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連載 - 赤い靴・XNo-03

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 …それは
 そろそろ、学校町にも、梅雨が訪れようかと言う時期だった

「-----っ!?」

 たまたま、とある理由で外出していた、E-No.0こと、エーテルは
 その姿を見つけて…思わず、立ち止まった

 白い、長い髪の、眼鏡をかけた…銀色の瞳の男

 間違えるはずがない
 あの、姿は

「---ザン!!」

 思わず、声をかけた
 ぴたり、その男…ザンが、脚を止めた

 その、直後


 ざああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ……


 土砂降りの、雨
 いや、雨なんて、生易しいものではない
 スコールと呼ぶに相応しいそれが、突然振り出した
 先ほどまで、憎たらしい程頭上で輝いていた太陽が、一瞬で分厚い雲に隠される

「……よぉ、エーテル」


 ざあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

 スコールの音に、掻き消されそうな声
 しかし、その声は不思議と、はっきりとエーテルの耳に届いた
 エーテルを見つめてくる、その顔は…やはり、間違いなく、ザン
 ザン・ザヴィアー…X-No.0、本人だ

 肌にあたる水滴の刺激が、痛い
 だが、エーテルは視線を逸らさず、まっすぐにザンを見据える

「この雨は、お前の仕業か…?」
「…まぁな………お前なら、きっと、敵じゃないだろうが………念の為、って言葉があるしな」

 全身ずぶ濡れになりながら、ザンは肩をすくめてきた
 真っ白なスーツが、どんどん変色していく

「お前…今まで、どこに…」
「世界中、あちこち。日本にも何度か来てたぜ?」

 あっさりと、答えられる
 その言葉からは、嘘偽りは感じられない
 正直に、答えてきている

「…今まで、何をしていたんだ…」
「世界中回って………俺を殺そうとした奴を、返り討ちにしたり?」

 軽く笑って、答えられた
 銀色の瞳が、エーテルを捕らえる

「変わらないんだな、「組織」は。未だに俺のところに追っ手が来やがるぜ……いい加減、人材の使い捨てはやめろっての。命の重さをわかってんのか」
「…っ」

 まさか
 まだ、強硬派も過激派も、裏切り者であるザンを殺そうと、追っ手を差し向け続けていたのか

 今まで、ただの一度も
 差し向けた追っ手が、帰ってこないことを知りながら

「まー、そう言う訳だからよ、エーテル」

 つい、と
 何気なく、ザンが宙に手を向けて…何か、掴んだ

 ぺい、と
 まるで、ゴミでも投げるかのように、エーテルの足元に投げ捨てられたそれは…

 骨、だった
 恐らく、人間の…片腕の、骨
 それには、風化しかけた黒い布…恐らく、元は黒スーツであったであろう布片と、壊れた腕時計がついていた

「それ、えーと確か………あー、忘れた。誰か、強硬派辺りの割りと上の奴の骨だから。それ、連中に見せてやってくれよ。もう、俺の事破ほっといてくれって」

 はぁ、とため息をついているザン
 振り続けるスコールが、その表情を窺う事を困難にする

 …無言で、その、今にも崩れ落ちそうな骨を、拾って
 ぽつり、エーテルは尋ねる

「…ザン…お前は、何を考えているんだ?」
「…………」
「何故、「組織」ができた途端、姿をくらましたんだ?…あいつは、お前が裏切ったんじゃない、と言い続けていたが…」

 そうだ
 ザンが、姿を消した後
 D-No.0は、ザンが「組織」を裏切った訳ではない、と主張し続けていた
 誰も、その言葉を信じる事はなく
 …きっと、D-No.0が、ザンに騙されているのだろう、と考えていたが

 今にして、思えば
 ザンが、D-No.0を騙すはずがない
 何を考えているのかわからない、気まぐれな男ではあるが…彼は、親友であるD-No.0のことは、大切にしていた
 大切な親友を、偽るはずがない

「…別に、姿をくらますつもりなんて、なかったさ。お前達が勝手に勘違いした、それだけだ」

 どこか、冗談めかして笑って、そう答えたザン

 しかし
 直後、その表情が憎悪に染まった

「……まぁ……あいつを殺した「組織」なんざ、もう、どうでもいいが」
「-----っ!」
「あいつを殺した「組織」なんざいらねぇ。いる理由もない。あんなもの、もういらねぇ……ちょっかい出してこないなら、関わらない、関わり合いたくもねぇ!!」


 ざあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


 スコールが、まるでザンの憎悪に答えるように、さらに強くなった
 その音に掻き消されることのない程、たっぷり憎悪が篭った声で、ザンは叫ぶ

「だが、俺に関わってきたなら、容赦するつもりはねぇ。あいつを殺した「組織」は俺の敵だ。俺の敵ならば、俺は容赦なんかしねぇ!!」
「……ッザン!」
「お前とか、一部の奴は、あいつの味方だったから許してやるだが、それ以外は……俺の前に現れたら、殺す」

 そう、言い切って
 くるり、ザンが背中を向けてきた
 …この場から、移動するつもりか

「ッ待て、ザン!!」

 D-No.0生存の可能性
 それを伝えようとしたが……間に合わなかった

 スコールのカーテンの向こう側、ザンの姿は、唐突に、忽然と消えて

 そして、それと同時に
 スコールは、発生した時と同様……唐突に、晴れた

「………」

 ぽたり、髪を伝って水滴が落ちる

 わからない、あの男の考えが
 だが、確かに、その本音の一端を、確認して

 エーテルは、どこか、薄ら寒いものを感じたのだった




to be … ?




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