬけた。
うまくうごかなくて、お兄さんの上からどけないのだ。
お兄さんの了解ももらえたようだし、もうすこしだけこのままでいさせてもらおう。
うまくうごかなくて、お兄さんの上からどけないのだ。
お兄さんの了解ももらえたようだし、もうすこしだけこのままでいさせてもらおう。
「ホントにすいませんでした、おにいさん……」
「いや、いいって本当」
「いや、いいって本当」
五分ほどかけて、なんとか回ふくしたこっち。
お兄さんには迷惑をかけたので、誠心せい意謝らせてもらっている。
お兄さんには迷惑をかけたので、誠心せい意謝らせてもらっている。
「いえ、ほんとになにかあったら言ってください。こっちにできることは、なんでもしますから」
あとむこうに手料理がありますからよかったら、といってみた。
なにやら、「なんでも……いやそんな意味じゃないだろ常考。…でも……」などと呟いてなやんでいるお兄さん。
そんなお兄さんに「ありがとうございました。なにかあったら連絡くださいね! この恩は前のとあわせて、どんなことをしてでもかえしますから!」といい残し、さっきの女の子をさがしに歩いていくこっちなのだった。
………それにしても、なんだかぐらぐらしてあるきにくいなあ。変なの。
なにやら、「なんでも……いやそんな意味じゃないだろ常考。…でも……」などと呟いてなやんでいるお兄さん。
そんなお兄さんに「ありがとうございました。なにかあったら連絡くださいね! この恩は前のとあわせて、どんなことをしてでもかえしますから!」といい残し、さっきの女の子をさがしに歩いていくこっちなのだった。
………それにしても、なんだかぐらぐらしてあるきにくいなあ。変なの。